ガタン。ガタンと電車が揺れている。目の前にはゆきかぜが上機嫌で駅弁を食べていた。
「おいおい、そんな勢いで食うと喉に詰まらせるぞ」
ゆきかぜは頬いっぱいにご飯を詰め込みながら首を横に振った。「だいじょ……むぐっ!?」
見事に喉に詰まらせた彼女の背中を慌てて叩く。「だから言わんこっちゃない」
「けほっ、けほっ……ごめんシュージ」
顔を赤らめるゆきかぜが手の甲で口元を拭う。
「だって美味しかったんだもん」
窓の外には春から夏へ移ろう緑豊かな風景が広がっていた。日に照らされた山並みが青々としている。
六月という時季は梅雨前の貴重な晴れ間だった。
「そう言えばさ、結局どこに行くんだ?」何度目かの質問を投げかけてみる。
「まだ内緒!」
ゆきかぜは指を唇に当てて悪戯っぽく笑う。
「着いてからのお楽しみよ」
彼女がレジ袋の中からもう一つの駅弁を取り出した。
「シュージの分もあるからね。はいどうぞ」
「ありがとう」
包装紙を開けると牛肉ど真ん中の豪華版が現れた。
「お前……これ高かったんじゃないか?」
「気にしないで」
彼女は麦わら帽子を少し下げながら言う。
「今日はシュージに楽しんでもらいたいんだもん」
電車の心地よい振動の中で食べると何故かより一層美味しく感じる。ゆきかぜはすでに食べ終えたようで、窓際に寄りかかり外の景色を眺めていた。風がそよぎ彼女の長い茶髪を揺らす。
駅弁を平らげた後、ゆきかぜがバッグから小さな折り畳み式のボードゲームを取り出した。
「じゃーん!オセロ持ってきたよ〜」
「お前本当に用意周到だな」
呆れ半分感心半分で言う。
「でも俺オセロなんて久しぶりだぞ?」
「大丈夫大丈夫」
彼女は自信満々に黒石を置いた。
「私が教えてあげる」
最初は簡単だろうと思っていたが、すぐにその認識は間違いだと気づくことになった。
「え?あれ?なんでこうなるの?」
俺の黒石が次々と白に変わり、盤面の隅々までゆきかぜの石で埋め尽くされていく。
「わ〜い!また勝った!」
三連敗したところでとうとう音を上げた。「ゆきかぜ。強すぎだろ」
彼女は得意気に胸を反らして「爺や仕込みよ」と言い放つ。麦わら帽子の下で茶色の瞳がキラキラ輝いている。
「ああ、あの恐ろしそうな執事さんか⋯⋯」
記憶によれば、爺やは骸骨のような見た目の執事なのに驚くほど礼儀正しく、しかも異常に強い武術の達人らしい。俺がゆきかぜのスマホを届けに来た時も鋭い眼光で睨まれたものだ。
「だいじょーぶ。爺やには友達と旅行に行くからって言ったから♪」
俺は内心思った——セフレも友達か⋯⋯。
「次こそは!」意地になって再び黒石を持つ俺を見て、ゆきかぜは楽しそうに微笑んだ。「いいよ。でも次も負けたら罰ゲームね」
「はぁ!?聞いてねぇぞそれ」
「今決めたの。じゃあスタート!」
列車が次の停車駅に向かって速度を落としていく中、窓からの日差しで照らされた二人の影が車内の床に長く伸びていた。
「あっ!シュージ、急がないと乗り継ぎに間に合わないよ!」
突然のアナウンスにゆきかぜが慌てて立ち上がった。せっかく良い形になりかけていたオセロ盤を素早く片付ける彼女を見て思わず苦笑いする。
確かに列車が徐々に減速し始めている。
「ほら、荷物」
「ありがと!」
ゆきかぜの小さめのリュックと自分のボディバッグを持ち上げると、彼女は両手でしっかりと俺の腕をつかんできた。この密着具合はどうしてもドキッとする。
ホームに降り立つと潮の香りが鼻をくすぐる。ここは目的地の最寄り駅だそうだ。
「海が近いんだな」
「うん!あとちょっとだけバスに乗るよ」
街路樹が風に揺れる中を歩いて駅舎を抜けると小さな待合所があった。幸いにもすぐバスが来てくれたので、ふたりで後部座席に腰掛ける。
田園風景から一転して山道に入り、さらに進むと眼下に青い海が見え始めた。
「わあ……」
窓から身を乗り出すようにして景色を眺めるゆきかぜの姿は無邪気そのものだった。陽光に透ける髪が風になびいて美しい。
しばらくするとバスは細い坂道を登り始め、やがて白い建物が見えてきた。看板には「小梅の湯」と書かれている。
「小梅……?」
「あははっ!やっと気づいた!」
ゆきかぜが指差す先の別の標識には「子産めの湯」と小さく併記されていた。そういえば最近聞いたことがある。この地方で最も子宝に恵まれると評判の温泉宿だ。
「え……まさか……」
「さっきから『子産め』って思いっきり叫んでたくせに!」ゆきかぜが肩を震わせて笑う。「もちろん偶然じゃないよ~」
顔が熱くなるのを感じながら下車準備をする。宿の玄関先に着くと古風な木造建築が美しく佇んでおり、波の音が絶え間なく聞こえてくる。
受付で鍵を受け取ったゆきかぜが振り返った。
「今日と明日は私だけのものだからね、シュージ」
「おいおい……」
彼女の瞳の奥に何かを期待するような輝きを見た気がしたが、それはきっと俺の妄想だろう。部屋へ続く廊下を歩きながらも窓の外では穏やかな海が太陽を反射して煌めいていた。小梅の湯—つまり子産めの湯。その意味深な名前が頭の中で何度も反芻される。
部屋に通されると早速荷物を置いて窓辺へ駆け寄るゆきかぜ。続いて俺もその隣に立ち、広がる景色を見渡した。
「すごい……」
目の前には深い紺碧の海が広がり、遠くに島影が浮かんでいた。そして部屋の隅には……。
「露天風呂付きだって!」
小さな扉の向こう側から湯気が漂ってくる。外からは波の音だけが聞こえる静かな空間だ。
「実はね」
ゆきかぜが俺の袖を引っ張った。
「ここ、カップル向けの特別室なんだよ」
「え?」
「もちろん部屋風呂は混浴だし……」
彼女は声を潜めた。
「夜もゆっくりできるよ」
窓から差し込む夕陽が彼女の頬を朱色に染めている。その表情には確かな覚悟が見て取れた。
「ゆきかぜ……」
「まずは温泉に行こっか?」
彼女は屈託なく笑った。
「お腹空いたしね」
旅館の制服を着た従業員が案内にやってきたところで会話は中断された。それでも俺たちの間には微妙な緊張感と期待感が漂っている。
今日と明日はまさに二人だけの時間—しかも「子産めの湯」での滞在なのだ。
「まだ三時前だし……」
時計を見たゆきかぜは満足げに頷いた。
「じゃあ神社行こっ♪」
「神社?」
「うん!ここの近くにあるの。縁結びのご利益があるんだって」
手を引かれながら石畳の階段を上がる。参道の両脇には古い提灯が連なり、昼間の光の中でもどこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「おなか空かない?」
ちょうど茶屋を見つけたゆきかぜが嬉しそうに駆け寄る。店先の赤い番傘の下、古風な丸テーブルが数卓並んでいた。
「名物のお饅頭と冷たいお茶ください」
注文したものが届くと彼女は目を輝かせた。「いただきまーす!」
一口食べた瞬間、「ん~!」と幸せそうな表情になるゆきかぜを見て自然と頬が緩む。同じものを食べながら彼女が茶碗を傾ける様子を見ていると妙に愛おしい気持ちになった。
「美味しいね」
彼女が不意に俺の方を向いて言った。
「こういうのも楽しいよね」
「ああ」
思わず同意してしまう。
「なんか学生らしいっていうか」
「ほんとにそう思う?」
彼女は急に真剣な眼差しになった。
「私たちって本当に『学生らしい』のかな」
言葉の裏に何かを感じ取りかけた時、茶屋の主人が焼き立てのお饅頭をお替りしてくれた。会話はそこで途切れたが、妙な沈黙が流れる。
「行こっか」
立ち上がりながら彼女が言った。
「神社に」
再び石段を登っていくと人通りが増えてきた。若いカップルが多いことに気づく。皆が幸せそうに見えた。
「やっぱり今日来てよかったかも」
隣で歩くゆきかぜがつぶやく。
神社の鳥居をくぐると一気に清浄な空気に包まれた。参拝客の多さに少し驚きながら本殿へ向かう途中、
「ここが有名な縁結びスポットなんだって」
唐突に腕を組まれた。柔らかい感触が肌に伝わってきて全身が硬直する。
「おいおい……公共の場だぞ」
小声で注意すると彼女は悪戯っぽく笑った。
「大丈夫だよ。だって周りも似たようなものだし」
見回すと確かに周囲はほとんどが若いカップルか家族連れ。中には熟年の夫婦もいれば、女子同士のグループもあった。
「それにしても」
俺は意識的に話題を変えた。
「ずいぶんな盛況ぶりだな」
「ここの温泉効果かな?」
彼女は腕を絡めたまま答える。
「結婚したら毎年家族でお参りに来る人も多いみたいよ」
「なるほど……」
本殿前に辿り着くとゆきかぜは財布から小銭を取り出して賽銭箱に入れた。俺も続いた後で鐘をならす。
「どんなお願いしたの?」
参拝を済ませたゆきかぜが興味津々で訊いてくる。
「そっちこそ何を願ったんだよ」
「内緒♪」
軽く肩をすぼめると彼女は再び俺の腕を引き寄せた。境内の池に鯉が跳ねる音が聞こえる中、微かな潮の香りとともに和服姿の老夫婦が参道を行き交う姿が印象的だった。
# 第七章 - 思い出の砂浜
参道を抜け、そのまま海岸線へ向かう道を選ぶと、ゆきかぜの足取りがさらに軽くなった。
「こっち行こう!」
俺の手を引いたまま小走りに駆け出す彼女の後を追いかける。白いワンピースの裾が風を受けて舞い上がり、その隙間からちらりと覗く肌に思わず目が奪われた。
砂浜に降り立つと彼女は嬉しそうに深呼吸した。「懐かしいなぁ……」
「そういや前にも来たことあるって言ってたな」
「うん!子供頃のの夏休みに家族とね」
波打ち際を歩きながら語り始める。
「お母さんとお父さんと三人で。でもその時泊まったのは別のホテルだったんだ」
「ふーん。今回は?」
修司が尋ねると彼女は突然立ち止まって砂に足跡をつけ始めた。
「今回は特別な人と来たくて」
「特別な人?」思わず聞き返す。
「あっ」
慌てた様子で手を振るゆきかぜ。
「なんでもないよ!ただ……その……」
波が寄せてきて彼女の白いサンダルに触れた。思わず跳び退く彼女の姿があまりに可愛くてつい笑ってしまう。
「それにしても」
修司は話題を変えた。
「水着持ってきているのに海に入れなくて残念だな」
「え?水着?」
「いやだって……」
彼女の顔が一瞬で紅潮した。
「別に海に入るためじゃないよ!」
声が上ずっている。
「ただ……その……」
「わかってるよ」苦笑しながら言う。
「ただの冗談だ」
「もう!スケベ〜!」
突如声を上げてからかってくるゆきかぜ。俺の背中を軽く押してきた。
「何を想像してるんですかぁ〜?」
「何も想像してません!」
言い合いながらも楽しくなって笑い合う。陽が西に傾き始めているとはいえ、まだ強い日差しが二人の影を短く映し出していた。
「それにしても」彼女が真面目な顔で続ける。
「ほんとに残念よね。こんな綺麗な海なのに泳げないなんて」
「まぁ時期が時期だから仕方ないさ」
砂浜には他にも数組の家族連れがいたが、いずれもビーチパラソルを広げているだけで泳ごうとする様子はない。
「でも……」
ゆきかぜが不意に修司の耳元に顔を寄せた。
「二人きりだったら入ってもいいけどね?」
「は?」
「冗談だよ!バカぁ!」
再び彼女が背中を押してくる。思わず前につんのめりかけたところを踏みとどまった。
「まったく……からかい過ぎるなよ」
ため息をつきながら言う。
「だってシュージが可愛い反応するんだもん」
彼女は無邪気に笑った。「これからもっと楽しいことたくさん待ってるよ?」
「例えば?」
「ヒミツ♪」
「きゃっ!」
突然悲鳴が上がる。振り向くとゆきかぜが膝まで海に浸かり、波に足を掬われそうになっていた。白いワンピースの裾が濡れて色濃くなっている。
「おまえ!何してんだよ!」
慌てて駆け寄ると彼女は悪戯っぽく舌を出した。
「冷たい〜!でも気持ちいいよ?シュージも来てみなよ」
「やめろよ。せっかくの服が台無しじゃないか」
「大丈夫だって。乾くから」
そう言って波打ち際で足を洗うように水遊びを始めるゆきかぜ。夕陽に照らされた横顔は妙に大人びて見えた。橙色の光が彼女の長い睫毛に影を落としている。
「ほんと綺麗だな……」
思わず漏れた言葉に自分でも驚く。慌てて口を押さえようとしたが遅かった。
「え?」
振り向いたゆきかぜの頬が見る間に赤く染まっていく。夕陽のせいなのか、それとも……
「なんでもない」
誤魔化すように彼女に近づき、パーカーを脱いで差し出す。
「もう日が落ちてきた。これ着ときな」
「ありがとう……」
受け取った彼女は素直に羽織った。
「でも私のことばっかり気遣わないで。シュージも寒いでしょ?」
「俺は大丈夫だよ」
本当は少し肌寒くなってきたが強がってみせる。いつものことだ。
「嘘つき」
彼女が肩を寄せてきた。温もりが伝わってくる。波の音だけが辺りに響く中、互いの体温を感じながら黙って夕焼けを眺める時間が永遠のように感じられた。
「そろそろ戻ろうか」
潮が満ちてくるのを確認して言うと、彼女は素直に頷いた。「うん……」
海辺を離れると急速に薄暗くなっていく。街灯が点き始め、二人の影を長く伸ばした。
「なんか変な気分」
帰り道でぽつりと言った彼女の横顔を見る。
「変?」
「うん。いつも学校で一緒なのに……こうしてると違う人みたい」
「そうだな」
実際俺も同じことを考えていた。授業中も休憩時間もいつも一緒に過ごしていても、やはり二人きりというのは特別なものだ。
旅館が見えてくると彼女はふと立ち止まった。
「シュージ」
「ん?」
「さっきの『綺麗』って……誰のこと?」
心臓が跳ね上がる。言い訳を探していたが間に合わない。夕闇の中で彼女の瞳がまっすぐこちらを見つめていた。
「言わなくてもわかるだろ」
精一杯平静を装う返事に彼女は小さく笑った。
「ずるいなぁ……でも許してあげる」
腕を絡ませてくる彼女の動きに身構える。
旅館に戻ると仲居さんが笑顔で迎えてくれた。
「おかえりなさい。お夕食の準備ができておりますよ」
部屋に通されると驚いたことに既に食事が用意されている。窓際の小さなテーブルには地元の新鮮な山の幸と海の幸が彩り豊かに盛り付けられていた。
「すごーい!」
ゆきかぜが歓声を上げる。
「伊勢海老に鮑もある!」
「まさか全部食べていいのか……?」
「もちろんですよ」
仲居さんがにっこりと答えた。
「こちらのお膳は当館自慢の『小梅会席』です。ごゆっくりお楽しみください」
襖が閉められ二人きりになるとゆきかぜが椅子に座りながら言った。
「ねえシュージ。どれから食べる?」
「とりあえず……お刺身かな」
箸を持ち上げてみると新鮮な魚介類が宝石のように輝いている。箸をつけようとするとゆきかぜが急に立ち上がり隣のグラスを手に取った。
「お酌してあげるね♪」
「おいおい……」
慌ててグラスを差し出すと彼女はジュースの瓶を傾けた。透明な液体がグラスの中で踊る。
「今日は特別な日だもん。ちょっとお酒っぽく乾杯したいな」
いたずらっぽく微笑む彼女に思わず苦笑いが出る。
「ジュースだろ?」
「気分だけでもね」
彼女が自分のグラスにもジュースを注ぐのを見てグラスを掲げる。
「乾杯」
「乾杯♪」
軽くグラスを合わせると炭酸の泡が弾ける音がした。一口飲むと爽やかな柑橘系の香りが広がる。食事を進めながら二人で地元の食材について話し込んだ。
彼女の説明は意外と博識で感心させられる。
「ここの温泉卵知ってる?」
「確か温泉で煮込んだとかいう……」
「そう!卵の表面だけ固まって中は半熟なの」
「へぇ……でもどうやって?」
「だからね……」
話の途中で彼女が急に身を乗り出してきた。箸先には黄金色に輝く温泉卵が乗っている。
「あーん」
「え?」
「あーんしてってば」
無理矢理口に押し込まれる。熱々の黄身が舌の上で溶けた。
「うまい……」
「でしょ?」
彼女の満面の笑みに照れてしまう。「なんか学校の食堂でもやってくれよ」
「ダメ〜。特別な時だけだもん」
二人で笑い合う中、食事が進んでいく。時折彼女がお酌してくれることもあって酔っぱらっていないはずなのに頬が熱くなるのを感じた。
窓の外はすっかり暗くなり、宿の庭園に提灯の明かりが灯っているのが見える。遠くから波の音が聞こえてきた。
「ねえシュージ」
ゆきかぜがふと真面目な顔で言った。
「ちょっと付き合って欲しいの」
「どこに行くんだよ?」
食事後にゆきかぜが「付き合ってほしい」と言い出すや否や、部屋を飛び出した。追いかける俺は思わず声を上げる。
「着いてからのお楽しみだよ♪」
夜風が吹く廊下を歩く彼女の髪が揺れる。先ほどまでの少女らしさとは違い、どこか大人びた表情をしている。
旅館の入口を出るとすでに月明かりが辺りを照らしていた。砂浜へ続く小道を歩く二人の足音だけが静寂の中に響く。ゆきかぜの持つ小さめのバッグが時折揺れている。
砂浜に着くと月明かりだけが二人を照らしていた。遠くに聞こえる波の音以外は何もない静寂の中、ゆきかぜが振り返る。
「誰もいないね」
彼女の声は普段より低く響いた。潮風が茶色の髪を優しく撫でる。
「まさか花火でもやりたいのか?」
修司は一瞬そう思ったが頭を振った。
「いや……そんなわけないよな」
ゆきかぜは答えず、砂の上にバッグを置いた。中から取り出されたものは……
「これ……」
革製の首輪だった。犬用ではないファッション向けの品。その先端にはリードを通す穴が開いている。
修司は息を呑んだ。これが意味することを理解できてしまった。
「どうしたんだ……それ」
声が震えるのを抑えられない。
ゆきかぜは黙ったままワンピースの肩紐を滑らかにずり落とした。ストンと白い布が足元に落ちる。月光に照らされた裸体は完璧に美しかったが—
「ノーブラ……ノーパン……?」
修司の言葉に彼女は小さく頷いた。
彼女の胸の先端には白いニップレスが貼られているだけ。羞恥と興奮で頬が赤く染まっている。
「私……変態だよね」
かすれた声で彼女が言った。
「知ってたでしょ?初めての時だって……」
修司は思い出した。あの夜、ゆきかぜが自分の家ノ近くの湖畔で露出オナニーをしていた衝撃的な光景を。
「シュージ」
ゆきかぜが一歩近づいた。
「私ね……本当に見られることが好きなんだ。特にシュージに」
夜風が吹き抜ける中で彼女の吐息が熱い。
「それでこの首輪も自分で買ったの?」
「うん……」
「こんな格好をして砂浜まで誘導して……何がしたいんだ?」
彼女は涙ぐんだ目で見上げた。
「試したいの。私の……本当の姿を」
首輪を差し出す動作は震えていた。
「もしシュージが嫌なら……ここで終わってもいい」
その瞬間、波が大きく寄せて彼らの足元まで迫った。冷たい海水が素足を舐める。
「怖いけど……でも同時に興奮してる」
彼女の本性を知っている修司にとって、これは予期せぬ事態ではなかった。しかし実際に目の当たりにする衝撃は想像以上だった。
「見られるかもしれないのに?」
「だからこそ」
ゆきかぜの口元にかすかな笑みが浮かぶ。
「もし誰かに見られたら……きっと私壊れちゃう。でもシュージとなら……それでもいい」
修司は固唾を飲んだ。彼女の胸元のニップレスが月明かりで妖しく光る。風が吹くたびに柔らかな乳房が揺れた。
「これが俺へのプレゼント?」
「そう」
彼女の瞳が潤んでいた。
「こんな露出狂の……変態の私を全部受け入れてくれないかな」
修司は黙ったままゆきかぜを強く抱きしめた。
「ん……」
予想外の抱擁に戸惑いながらも、ゆきかぜはゆっくりと彼の背中に腕を回した。素肌に感じるシャツのざらつきが奇妙に心地よい。
「ありがとう」
かすれる声で彼女は言った。
「受け入れてくれるんだね……私のこと」
修司は無言のまま彼女を離し、慎重な手つきで首輪を手に取った。革特有の匂いが鼻をつく。月光に照らされた彼女の首筋は白く輝いていた。
「痛くない?」
「うん……大丈夫」
首輪が彼女の細い首に巻きつけられていく。修司の指が彼女の鎖骨のあたりを掠めると、ゆきかぜの身体がわずかに震えた。
「サイズはぴったりだな」
「……良かった」
留め金がかちりと嵌まる音が夜の静寂に吸い込まれていった。首輪の存在感が不思議と二人の距離を縮める。
修司は赤血操術で鎖を作り、首輪に取り付けた。
「行くぞ」
修司がリードを引くと、ゆきかぜが小さな声で「うん」と応えた。
砂の上を歩き始める二人の足音だけが聞こえる。波の音に紛れて、修司の鼓動が異常なほど速くなっていた。首輪をつけたゆきかぜが自分の命令に従って歩く姿は想像以上に扇情的だった。
ゆきかぜの動きに合わせて彼女の下半身が揺れるたび、砂浜には小さな濡れた跡が残る。月明かりの中でも濃い愛液が地面に滴っているのが見えた。
「気持ちいいのか?」
修司が小声で尋ねると、ゆきかぜは俯いたままコクリと頷いた。その耳まで真っ赤になっている。
「あっちのホテルから見えているかもな……」
修司がふと遠くに見える高層ビル群を指さす。深夜にも関わらずいくつかの窓には明かりが灯っていた。
「え……」
ゆきかぜの足が止まる。彼女の目が不安そうに夜の闇に浮かぶ光の点々を捉えた。
「もし誰かが望遠鏡で見ていたら……」
「見られちゃう……?」
ゆきかぜの呼吸が荒くなる。それが恐怖なのか興奮なのか区別できない。
「どう思う?」
「わ……わからない……」
彼女の身体が震え始めていた。修司はリードを少し強く引いた。
「ほら、もっと歩かないと」
「ひゃっ!」
急に引っ張られた首輪が彼女の喉を絞め、小さな悲鳴が漏れる。そのまま彼女はよろめきながら再び歩き始めた。
ニップレスの下で胸の先端が固く尖っているのがわかる。
「シュージ……」
「ん?」
「もし誰かに見られたら……どうすればいい?」
その問いに修司は答えず、代わりにリードを強く引っ張った。彼女が前のめりになるほどの力で。
「あうっ!」
尻餅をつきそうになりながらも耐えるゆきかぜの瞳には涙が滲んでいた。
「それでいいんだよ」
修司は冷たく言った。
「見られたらその場で犯されるかもな……こんな格好で」
「そんな……」
言葉とは裏腹に彼女の瞳が妖しく光る。快楽と恐怖が入り混じった複雑な感情が浮かんでいた。
目的の防風林に到着するころには、二人の息は荒くなっていた。鬱蒼とした松の森は外部からの視線を遮断してくれる。
防風林の中に入ると外の喧騒が一気に遠ざかった。松の香りが鼻をくすぐり、周囲には虫の鳴き声だけが響いている。
「ここまで来れば誰にも見えないだろう」
修司はリードを手に握ったまま周囲を見回した。松の幹の陰に隠れた小さな空き地を見つける。
「少し休もうか」
ゆきかぜは疲れた様子もなく頷いた。彼女の肌は月光で青白く浮かび上がっている。胸の先端を覆うニップレスが汗で剥がれかけているのに気づいた。
「これ……」
修司の指がニップレスの端に触れた瞬間、
「やっ!」
彼女が反射的に身をよじる。しかし抵抗は弱々しい。
「剥がれかけてるぞ」
「だ……だめ……自分で……」
「遅い⋯」
修司は力を込めて一気に剥がした。ペリッという音と共に粘着部分が肌から離れる感触が伝わる。
「あぅっ!」
白いニップレスの下から現れたのは充血して硬く尖ったピンク色の乳首だった。月明かりに照らされて艶めかしく光っている。
「きれいだな……」
思わず漏れた言葉にゆきかぜの顔が更に赤くなる。
「見ないで……」
「なぜ?こんなに綺麗なのに」
修司はリードを引きながら彼女を木の幹に追い詰めた。背中が冷たい樹皮に触れると彼女の体が微かに震える。
「怖い?」
「少しだけ……でも……」
「でも?」
「シュージなら……怖くない」
ゆきかぜの瞳が熱を帯びている。もう一方のニップレスも剥がそうと手を伸ばすと彼女は自ら背中を向けた。
「自分で剥がすから……」
「いや」
修司は強引に指を這わせた。今度はゆっくりと焦らすように端からめくり上げていく。
「んっ……シュージぃ……」
喘ぎ声が森の中に消えていく。最後の抵抗のような粘着力を残していたニップレスもついに剥がれ落ちた。
二つの尖った頂きが夜風に晒される。ゆきかぜは恥ずかしさと安堵が入り混じった表情で立っていた。
「これで本当に全部見せたんだな」
「うん……全部……シュージに」
月光の下で輝く二つの蕾を見つめながら修司は息を飲んだ。これが彼女の本当の姿—美しく脆く淫靡な一面。ずっと見たいと思い続けていたものが今目の前にある。
「次は何をしてほしいの?」
「手を使わずに出してくれ」
修司の声は低く掠れていた。ゆきかぜは躊躇うことなく地面に膝をついた。月光に照らされた彼女の茶色の髪が砂地に散らばる。首輪の革が喉元で微かに擦れる音がした。
「わかった……」
蹲踞の姿勢になると彼女の背筋が弓なりに反る。その曲線美に修司は息を詰めた。ゆきかぜは震える唇を修司のベルトに近づけた。
「難しいね……」
鋭い犬歯で金属の留め具を噛みながら慎重に外していく。ファスナーを唇で探り当てると細い舌先が冷たく金属に触れた。
「冷たい……」
「我慢してくれ」
ジィーッという音と共にファスナーが下がるとゆきかぜの息遣いが乱れた。熱い吐息が股間にかかるのを感じる。彼女は膨らんだ部分を見つめながら囁いた。
「欲しい……」
その声は蜂蜜のように甘く粘っこい。唇がパンツの生地に触れる瞬間、ゆきかぜの体が小さく震えた。リードを持つ修司の手にも震えが伝わってくる。
「直接嗅がせて……」
返事を待たずに彼女は鼻先を布越しに押し付けた。深く息を吸い込む音が森の静寂を破る。
「アンタのコレ……何時もより大きくない?」
ゆきかぜが目を上げると瞳孔が開いていた。まるで獲物を狙う肉食獣のように。パンツのゴムに歯を立てる彼女の顔には狂喜の色が浮かんでいる。
「暴れないでよ……ちゃんと出したいんだから」
ゆっくりと慎重に生地を引き下げていく。冷たい夜気と共に解放された修司自身が完全に立ち上がる。
「わっ……すごい……」
ゆきかぜの声に陶酔が混じる。彼女は頬ずりをするように頬で触れながら全体像を確かめていった。
ゆきかぜの唇が亀頭に何度もキスを繰り返すたび、柔らかな温もりが先端を包む。唾液で濡れた唇が吸盤のように吸い付く感触に背筋が震えた。
「おいしい……」
吐息交じりの声が股間を這う。彼女の舌先がカリ首の縁をなぞるように円を描き始めた。舌の表面は驚くほど敏感に感じられる。
「ん……んっ……」
口いっぱいに頬張りながらも彼女は器用に喉奥まで飲み込んでいく。時折苦しそうに眉を寄せるが決して放そうとはしない。
ゆきかぜの頭を撫でると茶色の髪が指の間でさらりと零れ落ちた。手触りは滑らかで体温が伝わってくる。汗で濡れた首筋に首輪の革が光る様は官能的だ。
「よく頑張ったな」
声をかけると彼女の目が上目遣いに見上げてくる。そこには満足感と誇らしさが混ざっていた。
フェラのペースが徐々に速くなっていく。唇が根元から先端まで上下する動きは規則正しいリズムを刻み始めた。口腔内の温かさと湿り気のある粘膜の圧迫が股間全体を包み込む。
「もっと激しくしていいよ」
彼女の耳元で囁くと、ゆきかぜはこくりとうなずいた。次第に頭の動きが激しくなる。喉奥まで飲み込むと反射的に嗚咽のような音が漏れるが、それでも彼女は止まらない。
「ん……ごほっ……」
咳き込みながらもまた唇を押し当ててくる健気さに胸が締め付けられる。口の端から溢れる唾液が顎を伝って首筋を濡らす。
ゆきかぜの乳房が動きに合わせて揺れ、その頂点は夜気に晒されて硬く尖ったまま。震える唇と舌の巧みな動きに応えるように硬度が増していく。
「もう限界だ……」
腰が自然と彼女の方へ突き出されそうになる。理性では抑えるべきだとわかっていても肉体は正直だ。夜風が木々を揺らす音と彼女の呼吸音だけが耳に入る。
ゆきかぜの瞳が潤みながらも期待に輝いている。首輪に繋がれたリードを強く握りしめながら彼女の献身的な奉仕を受け止める。野外の開放感と危険な行為への背徳感が混ざり合って思考を麻痺させていく。
「射精すぞ」
宣言した瞬間、ゆきかぜの動きが止まった。唇が締まり舌が裏筋を押し上げる。その完璧なタイミングに背筋に電流が走る。
「んんっ!」
どくん、どくんと脈打つ度に口内へ精液が流れ込む。ゆきかぜは目を閉じて一心に受け止めている。しかし途中で彼女の喉の動きが止まった。
「ん……んぅ……」
小さな呻き声とともに彼女は目を開けた。苦しそうに眉を寄せながらも決して放さない。
射精が終わりかけたところで俺は彼女の頭を軽く押さえた。
「もういい……抜くぞ」
ゆきかぜは頷きながらも最後の一滴まで啜ろうと唇を窄める。ずるりと引き抜かれた肉茎は彼女の唾液と白濁液で濡れ光っていた。
「見せてみろ」
手を伸ばすと彼女は素直に口を開いた。舌の上に広がる白い液体が月光に照らされて蠢いている。粘り気のある糸が彼女の唇と舌の間で伸びた。
「ザーメン♡こんなにいっぱい♡」
その声は確かに水っぽく響いた。唾液と混ざった精液で溺れそうな口内から発せられる言葉に背徳的な色気が漂う。
ゆきかぜは目を細めて愉悦の表情を浮かべた。舌先で器用に精液を集めながら
「もっと欲しい……」
と言いながら再び唇を閉じる。ゆっくりと咀嚼するような動きが始まった。ぐちゅり、くちゅりという音が夜の森に溶けていく。
喉仏が上下するたびに彼女の細い首筋に浮かぶ血管が脈打つ。首輪の革が肌に食い込む様子が妙に煽情的だ。
「おいしぃ……」
飲み込む音の合間に漏れる声は媚びるように甘い。
# 第十八章 - 根元に刻まれる欲望
「今度は私のオマンコに入れて欲しいなぁ♡」
ゆきかぜの声は甘く蕩けている。彼女は自ら右手で秘所を広げた。月明かりに照らされた花弁は既に蜜で濡れ光り、暗闇の中で妖しく光っている。
「……」
無言で指を振ると血の鎖が生き物のように蠢いた。指先から新しい血の拘束具が湧き上がり、ゆきかぜの左膝へと絡みつく。
「え?待って—」
抗議の声が途中で途切れた。血の鎖が太い木の幹へと伸び、彼女の左足を持ち上げるように固定する。宙に浮いた右足は不安定に揺れる。
「やぁん♡」
口先だけの拒絶を示すゆきかぜだが、腰は既に求めている。秘所は期待に震え、透明な愛液が腿を伝う。
「見ないで……こんな格好……」
羞恥に染まる声とは裏腹に、ゆきかぜの目は熱く潤んでいる。彼女の身体は正直だ。露わになった女性器はヒクヒクと収縮を繰り返し、次の刺激を待ち望んでいる。
「嘘つきめ」
俺は冷たく言い放った。
熱を持った先端をゆきかぜの秘所に当てがうと、彼女の体が小刻みに震えた。蜜で濡れた入口がヒクつき、まるで招き入れるかのように収縮する。
「ふぅ……あっ……」
吐息が森の空気に溶けていく。だがそこで動きを止めた。ゆきかぜの顔が困惑と欲求不満で歪む。
「シュージ……?」
甘えた声に含まれた不安と期待。秘所に当てた亀頭を左右に揺らすと、粘液が糸を引く。
「んっ……それだけじゃ……」
腰を突き出そうとするゆきかぜだが、拘束された足がそれを許さない。木に縛られた左足がガクガクと震える。
「どうした?」
わざと低く問いかける。
「早く……入れて……」
懇願の声は泣きそうなほど震えている。秘所から新たな蜜が滴り落ちる様が月明かりに照らされた。
「何を入れるって?」
俺は意地悪く質問を重ねた。ゆきかぜの目に涙が滲む。
「シュージの……大きいの……私の奥まで……お願い……」
「そんなのじゃダメだ」
冷たく言い放つとゆきかぜの目に失望と興奮が同時に走った。拘束された左足が更に激しく震え始める。秘所に当てたまま動かない肉棒に、彼女の内部が痙攣しているのが分かる。
俺は無言のまま腰を僅かに引いた。蜜にまみれた先端が離れると、彼女の口から切なげな吐息が漏れる。
「シュージ……お願い……もっとちゃんとした言葉で……言うから♡」
瞳に涙を浮かべながら懇願する姿は哀れでありながら淫らでもある。血の拘束具が月明かりに鈍く光り、首輪が喉元で小さく軋む音を立てた。
「はっきり言わないと分からないぞ」
「わ……分かりました……」
ゆきかぜは一度深呼吸してから、顔を上げた。羞恥に染まりながらも決意に満ちた表情で口を開く。
「シュージの⋯ご主人様のオチンポを……」
彼女の声が震えながら続く。
「ゆきかぜのはしたなく濡れているオマンコに入れてください♡」
言い終えると同時に秘所が強く収縮するのが見えた。羞恥と期待が入り混じる彼女の顔を正面から見据えながら
「良く出来まし⋯た!」
叫ぶように言い放つと同時に一気に腰を突き出した。
「っひゃあん!」
悲鳴にも似た嬌声が夜の森に響く。熱く柔らかな肉壁が侵入者を歓迎するように蠢く。ゆきかぜの腰が弓なりに反り返り、拘束された足が激しく宙を蹴った。
「ああっ……奥まで……届いちゃってる……」
彼女の目から生理的な涙が零れ落ちる。挿入されたものの形を確かめるように内壁が絡みついてくる感覚に思わず息が詰まった。
「これが欲しかったんだな?」
耳元で囁くと、ゆきかぜは必死に頷いた。口からは涎が垂れ、首輪に小さな水滴が伝う。
「うん……ずっと欲しかった……ご主人様の……」
その言葉を聞くや否や、腰を引き抜きかけると彼女の膣内が強く引き留めてくる。まるで一つの生物のように蠕動する肉襞の感触に背筋が粟立った。
「お願い……抜かないで……」
懇願の声が上がる前に再び最奥まで貫く。今度は浅く深くリズムを刻みながら抽送を開始した。結合部から漏れる蜜の量がさらに増え、肉同士が擦れ合う湿った音が夜の静寂を破る。
「あんっ……あっ……んんっ!」
拘束された左足を支点にしてゆきかぜの全身が律動に合わせて揺れる。彼女の乳房が揺れるたびに尖った先端が風に触れて硬さを増していくようだ。
「ご主人様ぁ……もっと……奥…突いてぇ♡」
彼女の要求通りに角度を変えながら突き上げると、背中が仰け反るほどの快感が走る。ゆきかぜの爪がパーカーに食い込む
愛おしさと独占欲が胸の中で渦巻き、腰の動きが加速していく。ゆきかぜの膣内は熱く、締め付けるように俺のものを包み込んでいる。結合部から溢れる蜜が彼女の腿を伝い落ち、砂地に染みを作っていく。
「シュージぃ……好き……♡」
彼女の囁きに応えるように唇を重ねた。舌を絡め合いながら互いの唾液を交換する。もう限界が近い—そう感じた瞬間、
カサッ……
乾いた葉を踏む音が闇の向こうから聞こえた。
「!」
咄嗟にゆきかぜの口を掌で塞ぎ、腰の動きを止める。彼女の体が硬直するのが伝わってきた。月明かりに照らされた首筋に汗が光る。
「んんっ……」
くぐもった声を上げるゆきかぜを制しながら音の方向に目を凝らす。黒い影がゆらゆらと木々の間を移動している。
「あーあ、トイレ行っときゃよかったなぁ」
男の声だ。泥酔しているのか足取りが不安定で時折木にぶつかっている。この時間に客室から抜け出してきた宿泊客だろうか。
「しょうがねぇ……ここでしよっと」
その言葉に冷や汗が背中を伝う。ゆきかぜの体が小刻みに震え始めた。俺たちの位置から約10メートルほどの距離に酔っぱらいが立ち止まる。
「おいおい……ここ公共の場だぞ」
自分に言い聞かせるように呟きながらも男はズボンを下げたようだ。チャックの擦れる音が夜の静寂に不気味に響く。
「誰も見てねえよな?」
そんなことを確認するように周囲を見回す気配がある。俺はゆきかぜの首に巻かれた血の首輪を締め付けないように注意しながら息を殺す。結合したままの状態でこの状況は拷問に等しい。
「あー最高」
放尿の音が聞こえてくる。じょぼじょぼと液体が地面に落ちる音がやけに大きく聞こえる。
「すっきりしたぜ〜」
ゆきかぜの膣内が突然強く収縮した。彼女の体が小刻みに震えている。恐らく絶頂を迎えつつあるのだ。
「ん……んん……」
口を塞いだ掌を通して熱い吐息が伝わる。指先に柔らかい唇の感触が心地よい。
男が立ち去る気配はない。しばらくその場に佇んでいるようだ。風が松の枝を揺らす音と男の呟きが交互に聞こえてくる。
「しっかし暑いな〜」
ここで動きがあれば確実に気付かれる。俺たちはただ無言で時間が過ぎるのを待つしかない。しかしゆきかぜの内部は不規則なリズムで収縮し続け、肉棒を搾り取るように絡みついてくる。
「っ……!」
痛みに近い快感が襲ってくる。耐えるように歯を食いしばるが、彼女の反応はますます激しくなるばかりだ。首輪が彼女の汗で濡れているのが手触りで分かる。
「誰かいるのかー?」
唐突に男の声が近づく。ゆきかぜの体が跳ねるように反応した。今度は恐怖による震えなのか絶頂の震えなのか判別できない。
「気の所為か〜?」
男の呟きと共に足音が遠ざかっていく。しばらく動くべきか判断に迷う沈黙が続いた後、
「行ったみたいだな……」
修司が溜息混じりに呟く。しかし、ゆきかぜの反応がない。不審に思い顔を覗き込むと—
「あへぇ……」
彼女の瞳は虚ろに虚空を見つめ、唇からは唾液が糸を引いていた。そして何より—
じょろろろ……
温かい液体が修司の下腹部を濡らしていく。ゆきかぜの膀胱から放出された尿が結合部を中心に広がっていく感覚。
「おいおい……マジかよ」
呆れつつも修司の声には嘲るような優しさが混じる。拘束されたままのゆきかぜの体が小刻みに痙攣し続ける。
「見られるかもしれないスリルに興奮して……漏らすなんて」
「あ……あんっ……ごめ……んなさい……」
かすれた声で謝るゆきかぜだが、その表情は恍惚としている。首輪に繋がれた鎖が月明かりに鈍く光る。
「この変態女が」
侮蔑の言葉にゆきかぜの膣内が再び強く収縮した。修司の肉棒を搾り取るように絡みつく動きに思わず声が出そうになる。
「ひゃうんっ!」
言葉責めの度に彼女の体は敏感に反応する。結合部から漏れる愛液と尿が混ざり合い、卑猥な水音が木霊する。
「もし他の人に見られたら……どうするつもりだったんだ?」
修司はわざと意地悪く聞いた。ゆきかぜの耳元で囁くように言葉を紡ぐ。
「そ……それは……」
震える声が途中で途切れた。想像するだけで彼女の内部は激しく収縮し始める。もし見知らぬ誰かに見られたら—その恐怖と背徳感が彼女を更なる快楽へと誘う。
「もういい加減にしろよ……」
修司は血の鎖と拘束具を解除した。自由になったゆきかぜの体を引き起こし、木の幹に向かって立たせる。背後から覆いかぶさるように抱きしめると、再び結合部へと肉塊を埋め込んだ。
「はぁ……んっ!」
立ったままの立ちバック姿勢に変わったことで、ゆきかぜの体重が結合部にかかり、より深く挿入される感覚がある。彼女の背中が反り返り、月光に照らされた首輪が艶やかに光る。
「また声出したら……今度こそ見つかるぞ」
冷たい声で警告する修司。ゆきかぜは慌てて両手で口を塞いだ。指の隙間から漏れる吐息が熱い。
「んんっ……ふぅっ……」
必死に声を抑えながらも彼女の腰は勝手に動いてしまう。結合部からは白濁した愛液が糸を引き、木の根元に滴り落ちる。
「本当にこういうのが好きなんだな……」
修司は意地悪く言葉を投げかけながら抽送のペースを上げる。太く硬いものが肉壁を擦り上げる度にゆきかぜの体が小刻みに震える。
「んっ……あっ……ダメ……それ以上は……」
口を押さえる手の甲を伝って唾液が零れる。もう片方の手は木の幹に爪を立てて辛うじて立っている状態だ。
「他の奴に犯されたいのか?」
冷酷な問いかけにゆきかぜの体が大きく震えた。
「違う!嫌っ!アンタ以外のなんて……絶対にっ!」
口を覆っていた手が外れ、泣きそうな声で訴える。その必死さに修司の胸が熱くなった。耳元に唇を寄せ、
「なら……お前は俺だけのものだな」
低い囁きと共に腰の動きを加速させる。
「うんっ!シュージだけのものだからぁ!」
ゆきかぜの叫びが森に響き渡る。慌てて再び口を塞ぐも遅い。遠くで鳥が飛び立つ羽音が聞こえた気がする。
「声出すなって言っただろ」
叱責する言葉とは裏腹に修司の動きは容赦ない。激しいピストン運動で膣内の弱い部分を執拗に攻め立てる。ゆきかぜの体は快楽と恐怖の狭間で混乱しているようだ。
「んぐぅっ……はぁっ……」
鼻息だけが漏れるようになっても彼女の内部は熱く潤い続けている。襞が絡みつくように肉棒に吸いつき、奥へと導く動きは絶妙だった。
「そろそろ限界か?」
修司はわざと緩慢な動きに戻して挑発する。焦らされれば焦らされるほど彼女の内部は激しく収縮し始める。
「お願い……イカせて……」
哀願の声が途切れ途切れに聞こえる。その切ない眼差しが振り向きざまに修司を捕らえた。
「どうやってイキたいんだ?言え」
月光に照らされた横顔は汗と涙で濡れている。
「子宮の奥……で…出して……欲しい……」
その言葉に応えるように修司は最大限の速度で腰を打ちつけ始めた。パンッパンッと肉同士がぶつかる音が闇夜に響く。
「ひゃうっ!ああっ!」
再び声が漏れそうになる度にゆきかぜは唇を噛みしめる。血が滲むほどの力を込めてもなお溢れ出す嬌声。修司の背筋を快感と征服欲が駆け上る。
「出すぞ……ゆきかぜ……」
耳朶に唇を押し当てるように囁くと、
「孕めよ」
最後の一突きで最奥まで貫く。肉棒が子宮口をこじ開けるように突き刺さり、そこに熱い奔流を注ぎ込む。ドクンドクンと脈打つ度にゆきかぜの体が激しく痙攣した。
「んんんんっ——!!」
木の幹に爪を立てる指先が白くなるほど力が込められている。背中を弓なりに反らせながら絶頂を迎えた彼女の膣内は万力のように収縮し、全てを搾り取るような動きを見せる。
「ああ……熱い……お腹のなか……一杯になってる……」
意識朦朧とした声で呟きながらゆきかぜの体が脱力していく。修司は崩れ落ちそうになる彼女をしっかりと抱きとめ、結合したままの姿で肩で息をする。
# 第二十四章 - 月光の海辺にて
行為の余韻がまだ残る中、俺はウェットティッシュを取り出し、ゆきかぜの体を丁寧に拭き始めた。
「自分でできるのに……」
照れくさそうに言いながらも、ゆきかぜは大人しくされるがままになっている。月明かりに照らされた白い肌にはまだ微かな紅潮が残り、拭われる度に小さく身をよじるのが可愛い。
「それにしても……」
俺は自分のズボンを見て溜息をつく。
「お前の小便でベタベタじゃないか」
「ご……ごめんね……」
申し訳なさそうな声で謝るゆきかぜだが、その顔にはどこか嬉しそうな笑みが浮かんでいる。
「このままじゃ帰れないだろ……」
バッグを開けてみると、脱いだばかりのワンピースがあった。ゆきかぜはそれを手に取り、「とりあえずこれ着るね」と言って着替え始める。月光に照らされた白い背中に残る汗の珠が宝石のように光る。
着替え終わったゆきかぜが俺の方を見る。
俺のズボンの惨状を見て苦笑いする。
「このままじゃ旅館に戻れないよね?」
仕方ない。忍びらしく忍び込もうかと考えていると
「そうだ!」
ゆきかぜが何かを思いついたようにバッグからスマホを取り出す。「アンタのスマホ入れていい?濡らしたくないし」
修司が頷くと、ゆきかぜは器用にスマホをビニール袋に入れバッグの底に押し込んだ。
「それじゃあ……行こっか」
ゆきかぜの手が修司の腕を掴む。次の瞬間、
バシャーン!!
二人は躊躇なく海へと飛び込んだ。
「冷たっ!」
予想以上の冷たさに修司が悲鳴を上げる。ゆきかぜはキャッキャッと楽しそうな声をあげて泳いでいく。
「コレならバレないでしょ?」
振り返った彼女の笑顔にはいたずらっぽい光が宿っていた。海水で濡れた髪が月光に照らされ銀色に輝いている。
「まったく……お前ってやつは……」
文句を言いながらも修司の口元には笑みが浮かんでいる。
波打ち際で二人の水の掛け合いが始まると、海面が月明かりで白く輝きながら揺れる。時折飛沫がかかり、ゆきかぜのワンピースが海水を吸って重くなっていく。
「そっち行ったわよ!」
ゆきかぜの声と共に飛んできた水しぶきが俺の顔面を直撃する。俺は逆襲とばかりに両手ですくい上げた海水を一気に投げつけた。
「きゃっ!」
驚いたような悲鳴を上げながらも、その表情は楽しさに溢れている。濡れたワンピースが透けて彼女の体のラインがくっきりと浮かび上がる。
「見えてるぞ」
俺の言葉にゆきかぜは咄嗟に手で身体を隠し、
「へっ!変態っ!!」
# 第二十五章 - 夜明け前の帰路
「さっきまで全裸だったお前に言われたくないんだけど?」
思わず口から出た正論にゆきかぜは「うぅ~」と悔しそうに唸る。さっきまでの痴態が嘘のように初心な反応を見せるのが可愛らしい。
「ほら、これ着ろよ」
濡れたパーカーを脱いで彼女の頭に被せる。昼間のように半脱ぎにさせずに、きちんと袖を通させた。透けたワンピースから覗く白い肌を人目に晒すわけにはいかない。
「旅館戻るぞ」
差し出した手を躊躇いがちに掴むゆきかぜ。その温もりが冷えた指先に染みる。帰り道は二人とも無言だったが、繋いだ手が雄弁に語っていた。
部屋に戻ると女将さんが予め用意していたであろう厚手のタオルを持って待っていた。
「あらあらまあまあとりあえずお体を温めてくださいね」
何故か何もかも察しているような笑顔に居心地の悪さを感じつつも礼を述べる。
「ありがとうございます」
「いえいえ、たまにあることですから」
さらりと言ってのける女将さんの対応は流石旅館のプロだ。プライバシーに配慮しつつも必要な世話を怠らない。きっと俺たち以前にも同じような"事故"を起こした客がいたのだろう。
部屋に戻ると予想通り空調が効いていた。廊下の湿った空気が遮断され、清涼な空気が肌を包む。
「ふぅ……気持ち良かったね」
ゆきかぜは濡れた髪をタオルで拭きながらベッドに腰掛ける。パーカーの裾から覗く太ももが妙に艶めかしい。
「とりあえず温泉入るか」
声をかけるとゆきかぜの目が輝いた。「うん!」
露天風呂には俺たちだけだった。月明かりに照らされた岩風呂に二人並んで浸かる。湯気越しに見える星空が幻想的だ。
「覚悟しろって言ったよね♡」
突然、ゆきかぜが囁くように言った。湯面から突き出した胸元が淡く光っている。
「ああ……言ったな」
答えながら彼女の腰に手を回す。湯の中で絡み合う肌の感覚が新鮮だった。
最初は湯船の中。壁に手をつかせたゆきかぜの後ろから侵入すると
、湯との温度差で膣内がひときわ熱く感じる。窓枠に置いたタオルの端が揺れるたびに声を殺す緊張感が逆に興奮を煽った。
「んっ……もっと……奥まで」
答えながら彼女の腰に手を回す。湯の中で絡み合う肌の感覚が新鮮だった。
最初は湯船の中。壁に手をつかせたゆきかぜの後ろから侵入すると
、湯との温度差で膣内がひときわ熱く感じる。窓枠に置いたタオルの端が揺れるたびに声を殺す緊張感が逆に興奮を煽った。
おっしゃ!次はバトルじゃ!呪術師四名出すぞ!