僕は今、よくわからん古い遺跡にて盗賊狩りをしている。
久しぶりにアルファから手紙が来て「この地図にある大規模なアジトを〈中略〉(破り捨てたので覚えてない)」と書いてあったので、うっきうっきで参戦を決意。
いざ来てみたら結構な大乱戦でビビった。
盗賊のボス格たちは結構強い。
アルファ達には及ばないけど、アレクシアが千人いても勝てない——そんなレベル。
そんな数人のボス盗賊を中心にしてモブ盗賊がいっぱい居る。
あ、今ベータとイプシロンに殺されたボスっぽいの、高そうな指輪付けてたし、お金いっぱい持ってそう。
スライムを伸ばして指輪と財布を回収する。
うむ、大漁である。
今日はミツゴシ従業員総出の盗賊狩りっぽいので僕は非常に楽ちんだ。ただ陰に潜んでブツを回収するだけで良い。
ただ一点、気になる点があるとすれば――少女たちの存在かな。
「ヒャッハー! 汚物は消毒しちゃうよー!!」
「雑魚雑魚雑魚!!」
「この世に汚物は不要なの……」
5歳ぐらいの元気なちびっ子たち。
ぱっと見600人ぐらい居るけど、その全員が結構——いや、かなり強い。魔力量だけならアレクシアが二千人居ても勝てないんじゃないかな。それが600人。
剣筋は未熟だけど魔力量がハンパない。盗賊にちょっと同情する戦力差である。
「くらぇー!」
アルファ似の金髪少女がゆるい掛け声と共に空から降ってくる。
その手にはスライムソードが握られ、膨大な魔力が込められている。
おいおい、まさかそれって――。
「アイ・アム——ぷち——アトミック!!」
バカデカい黄色の光球が数百人単位の盗賊を飲み込み、大きなクレーターを作る。
遺跡の一部も吹っ飛んでるので、これが文化遺産とかなら巨額の賠償金が発生するだろう。
僕は知らんぞ、ミツゴシで払え。
「こら、アルヴィス! この遺跡は調査対象なんだから壊さないようにって言ってるでしょ!」
アルファがツッコむが、ミツゴシで遺跡調査の商売でも始めたのか?
「ご、ごめんなさい、ママ。パパが見てるからつい……」
「パパじゃなくてシャドウ様と呼びなさい。ここの殲滅で功を上げて初めてパパと呼べるの。それまでは我慢しなさい」
「うん! 頑張ってわたしが一番皆殺しにする!」
「ええ」
少女はスライムソード片手に嬉々として虐殺を再開する。
いやー、笑顔で皆殺し宣言するとか、末恐ろしい子供だな。まるで子供の頃の僕を見てるようだ。
「ふー」
「お疲れ、アルファ」
「敵の殲滅より、あの子達のお世話の方が大変だわ」
「実に大変そうだ」
ボス格っぽいのは七陰のみんなが処分したけど、後の雑魚狩りは少女達が主に頑張ってる。
盗賊を細切れにしたり、ぐちゃっと潰したり……うん、後始末が大変そうだ。
「人ごとみたいに言わないの。みんなあなたの子供達なのよ」
「うーん……かなぁ?」
みんな母親に似過ぎていて僕のモブ要素が欠片もないんだけど。
そう、盗賊狩りで大暴れしている少女たち約600名。なにを隠そう全員が僕の子供……らしいのだ。顔を見ると全く似てないので嘘なんじゃないかと思うけど。
「とぼけない。あんな膨大な魔力、あなたの子供の証じゃない。それに、私たちはシャドウガーデンに来てから他の男とは一切そういうことはしてないわ」
「来る前はしてんたんなら、そっちの可能性も——うっ!」」
思いっきり玉を握られた。
魔力が籠もった全力の握りなのでちょっと痛い。普通の男性なら昇天してると思う。そのままの意味で。
「シャドウガーデンに来てから何年経ってると思うのよ。まったく……少しは父親らしい面も見せてちょうだい」
「たまに遊んであげてるよ」
「……必殺技で?」
「うん。せがまれるから教えてあげた」
「そのせいで被害が広がってるのよ」
虐殺現場では「アイ・アム・ぷち」シリーズが入り乱れていた。
初陣っぽいので張り切ってるのかな?
これは僕のせいじゃなくて、母親の教育が悪いんだと思う。
とくにデルタの子供。
「ここはディアボロス教団の重要拠点の一つ。なるべく無傷で接収したかったのよ」
「……教団の施設はここだけではない」
設定が出てきたのでちょっと話しを合わせる。
こういう所でふざけないのが「陰の実力者」なのだ。
「確かにあと四カ所、残ってるわ。でも、だからと言ってここを軽視していいわけじゃないのよ」
「アルファ様」
イプシロンが飛んできた。
「制圧完了しました。ただ……」
「なに?」
「アルヴィスが破壊した場所から地下への隠し階段が発見されました。これより内部の調査に向かいます」
隠し階段、非常にワクワクする単語である。
「フフフフ……」
きっと財宝をたんまり隠してるに違いない。
「まさか、シャドウはこれを見付けるためにあの子達を放置していたの……?」
「フフフフ……」
僕は「陰の実力者」のオーラを出しながら隠し階段の現場に向かう。
「さすがはシャドウ様! 全てを見通した上での行動! 憧れます!」
イプシロンが巨乳の谷間で僕の腕を抱く。
……うん、スライム率95%。さすがは緻密のイプシロン。母親になって元が大きくなっても変わらぬサイズ感である。
「さあ、行くぞ。ここが深淵の入り口だ……」
「ええ」
「はい!」
さあて、元気で無邪気な子供達に奪われる前に全て回収しないと……。
1000人以上の尊敬の眼差しという名の監視をスルーしながら、僕は最奥に向かう。
***
階段を下ったり上ったりして、何度目かの隠し扉を抜けたところで最奥と思われる場所に到着。財宝を持ち逃げされないように僕が先頭で入って正解だった。そこにはとんでもない光景が広がっていたからだ。
「……アルファ、子供達を下がらせろ」
「え、ええ。アルヴィスたちは地上に戻って待機よ」
「ええー、なんでぇー」
聞き分けのない子供達である。
ミツゴシの教育はどうなっているのだろうか。育児レベルを疑うな。
「下がれ。お前達には……まだ早い」
「りょ、了解です、パパ——シャドウ様」
アルファたちが勝手に命名した『シャドウ・チルドレン』が一斉に姿を消す。
うむ、こういう時は「出来るオーラ」を出して威圧するのが一番だ。
残ったのは七陰のみ。他は子守ために子供と一緒に姿を消した。
「アルファ達なら……大丈夫だろう。見てみろ」
「一体なにが……あっ……」
身体をずらして成人組に扉の先を見せる。
「ここは……なに?」
「なんでしょう? 拷問部屋……でしょうか?」
見たことのない器具の数々にアルファやガンマが「?」マークを浮かべる。
「アルファ様。この衣装と武器は……豚を躾けるためのモノかと」
ベータが艶のあるボディランゲージと仮面、そして鞭を見つけて手に取る。
「豚を、躾ける?」
「はい。異世界——日本に渡ったときにシャドウ様から教わりました」
「そうなの、シャドウ?」
「ああ。それは……ブタを躾けるための武具だ……」
「豚をこれで……なんのために……?」
真剣にお悩みなところ申し訳ないが、それは――というか、この部屋は単なる『SM部屋』だ。
この世界にも地球と同じSM文化があったのは驚きだ。
三角木馬、首輪、鞭、ろうそく、M字固定具、スケベ椅子、ローション……それらが大広間に所狭しと置かれている。
SM+アダルトグッズを使ったスケベ部屋……そんな感じだ。
「……マスター……これはー……?」
イータが片隅に一個だけある『サドルに変なモノが付いた自転車』を興味深そうに見ていた。
「……アク○自転車というものだ」
自転車のサドル部分にディルドが付いている。
エロ動画マニアのクラスメイトがアホみたいに熱弁していたのでよく覚えている。
SMというか、変態プレイ用だな、うん。
七陰たちはそれぞれに器具を観察してるが……そんなにジロジロ見るもんじゃないだろ。母親が三角木馬や変態自転車に興味津々なんて子供が泣くぞ。
「ア○メ自転車……興味深い……んー……」
イータが自転車のサドルを手でぐるぐる回し、バイブをピストンさせて動きを観察している。
「ちょっとイータ! それってアレじゃないの!?」
ベータにはその自転車がなんなのかわかったらしい。
まあ、ディルドがまんまアレな形してるし、それが上下に動けば想像が付いて当たり前か。
特にベータはパイズリプレイが好きで僕のモノを一番間近でずっと見てきたんだ。七陰で一番アレの形に詳しいのは間違いなくベータだろうし、真っ先に気付くのも彼女だろう。
「……ペニスの形をしたモノを……自分で自転車をこいでピストンさせる。これは……オナニー自転車……いや、疑似セックス自転車?」
「どっちでも同じよ! 変態道具じゃない!」
うん、変態道具であってると思う。
「……教団が自転車を開発していた事にも驚きだけど……こんな発想をしていたことにもさらに驚き。私たちは、マスターのペニスで満足して、進化を怠っていたのかもしれない」
アク○自転車を進化と言っていいのだろうか?
「……テストする」
「へ? ひゃああああああ!?」
イータのスライムがベータを拘束し、アクメ自転車のディルドに真上に固定する。
「ちょ、止めなさい!」
「ここをこうして……」
「あっ、ん——!?」
イータのスライムがベータの股間を撫でると、その部分だけ綺麗に素肌が表れる。
「うん。愛液の量に問題なし」
「ちょ、ん……やめ、ああっ♡」
「挿入開始……」
イータは手でペダルをこぎなら、頭上でゆっくりと降ろされるベータを観察していた。
ディルドが上下にキコキコ動き、秘部の入り口付近を何度も往復する。
「ん、あ……ああん……や、やめ……はあんっ♡」
ベータの愛液を顔に浴びながらイータは満足げな笑顔を浮かべるが、その背後にはスライムハンマーを手に持った鬼が忍び寄っていた。
「はぁ……いい加減にしなさい!」
「いったぁっーーー!?」
アルファのハンマーがイータの頭に炸裂する。
いつものアルファの鉄槌だが……今回は状況をもっとよく観察すべきだったな。
ベータはディルドの真上で大股を開いて固定されていたんだ。固定していたイータスライムがなくなるとどうなるか……ちょっと考えればわかるだろう。
「んほおぉぉぉおおおッ♡♡♡」
こうなります。
ゆっくりと焦らされていたディルドが一気に根元まで突き刺さる。
ベータは大きくのけぞった後、ハンドル部分にぐったりと倒れ込む。
「あ、ごめんなさい」
手遅れ過ぎる。そしてイータがチャンスとばかりに動いてるぞ。
スライムを伸ばしてペダルを握り、あり得ない速度で回し始める。
「あばああぁおおおぼほぉおおぼぼばぁばばばっ♡♡♡」
ハンドルにしがみつきながら身体を激しく痙攣させ、大量の潮をまき散らすベータ。
あれはちょっとないわー……。
一回転で一回突くとしたら194回は突かれたと思うぞ。二秒で。
「なにやってるのよイータ!」
「……良いサンプルが採れた。うちでもこの自転車を量産化して……」
「許すわけないでしょ!」
「……マスターのペニスの型でも?」
「え?」
そこで止まるな。いつものアルファらしさを取り戻せ。
こんな変態自転車をミツゴシ商会で販売したらブランド価値がブラックホールに吸い込まれて二度と日の目を見ないぞ。
「マスターのペニスで型を取って、マスターの精液で射精できるように改造する。そうすれば……」
「いつでもシャドウの精液を子宮に受けることができる……」
「そう。順番待ちで一ヶ月も待たされることがなくなる。いつでも、誰でも、好きなときに、マスターと疑似セックスができる……」
「……」
「作って、いい?」
「……あとで設計図と予算案をあげなさい。検討はするわ」
「やったー」
鬼のスパルタ会計士アルファもエロには勝てなかったようだ。
僕は変態自転車に精液を補充するために「抜かれる」わけだ……こんな風に……。
「ふふ……。どうかな、主。気持ち良い?」
ゼータが僕の背後から絡みつき、股間に手を回している。
「良いけど……何してるの?」
「手こき。苦しそうだったから」
スライムスーツの上からわかるのだろうか?
それにしても、僕のスライムスーツを無効化して息子だけ出すとは……やるな、ゼータ。アルファでも出来ないぞ、こんな芸当。ついつい感心して成り行きを見守ってしまった。
「あんな嘘泣きエルフの痴態で勃起させられて同情するよ。だからせめて、私の口で——ちゅ♡」
トップスピードで僕の背後から正面に回り込むと、その猫舌で息子のツボを的確に突いてあっという間に射精させる。
「んん……んぐ……ん、は……んっ♡」
口に中いっぱいに広がった精液をゆっくり飲み込むと、美味しそうに舌をペロッと出して唇を撫でる。
「主のスペルマ、すごく美味しい……ッ!?」
空気を置き去りするようなスピードでゼータの姿が消えると、僕の息子ギリギリの位置をデルタの爪が襲う。
頑丈そうな石畳に爪がめり込み、激しく粉塵が舞う。
「メス猫ぉおおおッ!! 抜け駆けでボスの子種をもらうなんてぶっ殺すのです!!」
僕じゃなかったら今の風圧で息子が消し飛んでるぞ。
デルタをなだめようとしたけど、その姿はゼータ一緒で既にどこにもなかった。
……二人ともずいぶんすばしっこくなったなー。まるで獣みたいだ。
「シャドウ様♡」
「うん、なに?」
聞くまでもないんだけど、つい聞いてしまった。
今度はイプシロンが僕の横に立ち、息子を優しく握ってる。
たぶんだけど、竿の中の精液を絞ってくれるんだと思う。
ただ握ってるだけなのに、竿の根元からゆっくりと搾り取られてるような感覚がある。先っぽから精液が垂れてきてるので間違いない。
彼女は全身をスライムで覆って成形してるので、目に見えない動きで愛撫してくるのだ。普通に抱き合ってるだけなのに乳首を振動で愛撫されたときは正直ビビった。
だからこんな風にただ握ってるだけに見えても、実際はスライムによる丁寧な愛撫なのだ。さすが『緻密のイプシロン』である。
「……勿体ない。回収する……」
イータが精液をちゃっかり採取してるのはいつものことなので放置でいいだろう。
「綺麗になりましたわ、シャドウ様」
「とりあえず、ありがとうと言っておくよ」
「身に余る光栄です!」
手に付いた精液をちゃっかり自分の膣に練り込んでる動きを僕は見逃さない。
僕のためと言いつつも、他にバレないように自分の利益をしっかり確保する。これも『緻密』らしい繊細な動きと言える。僕にはバレバレだけど、その執念と技術力は純粋にすごいと思う。
「まったく、敵のアジトでみんな気を抜きすぎよ。もしもここが重要な儀式の場だとしたら——」
「それはない」
どう見てもSM変態部屋だ。それ以外の用途なんてないだろう。
「……シャドウがそう言うなら。ここは現状維持で継続監視とするわ」
無駄な労力だな。
その継続監視の任務とやらに就くミツゴシ従業員には同情する。
可愛そうだから後で差し入れでも持ってきてあげよう。
「有用なアーティファクトも見当たらないし、今日は上層部遺跡の調査だけ行い撤収するわ。イプシロンはベータを運んであげて」
「了解です」
「デルタとゼータは……後でオシオキね」
だろうね。立派な職場放棄だし。
「……ふ、獣は所詮獣。低能な行動は私たちの理解の範疇を——」
「イータ、あなたもよ」
だろうね。立派なセクハラだし。
「陰の叡智に犠牲はつきもの……」
あんな叡智を授けた覚えはない。
「ガンマは……あれ、そういえばガンマどこに……あっ……」
ガンマはみんなとは反対側の隅っこで、二穴ディルドを挿入して一人で果てていた。
……この世界には僕の知識から盗んだバイブやディルドはあるけど、二穴仕様はないからなー。アナルが弱点のガンマに二穴仕様は酷だろう……南無……。
「はぁ。イータ、ガンマを回収して——」
「あのディルドは興味深い……ガンマを使ってもっと……」
「イータはすぐに戻ってアク○自転車の研究をしなさい」
「んっ、了解!」
ゴキブリのような素早い動きで地上に戻るイータ。
……マジで作る気か、アレを……?
ベータの愛液まみれのア○メ自転車を見て、僕は深いため息をつく。
完成品に使われるのは、僕の息子のディルドと大量の精液なのだ。僕が変態自転車の部品になるようですごく嫌なんだが……。
「んっ、しょ……」
アルファがぐったりしてるガンマを抱える。
二穴仕様のディルドはイータが回収済みなのですでにない。僕にしか気付かせないとは……イータの手癖の悪さも僕に近づいてきたな。そのうち初段の称号でもやろう。
「なんか締まらない探索結果になったけど、良い気分転換にはなったわ。戻りましょう、イプシロン」
「はい!」
最近の日常はずっとこんな感じだ。
子供が600人もいたり、盗賊狩りの最中にエロが挟まったり。
さらに学園ではアレクシアがやたらと女王様を気取ってくるし、アパートでは姉さんが居座ってるし、ローズ先輩はお忍びで何度もやってくるし……とにかくエロまみれだ。
「陰の実力者」に必要なものは「圧倒的な戦闘力」と「ミステリアスな言動と行動」。それだけでいいと思っていた頃が懐かしい。
今の僕は間違いなく「真の陰の実力者」に近づいてる。
あの日、ヒョロとジャガに連れられて無法都市の遊郭に行ったのが、全ての始まりだったな——。