ザアァ~~~……。
ザアァ~~~……。
夜の海は雰囲気があって好きだ。
月明かりの下、一人、砂浜から地平線を見つめる陰の実力者。
「今宵の黒き波は、我が心の闇を飲み込み、深淵の果てに沈むだろう……」
いいね。
姉さんに精液ぶちまけ現場を見られた僕の心情にピッタリだ。
気分はまさに「穴があったら入りたい」なのだから。
「ここまで来れば流石の姉さんでも僕を見付けられまい」
最初は王都を逃げるようにぶらつこうかと思ったけど、それは流石にリスキーすぎる。
ということで、本気ダッシュで海岸沿いまで逃げてきた。
海水浴場でもない秘境みたいな砂浜。流石の姉さんでもここまではこられまい。
アルファとの待ち合わせは「明日の夜」ってことだったので、まだ二十時間以上はある。
……ここでのんびりと過ごすか。
適当な椰子の木に魔力でハンモックを作って横になる。
「ふぅ……」
安心したら一気に力が抜けた。
今日は――正確には昨日の夜からだけど、色々ありすぎた。
ユキメの部下で今世初射精して絞られたり、ユキメで脱童貞して鼻で笑われたり、アルファをエロい目で見てしまったり、初オナニーしたり、精液ぶちまけ現場を姉さんに見られたり……。
これまで色々なシチュエーションで戦闘を楽しんできたけど、こんなにぐったりしたのは初めてだ。
いかに僕が脳筋戦闘ばかりしてきたのかがよくわかった。
外面ばかりの『陰の実力者』に囚われて、エロ方面の修行をまったくしてこなかったツケが僕を苦しめている。
「みんな、わかってたのかなー……」
性的な思考で昔を思い返してみると、七陰のみんなは僕に迫ってきてたんだと思える。
お風呂でやたら胸を押し付けてきたり、わざとらしく僕の息子を触ってきたり、僕から見えるところでオナニーしてたり……やっぱり誘惑だよなー。
『力に溺れて、こっちの方が疎かになってませんか?』
そういうメッセージだったのかも知れない。
ここは素直に反省しないといけないな。
筋トレと魔力鍛錬の先にこそ、僕の求める『陰の実力者』があると思い込んできたんだから。
「本拠地に着いたら……みんなをエロい目で見てみるか……」
まずはそこからだ。
アルファのことはエロい目で見られるようになったんだ。他のみんなのこともそういった目で見ることが出来れば、僕の修行もぐっと効率が良くなる。
「七陰のみんなとエッチ、か……」
「本当に?」
「うん。今後のために向き合ってみようかなって」
「嬉しいよ、主」
声のする方を見ると、スライムスーツに身を包んだゼータがいた。
ここに着いてから探るような視線をずっと感じてたけどゼータなら納得だ。
神出鬼没でスパイごっこが大好きなゼータ。
こんな秘境じみた砂浜にいても不思議じゃない。きっと潜入プレイやミツゴシ商会の出張とかの最中なのだろう。
「主がユキメを抱いたと知ったとき……殺意が湧いたんだ」
「そうか」
静かなトーンでの確かな殺気。もう「なりきっている」らしい。
隣に立ち、僕の首筋を爪でツーッとやってくる。
「でも……主がその気になったのなら……全部許してもいい」
潤んだ瞳がゆっくり近づき、唇が重なる。
ザラつく猫舌で僕の舌を弄ぶと、ゆっくりと顔が離れる。
「……逃げないんだ」
「アルファともしたからな。もう逃げることはない」
「アルファ様とも……ッ」
僕にしか聞こえないレベルで歯ぎしりが聞こえる。
「どこまでしたの?」
「なにがだ?」
「アルファ様とのエッチ」
「手コキされて、キスとクンニまでした。場所に拘りがあるみたいで、本番は明日の夜までお預けを食らった」
「…………バカな女」
わりと酷い物言いだな。
女性関係はドロドロになりやすいと聞くが、それは異世界でも同じらしい。
僕は空気の読める男なので深くは突っ込まないぞ。
「こっち」
手を引かれてハンモックから降ろされると、椰子の木に背中を合わせるように立たされる。
「してもいいんだよね?」
「ああ」
僕を手際よく全裸に剥くと、ゼータは両膝を突いて僕の息子にキスをする。
「やっと……主と……」
裏筋をペロッと舐められると、一気にフル勃起状態になる。
「嬉しい……女として意識してくれてる……」
「アルファも似たようなこと言ってたな」
「……あの女のことを今は言わないで。私が目の前にいる」
「ああ、そうだな」
金色の美しい髪を撫でると彼女は喉を鳴らす。
「本当に変わったね、主は。こんな風に撫でられた事なんてなかった……」
「そうか……」
頭を撫でるぐらいはいつもやってるような気がするけど。
「お礼……んっ……」
ゼータのキリッとした口に息子が飲みこまれていく。
「うっ……ゼ、ゼータ……」
「フフ……んぐ……んちゅ……れろ……んっ……んん……んぐぅ……」
口の中の息子が猫舌で舐められるたびに男の証を吐き出している。
精を飲み込むために頭が前後に動かされると、もっと吐き出してしまう。
ハッキリ言うと射精が止まらん。
ユキメのフェラは技術の到達点だと感じたが、ゼータのフェラは猫舌の暴力とピンポイントな亀頭攻めの組み合わせといった感じだ。
ユキメのフェラがAの百点だとしたら、ゼータのフェラはBの百点。どっちもありえないぐらい気持ち良い。
「んぐっ……んんっ……美味しい……んちゅ……レロ……ん……」
精液を飲むのが嬉しいのか、ゼータのフェラは止まる気配がない。
……くっ、このままではユキメの二の舞だ! こうなったら!
ゼータの頭を抱え、腰を振る。
「んごぉぉぉおおおッ♡」
「おおおおおッ――!!」
射精しながら何度も喉の奥を突き、さらに奥に精液を流し込んでいく。
これでゼータの腹を満たせなければ僕の負けだ。
お腹がいっぱいになれば満足するはず!
「うぐッ、これで!!」
「もごぉッ♡♡♡」
腰を突き出し、喉の一番奥で最後の射精を行う。
飲みきれなかったのか、頬がリスのように膨らむ。
「んご……もご……んぐ……んぐっ……んん……♡」
こっちはゼータの口に突っ込んだまま賢者タイム中だが、向こうは嬉しそうに飲み込み続けていた。
リスのように膨らんだ頬がへこんだので、大量の精液を飲みきったということだろう。
……嘘だろ。ゼータもユキメ並の手練れだったのか……!?
アルファは手のひらに掬った精液で満足してたっぽいのに、その何百倍の量でも満足出来ないのか?
「ん……ぷはぁっ♡」
「……」
「主、激しい……ゲホッ」
「だ、大丈夫か?」
ユキメレベルに見えていたゼータだったが、口を離すと咳き込み、ちょっと苦しそうにする。悪いことをしたようでちょっと反省。
「ん、大丈夫。ちょっとビックリしただけ。次は本番」
「は?」
ゼータはスライムスーツを解除して全裸になる。
……こうして性的な目で見ると、ゼータの身体も結構エロかったんだな……。
ちょっと弱っていた息子が再び天を向く。
「嬉しいよ。私の身体で興奮してくれて……」
立ったまま僕の身体に絡みつき、全身を弄ってくる。
「気持ち良い?」
「ああ……それにしても、上手いな」
「ずっと勉強してたから」
「そうか……」
「うん」
やっぱり勉強してたんだ。
僕は筋トレと魔力鍛錬ばかりだったのに、ゼータはエロの重要性を理解し、しっかり学んでいたというわけだ。
「……もしかしてだが、他のみんなも上手いのか?」
アルファの手コキも、ド素人のそれじゃなかったような気が……。
「知らない。興味がない」
「そ、そうか」
うん、なんかゼータっぽい回答でホッとする。
「じゃあ、挿入する」
「ん? うぐっ……」
危ない危ない、また挿入途中で飛ぶところだった。
めちゃくちゃ気持ち良くてすぐに出そうだが、そろそろ早漏じゃないことを証明しなければ呆れられてしまう。
俺は初心者だが『真の陰の実力者』を目指す者。そろそろ出来る男アピールをしなくては……。
「フフッ……やっと、主と一つになれた……♡」
「ぐっ!」
「んあぁぁあああッ♡♡♡」
挿入途中は我慢できたが、根元まで入った瞬間のゼータの笑顔と吐息でイッてしまった。
昨日までは女性を性的に見たことないのに、なんでこんなに興奮してしまうのか……謎すぎる。
「あ、熱い……主の……精子……♡」
ゼータの腰が、くいっ、くいっと前後に動き、竿を絞るように膣内が蠢く。
ユキメとは違った感触で、頭が真っ白になる前に気持ち良いと感じる。
これが本当のセックスと言うものだろうか……早漏だけど。
「すまないな、早くて」
「射精が?」
「ああ。どうやら俺は――」
「主」
人差し指で口を止められる。
「主は私を女として見てくれて、扱ってくれた。そして気持ちよくなって射精してくれた。私にはそれで十分」
「そうか……」
「私は主だけのちっぽけな子猫。こうして愛されるだけで十分。不満なんてない」
それは「テクニックなんてどうでもいいからセックスして下さい」ということだろうか?
性技を高めようとしてる僕にとってそれは「停滞しろ」と言ってるに等しいぞ。ここは一つ、ユキメから吸収した体位でやらせてもらう。
「だから主は――きゃん♡」
半分抜けていた息子を一気に奥まで突き上げる。
「いくぞ、ゼータ」
両足を抱え上げて駅弁状態になると、ゼータはその両手を僕の首に回してくる。
「うん……来て……いっぱい突いて……あっ、ああんッ♡♡♡」
何度も何度も何度も突きあげる。
三擦り半でイってしまうが構うものか。
中出しを続けてるせいか感触が変わってきた……これならもっと持つ!
「ああんっ、深い♡ いいよぉ……すごく……んあッ♡ 主の竿は……すごく……いいぃぃぃッ♡」
ゼータの腰振りと僕の突き上げのタイミングが合ってくる。
「はあんッ♡ 奥に、奥に主がッ♡ もっと奥まで……あっ……いっぱい突いて……主の子種を注いでッ♡♡♡」
静かな夜の砂浜に、粘液と肉が激しくぶつかる音が響く。
「いくぞ、ゼータ……」
ちょっと余裕が出てきたせいか『実力者』の顔が出てくる。
「うん、私もイク……はあ……ッ……主と一緒に……ん、ああッ♡」
ゼータの膣内がビクビク痙攣してきた。
大量の精液のせいで膣壁の感触が鈍くなっていたが、全体で締め付けてきてるせいで最初の頃より感じられるようになってきた。
「出すぞ!」
ゼータが腰を落とした瞬間に思いっきり突き上げる。
なんか亀頭に少し硬いモノを感じたけど、それを押し上げるように突き上げて中出しする。
「おッ——ああああァぁぁあアアンッッッ♡♡♡」
ゼータの身体が90度以上のけぞり、陰部から愛液とは違う液体を大量に噴き出す。
「これは……」
抱えてる尻に垂れてきた液体を触るが愛液とは違っていた。
……小便、ではないな。匂いも色も全然違うし。
「はぁ、はぁ……主の気持ちと精が……私の中にたくさん……」
のけぞりから回復したゼータが再び僕に抱きついてくる。足は僕を挟むようにガッチリロック済みだ。
「ゼータよ」
「はぁ、はぁ……ん、なに?」
「見慣れぬ液体が身体から出ているようだが、体調は大丈夫か?」
「見慣れぬ液体?」
「陰部から出ていた、愛液とも小便とも違う液体のことだ」
「主、本気で聞いてる?」
「もちろん本気だ。ゼータは大切な仲間だからな。この行為によって何らかの異常が生じたようなら、すぐにイータに診てもらった方がいい」
少々調子に乗って激しくしてしまったと深く反省してる。
いくら早漏でも、肉体能力は最高峰という自負があるのだ。それを友人にぶつけてしまったのは不覚である。
「主にも知らないことがあるなんてビックリ」
「世界の神秘全てに精通している……などと自惚れるつもりはないぞ。いや、知らないことの方が多いか」
「そうなんだ……フフ、これは私だけの秘密にするね」
「それで、この液体はなんなんだ?」
「潮だよ。すごく気持ちよくなったときに出す分泌物」
「塩、か」
それをこんなに噴いて大丈夫なのだろうか?
塩分は人体に必要不可欠な物質だぞ。
ゼータを降ろして、両手にべったり付いた液体を舐めてみる。濃度によってはゼータに対して緊急処置が必要だ。
「ペロペロ……」
「主が私のを——んっ♡」
ゼータが自分の身体を抱きしめて恍惚の表情を浮かべる。
「大丈夫そうだ。塩分濃度が高いということは——」
「フフフフ……主、なんか、可愛いね」
「む、そうか?」
なにが可愛いのだろう?
「主にも知らないことがあって、私が教えて、行動で示してくれてる」
「だな」
「ちっぽけな子猫の知識が、主の一部となって永遠を生きる……嬉しいよ」
「ん?」
会話が繋がってないぞ。
「もう悔いはない。私は私の道を往く」
それだけ言うとスライムスーツを纏って僕に背を見せる。
「主は主の道を進んで。バイバイ」
ゼータの魔力が急速に練られていくのを感じる。
……これは、かなりの長距離を高速で移動する感じかな。
させないけど。
「ゼータ」
「ッ——!?」
腕を掴んで魔力を分解、強制的に沈静化させる。
「……主、どうして……?」
「ゼータが必要だからだ。側にいろ」
せっかくの「教材」を逃す気はない。
アルファや他の女性でも可能かもしれないが、現状で「普通のセックス」ができたのはゼータ一人だけなのだ。
夜の技術力アップのためには絶対に逃がしたくない人材である。
「……私が側に必要なのは……世界のため?」
「俺のためだ」
ゼータが振り返って僕の目をじっと見てくる。
「……本気なんだ」
「もちろんだ」
「世界より私を取るんだ」
「もちろんだ」
「永遠の命より?」
「両方欲しい」
「そっか……」
一度僕から距離を置いたゼータだったが、スタスタとこちらに近づいてくる。
そして息が掛かるくらいの距離で再びじっと見てくる。
「後悔しない?」
「そんな柔な生き方をしてるつもりはない」
僕はいつでも本気で生きている。反省はしても後悔することなどない。
「本当は……世界を捨ててでも、主の側に居たかった。主がそれを望んでくれるなら——」
「望むぞ」
「うん……」
唇が唇に吸い寄せられ、激しく抱きあいながら舌を絡める。
「ちゅ……ん……」
離れる唇に掛かる唾液の橋が、月光の下でキラリと光る。
「主を……愛しても……いい?」
恋人設定か?
いいだろう、とことん付き合うぞ。
「ああ。俺も、ゼータを愛するとしよう」
「……グス……嬉しいよ」
アルファに続きゼータも泣いたか。
二人とも普段が凜々しすぎるからか、こういう風に泣かれるとぐっとくるモノがあるな。
……そうか、この伏線の為に、これまでキツい態度を見せていたのか。
僕との初セックスと恋人設定……それらがこの「涙」を活かす最高の舞台だからそのカードを切ってきたと。
数年がかりの伏線とは……やるな、アルファもゼータも。
僕も負けてられない。
もっと性技を磨き、夜の支配者に相応しい貫禄を手に入れなければ。
「ゼータよ、もう一度するぞ」
「うん。愛してる……主」
もう一度キスをしたゼータは、再びスライムスーツを解除して全裸になると、砂浜に横たわる。
「いっぱい愛して、いっぱい子種を注いで……」
ウェルカムポーズのように広げるその両手に、僕は吸い込まれるように入っていく。
アルファとの待ち合わせまであと二十時間。
それまではゼータとの恋人ごっこを通じて、存分に経験値を高めるとしよう。