※この作品はR-18です。

サイバーパンク・デカチンショタ   作:Potoooooooo

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ゲキヤバポルノBDを見るVとジュディ

 ジャッキーの頭の中でチクタクと時を刻む『Relic』のタイムリミット。残された時間は決して多くない。 Vとジャッキーはトムズ・ダイナーでの密談の後、解決の糸口を探るために手分けをして動くことにした。

 ジャッキーはRelicの設計者であるアンダース・ヘルマンの行方を追い、Vはエヴリンの足跡からパシフィカのネットランナー集団、ヴードゥー・ボーイズをターゲットに定めた。 ヘルマンを追うジャッキーには、レンが護衛としてついている。あのデカチンショタ彼氏の常軌を逸した戦闘力があれば、心配はないだろう。

 

 

 ■■■

 

 Vはエヴリンが残した手がかりを追って、ジュディのアパートを訪れていた。 機材が所狭しと並ぶ薄暗い部屋で、Vはジュディが用意したブレインダンス(BD)プレイヤーのヘッドセットを装着する。

 エヴリンの記録したBDをもとに、Relicに関する調査を進めるのだ。ちなみに、提供者である彼女は現在、余計なことを考えないよう、しっかり快楽漬けにされている。今頃ヤリ部屋のベッドに拘束され、ローターを乳首とクリトリスに固定され、ディルドをヴァギナとアナルに突っ込まれているはずだ。

 破滅するはずだった運命を上書きしたデカチンショタご主人様の雌奴隷としてすっかり心酔しきっているが、ジュディの進言でこうなっている。無理もない。現実を直視すれば、まだ死神が去ったわけではなく、忘れているだけだと気づいてしまうからだ。

 

「しかしエヴリンもマメね。全部記録してたなんて」

「お陰で彼女は現実を忘れて快楽に没頭できるってわけ」

「アンタもなかなかドSよね」

「エヴのことはよく分かってるから」

「ふーん? ……よし、準備できたわ。再生して」

「オーケー」

 

 Vが身構えると、視界がフラッシュし、エヴリンの記憶の海へとダイブする……はずだった。

 

 しかし、視界に飛び込んできたのは、 暗がりのベッドルームで、とびきり無邪気な笑顔を浮かべる青髪の少年の顔のドアップだった。

 

『あはっ♡ エヴおねーさん、今日はいっぱい種付けしてあげるね!』

 

「……は?」

 

 直後、Vのニューラルネットワークに、ずうん♡♡と規格外の快楽の奔流が叩き込まれた。 それはエヴリンの生体験。極太デカチンポに子宮をドチュッ♡♡♡とブチ潰され、脳髄が溶けるほどの圧倒的なオスフェロモンを浴びた、あのヤリ部屋での完全屈服の生感覚。未調整BDがもたらす、感覚そのままの完堕ちセックスを追体験してしまう。

 

 Vはジュディと一緒にエヴリンの仕事の記録を見るはずが、間違えてレンとのセックスをモロに体験してしまったのだった。すぐにジュディに再生を止めるように言おうとしたが、間に合わない。

 

「ちょ、これレンのやつじゃない! すぐにとめ……おっほ♡」

「あ、ごめんまちが……オホッ!?♡♡」

 

 リンクを通じてモニタリングしていたジュディも、その強烈な生感覚を完全に追体験してしまう。 二人は椅子の上でビクンビクンと激しく跳ね上がり、ものの再生開始から数秒で、無邪気な暴君の絶対的な快楽に当てられてドロドロに潮を吹かされてしまった。

 

『ドチュドチュドチュドチュッ♡♡♡♡♡♡♡♡』長大な肉棒がマン肉を掻き分け、最奥に到達したかと思えば、すぐに引き抜かれてGスポをぞりぞり削りあげ、そしてまた子宮をドチュる。

 

「お゛っ♡ ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ♡♡ やっべ♡♡♡♡♡ お゛っ!?♡♡♡♡♡♡」

「んおぉぉぉぉぉぉ♡♡ レ、レンさまのおちんぽぉっ♡♡ BDでもすごぉぉぉぉいっ♡♡♡」

 

 狭いアパートの部屋に、だらしない雌豚たちの野卑なオホ声と、椅子を濡らす激しい水音が響き渡る。エヴリンが味わった容赦のない子宮完堕ちピストンの感覚が、二人に疑似体験としてダイレクトに脳髄を焼き尽くし、二人揃って完膚なきまでに絶頂させられてしまった。

 

『とちゅっ♡♡どちゅっ♡♡♡とんっ♡とんっ♡ぐりぃっ♡♡』

『かりかり♡♡♡ すりすり♡♡♡ こりっ♡こりゅっ♡♡』

 子宮を優しく小突かれながら、乳首をねちっこく愛撫される。

 

「んぉ゛~~~~~~♡♡♡♡♡ 優しい乳首責めやばっ♡♡♡♡ これキくぅ……♡♡♡♡♡ ふぉぉぉぉぉぉぉ♡♡♡♡♡」

「あっ♡♡あっ♡♡♡ あっ♡♡♡♡ なにこれっ♡♡♡ しゅごっ♡♡ ほぉっ♡♡♡♡ 乳首こんなにきもちよくなるのぉっ!?♡♡♡♡♡♡ んおぉぉぉぉぉぉっ♡♡♡♡♡♡」

 

 二人の絶頂体験は終わらない。こともあろうに、ジュディが再生したのは『レン様のドS調教フルコース♡ アナタもデカチンショタ様の雌豚になっちゃお♡』と題されたBDであった。文字通り、エヴリンがレンから受けたありとあらゆる快楽の記憶がそのままぶち込んである。これを見たが最後、人生終了確定。レンの雌豚オナホ奴隷としての転落人生が待っていることだろう。

 

『どびゅるるるるるるるっ♡♡♡♡♡ ぼびゅるるるるるっ♡♡♡♡♡ びゅ~~~~~~~~っ♡♡♡♡♡♡♡』

 胎内に超特濃ザーメンを注ぎ込まれる種付けアクメでフィニッシュ。

 

「んぉ゛……♡♡♡♡♡♡♡」

「ぉ゛~~~~~~~♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 ようやくBDの再生が終了し、汗と潮塗れで椅子にぐったりとへたり込む二人。

 

「はぁっ……はぁっ……ちょっと、ジュディ……」

 Vはガクガクと震える足で立ち上がろうとしながら、恨めしそうにジュディを睨む。

「ところで、なんでこれ持ってるのよ……」

 

「んへへ♡ バーのみんなと楽しもうと思って♡ レン様のちんぽの凄さ、みんなに教えてあげるの♡」

 

 ジュディはよだれを垂らし、完全に焦点の狂った瞳でアヘ顔のまま答えた。

 

「……そんなことしたら、リジーズ・バーがレンの雌豚ハーレム・バーになっちゃうでしょ」

 

 呆れ果てるVに対し、かつては男を嫌悪していたはずの凄腕レズビアン・エディターは、満面の笑みで言い放つ。

 

「いいじゃん! みんなレン様の雌豚にしたら幸せじゃない?♡ 世界中のおまんこ、ぜーんぶレン様に種付けしてもらえばいいんだわ!♡」

「……完全に脳髄まで犯されてるわね、これ。てかアンタもエヴリンをよりによってポルノ女優デビューさせるなんてなかなか鬼畜よね」

 

 彼女のあまりにも振り切れた完堕ち布教モードに、Vは深い溜息をつきつつも、股間の熱い疼きを抑えきれずにいた。

 ともかく、気を取り直して。 二人は汗ばんだ身体を拭い、今度こそ本来の目的であるエヴリンの『仕事の記録BD』を再生した。今度は間違わなかった。

 

 浮かび上がってきたのは、複雑に絡み合った裏社会の陰謀だった。

 エヴリンは元々、ヴードゥー・ボーイズから依頼されてヨリノブ・アラサカと接触していた。しかし、彼女はそこで身の程知らずの野心を抱いたのだ。ヴードゥーからRelicを横取りし、それをネットウォッチに売りつけて巨万の富を得ようという、あまりにも危険な綱渡りの計画。

 結果として彼女は賭けに失敗し、レンのデカチンポに縋る雌豚へと落ちぶれたわけだが、手がかりとしては十分だった。

 

「ターゲットはパシフィカを拠点にするネットランナー集団、ヴードゥー・ボーイズってわけね……奴らがRelicを狙っていたのはなぜ?」

 

 Vが呟くと、横で端末を操作していたジュディが、突然バンッ!とデスクを叩き、鼻息を荒くした。

 

「パシフィカの連中ね……どうやって接触するの?」

「一応パシフィカのフィクサーに当てがないことはないけど……」

「無いけど?」

「あそこはドッグタウンがあるじゃない? なんだかパシフィカ周りはどんどんきな臭くなってるのよね」

「……バーゲストの住処か……」

 

 ドッグタウン。かつてコンバットゾーンと呼ばれていた場所で、現在ではバーゲストという組織が占拠して独立した自治を行っている異質な都市内都市だ。

 カン・タオがパシフィカに投資するという話も、ドッグタウンの存在が邪魔になっているらしいという噂も聞く。

 パシフィカは今、最もホットな地域の一つになっていた。

 

「ひとまず、こっちは出来るところから手を付けていきましょ」

「そうね! レン様にご褒美貰うためにも頑張らなきゃ! BDだけじゃ満足できないもの! 子宮をザーメンでタプタプにしてもらわないと!」

 

 ジュディはキーボードを叩く指を限界まで加速させながら、とろけるような笑みを浮かべた。 Vは超やる気になっているジュディを頼もしく感じつつも、荒野へと向かった相棒と、無邪気な暴君の姿を思い浮かべた。

 

「……」

(ジャッキー、そっちも無事だといいけど……)

 

 ■■■

 

 ナイトシティの傭兵たちが集う伝説の酒場『アフターライフ』。

 ジャッキー頭の中に巣食うジョニー・シルヴァーハンドの助言に従い、ローグという名の伝説の女ソロが取り仕切るここへやってきた。

 デクスと仕事の話をしたのもここの奥だった。あの時は随分と浮かれてたな……と、つい数日前の出来事を、ジャッキーは昔のことのように思い返しつつ、ローグと話すために歩みを進める。

 隣を歩くレンがいつもの無邪気な笑顔で奥へ向かって手を振ると、厳重な警備を敷く屈強なバウンサーたちの向こうに座っていたローグは、一瞬だけふっと頬を綻ばせた。

 

【挿絵表示】

 

 そして、今まさに自身が対応中であった女ノーマッドに向かって、冷たく言い放つ。

 

「自分のケツは自分で拭くんだね。私はアンタのママじゃないんだよ」

「……ッ」

 

 ローグにすげなくやり込められた女ノーマッドは、美しい褐色の肌を怒りと屈辱で紅潮させながら、荒々しく踵を返した。

 

【挿絵表示】

 

 肩を怒らせて歩いてくる彼女とすれ違いざま、ジャッキーはぶつかりそうになってすんでのところで避けたが。

 どんっ、と、彼の後ろを歩いていたレンに軽くぶつかってしまう。

 

「あっ、ごめん。ってなんでこんなところにガキが、じゃなかった。ええと、大丈夫、キミ」

 

 女ノーマッド――パナム・パーマーは、苛立ちのままに吐き捨てようとした言葉を飲み込み、小柄な少年を見下ろして戸惑いの声を上げた。

 こんな裏社会の掃き溜めに、ダボダボのパーカーを着た子供がいるという異常さ。しかしそれ以上に、パナムの野生的な直感が、目の前の少年を舐めてはいけないと言っていた。

 

「大丈夫だよー!」

「……そう。悪かったわ。急いでるから、じゃあね」

 

 ぶつかった時に感じた圧倒的なオスの気配。パナムは、自身の体がドクンっ♡と熱を持った未知の疼きをごまかすように首を振って、逃げるようにその場から去っていった。

 

「大丈夫かぁ、レン」

「問題ナシ!」

 

 ジャッキーが声をかけると、彼女をにこぉ♡と笑って見送っていたレンは振り返ってサムズアップを作った。

 ともあれ、レンがいる効果だろう。普段ならストリートのゴロツキなど門前払いするはずのバウンサーたちに止められることもなく、二人はスムーズにローグのVIPブースへと通された。

 

「ローグおねーさんこんにちは!」

「レン坊、よく来たね」

 

 ローグはレンのことを気安く呼んで、口元を緩ませた。しかし、視線がレンの隣に立つジャッキーへと移った瞬間、ローグの顔は冷徹な氷の女王のそれへと戻る。

 

「そっちの大男は……ああ。デクスの仕事でヘマをしたやつか。生きていたとはね」

「あんたの皮肉を聞きに来たわけじゃねえ。……情報が欲しい」

 

 ジャッキーはローグの鋭い視線を正面から受け止め、要件を切り出した。

 隣ではレンが、周囲の緊張感など微塵も感じさせない様子でニコニコと笑っている。

 

 

「アンダース・ヘルマン。アラサカのエンジニアだ。奴の行方を追っている」

「ほう」

 

 ローグは組んでいた足を滑らかに組み替え、興味深そうにレンの方へと視線を移した。

 

「レン坊、アンタもこの件に関わっているの?」

 

 レンがローグを真っ直ぐに見つめて頷く。

 

「うん。ジャッキーを助けるためにどうしても必要なんだ」

「……そう。なら……1000エディで情報を売ってあげるわ。特別特価よ」

「そいつはありがてえが……いいのか?」

「お前が気にすることではないわ。情報を掴んだらまた連絡する。行きなさい」

 

 ジャッキーの戸惑いを冷たく切り捨て、ローグは顎で出口を示した。

 

「……おう。頼んだぜ」

「ああ、レン坊は残りなさい。少し……個人的な話があるわ」

「えへ、オレと話ね♡ いいよ!」

 

 ジャッキーはレンをその場に残し、アフターライフを去った。頭の中でジョニーが語りかける。

 

『な? ローグは話が分かるやつだ』

「にしては、簡単に行き過ぎな気がするけどな」

『はっ、考えすぎだぜ、ジャッキーボーイ。あの氷の女王様も、たまには気まぐれを起こすってことさ』

 

 ジャッキーもジョニーも気づいていない。あのソロの女王が実は、とっくにショタデカチンポに陥落して、ベッドの上では無様なアヘ顔を晒してレンに抱き潰されていることなど。

 

 ■■■

 

 翌日、ジャッキーはローグからアンダース・ヘルマンに関する確かな情報を受け取った。

 

 ヘルマンはアラサカを裏切り、ライバル企業であるカン・タオのAV(エアロ・ヴィークル)に乗ってナイトシティを脱出する計画を立てていると見られている。

 空を飛ぶ最新鋭のAVを撃ち落とし、彼を無事に確保するためには、バッドランズの過酷な環境と地形を知り尽くした人物の協力が絶対に欠かせない。

 そこでローグに紹介されたのが、パナム・パーマーという女性だった。

 

 パナムはバッドランズを縄張りとする『アルデカルドス』出身のノーマッドで、現在はクランを抜けてフリーの傭兵として活動しているという。

 ただし、彼女は今、仕事のパートナーであるナッシュという男に裏切られて大事な愛車と積荷を奪われ、それを取り返そうと一人で藻掻いているところらしい。

 彼女が愛車を奪還するのに協力して問題を解決し、恩を売ってやれば、ヘルマン強奪の件にも協力が得られるはずだ。

 

 ジャッキーとレンは、ジャッキーの愛車である大幅なチューンが施されたバイク『アーチ』に二人乗りし、ネオンの街を背にして郊外へと向かう。

 

 バッドランズの境界線で、ボロいピックアップトラックのエンジンルームを覗き込み、油まみれになって車を修理しているパナムと合流した。

 

「アンタがローグの言ってたジャッキーか。……そっちは、そういえば昨日の」

 

 油で汚れた手を拭いながら、パナムはジャッキーの隣にいる小柄な少年をまじまじと見つめた。

 昨日アフターライフですれ違ったことを思い出したようだった。

 

「こんにちはおねーさん! オレはレン!」

「ピクニックじゃないんだけど」

 

 無邪気に笑って手を振るレンに対し、パナムはあからさまに呆れたような顔をしてため息をついた。

 

「そう言うなよ。コイツは見かけによらず頼りになるんだ」

「その骨董品のリボルバーで?」

 

 パナムはレンの腰に無造作に吊るされている、彼の体格には到底見合わない超大型のリボルバーを顎でしゃくった。

 

「ヘルブリンガーを見るのは初めてか? そいつはブーリャみてえなとんでもねえ反動してやがるぜ」

 

 ジャッキーが自慢げに相棒の得物を解説するが、パナムは訝しげな視線を崩さない。

 

「そういうアンタは?」

「俺か? 俺はヌエだな」

 

 ジャッキーはジャケットの内側から、愛銃であるツナミ社製の無骨な拳銃であるヌエを二丁、滑らかな手つきで取り出して見せた。鈍い金属光沢を放つその重厚な銃は、彼の大柄な体格によく似合っていた。

 

「……ふん、まあいいわ。弾除けくらいにはなるでしょ。とにかく手伝ってもらうわよ。で、ローグはなんだって?」

「ナッシュって言ったか? アイツはラフェンで、ロッキー・リッジって場所でお前の車と積荷を売りさばくつもりなんだとよ」

「チッ、アイツ……」

「俺達はお前が車を取り返すのを手伝う。んで、お前は俺達がカン・タオのAVを撃ち落とすのを手伝う。いいか?」

「わかった。聞きたいこともあるけど、後にする。まずはウチのクランのキャンプに寄って準備しよう。OK?」

「ああ、問題ねえ。レンもいいよな?」

「おっけー!」

 

 裏切り者への怒りに燃えるパナムは、それ以上の細かい追及を後回しにして、乱暴にトラックの運転席へと乗り込んだ。

 パナムの車の助手席にレンがひょいっと乗り込み、ジャッキーは再びアーチに跨ってその後ろを追いかける形となる。

 

「……ちょっと。なんでアンタが助手席に乗ってんのよ」

 

 パナムは苛立たしげにハンドルを叩いたが、レンは気にする風もなくシートに深く腰掛けた。

 

「えへへ、いいじゃん! それに、おねーさんともっとお話したいし!」

「……だからピクニック行くんじゃないんだっての」

 

 文句を言いながらも、パナムは少年を力ずくで車から降ろすようなことはしなかった。何が楽しいのかニコニコと笑っているこの少年が、見た目通りの存在でないことを直感している。

 

「ったく……」

 

 ペースを握られているような妙な感覚に陥りながら、パナムは軽く毒づいて、シフトレバーを押し込んだ。

 唸りを上げるエンジンの轟音が荒野に響き渡る。一行は乾いた砂埃を高く巻き上げながら、アルデカルドスのキャンプに向かってアクセルを踏み込んだ。

 

 ■■■

 

 パナムの古巣であるアルデカルドスのキャンプに辿り着いた頃には、彼女はすっかりレンのペースに巻き込まれ、毒気を抜かれていた。

 

 最初は不機嫌に黙り込んでいたパナムだったが、助手席のレンが屈託なく話しかけてくるナイトシティでの武勇伝に、いつの間にか相槌を打つようになっていたのだ。

 

「へえ、それでそのジョウタロウ・ショウボウってクソ野郎はどうしたの?」

「ちゃんと生きたまま引き渡したよ! いっぱい殴っちゃったけどね! それにその後もいっぱいおねーさんたちに殴られたんじゃないかな!」

「はっ、いい気味ね! タイガークロウズの幹部相手に無茶苦茶やるじゃない。アンタ、本当に見かけによらないのね」

 

 車から降りてきたパナムは、レンと並んで楽しげに笑い合っていた。荒野の過酷な掟の中で気を張って生きてきた彼女にとって、彼の無邪気さは、不思議と心地が良かった。隣にいると、苛立っていた心が不思議と落ち着くような気さえした。

 

 そこに、アーチを停めて後から追いついてきたジャッキーがニヤニヤと笑いながら近づいてくる。

 

『おい見ろよジャッキーボーイ。砂漠の美女もすっかりあのガキにメロメロだ』

 

 ジョニーの皮肉めいた幻聴をBGMに、ジャッキーは二人に声をかけた。

 

「おうおう、すっかり仲良くなった見てエじゃねえか。ガキのお守りはご免だって顔してたのによ」

「……っ、うるさい。移動中ヒマだったから適当に話合わせてただけ。仕事に私情は挟まないよ」

 

 図星を突かれたパナムはサッと表情を硬くし、耳の先をほんのりと赤く染めながら、慌ててぶっきらぼうな態度を取り繕った。

 

「まあいいさ。で、これからどうする? ここで準備を整えるんだろ?」

「うん。ちょっと仲間にも手伝ってもらえないか話してくる」

 

 そう言ってパナムは、キャンプの入り口で出迎えた二人組のノーマッド……スコーピオンとミッチの元へ駆け寄り、身振り手振りを交えて交渉を持ちかけた。しかし、クランの事情もあるのか、彼らは渋い顔で首を振るばかりだ。

 やがて交渉は空振りに終わったようで、パナムは忌々しげに舌打ちをして振り返ると、ジャッキーとレンに付いてくるよう促した。ジャッキーとレンは互いに顔を見合わせ、彼女の背中を追う。

 

「手伝いはできねえってか?」

「そうね。ソウル……ここのボスに仕事を命じられてるから離れられないってさ。代わりにいくつか装備は持っていっていいって」

 

 パナムは不満げに吐き捨てながらテントの一つに入っていくと、隅に置かれた大きな重火器用のコンテナを顎で指し示した。

 

「これ、車まで運んでくれる?」

「いいよ、おっけー!」

「ちょ……」

 

 パナムはジャッキーに頼んだつもりだったが、レンが軽く応じて、ヒョイッとコンテナを持ち上げた。まるで働き者のノームみたいに頭上にコンテナを持ち上げて車に運んでいく姿は、他のノーマッドたちの注目も集めた。

 

「おぉ、なんだありゃ……」

「いつの間に妖精使いになったんだ? パナムのやつ」

 

 口々にパナムをからかうミッチとスコーピオン。

 

「言っただろ。レンは見かけによらねえってな」

 

 ジャッキーの得意げな声にハッとして、パナムは我に返った。

 

「……確かに、ね」

 

 パナムは乾いた唇をペロリと舐めた。

 小柄な少年のどこに、あれほど重い銃器の詰まったコンテナをヒョイと持ち上げる筋力があるというのか。その規格外のオスとしての力強さを目の当たりにした瞬間、彼女のノーマッドとしての本能が、あのオスを逃してはならないとばかりに疼いた。バッドランズを生き抜くノーマッドの社会は、ナイトシティよりも遥かに単純な弱肉強食の世界だ。

 

(あんな小さな身体なのに……)

 

 ただの子供だと思っていた相手から放たれる、底知れぬ生身の暴力の片鱗。

 パナムの腹の奥底で、ちりちりとした小さな熱が、抗いようもなくくすぶり始めていた。それは間違いなく、絶対的な強者たるオスを前にしたメス特有の、甘く危険な疼きだった。

 

 

 

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