シャルティアになった私はモモンガ様とイチャラブエロする 作:カルマ値 中立
宝物殿の静寂は、どこまでも深かった。積み上げられた黄金。かつて仲間たちと集めた
「……」
その中心で、モモンガは沈黙していた
「……」
目の前には、静かに待つシャルティア・ブラッドフォールン
彼女は急かさない。ただ、待っている
そのことが逆に――アインズの中に押し込めていたものを揺らしていた
「俺は……本当に、そんな大層な存在なのか分からん」
今の言葉。それはモモンガではなく、鈴木悟の声だった。
「皆は俺を絶対者として見ている。完璧な支配者として」
モモンガ気づかぬまま続ける
「だが実際はどうだ?知らないことばかりなんだ」
声が少しずつ低くなる。
「この世界のことも、敵のことも、未来のことも……何一つ分からない」
「……」
「なのに、皆は期待する」
モモンガはゆっくりと拳を握る。
「笑えるだろう?」
一度溢れたものは、簡単には止まらなかった。
「怖いんだ」
その一言で空気が変わる
「……モモンガ様」
「もし、俺が期待外れだと知られたらどうなる?もし、ただの平凡な男だと知られたら?」
声がわずかに震えていた
「皆に失望されるんじゃないかって……それが怖い」
沈黙。宝物殿の静けさが、やけに耳に痛い
「だから演じるしかなかった。完璧な支配者を」
モモンガは自嘲気味に笑った
「でもな……疲れたんだ」
その瞬間だった
ふわり、と
柔らかな感触が後頭部を包み込んだ
「……なっ」
気づけば、シャルティアがすぐ傍まで来ていた。彼女は浮き上がり、モモンガの頭を自分の胸元へ抱き寄せている
「シャ、シャルティア!?」
「お静かに」
優しい声だった。いつもの妖艶さではない。ただ静かで、温かい
「今だけは、何も考えなくてよろしいのでありんす」
「だ、だが……」
「モモンガ様」
その声に、不思議と逆らえなかった
「頑張りすぎでありんす」
その一言が、深く刺さる。
「私は」
シャルティアは静かに続けた。
「モモンガ様が強いからお慕いしているのではありませんし」
「……」
「ナザリックを守ろうとしてくださること、我らを大切に思ってくださること、お一人で抱え込むほど、責任を感じてくださっていること、そのすべてを知っているからこそ、お慕いしているのでありんす」
モモンガの肩から、ゆっくりと力が抜けていく
「ですから……少しくらい、甘えていいのでありんす」
その言葉に、ほんの少しだけ、本当に少しだけ。モモンガは身を預けた。誰にも見せられない姿。支配者ではない、ただの疲れた男の姿
「シャルティア」
「モモンガ様」
シャルティアは何も言わず、ただ静かに頭を撫で続ける。時間がゆっくり流れていった
「……ふぅ」
やがて、モモンガは小さく息を吐いた
「少し、楽になった」
シャルティアが嬉しそうに微笑む
「それは何よりでありんす」
モモンガはゆっくり身体を起こした。まだ少し気恥ずかしさは残っている。だが、不思議と先ほどまでの重苦しさは薄れていた
「……これから、か」
ぽつりと呟く
「はい?」
「この世界で、俺はどうしたいのか……少し考えていた」
シャルティアは静かに耳を傾ける
「……せっかくこの世界に来たんだ」
モモンガはゆっくりと立ち上がった
「ただ隠れているだけでは、もったいないのかもしれんな」
シャルティアの目が少し輝く
「では!」
「ああ」
アインズは静かに頷く
だが、次の瞬間
バキィッ――!!
まるで硝子が割れるような音が、宝物殿に響き渡った
「――っ!?」
最初に反応したのはシャルティアだった
バキィッ――!!バキィッ――!!
そして空間そのものに、亀裂が走る
「な……!?」
モモンガの声に驚愕が混じる。そして、その裂け目――罅から
「……」
ずるり、と
「……」
何かが這い出してきた
「……あれは!?」
シャルティアは知っていた。あれはオバロのゲームで登場する敵
「(……混沌獣)」
人型、粘体型、小鬼型、骸骨型、狼型など数十体が次々と罅から溢れ出してくる
「モモンガ様!」
シャルティアが叫び、戦闘態勢に入る
「……っ!」
モモンガも即座に反応するが
「(なんだこれは……!?)」
内心では激しく動揺していた
「(宝物殿に直接侵入!?ありえない……!!)」
ナザリックの防衛を突破。しかも転移妨害を無視するような侵入。ありえない。ありえてはいけない。だが現実として、目の前に存在している
「……ギィイイイッ……!!」
混沌獣が咆哮する
「モモンガ様、お下がりくださまし!」
シャルティアが前に出た
「ここは私が食い止めます!どうか、お逃げくださまし!」
即答だった。シャルティアの瞳には、一切の迷いがない
「何を言っている!?馬鹿を言うな!」
モモンガの声が低く響く。
「お前を置いて行けるわけが――」
「お願いでありんす!!」
シャルティアが叫んだ。それは、今まで聞いたことのない声だった
「モモンガ様に万が一があれば、ナザリックは終わるのです!!」
混沌獣が迫る
「モモンガ様ッ!!どうか……!!」
シャルティアの紅い瞳が、真っ直ぐアインズを見る。モモンガは揺れていた
「(……ふざけるな)」
ほんの少し前。彼女は言った。どんなモモンガ様でも傍にいると。甘えてくださいとなのに今。彼女は、自分を逃がそうとしている。一人で残ろうとしている
「(ようやく……少しだけ本音を話せたんだぞ)」
アインズは拳を握る
「(ここで失うなど……)」
だが、理性が告げる。ここで感情的になるのは愚かだと。ナザリックの支配者として、最優先すべきは何か
「……シャルティア」
低い声
「はい!」
「必ず戻る」
シャルティアの瞳が揺れる
「そしてこれは命令だ」
モモンガの指輪が光る
「絶対に死ぬな!!」
その瞬間。シャルティアは笑った。戦場の中とは思えないほど、穏やかに
「……御意」
次の瞬間。光が弾け、モモンガは転移した