※この作品はR-18です。

変態一級魔法使い   作:性癖を開示する魔法

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皆さんの感想を穴が空くくらい覗かせて貰っています。本当に感謝いたします。また、誤字報告も非常に助かります……!

※今回エロがありません、エロ二次なのに!?
※全話や感想でヴィクターと書いてましたが、主人公の名前は「ヴィクサー」です……間違えていてお恥ずかしい。名前の意味がね……
※情報の空白を埋めるため、一部捏造設定があります。原作で判明次第、変えます。
※主人公以外のオリジナルキャラクターは基本名前が出ないかも。

ひとつにまとめると1万文字超えそうなので前編後編に分けました。後編はまだ脳内プロットの中にある……後編にはえっちがあることをお約束します。


メダリオン争奪戦 前編

 

 

 昨夜、魔法開発に没頭し続けたヴィクサーは普通に寝坊した。

 一日の始まりを告げる鐘の音を爆睡のまま聞き逃し、寝惚けたまま目を開けたのが昼頃。

 それから己の睡魔と戦い続け……やっと北部支部に訪れたのが夕方頃。

 

 都市内でも一際目立つ大陸魔法協会の建物に入ったヴィクサーは、とりあえず一番顔が好みな受付の前に並ぶ。

 時間帯の割には彼以外の魔法使いも多く滞在しており、一級魔法使い試験以外にも何かしらの手続きで賑わっているようだった。

 

 暇潰しにとある魔法(・・・・・)を覚えている間に、彼の番が回ってくる。

 

 …………。

 

「試験は一ヶ月後です。受験資格には五級以上の魔法使いの資格が必要になりますが、お持ちでしょうか」

 

「あるよ、はい」

 

「拝見します……確認致しました。ヴィクサー三級魔法使いですね。ではこちらの契約書を確認し、署名を」

 

 一ヶ月後なら来るの明日で良かったわ……なんて受付嬢の胸を見ながらずぼらなことを考える彼とは違い、受付の娘は不躾な視線を受け流しながら規定通りに説明を続けた。

 渡された羊皮紙は契約魔法の一種だ。

 そこには死傷者が多い一級魔法使い試験への参加に対する数々の同意項目が書き連ねてあった。

 

 要するに、死んでも文句は言えないという事を始めとし、中々過激な内容が書いてある。

 

「はい同意、同意、同意ィ〜これでおーけい?」

 

「おーけぃ…? あっ、失礼しました。確認します……はい、大丈夫です」

 

 まあこの男は深く考えずにあっさりと署名を終えたが。

 その後、試験の前日には契約書に込めた魔力を覚えた伝書鳥が報せを持ってくることを伝えられたヴィクサーは協会を後にした。

 

「うん、彼奴ら(魔族)を連れてこなくて正解だったわ」

 

 建物のそこらから感じた洗練された魔力の波動と、一際強く揺らいだ(・・・・)大魔力の余波を感じ取りながら。

 

 試験開始までの間は新居の家財を買い揃えたり、他の依頼にかこつけて新しい魔族を探しては空振りの繰り返し。

 完成した魔法の試運転や、捕らえている魔族を毎晩日替わりで愉しみつつ……あっという間に一ヶ月は過ぎてゆく。

 

 そして(きた)る、一級魔法使い試験。

 抱き枕にしたままだった魔族の少女に起こされたヴィクサーは、朝からもう二…三回戦を終えたあと彼女を調教部屋に戻す。

 着の身を整え、大陸魔法協会・北部支部に向かい、集合場所の大広間へと足を運んだ。

 

 広間に踏み入れば既に集まっていた参加者から値踏みのような視線を向けられ──直ぐに興味を失われた。

 今のヴィクサーは魔族を誘き寄せる際に行う魔力偽装により……魔法覚えたての駆け出し魔法使いのような未熟な魔力の熾りを醸し出していたからだ。

 深い理由はない。ただ、自分を雑魚だと侮った相手が負けた時の顔が面白いので……魔族にやっていたように人間にも試そうとしているという割とくだらない理由だった

 

 偽装内容が余りにも露骨すぎたため、魔力から違和感を見抜けずともこの場にこんなの(一級試験に駆け出し同然)が居ることに訝しむ参加者は幾人か見受けられたが。

 

 彼の思惑を他所に続々と魔法使い達が集まって来る。試験説明の定刻に集結した人数は──42名。

 

「それではッ! 一級魔法使い選抜試験を開始する!」

 

 卓上に立った一級魔法使いの男が試験内容を発表する。暑苦しい雰囲気のある試験官は、手に取った徽章(メダリオン)を掲げて轟くような声で解説を始めた。

 

「諸君らの胸元には私が持っているものと同じ徽章がひとつあるッ

 

 今回、諸君らには争奪戦を行ってもらう! 期間は最大で七日、同じ魔力の徽章を3つ揃え最終日まで残った者が合格だ!

 

 徽章は全部で三種類ッ 破壊行為などの損傷で徽章を失った者はその時点で失格となると覚えて置くように!

 

 また、参加者同士の協力行為は当事者間の自由とする……以上!」

 

 説明が終わり、会場に案内されるまでの間に魔法使い達は試験内容を考察する。

 或いは気の知れた仲間同士の者は、試験を優位に進めるため先んじてパーティを組む約束をするなど、各々が自分に出来る準備を可能な限り進める。

 壁際でそれを眺める一級魔法使い達は、新たな同僚となりうる彼等の品定めを行っていた。

 

 誰もが試験の為に意識を集中させている時間。

 

(七日……だと……!?)

 

 ひとりだけ……明らかに動揺していたヴィクサーを除いて。

 

 

 

 

 

 

⬛︎

 

 

 

 

 

 

 試験会場で使われる北側諸国の区域に参加者が散ったあと。

 

「いやぁ……なかなか悪辣な試験内容ですね?」

 

 第一次試験説明の場に来ていた一級魔法使い。二次試験を担当する男は、一次試験官の彼に並んで半ば呆れたように声を掛ける。

 これくらいは乗り越えて当然かと! とハキハキ答える男を尻目に、今回の試験内容を改めて読み取っていた。

 

(三種類の徽章(メダリオン)、順当に集まれば最終的には14名の合格者が出る計算ですが──そんなことは絶対に(・・・)有り得ない。

 そもそも参加者は最初に配布された徽章しか魔力を識別できないことに後々気付くでしょう。

 三枚揃えて終わりとは言えず、七日という長い期間で自身の徽章を守りながら、見えないゴールに向けて他人を狩り続けることを強要される。

 

 突出して徽章を集めれば他の参加者に徒党を組まれる危険性もあるでしょう。

 

 出る杭が打たれた後は残された者達による争奪戦の再開か……徽章破壊による失格制度もある。

 協力が自由などとは良く言えたものだな。

 さて、何人生き残ることか)

 

 一次試験官は元気溌剌が似合う陽気な男、といった雰囲気と風貌だが……そんな男が考えたのが血みどろの試験というのが少々不気味に思えた二次試験官だった。

 確か北部高原出身者だったか、ちょっと怖い。あまり話したことない相手だし。魔法使いなのに何か異常にムキムキだし。

 

「しかし今年は少々ハズレかもしれませんな? 個々で目立つ者らはおりますが、他がパッとしない──そう思いませんか!」

 

 彼の言いたいことも分かる。今年は二級と三級、合わせて両手で数えるくらいで他は四級や五級ばかりだ。

 42名中26人が五級という層の薄さに嘆くのも理解は出来る。

 

「え、ええ……ですが二級や三級の魔法使いもおられる。迷宮攻略で名をあげた冒険者に、北部で活動する魔物狩りの名手。三級には南の傭兵兄弟も。中でも、ゼンゼ二級魔法使い(・・・・・・・・)は有望株かと」

 

「ほう、例の髪の魔法の……あれは確かに良い魔法ですなあ! 吾輩は近接戦が苦手でしてな、代わりに身体を鍛えたものですがあのような魔法が使えればと思ったこともありまして……!」

 

「あはは……ソウデスカ…」

 

 その熊を殴り殺せそうなガタイで近接戦が無理とか本当かよ……とは口に出さない。

 一次試験官がハゲであることも指摘しない。頭に視線も向けない。二次試験官は配慮のできる男だった。

 

 すごく帰りたくなってきたけども……試験の手伝いに来ている以上あと数日はここで彼と一緒にいるという事実に気力がゴリゴリと削られているところで……救いの手が差し伸べられた。

 

「おふたりとも、お疲れ様です」

 

「レルネン殿……!」

 

「おぉレルネン殿ッ! 相変わらず息災で何よりです!」

 

 現れたのはレルネン一級魔法使い。

 

 大魔法使いゼーリエの弟子のひとりにして、最初の一級魔法使いと呼ばれる壮年の男だ。

 一級の中でも群を抜いた実力者。老練と立ち上る魔力に自然と二人の立ち振る舞いも引き締まる。

 

 三次試験を担当するのが彼。

 しかし本来一次試験の監視に来る義務は無く、では一体何故──と、彼等の疑問の眼差しにレルネンは答える。

 

「ゼーリエ様より──とても面白いものが見られる予感(・・)がする、と仰られまして」

 

 気になるならお前も見て来い、と。

 あの方の言うことです、いても経ってもいられずに参りましたとレルネンは語った。

 

 参加者を辛評していた二人は空いた口が塞がらなかった。

 

「そ……れは、驚きましたな」

 

「あの御方がそう言われるほどの魔法使いが……?」

 

 頭の中で今回の参加者の姿を思い巡らせてもあの大魔法使いが面白いと称するような者が居るとはとても想像(イメージ)できない。

 

 しかしレルネンは予測が出来ていた。

 

(あの露骨すぎる……しかし全く違和感の感知できなかった魔力の偽装。

 ここが一級魔法使い試験で彼が三級魔法使いということを知らなければ、そしてゼーリエ様の言葉がなければ私も悟ることは出来なかった……)

 

 温和な佇まいで、しかし瞳の奥では鋭い意思が森林の奥を見据える。参加者が放たれた特大の結界内部。

 観察用の魔法により中の様子を抽出すると、黄金色の髪が目立った浅黒い肌の男が映る。

 

(ヴィクサー三級魔法使い、彼がそう(・・)なのか?)

 

 

 

 

 

⬛︎

 

 

 

 

 

 第一試験会場の北側諸国、グローブ盆地を含む広大な魔物領域。

 

(七日、七日だと!?)

 

 鬱蒼と木々の生い茂る獣道を掻い潜りながら他の参加者とは違う意味でヴィクサーは焦っていた。

 既に試験は開始されている。参加者は各々が徽章を求めて狩りに繰り出し、或いは他の者の疲弊を待って身を潜める。

 

 魔力感知を駆使すれば、そう遠くないところでも先走った魔法使い達による魔法の激突を感じ取れるだろう。

 ではヴィクサーは漁夫の利を狙っているか? 違う。

 

(早く──どこかに魔族はいないか!?)

 

 彼は試験の最中だというのに、女魔族を探さんとしていたのだった。

 己に根付いた宿痾のような底なしの欲望。それが溢れ出すタイムリミットについて、嘗ての彼は一週間は持つと内心豪語した。

 

 とんでもない……三日持てば良いほうである。時間感覚の緩さ(ガバ)が牙を剥く。

 試験期間を七日と言われて改めて己を鑑みた結果、限界を超えると判断。

 

 限界を迎える→手当たり次第に女の子を襲う→見つかって犯罪者になる というガバガバロジックに危機感を抱き……いるかも分からない魔族を探す事に。

 

 結界が広いとはいえ、此処に魔族のいる確率は極わずか。異性すら望むならば砂漠で一粒の砂金を見つけるかのような苦行が待っている。

 それもヴィクサーにとっては理性がトぶよりは遥かにマシであった。唯一恐れている、自分じゃ無くなる感覚以外は。

 

 故郷を追放され、多額の借金を抱え、とんでもない相手に喧嘩を売るなど……理性が飛んだ時は大抵取り返しの付かないとこが起きる。

 

(違う、こいつは人間。これも、あれもそれもどれも人間人間、これは魔物──)

 

 魔力を隠しながら縦横無尽に駆け回り、ある程度離れた距離から感じた魔力の性質で人か魔物か判断を下し、次へ行く。

 卓越した魔力隠蔽と魔力感知の合わせ業。しかし動き続けている以上、確かな痕跡は残り続ける。

 

 ──故に。

 

「……なあ、今忙しいから帰ってくれねーか?」

 

 ふと立ち止まったヴィクサーは背後の大樹に声掛け、意識を向ける。人の気配は、ない。

 

「なんだ、気付いているのか」

 

 しかし言葉だけが返ってきた。姿は見せずとも、木々の闇に紛れて魔力の熾りが発露する。

 空気がヒリつく。

 

「帰ってくれと、言ったんだが」

 

「安心しろ───直ぐに終わる」

 

 ──ヒュゥゥウウウウウウ!!

 

 魔導の矢を放つ魔法(ボーゲンシーセン)

 

 超高速で光の殺意が森を貫いた。

 声とは真逆の三方向より、瞬きのうちに三射。

 心臓、脳天、首。狙いは必中、向かうは急所。寸分違わず人の弱点を穿ちに来る矢は、しかし圧倒的な質量の束に阻まれる。

 

触手を操る魔法(テンタケルフィック)

 

 表皮を削られながらも渦巻くひと薙ぎで全弾を蹴散らす一手。

 空を這う追撃が木々ごと狙撃手を粉砕すべく振り下ろされ、肉を潰す手応えがないことで周囲の魔力反応全てを鏖殺する動きに変わる。

 

 樹木をへし折り、地面を砕き、大地を雑に均す。外した、外した、外した──当たっ(かすっ)た。

 子供が虫かごを振り回すような暴虐が、影に暗躍する狙撃手を捉えた。

 

「ンだその滅茶苦茶は──!?」

 

「やっぱ男か男は死ねッ!」

 

 堪らず狩衣姿の魔法使いが空中に躍り出る。

 即座に防御魔法で時間を稼ごうとするが、ヴィクサー相手にそれは悪手でしか無かった。

 

 防御が一枚張られる間に触手は二本、四本、八本、十六本……北の狩人と呼ばれた二級魔法使いが耐えられたのは其処までだ。

 

「おおおおおおッ──しまっ!?」

 

 ガラスの砕け散る音と共にハニカム構造の一般防御魔法のヴェールが剥がされる。

 

 ドドドドドドドドッッ──!!

 一矢報いる暇もなく全身に触手の殴打が叩き込まれた。既に飛行魔法を維持する集中も切れたのに、下から上へ上へと押し上げられるような嵐の殴打が肉体を破壊する。

 

 …………グチャッ。

 

「手間かけさせんなよマジで」

 

 ボロ雑巾のような肉の塊が空から落ちてくる。

 この短期間で随分と狩って居たのだろう。

 ヴィクサーは無事だった勲章を八枚、ダルそうに拾い……そこから魔力が感じられないことを知って更に嫌そうな顔になった。

 

「そういうことか……面倒臭ッ」

 

 




【魔法紹介】
魔導の矢を放つ魔法(ボーゲンシーセン)
・北部の狩猟民族が開発した民間魔法という設定。命中精度を犠牲にした代わりに最高速度が音速を超える。狩人さんは自身の技量で急所に当ててきます。

【試験参加者の内訳】
《二級魔法使い》3名
ゼンゼ、迷宮攻略者、北の狩人
《三級魔法使い》4名
ヴィクサー、南の兄弟、その他1名
《四級魔法使い》9名
《五級魔法使い》26名

一次試験官「なんか集まり弱いから試験内容を過激にしましたぞ」
二次試験官「こわ」
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