「すみません。熊の剥製といくつかが荒れてしまいまして。修繕をお願いできますか?」
骨董屋を引き継いで暫く経つが、獅子神さんは大きい金額を使ってくれる良いお客様だ。
「はい。いつ頃伺えば宜しいでしょうか。」
獅子神さんは動物が平伏すポーズの剥製を望むので、古物商に必要な資格として狩猟免許を取っていた私が自ら狩りをしてポージングをさせた。
剥製は鮮度によっては死後硬直で表皮が固まり、希望のポージングが難しくなるためだ。
「それでは明日の10時に来ていただければ。」
「わかりました。明日ご自宅に伺います。」
剥製は定期的なメンテナンスを行わないと虫が湧いたり毛が乱れる。
それに加えて特注品……わりといい商売だ。
いつ見ても立派な邸宅だ。
「おはようございます。こぶつさん。」
玄関が開いて、獅子神が爽やかな笑顔で出迎えてくれる。
獅子神さんは古物商を営む私を「こぶつさん」とあだ名で呼んでくれる。
「古物商さん」「店員さん」や苗字呼びよりはフランクに感じて嫌な気はしない。
「おはようございます。獅子神さん。それでは、お邪魔します。」
獅子神さんはドアを開けたまま、私の腰に直接手を触れないように添えてエスコートしてくれる。
これが上流階級の立ちふるまいかと毎回関心させらる。
玄関で靴を脱ぎ揃え、獅子神さんに導かれるまま部屋に入る。
「あ……本当に荒れていますね……。……あの、剥製に乗るのはお勧めしません。」
熊の剥製といくつかの剥製の背中部分の毛が逆立っていて、一部は皮膚が寄って固まってしまっている。
「あー……はい。あとでちゃんと言っておきます。」
獅子神さんが剥製の上に乗ったわけでは無かったのか。
お子さんは見かけないし、彼女さんかな。
一瞬だけ獅子神さんが剥製に跨った姿を想像して口元が緩んでしまう。
「……おかしいですか。」
さっきまでの優しい声色が一変して冷たさを放ち、慌てて訂正する。
「す、すみません……微笑ましいと思ってしまって。」
どうしよう、訂正になっていない。
「……オレは外で待機していたほうがいいですか。」
「い、いえ、お好きにどうぞ。薬剤を使うので窓を開けてもいいですか?」
獅子神さんは無言で窓を開けて、庶務机に寄りかかって腕を組んでこちらを見た。
作業を見届けられるのは剥製の製作法を習った時以来で緊張する。
プロ……プロとして振る舞わないと。
獅子神さんの無言のプレッシャーを背中に浴びながら念入りに剥製の汚損と破損状態を確認して、修繕に取り掛かる。
指先の動きや躊躇いまでも「プロとしての実力」を見極められているかのようで、震えそうになるのをぐっと堪える。
「剥製を作り始めてから、どれくらい経ちますか。」
「3年と半年です。」
急に話しかけれて動揺する。
焦っては駄目だ。仕事をしないと。
「手際いいですよね。」
「まだまだ未熟者です。」
しまった。他の古物商に上客を取られるかもしれない。
獅子神さんの財力なら他にも剥製屋のコネクションがあるはず。
「へー……。」
落ち着け。修繕だけを考えないと。
その後しばらく獅子神さんから話しかけられる事は無く、早めに修繕を終わらせることが出来た。
「終わりました。こちらが今回の請求書となります。」
……少しだけ割高に設定した請求書を提示する。
剥製は高価だが、一度購入されれば熱心なコレクターでもない限りメンテナンスをサボるので、メンテナンス料金の相場はあまり表にでない。
出張料を一割増しにしてしまった。
「……わかりました。いつも格安で請け負ってもらってすみません。」
そう言われるとチクリと胸が痛む。
「後片付けをしたら帰りますので。」
修繕に使った道具を整理し始めると、獅子神さんは部屋から出ていった。
……水増し請求……バレたかな。
「いい匂い……。」
部屋から出ると、香ばしい匂いが鼻をくすぐった。
チキンソテーの匂いかな。
「よかったら食べていかれますか?一人分余ってるんで。」
エプロン姿の獅子神さんに声をかけられる。
「そんな、お客様から……」
「……食べない?」
声が一段と低くなる。
憎しみを感じる声。
「あ……ありがたく……頂きます。」
……もう取引は無くなるな。
ダイニングテーブルにはチキンソテーとサラダ、スープが丁寧に盛り付けられて、高級レストランに来たのかもしれないと錯覚まで覚えた。
「どうぞ、召し上がってください。」
恐る恐るナイフとフォークで肉を切り分けて口に運ぶ。
「……美味しい……。」
贔屓抜きで今までの食事の中で一番美味しかった。
獅子神さんの方を見ると、ただこちらを観察しているようで一口も手をつけていない。
「よかった。」
言葉に感情が乗っていないように思える。
「こんなご馳走、生まれて初めてです。嬉しい。」
正直な感想を述べても、微動だにしない。
「ご馳走……。」
空気が重くなる。
私は客先で食事を頂き、その上客から関係を切られようとしている。
「ご……ご馳走といえば、ツルとキツネですね。」
「……ハァ?」
また場が冷える。
さっきまで動物を触っていたから咄嗟に動物の童話が出てしまう。
「キツネがツルを食事に呼んでツルが食事できない平皿を出す。ツルもキツネを食事に呼んでキツネが食事できない細い壺を出す。……という、あの童話……の」
つまり、意地悪は良くないという教訓の童話。
……やってしまった。
まるで獅子神さんが嫌がらせをしているように聞こえる。
「結局、キツネは……」
どうしよう。
もう話を戻す自信がない。
スプーンでスープを掬って口に含んだ。
「美味し……ぐ、ぐはっかっかっくっくく」
息が出来ない。苦しい。
もしかして……毒?
そこまで……
知らない天井……。
と、まさか自分が思うことになるとは。
辺りを見回すとベッドの横に黒髪の男性の背中が見えた。
「だ……れ?」
「気がついたか。あなたはアナフィラキシー症候群で倒れた。自分のアレルギーくらい把握したらどうだマヌケめ。」
誰……?アレルギー?今マヌケって言った……?
「私、アレルギーなんて」
「アレルギーは蓄積だ。突然発症することもあるが、その前に口内の痺れや痒み、皮膚の赤みなど予兆はあったのでは?」
そう言われたら……そうだったかもしれないと疑心暗鬼になる。
「ば、バーナム効果……私、そんなこと感じたことない。」
眼鏡の失礼な男性はため息をついて部屋から出ていった。
改めて部屋を見回すと男性の寝室のようだ。
獅子神さんと食事して、倒れた……。
「救急車……呼んでくれなかったんだ。」
普通なら救急車を呼ぶはずで、知らない男性に揚げ足取りをされる状況にはならない。
水増し請求の罰が死に値するとは。
身から出た錆とはいえ、獅子神さんに不満を覚えた。
「こぶつさん、大丈夫か!?」
扉がドンと開いて獅子神さんが駆け寄って手を握られる。
「だ、大丈夫です……あの眼鏡の人」
「ああ、アイツは村雨。優秀な医者だから呼んだ。」
医者……医者をなぜ直通で呼び出せる?
流石のコネクション……。
「まさかアレルギーがあるとは知らなくて、こぶつさん、あまり自分の話をしないから。」
それは私が悪いと……確かにアレルギーなら把握していない私に責がある。
「私、アレルギーじゃ」
「ならなんだ、毒でも盛られたと言いたいのか?」
失礼な……獅子神さんの背中からひょっこりと顔を出した村雨さんにチクチクとトゲを刺される。
「違います。ただ……。」
「ただ、なんだ?あなたにはやましい隠しごとがあるんじゃないのか?」
……図星だ。
もう正直に話そう。
「……出張料金……一割増にして請求しました……申し訳ありませんでした……。」
私の手を握っている獅子神さんの力が強くなる。
「……それだけか?」
獅子神さんの瞳はこちらを刺すように見ている。
怖い。
でも、獅子神さんに不義理をしたのは私。
「はい……だからプラシーボ効果で……具合が悪くなったのかも」
「こぶつさん、男がいるだろ。」
……男?
「は、はい?男……?え……彼氏という種類の?いませんが……」
獅子神さんは特注品を望む上客だから、何回かメンテナンスとして獅子神さんの家を訪れたり「こぶつさんの仕事場が見たい」とするので骨董屋の裏にある自宅を見せた事はあった。
いつだったか、世間話として「恋人はいるか?」と聞かれたような気がする。
「いるだろ。……パン屋で仲睦まじそうにしてた男のことだ。」
パン屋……?
私は滅多にパン屋に行かない……あ、たしか「最近はチョココロネを売っているお店って少ないらしいですよ」と話しかけられて、最後の一つだったチョココロネを見知らぬ男性に譲った。
……な、なんで。
もしそうなら地元のパン屋ではなく、狩りをしに立ち寄った場所での話。
「すみません、人違いじゃ」
「猟友会の男だろ。」
え……猟友会に所属している男性を全員知ってるわけでもないし、あの男性が本当に猟友会の人間なのかすらわからない。
「こぶつさん、オレに嘘をついたのか?」
水増しならYes、男ならNoだ。
なぜそんな……。
「嘘はついていないようだが。」
村雨さんがポツリと呟くと、固く握りしめられた手から解放された。
「そうだよな!こぶつさんがオレに嘘をつくわけないな!しばらくオレのベッドで休んでいてくれ。」
やっぱり獅子神さんの寝室だったのか。
「お気遣いありがとうございます。私はそろそろ」
「ベッドで寝てろよ。」
獅子神さんの目つきと声がまた豹変した。
肉食動物の目と唸り声に近い。
コロコロと山の天気のように変わりやすい。
何が怒りのトリガーになっているのか、いつ雷鎚が落ちるのかがわからない。
従わないから?嘘をついたとするとき?
「わ……わかりました。お言葉に甘えて……。」
「夕飯、食べていってください。こぶつさん」
獅子神さんに布団の上から脚を撫でられる。
目が……笑っていない。
獅子神さんが部屋から出ていった後、村雨さんがベッドに腰掛けて読書をし始めた。
「あなたは彼に抱かれたいと考えた事はあるか?」
……。何を言っているんだこの人。
失礼にも程がある。本当に医者なのか?
「ありませんけど。」
村雨さんは何事もなかったかのようにページをめくる。
「理想が高いらしい。」
理想……?
理想と言われれば獅子神さんは理想の男性像だろう。
清潔感があって気さくで優しく紳士的。
おまけに上流階級。
住む世界が違いすぎて「恋愛対象」にならない。
「あのー……何を誤解されているのか分かりませんが……私、獅子神さんを狙っているわけでは無いですから。彼は雲の上の存在です。」
村雨さんがパタンと本を閉じた。
「……このカプセルには媚薬が入っている。一度飲ませれば確実にあなたに恋をする。」
……ば、馬鹿にされている。
「すみません、私はあなたより馬鹿ですが、媚薬が存在しないことくらい一般常識で知っています。媚薬とされるのは体温を上げたり血行を良くする効能を持つものを誇張しているだけです。」
村雨さんはカプセルの入った瓶を渡そうとするので、それを突き返そうとして意地の張り合いになる。
「いいから媚薬を使え。」
このヤブ……上客に手を出す商売人がいてたまるか。
「プラシーボ……使いませんから……」
村雨さんと腕の張り合いになる。
なぜ初対面の成人男性とこんな子供みたいな取っ組み合いになっているのかわからない。
「こぶつさん、好きな料理……。」
獅子神さんが部屋に入るなり村雨さんが瓶を隠そうと手を引っ込めたので、力の均衡が崩れて村雨さんに抱きついている様な体勢になる。
「ちょ……村雨さん!瓶!」
「……テメェ……何してんだ。」
あ、このパターンは不味い。
恋愛ドラマで散々見たやつ。
「村雨さんが媚薬を押しつけてくるんです!取っ組み合い野喧嘩になりかけていただけです!」
誤解を解くために端的に状況を話した。
「ハァ?媚薬……?」
獅子神さんは馬鹿をみる目でこちらを見る。
「村雨さんが獅子神さんに媚薬を盛れって!」
村雨さんの方をみると、同じように馬鹿をみる目でこちらを見ている。
一抜けして「自分は関係ありません」という態度。
「このヤブ!私が獅子神さんに馬鹿だと思われるでしょ!媚薬の瓶出して!」
そう言って村雨さんの腕を引っ張る。
子供の喧嘩。
「……ずいぶんと仲良くなったな。こぶつさん。」
なんで私が睨まれなきゃいけないの……。
「こぶつさん、オレに媚薬を盛ろうとしたのか?」
村雨さんはコクコクと頷く。
「ち、違います。媚薬などありません。あったとしても使いません。」
半泣きになりながら必死に弁明する。
「媚薬を盛って……何が望みだ?」
だ、だから、盛らないって。
「違います!そ、そもそも媚薬は……は、はあ。あの、もし異性を誘惑というアプローチを取るならフェロモンです。退化しましたが人間もアポクリン汗腺で脇、耳裏、胸と……せ、性器から臭いをだすと考えられていて、他者に一服盛って成立するものではありません。」
必死に捲し立てるように今ある知識を上げ連ねる。
「へー……脇と耳裏と……」
獅子神さんが村雨さんをどかしてベッドに膝を立てて身体を近づける。
「ちょ、あの……村雨さん、医者なら詳しい説明を」
村雨さんはバタンと扉を閉めて部屋から出ていってしまった。
「あ……」
獅子神さんに耳の裏の臭いをスンスンと嗅がれる。
鼻息が耳にかかって顔が熱くなる。
きっと赤面していることがバレているはず。
どうしよう……。
「媚薬を盛って……オレに何をしてほしかった?どんなことをされたかった?」
耳に熱い吐息がかかって、……これ以上は耐えられない。
「な……何も望」
パクっと耳を喰まれてチュウッと吸われる。
「ひゃあ……、わ私……あはぁ」
「こぶつさんがフェロモンで誘惑してくるとはな。」
違う、私は何も。
「ひ……や、な、舐め……」
獅子神さんの湿った舌が耳の裏から内側までゾリゾリと舐め取って、濡れてしまい脚を閉じた。
「舐めて?……わかった。」
意思疎通ができてない。
舌は首筋を這い回り、シャツのボタンを外されるのを必死に止めようと獅子神さんの身体を押し返そうするがびくともしない。
「舐めないで……舐めないでください」
肩を押しても獅子神さんの手は止まらずにボタンが全て外されてしまう。
「耳の裏はやめる。脇……。」
シャツを脱がされて脇に顔を埋めれてペチャペチャと音がするたびに濡れて、脱力してベッドに倒れてしまった。
「なめ……なぁっ……あん……」
ブラジャーの紐をずらされて乳房が零れ出る。
恥ずかしい。もうやめて。
「次は……?こぶつさん。オレに教えてよ。」
「教えろよ。」
彼は獣だ……これは肉食動物の狩り……。
「うっ……む、胸……」
あまりの恐怖に泣いてしまった。
それでも獅子神さんは舐めるのを止めてくれない。
「胸……こぶつさんの胸、オレの手にジャストサイズ……きっと体の相性も合うな。」
ゆっくりと胸を揉まれ、指で乳首を挟まれてしごかれたりカリカリと引っ掻かれては舐められるのを繰り返されて何度も絶頂してしまう。
「獅子神さん……ごめんなさい……謝ります……もう二度と水増しなんかしませんから……許してください……」
獅子神さんの動きが止まった。
「カマトトぶるのも大概にしろ。」
な、反応が?もうよくわからない。
何が逆鱗に触れたの?
どのタイミングで虎の尻尾を踏んでしまったのかがわからない。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
泣いて謝ることしかできない。
「こぶつさん。」
顎を掴まれて顔が近づく。
怒っているのは分かる。分かるけど、どうして?
「オレが好きだから仕事部屋に特別に入れてくれたんだろ?オレの気を引くために料金を水増ししたんだろ?オレのためだけに特注品の特別オーダーを受け付けてるんだろ?オレのためだけに狩りをしてくれてるんだろ?なあ……。」
仕事だから……。
「し……獅子神さ」
熱い舌が口の中に入ってきて口内をなぞられる。
「う……くふぅ」
息が……息ができない。
なんで……?
獅子神さんに好かれるようなこと……した?
わからない。何もかも。
長いキスの最中に下半身を弄られて、硬い指先が下着をなぞるたびにグチュグチュと音がする。
「ぷふぁ……はぁっはあっ……」
唇が離れた瞬間、酸素を取り込もうと呼吸する。
「ビショビショに濡れてんな。こぶつさんがオレを誘惑してる。」
獅子神さんに布団をめくられて下半身に顔を埋められる。
「ひい……あっ……ぁぁ」
硬い指先で陰核を弾かれて舌が割れ目から入ってくる。
「こぶつさんのフェロモン……。」
脚を閉じようとするとサラサラな髪に太ももがくすぐられて快感になってしまう。
「あっああ……あん……ああん」
グプグプと舌が膣内を暴れ回って何度も絶頂して全身がガクガクと痙攣した。
「イった?」
頭が真っ白になる。
「……イったか?」
何度も頷く。
早く終わって……。
「おっおお……あっ……ああん」
硬くて熱いモノが侵入してくる。
「こぶつさん……手、繋ごう。」
獅子神さんに手のひらを掴まれて、パチュパチュパチュパチュという水音と腰を打ち付けられる衝撃をただひたすら受け止めるしかない。
「ああんし…しし……ししが……」
「敬一。こぶつさん。下の名前で呼んで。」
「こぶつさんが先に言って。イく、 じゃない。わかるよな?」
腰を掴まれてただ嬌声を上げるだけの私を見下げる彼の目は、今直ぐにでも獲物の喉笛を噛み切れるのに、ただ嗜虐的に弄ぶ狡猾な野生動物に近い。
「い……いう?い、い?」
疑問を投げかける私に腹を立てたのか、太ももを持ち上げて激しく突き上げた。
「こぶつさん。オレを怒らせて激しく攻められたいのか?わざと?」
謝罪した。
獅子神さんは私が獅子神さんのことを好きだと誤解している。
でも、今否定したら……でも、今否定しないと後戻りできなくなる。
「き……すき……けいいちさん」
ズルリとモノが引き抜かれて、その感触で身体が反り返る。
「オレも……好き。こぶつさん。」
今度は唇をゆっくりと喰むようなキスを何度もされる。
頭を固定されて、ただキスをするためだけに存在するように舌や唇が何度も当てられてはディープキスになり唾液を啜られる。
狩りの時に見る、獲物の緊張した目と硬直。
私はいつも「なぜ硬直するのか」と生物学的な説明より、ただ「逃げればいいのに」と哀れに思っていた。
……逃げられるわけがない。
「こぶつさん……キス、気持ちいいか?」
何度も頷く。
「セックス、気持ちいいか?」
何度も
「オレ以外ともセックスするか?」
何
「……こぶつさん。オレに酷いことされたいのか?」
首を横に振る。
「そうだよな。こぶつさんは優しいオレが好きなんだから。」
首を縦に振る。
「酷いことするオレは嫌い?」
……どうしたら、どうしてそんな質問するの?
「こぶつさん……優しくない俺も受け止めて。」
結局、日が暮れるまでセックスをした。
「まぐわう時間が長すぎる。夕飯の時間はとっくに過ぎているが。あなたが早く屈服すれば手早く済んだ。」
村雨さんがド直球に失礼な発言を吐いた。
「ヤブ……何が媚薬?……信じられない。」
頭にきたので肘鉄を食らわせようとすると、かわされてよろめいてしまい腕で抱きとめられる。
「あなたは学習能力が無いのか。」
だって村雨さんが先に……。
「こぶつさん。……コイツにかまって欲しいのか?この男が気に入ったのか?」
私はどうしたらいいの。