※この作品はR-18です。

悪癖   作:ummt

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Viscuit Monster

 

 ……え、うそ……痴漢?

 

 校外学習で初めて乗る路線があまりにもギュウギュウで痴漢されているのかどうか分かんない。

 ……やっぱり痴漢だ、スカートの中に手が入った。

 どうしよう……怖くて……助けを呼べない。

 助けて……お父さん……。

 

「オマエ、次で駅降りろ。」

 

 男性の声がして下着を触った手が引き抜かれた。

 次の駅に着くまで、満員電車内は一瞬で重力が重くなり空気が淀んだ。

 到着アナウンスが流れて降りる人たちの波に流されてようやく振り向く事ができた。

 

「あーオジョウチャン……君も駅長室に来てもらっていいか?」

 

 ガタイがいいギザ歯の男性が痴漢らしき人の手首を捻り上げてこちらを見ていた。

「は……はい。」

 お守りの鈴がチリンと鳴った。

 

、、、

 

「でね?助けてくれた山吹さんが……実は刑事さんでね!すっごくカッコよかったの!」

 

 今日も獅子神さんの家で勉強前の雑談をするとボロさんが立ち上がって肩を強く掴んできた。

「……痴漢した男のフルネーム、勤務先、連絡先は控えた?」

 え、それは

「駅員さんと山吹さんが被害届とかの処理をしてくれて、学校の先生と社会福祉の人に連絡してくれたから……。聞いてないかな。」

 ボロさんに肩をギュウゥと掴まれて痛い……。

「乗った路線は?時間帯は始発?どこ行き?その男の服装は?スーツ?カジュアル?ネクタイピンやバッチに見覚えはある?身長何センチくらい?ガタイは?ヒョロ?デブ?ヒゲは生えていた?香水や整髪料の匂いはした?腕時計は何をつけていた?どの駅で降りた?何か口走った?妻や娘とか仕事に穴が空くとか……」

 急に早口で話し始めてビックリする。

「あなたはマヌケか、痴漢ではなく刑事を当たるべきだ。」

 ボロさんは一瞬フリーズした後、また早口で話し始めた。

「山吹という男のフルネームは?警察手帳を出した?ちゃんと階級は合っていた?何課だと名乗った?身体的特徴は?連絡先を交換した?」

 目が……怖い。

「えっと……交換した……警視庁捜査2課で……山吹千春さん、口元にほくろが」

「右?左?」

「右……?」

「警視庁捜査2課?知能犯罪選挙関連……刑事?階級はまさかアヒルか?連絡先とはまさかプライベートではあるまいな……ブチ殺す」

 ボロさんが走り出すのを獅子神さんが止めた。

「落ち着けボロ!山吹は……刑事……だろ?まあ会ってみるといい奴かも知れないし……。」

 その言葉を聞くと獅子神さんの首元を掴んで引っ張った。

「……ああ?テメエいつからそんな情けない男になったんだ?愛美ちゃんが加害されたんだ……それに乗じて女子高生と連絡先を交換するカスはブチ殺すしかねえだろうが……。」

 いくらなんでも…。

「もう!ボロさんは厨二病拗らせすぎ!良い人だよ!私を信じて!」

 仕方なくスマホに入れた連絡先を見せるとボロさんは元に戻った。

「えへ、愛美ちゃんの前だからカッコつけちゃった。」

 もう!仕方ない人だなー。

「それよりボロさんが勉強教えて?私、ボロさんに教えてもらいたいんだ!」

「ボロさんは暗算もできないし対人応対も出来ないから村雨さんと獅子神さんに聞きなよ!」

 真経津さんが声を上げるとボロさんはバツが悪いようで部屋から出ていってしまった。

 

「もー!真経津さん!ボロさんに意地悪しないであげて!」

 

、、、

 

「映画みるの?なになに?」

 

 ボロさんがDVDを取り出して、またしまった。

「え?なに?観たかったのに!」

「ごめんごめん、pーフェクト・ストレンジャーはまだ不適切だった。」

 不適切?もしかして……みんなでいやらしい映画を観てるの?

「小娘、あなたの考えるような卑猥な映画は観ていない。」

 村雨さんから指をさされて顔が真っ赤になってしまった。

「な!ちがうもん!そんな事考えてないから!」

 ガサガサと箱を漁っては新しい箱を開くので、結局プライムでiイ,ロボットというロボットものの映画を観た。

 

「さっきの映画は成人したら観てね……。ベラドンナ……といえばkャットザリパーのピンクちゃんだな。彼女は気風が良く面倒見がいいから好きだ。」

 ボロさんは映画鑑賞中喋りまくるので、注意したら申し訳なさそうにソファの隅に座った。

 

「感想は観終わったらね!」

 


 

「人生初のダーツバーの感想は?」

 

 ボロは下を向いたまま「洒落てたな」とだけ呟いてオレたちの後ろを距離を置いて歩いた。

 一歩下がる女……というより「部外者」を装いたいといった様子でチラチラと周囲の視線を気にしていた。

 気にするなんて今更必要ないのに、まだ受け入れようとしないボロにイライラする。

 もうオレのものなのに。

「終電、まだあるかな?」

「タクシー拾えよ。」

 人がまばらになって風俗のキャッチがリーマンに声をかけ、酔っぱらいが地べたに転がっている時間帯、アルコールと吐瀉物と雨上がりのアスファルトの臭いがする。

 

「……けて」

 路地裏の排気口からラーメンと廃油が混ざった臭いと共に、ファンの駆動音にかき消されそうなか細い女の声が仄暗い闇の奥から聞こえた。

「来るな。」

「なんだ?」

「レ◯プでもしてんじゃね?」

「治安が悪いですから。」

「たしかに!怖いよね。」

「女性の一人歩きは……ボロ大先生。」

 後ろを振り向くとボロの姿がなく、女の声がした方向に目をやると、ボロはパーカーを脱ぎ下着姿になって音を殺すように暗闇に消えていった。

 

「ぐうぁ……ぎが……ぐぐぇ」

 路地裏の入り口から覗き込むと、ボロが男の首にパーカーを輪にしてかけて地べたに伏せて前のめりになっていた。

 男がパーカーを振りほどこうと掴んだところで力負けしそうになりながら、ボロは淡々と体重をかけて男に引っ掻かれたり髪を引っ張られたりしていた。

「……警察呼ぶか。」

 敬一くんが警察を呼ぶ間、晨くんは目をキラキラさせて楽しそうにそれを眺めて、ユミピコは満足気な笑みを浮かべて佇んでいた。

「ボロ大先生、それでは人は死なない。」

 礼二くんがボロに近づくと、ボロは立ち上がって思い切り男の頭を蹴り上げて、 パーカーをレ◯プされていた女にかけた。

「もう大丈夫ですよ。怖い悪夢は去りました。彼は罰を受けます。あなたは何も悪くありません。」

 ボロは引き攣った顔をしている女の隣に座って、一定のリズムで膝を叩き始めた。

「私、最近寝付けないんですよ。あなたは眠れますか?たん……たん…たんたん…こうやってリズムを取るといいとか。」

 女はただ呆然としていた。

「あなたは一度専門の心療内科に行ったほうがいい。……ボロ大先生。」

 礼二くんの呼びかけを無視して、ボロはパトカーが来るまで女に意味不明な話をし続けた。

 

、、、

 

「すみません、強姦事件みたいです。オレたちが来た時には既に男が倒れてまして。」

 

 そう敬一くんが警察に話して、礼二くんと一緒に事情聴取を受けに警察に行き、女は病院に連れて行かれた。

「ボロさんって戦闘狂だったんだね!」

 晨くんはさっきまで男の首を絞めていたパーカーを何事もなかったかのように着ているボロを抱きしめた。

「……帰る。」

 ボロは腕を振りほどいてヨロヨロと歩き始めた。

「ボロさん、家までお送りします。」

 ユミピコの声も無視して帰り道とは真逆の方向に進んでいった。

「オレが送る。」

 


 

 ボロをラブホに連れ込むと、部屋に入ったと同時に骨が抜けたように倒れ込んだ。

「……ババアなのに無理するから。」 

 ぐったりとしたボロをベッドに運ぶと、シーツを握りしめながら唸り声を上げ始めた。

「……また失敗した、失敗した、次は失敗しないように……。」

 額に手を当てると発熱していたので、冷蔵庫から缶ビールを取り出して首筋に当てた。

「お前……人を殺したこと、あるのか?」

 その言葉を聞いた直後、枕に顔を何度も叩きつけてヘドバンし始めた。

「私は違う私は違う私は違う私は違う私は違う」

 奇声を発し終えると、何事もなかったようにベッドに腰掛けて脇にあったリモコンでテレビモニターに映る番組表を見ていた。

「何か注文するか、何がいい?」

 それを遮るようにメニュー表を顔の前に置くと、手で払いのけられた。

「……なんでもいい。」

 

、、、

 

「おー……アニメチャンネルが観られるんだな……。」

 

 ボロはテレビモニターの前に体育座りをして、アニメを見始めた。

「お前、アニメとか好きそうだよな。」

 こちらを振り向くことなく、噛み合っていない会話が始まった。

「pリンセスチュチュは人生賛歌と言えよう。」

 画面には女児向けのキャラクターが映っている。

「……熱が下がったらセックスするか。」

 

、、、

 

 ボロは熱が下がった後も、ピザを食べながらただアニメを見ていた。 

「なぁ、セックスは?」

 指で肩をつついても画面から目を離さない。

「……なら別の女を呼ぶ、いいのか?」

 コクっと頷いたのを見て縊り殺しそうになるのをなんとか抑えて、……ボロがいる手前、現地調達ではなくヘルスを呼んだ。

 

、、。

 

「あああん、おちん◯スゴいぃ……イっちゃう……あぁんもっと突いてくださいぃ……おっきいのぉ」

 ヘルス嬢が大声で喘いでも、パチュパチュパンパンと水音を出してもこちらを見ない。

「ボロ、その女さぁ、なんで自分を振った男に尽くしてんの?」

 騎乗位でヘルス嬢を突き上げながら画面を見る。

「……尽くしているのではない。闘争をしているのだ……人生とは抗うべきものだから。」

 また意味不明な講釈をして、体育座りのまま微動だにしない。

「イクッイクゥ……ああっ……スゴい……お兄さん絶倫ですね……あの、もし良かったら……お仕事以外でも……」

 煩いヘルス嬢の頭を掴んでフェラをさせながら話を振る。

「……で、この女は幸せだったのか?ハッピーエンドじゃないだろ。」

 そう投げかけると、はじめて振り向いた。

「叶……お腹すいたからまた注文してもいいか?」

 

、、、

 

 ヘルス嬢が床に座ってフェラをしている状態で、ボロはベッドの隣に腰掛けた。

「延長した……まだ熱はあるか?」

 おでこに手を当てても熱はとっくに冷めている。

「んふ……ふぇらちおきもちいいれすか?」

 ボロはヘルス嬢の頭を撫でて、ヘルス嬢は驚いてその手を叩いた。

「何すんのよ!」

「あ……ごめんなさい。」

 少し間があった後、「続けてどうぞ」とだけ言ってベッドに寝転んだ。

「……少し寝たい。」

「……礼二くん呼ぶか?もう事情聴取終わったろ。」

 

「いいや、医者はいらない。……ただ寝たいんだ。」

 


 

「……お前なあ……今まで何処で何してた……。」

 

 獅子神がキレている。

 ……当然だな。

 獅子神と医者が事情聴取を受けている間、私はアニメをただ見ていただけ……カスでゴミだ。

「……ラブホ。……叶を試してみたくなったものでな。……事情聴取に時間を取らせてしまい申し訳なかった。謝ります。申し訳ございませんでした。」

 深々と頭を下げるが、視線は冷たいままだ。

 

 結局あの後、全く睡眠を取ることができずに三日三晩籠城して叶を付き合わせてしまった。

「ボロ……お前……被害者を見て興奮したのか?……ハッキリ言って異常だぞ。」

 ……そうだな、確かに異常者だ。

「……見損なった。……お前はもっと誠実な奴だと……オレの勘違いだったみたいだな。少しは常識を持て。」

 あ……訂正しないと。

「叶には逃げられてしまって……一人虚しく過ごしたよ。」

 獅子神は目を合わさずに部屋から出ていった。

 

、、、

 

 獅子神が不在の獅子神宅にいてもしたがないので近所をぶらついていると、タイミングを見計らったかのように医者と真経津と鉢合わせた。

 

「医者……事情聴取……申し訳ありませんでした。」

 頭を下げると、頭に手が置かれた。

「ボロさん、獅子神さんにこっぴどく怒られた?泣いちゃった?」

 ……。

 泣いてはいないが、突き放されたのは事実だからな。

「ああ……。私は常識が無いからな……。常識を学ばないと……。」

 頭を上げようとしても、真経津の手が動かないので上げられない。

「……なぜ真実を話さない?あなたは心理的ストレス過多により」

「ラブホに行ってたんだ……馬鹿だよな……。」

 ポンポンと頭を叩かれる。

「ボロさんはお馬鹿さんだからしょうがないよ。」

 しょうがないで済ませてしまったら、私はずっと他人に迷惑をかけ続けてしまう。

 ……私は……。

 

 しばらく道を歩いて自販機の前で立ち止まる。

「何か飲みたいものあるか?」

 そう尋ねると医者はあからさまに不機嫌になった。

「ご機嫌取りのための買収か?」

 ……そうだな。

「一応聞いただけだ。……まあ自分で買いたいものを買うさ。」

 小銭を財布から取り出すと10円玉が落ちて自販機の下に転がり落ちてしまった。

「10円玉自販機の下に落とした……。」

 地面に伏せて隙間に手を伸ばす。

「あなたは愚者なのか賢者なのかどっちだ?」

 なぜ今このタイミングで質問する?

 意図は?何を握ろうとしている?  

「ボロさんはお馬鹿さんだから愚者だよ。」

 ……。

 正論でなにも言い返せない。   

 ……後少しで手が届きそうだ、もう少し……指先が触れた。

「私は愚者だが、1円を笑うものは1円に泣くということは分かる……10円取れたな……。」

 膝と肘についた砂ぼこりを払って10円玉をマジマジと見る。

「……これはギザ十ではないか!!得したなぁ……。」

 初めて見た、ギザ十にはレアリティ……価値があるのだ。

「マヌケめ……。」

 医者ら自分の財布から10円を出すと、自販機に入れて勝手にmックスコーヒーを選んで私に放り投げた。

「ありがとう……。医者って現金も持ち歩くのか……ああ、医者だから院内の売店とか利用するために必要か。」

 蓋を空けて一口飲むと、あまりの甘さに停止してしまい、それを知ってか知らずか真経津か手から奪って飲み干した。

「真経津……回し飲みは衛生上良くない……。」

 医者に「医療的説明をしてくれ」と目線を送るが、逸らされてスタスタと歩いて行ってしまった。

「ボロさんのものはボクのものだから。」

 ……空き地で歌うガキ大将みたいな事を言うな。

 

、、、

 

「……リンス、変えました?」

 

 技術開発人名事典を読んでいると、隣に座った天堂の息が耳にかかった。

「うお!ビックリした……ラブホに行ったからな。」

 ラブホのアメニティは凄かったな。

「……そうでしたか。」

 まさかシャンプーとリンスが選べて、実際にフロントの自販機で購入出来るようになっているとは、企業努力が伺えて感心した。

「シャンプーとリンスがたくさんあって、どれがどれだか分からなくてしばらく悩んだからな。」

 見上げると、天堂と目が合った。

「天堂は髪サラサラだけど何を使ってるんだ?」

 ……微動だにしない。

 失礼なことを言ってしまった?

「……天堂?あの……気に障ったらごめんなさい。プライベートな事を聞いてしまって……。」

 天堂は目を細めると私の髪を手櫛で梳いた。

「……リンス?ああ……ふふ、秘密です。」

 


 

『ビスケットモンスター』 

 

 2対2のタッグマッチ用

 

 敗者は死亡する可能性がある。4スロット〜ハーフライフ相当。

 ペナルティは有害物質を含んだ粉塵。

 

 4人のうち、誰かが『ビスケットモンスター』の役割になる。

 その情報は秘匿され、明かした者は失格となるがペアは残り新たな『ビスケットモンスター』を設定しゲームは継続する。

 ゴミが無くなったらゲーム終了、合計エコPが多いペアが勝利する。

 

 ペアが失格した場合、ペアの各ポイントを全て引き継ぐ(加算)するか、放棄するか選択する。

 

【プレイヤー】

 

 プレイヤーは環境活動家となり、ゴミを無くすのが目的

 

 場には3種類のゴミ、『プラスチック』が35個、『紙』が73個、『空き缶』が0個ある

 『空き缶』はビスケットを消費する度に1つ増える

 

プレイヤー

 エコP:初期値0P、分別を1回するごとに種類の分ポイント加算する

 体力P:初期値0P

 知力P:初期値0P

  ※知力Pはペアと共有できる

 不徳P:ビスケットを食べると増える、13Pに達すると失格

 

【ゲームの流れ】

 

 各ターン同時進行。

 3ターン毎にビスケットモンスターを交代する。

 

【各ターン】

 

『食べて』

 A:グルテンミート、体力P+3P、知力P+1P

 B:デイリーフリーティ、体力P+1P、知力P+3P

 C:ビスケット、体力P+7P、知力-3P、不徳P+1P

 

『寝て』

 A:盗み食い、体力P+5P、不徳P+3P

 B:目覚め、『ビスケットモンスター』かを名指しし、当てれば知力+7Pしてビスケットモンスターの役割がランダムに再配置さる、外すと知力P-9P

 C:夢を見る、不徳P-3P

 

 ビスケットモンスター専用の追加選択肢

 ビスケット缶:

  次のターンに『食べて』でビスケットを選ばせない、または次のターンで盗み食いをさせない

 ちらかし放題:

  場に『空き缶』を3個『プラスチック』を5個『紙』を15個追加

 監視カメラ:

  盗み食いをしたプレイヤーがいた場合、そのプレイヤーの『出かて』にかかるポイントを2倍にする

  この時『監視カメラ』が発生したと知ったプレイヤーが『静かに』を選択した場合、『盗み食い』をしたプレイヤーのこのターンの『食べて』と盗み食い分の不徳Pを自分の知力Pに変換する

 

『息をして』

 A:魔法のポケット、特定の相手の体力Pと知力Pを自分の体力Pと知力Pに入れ替える、不徳P+7P

 B:銀行、ビスケットモンスターが変わるまで、最大5PまでエコPが変動しない(盗まれない)

 C:ハッピークラッピー、知力全てを引き換えに不徳Pを0Pにする

 

『出かて』

 A:徒歩、体力5Pを引き換えに自分の『分別する』を2倍

 B:自転車、体力3Pを引き換えにビスケットモンスターが変わるまで『監視カメラ』を使わせない

 C:車、特定プレイヤーのエコPを3P奪う、不徳P+7P

 

『分別する』

 A:プラスチック、知力3Pを引き換えにエコP+3P

 B:紙、知力1Pを引き換えにエコP+1P

 C:空き缶、知力5Pを引き換えにエコP+5P

 


 

 獅子神に叱咤されたその日から、罪悪感と気不味さで彼を直視できなくなった。

 

 それでも、避けたり会話をしないのは不自然で、自分が悪いのに他者に責任を押し付けてしまうことになるから、今まで通り接し続けていた。

 ……ただ、客室で寝る回数は減った。

 けれど客室にはオオグソクムシとマグロがいる。

 大きく場所を取るこいつらを部屋に持ち帰るのは骨が折れる……というより、両手いっぱいにぬいぐるみを抱えて人前を歩きたくない。

 

「うさぎ……。」

 

 獅子神が選び、こぶつさんが立て替えして購入してくれた愛美ちゃんとこぶつさんと三人お揃いのハンカチ。

 これをただ眺めているだけで心がいくぶん落ち着く気がする。

 暖かく滑らかな生地……まるで

「あ!それって獅子神さんに買ってもらったハンカチ?」

 

 咄嗟にハンカチを枕の下に隠してしまった。

「真経津……ノックくらいしたらどうだ。」

 どうして閉めたはずの鍵が毎回開くんだろうな。

 真経津は鍵を閉めてベッドの上に乗った。

「……なんで隠したの?」

 ……。

 明確な理由など……。

 ……。

 ……このハンカチだけは玩具にされたくない。

「いや、特にこれといって……。」

 

「……獅子神さんの匂いを思い出してオナニーしてたんだ。」

 ……。

 なぜ……そうなる。

「なんで……なんでそんな事を言うんだよ……。」

 悔しくて涙が溢れた。

「ごめんね?図星だったよね……大好きな獅子神さんから怒られちゃったから……悲しくて自分で慰めてたんだね。」

 真経津に抱きしめられて耳元で囁かれる。

 違うと言っても「強がり」として処理して、そうだと言ったら「欲求不満」とするんだな。

「違う……。違うよ、真経津。」

 耳たぶを喰れながら両手で胸を弄られる。

「獅子神さんみたいな逞しい男性じゃなくてごめんね?ボクは獅子神さんみたいになれない……甲斐性なしでごめんね?」

 ……付き合ってもないくせに。

「何がしたいんだよ……お前……。」

 

 真経津の動きが止まり、背中を突き飛ばされて枕に顔を押し当てられる。

「村雨さんは挿入してくれない、獅子神さんは抱いてすらくれない。」

 当たり前だろ、彼らにはパートナーがいる。

「ボクが代わりに心の隙間を埋めてあげるね。可哀想なボロさん。」

 四つん這いの姿勢から一気に下着とズボンが下ろされたのが分かった。

「やめて、真経津、やめ」

 次の瞬間、バチュンといきなり奥まで挿入された。

「ぅあ……ああ……痛い痛い、やめ……」

「きっと獅子神さんは激しくて荒々しいエッチになるだろうから、乱暴にするね。」

 

 その後は頭を押さえつけられ腕を引かれながら容赦なく腰を何度も打ちつけられた。

「やだ、やだぁっ、いた、いい、あっ」

 悲鳴を上げれば上げるほど抽挿の動きは激しさを増した。

「ボロさんって乱暴にされてるのにびしょびしょになるんだね、エッチだから?それとも獅子神さんに犯される想像して興奮してるから?」

 無理やりだろうがなんだろうが、膣を保護するために愛液は分泌されるんだよ。

「ちがっ……ああ……あっあっあっあっやだ」

 

。。。

 

 初めてタッグマッチをしたペアが真経津だった。

 

「寝て……さあ、どう出る?」

 真経津、頼む……お前がビスケットモンスターだろ?監視カメラを使ってくれ。

 ……場にプラスチックと紙が増えた……「散らかし放題」を今するか?なぜ……

「……ボクはハッピークラッピーを使うね!」

 意思疎通ができない……。

 足を引っ張りたいのか?場を混乱させたいのか?

 

 結局、土壇場で私達のペアが勝つことができたからいいものの……。

 

。。。

 

「ボロさんのことを一番よく知ってるのはボクだよ。村雨さんでもボロさん自身でもない。ボクだけがボロさんを理解してるのに、どうしてわからないの?」

 


 

『私について』

 

 他人の目からしたら化け物にしか見えない。

 ツギハギの肌、醜い容姿に標準的な体型ではなく、重心……身体のあちこちが歪んでいて上手く歩けない。

 ……病躯。

 

 何よりも……ボロボロの齒、艶のない髪、短い爪。

 一目で精神的な疾患を患っていると分かってしまう。

 病。私は双極。

 なぜ生きているんだろうな。

 

 イカれている。壊れている。

 それでも私は自傷も自慰もしたことがない。

 価値がなく意味のないことだと理解しているし、する必要性も意欲も湧かないからだ。

 

 他者を愛したこともない。

 だから他者から認められ、受け入れられることなどありはしない。

 厄介者。

 

 なんの能力も持たず、生産性の無い粗大ゴミ。

 まだゴミの方がリサイクルできて役に立つ。

 老いて朽ちていくのをただ待つだけの人生。

 

 何を理由に生きていたんだっけ。

 うさぎ。

 もういない。

 もう死んでしまえばいいか。死んでいいな。

 

『他人に迷惑をかけるな。立派な大人になれ。』

 

 無理だよ、眞鍋先生。

 確かに今自殺したら彼らにあらぬ疑いをかけてしまい、彼女らに不利益が被る。

 勤め先にもシフトの穴が空く。

 でも、別にいいだろ。

 死んでだって。

 後のことなど知らない。

 自分本位で愚かで悪だ。

 

『長い人生だ。ボロのことを必要とする人がいずれ現れる。』

 

 瑚太郎さんは理想論しか説かないね。

 捨てる神あれば拾う神あり。

 神なんていないよ。

 拝み屋の両親は現実から目を逸らすためにマインドコントロールしていたに過ぎない。

 

 馬鹿だから。

 馬鹿は死んでも治らない。

 でも、死ぬことはできる。

 私は死ぬことができる。

 

「ボロさん、あなたは善き人です。」

 

 ……。

 ……え

「うわぁぁ!?て、天堂!?な、なんでベッドにいるの!?いつ!?え、え!?なに!?」

 天堂が客室のベッドで寝ている私の隣で寝ている。

 ……え、え、え?

「肌寒かったので……つい潜り込んでしまいました。ボロさんは温かいですね。」

 落ち着け、落ち着け、落ち着け

「え!?え?え?」

 ダメだ、脳の処理が追いつかない。

 私は成人女性、天堂は成人男性。

 その前に天堂は神だ。

 神だから憐れな仔羊に寄り添うのは当然か。

 

 ……そんなわけがない。

 慌てて自分が裸かどうか確認したが、パジャマを着ている。

「ボロさんも慌てたりするんですね。可愛らしい。」

 この状況で取り乱さない人間などいない。

 ……私がおかしいのか?

 自分の人生を嘆き自暴自棄になった罰?

 

「な……なにしてんだ……テ……天堂」

 人間は理解不能な状況に陥った時、キャパシティオーバーとなり、頭が回らなくなる。

 性的意図なく同衾……。

 あ……前に一度、正気を失っていた時に添い寝を頼んだことがあった。

 でも、あの晩はベッドに腰掛けてただ見ていてくれた。

 ……私が原因か、私がいけなかったんだ。

 オーバーだ、オーバーリアクションだ。

 騒ぎ立てて失礼だ、無礼を働いた、申し訳ない。

 

「神はボロさんの隣にいます。」

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