「ボロ……次の相手はあの『魅了して翻弄する』チャームの美魅だ。」
そうか、としか言えない。
「そうか、あの天才美女ギャンブラーと相まみえるとは……光栄だな。」
彼女とは一度だけすれ違ったことがある。
長身でモデルのような立ち振舞をする黒髪ロングの切れ長の目をしたまつ毛の長い美女。
白桃の香りがした。
「ビビ相手じゃ……流石に分が悪いな……。何とか組み直せれば……。」
土屋田は頭を抱えていた。
「なんでだよ。お前は行員として務めを果たしたろうが。」
手をギュッと握られた。
「お前には死んでほしくねえ……生きろ、ボロ。」
本当に情に脆いやつだ。
「ならば生きて帰ったら個人的に付き合え。」
その言葉に鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「な……お前には真経津という想い人がいるだろ……浮気か!?」
なんでそうなる。
「ああ、浮気だ。私が勝ったら部屋に来いよ。映画を観るんだ。」
、、、
ハーフライフ戦の会場は普段とは客層がやや異なった。
単純に男性客が多いという理由ではなく、女性客の帯びた熱が「男性ギャンブラーが命をかけるもの」ではなく「女性ギャンブラーがどのような醜態を見せるか」に重きを置く。
そういった客層だと察した。
さらに今回は美女vs醜女ときたもんだ。
私だったら醜女……つまり私がみっともなく完敗する様を酒の肴にすりのだろうか。
「あらぁ、あなたが『朧気にして翻弄する』オボロのボロさん?……オボロと言うより、ボロ雑巾のボロの方が相応しいんじゃないかしら。」
止めてくれ、その恥ずかしい二つ名は土屋田か行員の誰かが言い出して勝手に口上したものだ。
「お前こそ……チャームの美魅?ひと目見たらビビッときちゃうってか?美魅だけに。」
……。
場が冷めた。
クソ、対女性だとなんか上手くいかないな。
しょうもないオヤジギャクを言ってしまった。
同じ対女性の「不仲な桃太郎」戦ではこう……。
……成る程、これが「チャーム」の力か。
「可哀想、オバサンになると中身まで老けてしまうのね。」
そうだぞ。
「強がりは今のうちにしとけ、別嬪さん。」
オリジナルデスギャンブル『灰鳩』
『The ash dove』
敗者は死亡する可能性がある。4スロット〜ハーフライフ相当。
ペナルティは積灰。
プレイヤーは灰被り姫になり、60ターン(2日と半日)のうちに王子に見初められなければならない。
プレイヤーは同時進行。
プレイヤーの初期値、ダンス0P、容姿0P
まずプレイヤーはナツメの木の苗を受け取る
『寿命』
プレイヤーは1ターンにつき1回残りの1ターンを引き換え(迎えられない)に容姿またはダンス3Pを得られる
これは5ターンに1回行える
『ナツメ』
木の苗は①若木→花→『実(成果)』→枯れ木の4サイクルを繰り返す
ナツメは若木、花のいずれか時に一度『肥料』を与えない場合には実が4サイクル中(枯れ木の場合は次にサイクル中)にならない
枯れ木:ナツメは7ターンに一度『剪定』を行わないと、次4サイクルがすべて枯れ木になる
枯れ木が8サイクル(2回連続)になると、ナツメの木は消滅する
『実(成果)』
実がある場合、『白鳩』が以下の順に繰り返し運ぶ
実がない場合は最新の『実』の一つ前の成果を持ち去る(廃棄)
成果は加算する
①煤の靴:容姿が-5P
②木の靴:ダンスが+5P
③皮の靴:ダンスが-5P
④銅の靴:容姿が+5P
⑤銀の靴:容姿が+3P、ダンスが-3P
⑥金の靴:容姿が-3P、ダンスが+3P
⑦ガラスの靴:容姿が+3P、ダンスが+3P
『特定条件で運ぶもの』
実の代わりに一度きりずつ運ぶ
成果は加算する
①ルビーの舌:容姿が-3P
②サファイアの左眼:ダンスが-2P、容姿が-5P
③サファイアの右眼:ダンスが-2P、容姿が-5P
④金箔の肌:容姿が-7P
⑤鉛の心臓:容姿が-9P
『二人の王子』
王子は二人いる。
奇数の王子:慈愛の王子
偶数の王子:美貌の王子
『奇数の王子の条件』
奇数の王子と5回会い鉛の心臓を受け取っており、『強奪』を一度も使わず、『家事』を18回行っていた場合、かつ煤の靴、木の靴、革の靴のみを所持していた場合姫を見初める
『偶数の王子の条件』
王子はダンスが12以上、容姿が24以上でないと姫を見初めない
ただし、24ターンを過ぎると条件が+1Pずつ上がる
【ターン】
灰被り姫は1ターンのうち『肥料』『剪定』『家事』『教養』『練習』『身嗜み』『舞踏会』の7つを選択する。
『肥料』ナツメに実をつけさせる
『剪定』ナツメを管理する
『家事』3ターンのうち1度行わないと『実』を新しいものから没収される『廃棄』
『強奪』相手の『実』を新しいものから奪う
『練習』ダンスが1プラス
『身嗜み』容姿が1プラス
『舞踏会』王子に会うことができる
……このThe ash dove……良くて4リンククラスだな。
積灰で人が死ぬには時間がかかり、咳き込み肺にダメージがあっても「外見的ダメージ」が見えにくい。
この対戦相手の美魅は『男性顧客が熱狂するギャンブラー』……つまり客寄せパンダだ。
しかし勝ちを譲る気はない。
家事を必須として奇数王子を狙わない。
「美魅さん、あなたは王子に選ばれるかな?」
彼女は顎に手を置いてクスッと笑った。
「あらぁ、おかしなことを言うのね。私が王子を選ぶのよ?」
、、、
「つまんない、見るのやめよう?獅子神さん。」
「なんでだよ、せっかくボロのハーフライフ戦なのに。」
真経津はノートパソコンを無理やり閉じようとする。
「ボロさん、ゲームする気ないもん。最初から「負けても仕方ない」って思ってる。あとでお仕置きしなきゃ。」
そう言って背伸びをした。
「晨くん、お仕置きって"わからせ"だろ?今日は趣を変えないか?」
叶と真経津はワイワイと盛り上がっていた。
「……彼女の悪い癖だ。他者利益を尊重といえば聞こえは言いが、銀行側への忖度をした。躾直さねばなるまい。」
村雨は淡々と画面を見ていた。
……多分、ボロのやつは真剣だと思うんだが。
「お前ら、ボロを買いかぶり過ぎてねえか?」
可愛さ余って憎さ百倍ってやつか?
「驕り高ぶりはいずれ死を招きますから、折檻しましょう。」
……ただハメを外したいだけか。
、、、
……まずいな。『強奪』をしたタイミングをミスしたようだ。
燕に靴が奪われる……。
「あらぁ、聞いた話によると……あなた、あの村雨礼二と懇意にしていると聞いていたから『弟子入り』でもしていたのかと思ったのに……ただのミーハーなファンだったのかしら?」
……医者に弟子入りしたのは将棋や囲碁、チェスについてだけだ。
……よくわからないままボコボコにされたが。
「美魅さんこそ、「あの村雨礼二」ということは……まさかハーフライフ戦で負けたりしたのか?……それともミーハーなファンだから情報を仕入れているのか?」
彼女の人差し指が一瞬迷った。
医者に負けたんだな。
「村雨礼二は有名人よ?みなが「あの村雨礼二」と言うわ……あなたみたいにみっともなく尻尾を振って色目を使う女以外はね。」
やけに医者に拘るな。
……惨敗したのか。
「美魅さんが色目を使ったら一発でノックアウトできるだろうな。場外戦術の賜物だ。」
彼女の指がまた迷った。
……彼女は自身の美貌が故に「実力を正しく評価されていない」事がコンプレックスなのだな。
少なくとも彼女は「彼ら以外」の今まで対戦相手よりも格上だが、それを「贔屓」「優遇」「同情」とされる現状に苛立ちを覚えている。
前に噂で聞いたことがある。
『美魅はギャンブラーのくせに行員の宇佐美主任とデキているから、八百長で勝っている』
確かにギャンブラーと行員が男女関係にあれば、仕組むことも可能性としてはある。
ただ、一見しただけではあるにせよ、彼女も宇佐美もそのようなアンタッチャブルな卑劣な事をする人間ではない。
「そうね、私の美貌ならイチコロね。」
……あえて枯れ木にして強奪を選んだが……燕が番狂わせをした。
「あらぁ残念、口程にも無かったわね。さようなら、ボロ雑巾のボロさん。」
頭上から大量の灰が落下して私の身体は灰に塗れた。
窒息死する。
……今日が最後の日だったとは。
お腹すいたな……最後の晩餐にハンバーグを強請ればよかった。
、、、
「ボロさん、起きた?」
目が覚めると裸にされ両手両足を縛られ、見知らぬ天井を見ていた。
何処だここは。
ビジネスホテル?
……まさか銀行内か?
「あなた、「わざと負けたんだ」とでも言いたそうだな。」
……いや、単純にミスをしたから負けたんだが?
「な……違う。」
叶が手に何かを持って迫ってくる。
「違う?なら実力であの女に負けたってことか?」
悔しいが、そうだ。
そもそもあのゲームは勝率が
「や、やめ……なに、あああっ、挿れないで」
腟内に異物が挿入され、カチッという音と共にバイブレーションが始まった。
「やあっあっあっやだあっやだあっ」
乾いた状態で刺激が加えられて快感より痛みが走る。
「嫌って言う割に乳首ビンビンだけど。」
叶に先端を爪で弾かれて身体を捩ろうとしても拘束されているせいで快感の逃げ場がなく、ダイレクトに痺れが全身を駆け抜けた。
「あっやめてぇ」
しつこく爪で先端をカリカリと引っ掻かれたりクニクニと捏ねられて絶頂してしまう。
「乳首イきして、恥ずかしくないの?」
恥ずかしいに決まってるだろ。
それより異物を引き抜いて欲しい。
「抜いてぇ……」
その言葉を合図に異物が引き抜かれ、代わりに天堂のモノが差し込まれた。
「あああっあっ痛いっああっ」
ゴムをしていないせいで、ヌチャヌチャと熱さとぬめりで感じてしまう。
「ボロさんは、真剣勝負として無様に敗北したのですよ?あなたは死んでいたかも知れないのです。」
それは……命をかけたギャンブラーだから
「ああっああっああっ」
天堂が両手を頭の左右について容赦なくピストン運動を始めた。
「おっおっおああっイく」
絶頂してもペースは収まるどころか激しさを増した。
「美女に負けたとしたら、あなたのちっぽけなプライドが許さないから手を抜いたふりをしたのですね?」
だから、実力で
「あっ……ちが……イってる、イったばっかりらかりゃ」
バチュバチュと休む間もなく子宮口をノックされて意識を手放しかけると、医者に舌を摘まれて指で口内を搔き回される。
「実力が上の者に口答えをするな。」
それを言われたら、私は誰にも意見出来なくなる。
「はあ……んあ……あ」
真経津が隣に横たわって頬にキスしたり胸を揉んだりし始めた。
「ボロさんはお馬鹿さんだからね……キャンキャン噛みついちゃうんだ。弱い犬ほどなんとかで。」
クソ……言い返せない。
「あなたが死んでしまったら、私たちは悲しいです。死を真剣に考えなさい。」
ドチュンと子宮口を突き上げられ、中出しされた。
「お……ああ……」
嫌だ、下腹部が熱い。
「なあ、美女に負けた時興奮したか?お前マゾだったんだな。レズビアンか?」
いつの間にか叶が馬乗りになっていて、指を腟内に入れてグチュグチュとかき混ぜた。
「ちが……ちがうのぉ……」
確かに勝った美魅さんの愉悦顔を見て興奮したが、マゾでもレズでもない……
……ないよな
「ボクたちはボロさんのためを思ってお仕置きしてるんだよ?ちゃんと理解しないとボロさん弱いから死んじゃうよ?」
耳元で囁かれて絶頂してしまう。
もう、苦しいから。
「しんけんになるからぁ、やめてぇ……かえる……もう部屋にかえるからぁ」
拘束されているため、ジタバタと抵抗すら出来ない。
「お前はカエルじゃなくてレズマゾ。ちゃんと男に興味持てるようにしてやるから。」
「ボロ、いいのか?男のオレを部屋に上げて……。」
土屋田、お前だけが「自分の倫理観が正しいか」のバロメーターになる。
「なんだ?襲う気か?」
そう茶化すとビニール袋から何かを取り出した。
「これ、必要だろ?」
、、、
「うわぁ!ポップコーンの逆襲だ!!」
「おい馬鹿!?蓋をしろ蓋を!!」
ポップコーンが顔にダイレクトアタックしてくる。
「蓋は!?何処だよ!!」
土屋田は調理器具が乱雑に入った食料庫から蓋を探し出して場をおさめた。
「すまない……ポップコーンがどんぐりだったとは。」
土屋田の手が髪に触れた。
「……どうした?」
「……いいからじっとしてろ」
まさか……このシチュエーションは。
「髪にポップコーンがついてるぞ。」
……。
「あはは、土屋田っ……少女漫画みたいだな!!」
土屋田は呆れた顔をして、髪についたポップコーンを回収していった。
、、、
「どうだ?pーフェクトワールドの感想は……。」
敷布団の上で隣に座る土屋田の顔を見ると、号泣していた。
「辛えな……確かにブッチは悪党だ……でもよぉ……フィリップにとっては……頼りになる唯一の大人で……友人だったじゃねえか……。」
あまりの男泣きに若干引きつつ、ハンカチを渡す。
「お前、涙脆いな。」
土屋田はハンカチで目を拭ってポケットにしまった。
「ハンカチ……洗って返す。」
……こぶつさんと愛美ちゃんとお揃いのハンカチ。
手元にあると悪童によって汚損されるかもしれない。
「ああ。……しばらく貸すよ。」
、、、
今日は獅子神と医者か。
「s月4日に生まれて……か。で、あなたの解釈は?」
結論を急ぐな。
「時と場合により、人と人の評価は変わるのだ。」
すると医者に鼻を押された。
「私のあなたに対する評価は変わらない。……マヌケ。」
……。
「医者、携帯しているメスやスカルペルナイフなど刃物を全てテーブルに出せ。」
医者はジャラっと刃物を取り出して獅子神に渡した。
どれだけ暗器を持ち歩いてるんだ。
コイツ……そのうち銃刀法違反で摘発されるだろ。
「出したが。」
出したんだな?
「!!ボロ大先生、暴力をするつもりか?そのつもりなら私も暴力を振るうぞ!!」
医者と取っ組み合いになる。
一回、せめて一回でいいからしばきたい。
「ハァ……いちゃつくなら部屋でやれよ……。」
。。。
「私はなんの価値もないゴミ。役立たず。死ぬべきだ。」
部屋に着くなり、彼女は大粒の涙を零しながら蹲った。
涙で濡れた顎を引いて唇を合わせ、口を塞いだ。
「あなたはマヌケだが……少なくとも役立たずではない。」
あれだけ虚勢を張っていながら、酔い潰れてしまえば『一人の極端に自信がない女性』の本性を曝け出す。
私しか立ち入り知ることのない、彼女の弱さ。
背中を撫でると金切り声を上げた。
「うわぁぁもう死んでやる!!死なせろ!!」
ベランダから飛び降りようとする身体を抱き寄せた。
「落ち着け、あなたは私に必要な存在だ。あなたはフランケンシュタイン博士の怪物だろう?私とあなたは離れられない。」
暫く抱きしめて背中を擦ると、ようやく落ち着きを取り戻し腕の中で弱音を吐き始める。
「私なんて生まれてこなければよかった……女なんかに……頭が悪いから……出来損ないだから……お荷物……ゴミ……」
……此処まで深い自己嫌悪、理由が知りたい。
「何故そう思う、理由は何だ。」
尋ねると彼女は数秒フリーズした後、堰を切ったように喚き出した。
「私は要らなかったから……長男じゃないなら……だから何も買ってもらえないのは当たり前だし……嘔吐症……病人…病人……噛み締めクセで歯がボロボロ……不細工……みっともないから豚小屋に住むべきで……頭がおかしいから蔵に閉じ込める…折檻は正当……男の弟より劣る出来損ない…生きている資格がない……」
……大体の理由は把握した。
「あなたは……私にとって必要だ。」
首筋に舌を這わせると、彼女は背中に手を回して縋り付いた。
「先生……私は立派な大人に成れません……」
初めて、彼女から『医者』ではなく『先生』と呼ばれた。
……彼女も、私に対して恋慕の情を隠し持っていたのだな。
「……あなたは、立派だ。この私が手元に置いているのだから。」
服の下に手を滑らせ、腹から上になぞっていくと声が甘くなった。
「私は失格です……先生……私は……人間ではなく、怪物です……」
胸を揉むとしがみついた腕の力が強まって呼吸が浅くなり、性的快感を感じていることが手に取るように解って、思わず笑みを零した。
「可愛らしい、私だけの怪物。」
下着のホックを外し、直に先端を撫でると彼女の身体は分かり易い反応を示す。
「ああ……あ」
硬さを帯びた先端を捏ねると恍惚の表情を浮かべ、身体をくねらせて快楽に喘いだ。
その隙に服とともに下着を脱がせ、先端を舌でつついて感触を楽しんだ。
「ああん……先生……」
しがみつく彼女を抱き上げ、布団に押し倒して下も脱がせ太ももの内側を撫でると更なる愛撫を求めるように身体を震わせた。
それに応えるよう指を秘部に添わせて動かすと、徐々に愛液が絡みついて音を出した。
「ダメな私を叱ってください……」
唇を喰み、舌を入れると彼女の目は蕩けて情欲に溺れる女の顔になる。
「あなたを叱る理由が無い。」
指を腟内に入れて掻き混ぜると、脚を腰に巻きつけて愛をせがんだ。
「ほしい……先生……教えてください」
腰に当てられた太ももが上下に動き、催促をする。
「……あなたが望むなら教えよう。……どうやら、あなたを愛してしまったらしい。」
ベルトを外し、避妊具を装着して腟内に侵入し、太ももを持ち上げる。
「あう……ま……先生……ま……ああ」
彼女の中は温かい。
「動く。」
絶頂している彼女の脚を抱きとめながら腰を動かすと、彼女は涙を流して快感を受け止めた。
「あっあっあっあっ」
水音が夜の喧騒に溶けていく。
「先生っ……私はしっ……失格です……先生……」
その後も彼女は嗚咽しながら自分を呪い続けた。
。。。