※この作品はR-18です。

悪癖   作:ummt

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Pearl Knife

 

「ボロさんもエッチになったよね!ボクとのエッチのおかげ?それとも村雨さん?叶さん?天堂さん?……獅子神さん?身体は正直って本当みたいだね。」

 

 確かに、絶頂しやすくなった。

 つまり、感じやすくなったな。

「そうだな、身体が嘘をついていなければ。」

 真経津が真顔になった。

「……ねぇ、村雨さんのこと本気で好きになってないよね?」

 また色恋沙汰の話か。

「……いいや。」

 否定しても焼け石に水なのは分かりきっているが。

「天堂は?叶さんは?獅子神さんは?」

 ……お前は何がしたいんだ。

 自ら私を差し出して玩具にして遊んだ。

 その玩具が誰かに取られたらお前の責任だろ。

「ボクだけじゃ満足できない?エッチが大好きな淫乱になっちゃった?」

 さんざん輪姦しておいてよく言えたものだ。

「どうして獅子神さんにも色目使うの?獅子神さんには彼女がいるのに。そういうの泥棒猫っていうんだよ?ボロさんは悪い子だね。」

 深い溜息が出る。

 いい加減、ガキのおもりは疲れたな。

「悪い子のボロさん。ボロさんはボクのものだからね?他の人とエッチしてもいいけど……したらちゃんと感想聞かせてね?」

 明日のパート、混むかな……。

 バレンタイン商戦は終わったが、次は卒入学式シーズンが来る。

 その前に、土屋田が決めてくれるか……。

 

「いやらしくてビッチなボロさん……かわいい。」

 

、、、

 

「愛撫で感じやすくなったのでは?挿入無しの性交渉でも満足しているようだ。」

 

 それは調教が上手くいったかどうかを確認しているのか?

「医者なら体から発するサインを正確に理解できるだろ。」

 もう、自分の身体ではないように感じる。

 自分で動かしているのか、私は勝手に動く機械仕掛けの人形なのではないか。

「……あなたは、私を愛しているな。」

 お前がそう定義するならそうなんだろう。

「なあ、不倫というのはどこからだと思う?」

 今日は珍しく真面目なメンテナンスの割合が多いな。

 ……そろそろか。

「肉体関係を結んだ時だろう。つまり挿入の有無だ。」

 後少し、後少しだ。

「私の定義だと、心が動いた時だ。」

 医者の瞼が一瞬痙攣したな。

「……たかがキスマーク……愛撫ごときで本当の意味での不倫にはならない。」

 不倫に本当もクソもあるか。

「お前がそう言うならそうだろう。」

 チラリと電子カルテに目を向けると押し倒された。

「……興が削がれた……と言ってほしいのか?」

 見えたぞ、私の情報が。

「特には。」

 医者の腰を弄り、スカルペルナイフを取り出して眺めると直ぐに取り上げられた。

「真経津で満足しているか?」

 白々しい。

「……性的な快感は本番でなくとも得られるらしい……と言ってほしいか?」

 また瞼が痙攣した。

「……あなたは潔癖なところがある。不倫など世間一般ではよくあることだ。それに妻も了承していると前に直接話させただろう。」

 あの日の可乃さんの憎しみの焔が灯った瞳が脳裏に焼き付いて離れない。

 

「そうだったな。」

 


 

「奥さんはどうだ。妊娠してるんだろう?」

 

 覆いかぶさっている医者の白衣を引っ張る。

「順調だ。ただ悪阻が酷く、おそらくは帝王切開になるだろう。」

 ……厳しいだろうな。

「医者、このままいくと、おそらくお前は不幸な死に方をする。今ならまだ間に合うぞ。」

 医者と眼が合った。

「……この期に及んで……私とあなたの関係を否定するのか。」

 するに決まっているだろ。

「医者、もし私と奥さん、どちらかしか助けられない状況になったらどうする?」

 フッと鼻で笑うと耳元で囁いた。

「あなたを助ける……そう言ってほしいか?……残念だが、私は可乃を一番に助け、その後あなたを助けさせて治療を行う。」

 その言葉が聞けて安心したよ。

「腐っても医者だな。」

 医者の指が顎を撫でた。

「ジェラシーを燃やすあなたは実に愛らしい。」

 抜かせ。

 

、、、

 

「時期は早いが、ホワイトデーに何が欲しいか言え。」

 

 バレンタインの惨劇を「チョコを渡した」にカウントするなら相当深刻な状態だが。

「医者、お前にチョコを渡した覚えはない。」

 診察台から降りると、医者に背後から抱きしめられた。

「ホワイトデーのプレゼントの贈呈はチョコ授受の有無に起因しない。」

 初耳だな。

「そうだな……欲しいものか……強いて言うなら……自由が欲しい。」

 首に冷たい感触が当たる。

「既に自由ではないか……鏡を見てみろ。」

 診察台の横にあった鏡を見ると、首に黒い革のチョーカーが巻かれていた。

「……似合っているな。ボロ大先生……いや」

 首輪……。

「私の成果。」

 拳で思い切り鏡を叩き割り、割れた破片を握りしめて医者に突きだす。

「……私を殺すのか?」

 割れた破片を自分に向けながら後ずさりした。

「……追うな……動いたら私は頸動脈を切裂き自害する。」

 医者は動かず、何も言わなかった。

 

「私は怪物だ……フランケンシュタイン博士をいずれ……殺すシナリオが書かれている。……二度と私を追うな。」

 

、、、

 

「行ってしまわれましたか。」

 

 天堂がガラス片を拾った。

「ああ。……体内に埋めたマイクロチップで居場所は分かる。」

 彼女は自害などしない。

 ただしくは、自害出来ない。

 自害をした場合、私の名誉に傷がつくことを理解し、それを最も恐れている。

 

「うさぎさんは外飼いをすると穴を掘って逃げ出しますから、次回からは室内飼いにしましょう。」

 


 

「ボロさんはワンヘッドに昇格しました!」

 

 ……なにを馬鹿げたことを。

「御手洗、冗談も休み休み言う事だな。」

 彼女にワンヘッドクラスの実力はない。

「ですが、あの女はハーフライフ戦を18戦して生き残ってますから!!」

 御手洗の瞳は黒く墨が混ざり合っている。

「……ふざけるな。今すぐ取り消せ。」

「彼女が愛人だから命を落とさせるのが惜しくなったのですか?」

 ……やはり、あなたか。

「あなたが再び上に申告したのだな。……宇佐美か伊藤を呼べ。」

「いやだな、違いますよ!土屋田です。……もう覆りませんよ。」

 ならば私が話をつけよう。

「彼女は次のワンヘッド戦に出ますが、まだ相手のワンヘッドクラスが決まってないんですよ!……新着順……早いもの勝ちです。」

 ……上手い立ち回りをしたな。

「……私がワンヘッドに上がり……彼女に引導を渡す。……それまでワンヘッド戦は組むな。」

「はい!ボロ大先生にはお客様が一番お喜びになる最大のショー……ドロドロの愛憎劇、痴情のもつれというマッマチングになるよう銀行側も準備していますので!お待ちしていますね!!」

 

、、、

 

「ボロ大先生。」

 

 眉間に青筋を立てているであろう怒気を含んだ医者が背後に立っていた。

「……そこまでしても尚、あなたは命を落としたいのか。」

 そのまま歩みを進めて、仮宿のホテルの部屋に入り鍵を閉めた。

「ああ、私は死ぬからこそ値がつくタイプの」

 そう言いかけて、首筋に冷たい刃物の感触があった。

 メスの背を当てられている。

「……死にたければ、私が殺してやろうか。」

 殺すつもりもないくせに。

 ……妻帯者の医者に殺されるわけにはいかない。

 可乃さんに汚名が付く。

「あなたは私の『最高傑作』だと、そう定義したのはあなただ。」

 手の甲に接吻された。

 流れるようにベッドに押し倒される。

「……医者、やめろ。」

 医者が服を脱ぎ始めた。

 ……お前、一線は越えないと、だから不倫ではないと。

「……やめてくれ。」

 ……そう言ったろ。

「あなたを愛している。……あなたが死を望むなら、私がイかしてなる。」

 ふざけるなよ。

「村雨、頼むから、やめて。」

 腕に噛みついた、止まれ、止まってくれ。

「……もっと早くに……あなたを抱いていたら、結果は変わったか?」

 ……。

「これ以上……私を惨めにさせないで。お願い。」

 ……。

 そんなことをしても、私の死のタイミングが前後しただけだ。

 医者には愛すべき妻がいて、私はただの患者だ。

 それ以上でもそれ以下でもないだろ?

 ……友達、友達であったとして。

 私が私でなくなった日から、私の所有権は私にない。

 いずれは犯され捨てられた。

 これが全てだ。

 

「……お願いだから。」

 


 

「医者、機械仕掛けのオレンジについてだ。」

 

 挿入すると彼女は今までの性交渉で聞いたことのない甘く脳に響く嬌声を上げた。

「あああんっ……う、村雨ぇ……オレンジ……。」

 背中に手を回して快感に悶える姿は征服欲を擽った。

「……行為中に映画論か。」

 頬を押さえて口づけをすると、蕩けた顔をして身体をくねらせた。

「あんっあんっ……アレックスは勝ったぁ……勝ったのぉ」

 抽挿を繰り返すと発汗して性的絶頂に至ったことが締付も相まって手に取るようにわかり愛らしい。

「勝った……?完治したからか。」

 視線を合わせると目を伏せた。

「いいや、……やんっ……さっ最初から勝ってたっ……ぁっ個人のじぃっ自我などを他者あっ、いや……んっ社会がぁっあっ更生させるなど不可能ぅっだったぁ……イくっ」

 彼女は私に抱きついて絶頂した。

「今は快感に集中しろ。」

 息を切らしながら解釈語りは続いた。

「村雨ぇっあっあっ時計仕掛けのぉっ……まってイく……あはぁっ……オレンジとおっ、ふつうのオレンジぃっああっを見分けるにはどうすればいいぃっ?あっ、だめ、またイくぅ」

 何度も身体を反らせてはしがみついた。

「……中から機械音がすれば時計仕掛けだ。」

 中に射精するとビクビクと痙攣した。

「中出ししゅるなっ……ちゅ中国語の部屋と人間をっどぉうすれば見分けられりゅ?……あひっ」

 精液と愛液を掻き混ぜるようにゆっくりと抽挿すると潮を吹いた。

「……知らん。」

 耳を喰むと膣がキュウキュウとモノを締め付ける。

「みぃ見分けられないよなぁ……んっ、はぁっ村雨ぇ……むらさめっ見分けられるはずがないんだ……イく……イきたくないよぉ」

 子宮口を貫くように深くピストンをする。

 

「イきたくない……」

 

、、、

 

 ミントグリーンのカーテンから光が差し込んでいる。

 

 音がする。不快だ。

 光は眩い。

 眩しくて目を空けていられない。

 

 私は真っ白になった。

 最早私は人の形を保っていないのかもしれない。

 

 彼の唇や指が触れた部分が熱を持って、錆びついていく。

 最終メンテナンスは永遠に思えるほど永く念入りにされた。

 全てを暴かれた。

 

 その後、彼はベッドに腰掛けて寝転んだ状態の私の指を手慰みにした。

「あなたを一番に愛している、妻よりもだ……。」

 涙が溢れて止まらなかった。

「……あなたが望むなら妻と離婚してもいい。」

 彼は指切りをするように指を絡めた。

「……私のものになれ。……そのためにワンヘッド戦から降りろ。何としてもだ。」

 何度も私の頭を撫でた。

「あなたと私は離れられない。永遠に。」

 

 私は、決めた。

 


 

オリジナルデスギャンブル『パールナイフ』

 

『Pearl Knife』 

 

 敗者は死亡する可能性がある。ハーフライフ〜ワンヘッド相当。

 ペナルティは海水侵食(溺死)。

 

プレイヤーは人魚姫となり、王子と結ばれたら勝利となる

 

人魚姫は難破した船から王子を助けて恋に落ちる

 

『NPC』

修道女(隣国の姫):海辺に打ち上げられた王子を解放した

王子:修道女こそが命の恩人と思い恋している

魔女:王子を狙うもの

魔女の人魚姫:相手プレイヤー

 

【ターン】

3ターンを7回繰り返す(21ターン)

以下のターンで行えること

朝:『身嗜み』『朝の逢瀬』『真珠』

昼:『視察』『昼の逢瀬』『真珠』

夜:『教養』『夜の逢瀬』『真珠』

 

身嗜み:『王子の恋心』+1P

視察:『王子の尊敬』+1P

教養:『王子の信頼』+1P

 

22ターン目で最も『王子の恋心』が高いものが勝利となる

 

『逢瀬』

以下から選択する

詩を紡ぐ(『王子の信頼』+3P)、民を憂う(『王子の尊敬』+3P)、愛を語る(『王子の恋心』+3P)

 

『王子の恋心』

王子は毎ターン『恋心』を発生させる

『恋心』は毎ターン無条件で修道女へ+1P

『親しみ』で逢瀬をするたびに『王子の友情』『王子の恋心』+1P

 

王子は『王子の信頼』と『王子の尊敬』が『王子の恋心』より7P低い者からの『愛を語る』は数値が逆転する(-3P)

 

『人魚姫』

人魚姫は以下をターン毎(朝)に選択できる

選択した3ターン中は変更不可

A:魔女から『声』と引き換えに『薬』をもらい人間になる

B:魔女を頼らず、人魚のまま

 

選択(A、B切り替え)をした場合『魔女の呪い』が発生する

『王子の友情』の分だけ『王子の信頼』『王子の尊敬』『王子の恋心』の数値を下げる

たとえば4Pであれば『王子の信頼』-3P『王子の尊敬』-1P『王子の恋心』0Pにすることができる

また、修道女に『王子の友情』の分だけ『王子の恋心』が渡る

 

『ステータス』

王子の恋心:初期値0

王子の信頼:初期値0

王子の尊敬:初期値0

王子の友情:初期値0

 

『声』

人間は『声』を失い、王子に『愛を語る』ができない

 

『薬』

7つの真珠を1つ消滅させ人間となり王子と『朝の逢瀬』『昼の逢瀬』『夜の逢瀬』ができる

 

人魚のままだと『夜の逢瀬』しかできない

ただし、『愛を語る』が出来る

 

『真珠』

真珠は7つある

人魚姫のままなら消滅しない

赤:『愛を語る』が次ターン+3P

橙:『親しみ』が次3ターン中加算しない

黄:『教養』が次ターン+3P

緑:『視察』が次ターン+3P

青:『魔女の呪い』が次ターン半減する

藍:魔女の人魚姫(相手プレイヤー)の次のターンを『何もしない』にする

紫:魔女の人魚姫(相手プレイヤー)か修道女のいずれかの『王子の恋心』を-3P

 

『特別な真珠』

ピンク:7つの真珠のうち3つを破棄し、魔女の人魚姫(相手プレイヤー)か修道女のいずれかの『王子の恋心』を-21P

スカイ:7つの真珠のうち3つを破棄し、魔女の人魚姫(相手プレイヤー)か修道女のいずれか『王子の信頼』または『王子の尊敬』を+21P

ホワイト:『王子の恋心』が自身に24P以上ある時、7つの真珠を破棄し、王子を殺す『パールナイフ』を手に入れる

 『パールナイフ』は『夜の逢瀬』でしか使用できない

 『パールナイフ』を使用すると勝利する

 ただし、1ターンを過ぎると『パールナイフ』は消滅して自動的に敗北する

 (このときに相手に藍の真珠を使われると敗北)

 


 

「なあ獅子神、男5人女1人のグループで女が男たち全員と肉体関係を持ったクソビッチの逆ハーレムドラマを見たんだが、いやぁ酷かったな。」

 

 振り向くとボロが立っていた。

「久しぶりだな!……今まで何処に行ってたんだ?」

 ボロは壁に背をつけて足でリズムを取っていた。

「意地悪してて〜も〜♪……いつの間にか……虜。」

 いつになく機嫌がいいな、いいことでもあったのか?

「心配してたんだぞ?ちゃんと飯食ってないだろ……。」

 ぽっちゃりしていたボロはしぼんでしまって……拒食症に見える。

 村雨が位置情報を把握していたとはいえ、メンテナンスを怠ったからか肌がくすんで傷ついている。

「獅子神、ドラマの感想……。」

 ドラマ……?ああ……。

 ボロは人に語ったり人の解釈を聞いて論破するのが好きだからな。

「最低のクズだなその女、ちゃんと最後に凄惨な死を遂げたか?」

 リズムを取っていた足で壁を蹴飛ばしてピョンと跳ねた。

「ああ!!ちゃんと惨たらしく死ぬぞ!!」

 今まで見たこともない満面の笑みを浮かべた。

「そうかよ、夕飯食べていくだろ?」

 ボロはパーカーの前ポケットに手を入れて口笛を吹いた。

「要らないかな。私は忙しいから。ふひゅ〜」

 口を尖らせているが、音ではなく言葉で言ってる。

「……ハァ、ボロ。お前口笛吹けないのか?口笛をするにはこう……」

 一瞬目を離した隙にボロは居なくなっていた。

 

「全く、どうしょうもないな。」

 

、、、

 

「天堂、お前は神罰を私に加えるべきではないのか?」

 

 夕日が射し込んでステンドグラスがエンジェルラダーのように輝きを増し、眩しい光と相反するかのように濃くなった闇から彼女は現れた。

「不貞は神罰を受け、裁かなければなりません。」

 うさぎさんはノイローゼ気味のようですね。

 目が充血して真っ赤、せっかく手入れしていた髪もパサついている。

「ならば、神罰を与えろ。」

 あなたは、もう歩くことすらままならない。

 精一杯の虚勢を張るより、私に懺悔し救いを求めなさい。

「……神と友人たちとボロさんの愛の関係は特別です。不貞でも何でもありません、神の導きですから。」

 彼女の歩みが止まった。

「そうか、私は無神論者だから、関係がないな。」

 強がらなくていいですよ。

 あなたは私の加護の下で余生を過ごせばいい。

 ただ愛を受け入れ、満たされる幸福を享受しなさい。

「ボロさん、あなたは私のうさぎです。」

 

「……勘違いするな、私は誰のものでもない。怪物だ。」

 

、、、

 

「ボロさん!!会いたかった……。」

 

 ボロさんは直ぐにフラッと姿をくらますから、見つけるの大変なんだよ?

「真経津……。」

 ギュッとハグをする。

 ……冷たい。

「ボロさん、村雨さんにメンテナンスしてもらおう?」

 手を握ると氷のように冷たく硬くなっていた。

「メンテナンス……?ああ……最終メンテナンスは受けた。」

 ……最終って、どうしてそんな事を言うの?

「ボロさん、ボクが御手洗くんに直談判するから……ワンヘッド戦は取りやめにしてもらおう?」

 キス?……深いやつ……。

「真経津はいい子だな。」

 ボクはどうでもいい存在なの?

 こんなに大切にしてるのに、どうしてボクのことを好きになってくれないの?

 ボロさんはボクのものなのに、なんで?

「ボロさん……ボク、ボロさんのこと……す」

 またキス……ボロさんは、ボクのこと……嫌いなの?

 

「じゃあな、真経津。直ぐに新しい玩具が見つかるだろ。」

 


 

「どんだけ逃げ回るんだお前。」

 

 仮宿が割れたので別のホテルにチェックインして廊下を歩いていると後ろから抱き挟められた。

「ボロちゃんつかまえた。セックスするぞ。」

 ブスババア呼びはどうした。

「昇天させてやる。オレに夢中になって他のことがどうでも良くなるくらい。」

 手が胸と太ももを弄った。

 流石に部屋まで待て。

「叶さん。」

 叶の動きがピタッと止まった。

「いつも気にかけてくれて、感謝しています。」

 

 叶は部屋の鍵番号を見ると私を引きずって該当する部屋の扉を乱暴に開けてベッドに突き飛ばした。

「調子に乗るなよ……ブスババアをオレがもらってやるって言ってんだ。」

 カラコンは……ハーフライフ戦の時のドクロか。

「なんだ、叶は産廃処理業者だったのか。」

 言い終わる前に服をビリビリと破られる。

 布を破るとは……どれだけ力が強いんだコイツ。

「黙れブス。」

 下着をはぎ取られて秘部を舐められた。

「うっ……黎明には若くて可愛いリアコ勢がたくさんいるから……ぁっ」

 摘まみ食いしろ、としたら新たな被害者が出てしまう。

「ババア、若いリアコに嫉妬してるのか?」

 下腹部に顔を埋める叶と眼が合った。

「ああ……あんっ嫉妬しているうっ……女は醜いからなぁっ」

 何度もしつこく舐められて潮吹きしてしまった。

「……さっきまで誰とセックスしてたんだ?」

 ……言えるわけがない。

「ババアのくせに焼きもち焼くんだな……オレに捨てられたら刺しに来いよ。……で、相手は誰?」

 長い指が腟内を暴れ回る。

「あっイくっイくぅ」

 意思に反してガクガクと腰を浮かせて絶頂してしまう。

 

「……礼二くんとしたのか。成果。」

 叶に見つめられて、敏感になった膣が指を締め付けてしまう。

「オレたち付き合ってるのにな。成果は浮気したんだ。」

 ……なにを言っている?

「付き合ってないっ……だろ……。」

 叶はポケットからスマホを取り出して目の前に突きだした。

「鍵付きの裏垢で『彼女とスイーツ店でデートした』って写真付きで載せてる。……お前とオレは恋人同士。」

 な、あれは

「な……役だって言ったはずだろ!っあっ、まって、イく」

 シーツを握りしめて快感に耐えようと足掻いたが、全身が痺れて上手く動かせない。

「それは誰が証明して、誰が信じるんだ?」

 残された力でスマホを奪い取り震える指でキー入力をする。

「『というのは冗談でした!ドッキリに騙されたか?リアコ共』ふぅ……うあっ」

 スマホを奪い返されて腟内に怒りを帯びたモノが無遠慮に突き刺さる。

「鍵付き裏垢はまだあるから……フゥ……デート動画も限定公開で投稿済みだから……っ、締め付け……キツいな……」

 今動かれたら

「激しくする、成果。」

 

、、、

 

「あっやらっもう、いってる、いっあぅ」

 

 成果はよだれを垂らして何度も絶頂した。

「箱……使い切るまで終わらせないからな。」

 ゴムを付け替えるたびに体位を変えた。

「ああんっあんっ、やぁっ、やだあっ」

 舌キスすると目を瞑って涙を流した。

「オレを見ろ、オレの名前を呼べ。」

 一度もセックスの時に「黎明」と呼ばれてない。

「やらっやらからっ」

 バックで抱きしめながら子宮口に押し当てる。

「お前はオレの彼女。」

 

、、、

 

「……はぁっ……はぁもう無くなったようだ、終わったな。」

 

 もう、いいだろ。

「まだだ。」

 お前は中出しするような無責任な奴ではない。

「んっ……終わった。」

 箱にはもう何もない。

「まだだって言ってんだろ。」

 最初から、何もなかったんだ。

 私と彼らの間に情などはこれっぽっちもなかった。

 

「逃げるなよ、買いに行ってくる。」

 


 

「……どうして逃げなかった?」

 ボロはベッドに腰掛けて虚空を見ていた。

「叶が逃げるなと言ったから。」

 ……本当の理由はなんだ?

「なー……ボロ……俺と逃げるか?」

 オレを見ろ。

「私はもう逃げないよ。」

 どうしたら、お前を止められる?

「彼女になって……オレに愛されて幸せだろ?……もうやめろ。」

 ボロは人差し指を左右に振り始めた。

「SとMというのは『本人の気質を表す』のではない。」

 ……また煙に巻くつもりか。

「……あ?」

 その手には乗らない。

 コンビニの箱を買い占めてきたからな。

 絶対に、イかす。

「SとM本人の昂りのバロメーターだ。メトロノームのようにドSならばそのぶんの熱量がドMに振れるのだ、はは。」

 指を掴んで止める。

「で、何が言いたい。」

 ボロはニコッと笑いかけた。

「優しさが漏れ出ているぞ、いいのか?お前は人に情をかけるのか?」

 思わず抱きしめてしまった。

「また捨て犬を拾えばいいさ、こうやって情が湧くのなら。」

 背中を擦られる。

「……ボロ、強がるな。オレを遠ざけたいだけだろ?オレはお前を……本当に愛してるから。」

 頭を何度も撫でられる。

「……叶、キャラ変か?『惚れた女にすがりつく』とはお前らしくない、お前は誰だ?」

 視界から消えるな、俺の世界から消えるな。

「……お前は犬じゃない、ボロでもない、成果。」

 

「私は怪物だ。」

 

、、、

 

「……なあ成果、セックス……よかった?」

 

「……ボロ、オレがもっと早くお前を救っていたら。」

 

「あ、レビューか……叶、お前が一番丁寧だった。」

 

「人間は拒絶されると反発して『振り向かないなら振り向かせてやる』とする本能がある。しかし直ぐにカエル化現象で消え去るものだ。ちょうどお前と戦った『一寸のカエル王子』のように、姫はカエルに戻った王子を愛さない。」

 

「オレの心を勝手に決めるな。」

 

「事実だからだ。」

 

「私はお前みたいなヤリチンが死ぬほど嫌いで、今も抱かれたせいで死にたいよ、反吐が出る。」

 

「髪色、ライムグリーンの方が似合っていたぞ……黎明。」

 

「今までありがとうございました。」

 

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