「ハリ、眠酔化と自由……希望はあるか?……オレ達は恋人同士だ……愛しい女の願いは聞き入れるぜ?」
目と耳を疑った。
「……はい?」
涙で滲んだ視界の先にある二つの瞳はギラギラと輝いている。
彼が本当に私が知っているキリンガム聖だと言うの?
キリンガム聖は黒い龍ような頭部に金のたてがみを生やしていて、いつもソファで微睡みながら私に『作業拘束時間』という仮初めの自由を与えてくれる穏やかで優しい佇まいをしていた。
「まだ分からねェとでも言い張るつもりか?」
そう鋭い眼差しを向けながら鋭利な歯を光らせて微笑む男性からは底の知れない異様さを感じ、畏怖の念がだけが募る。
「キリンガム聖……なのですか?」
混乱で思考が回らない。
目の前にいるのは鋭い目元にギザギザの歯、端正な顔立ち。
「ハリ……お前、腐っても恋人役だろうが……。」
私の知るキリンガム聖とは似ても似つかぬ荒々しい風貌の男性の手のひらが私の肩を割れ物に触るように触れている。
「申し訳ありません……今までの容姿と……。」
なんと答えていいか分からない。
いくら恋人役を任されているとはいえ、相手は天竜人。
容姿が能力で変わることがあると承知していても、未だに信じられず、また受け入れられていないという事実を正直に述べていいものかどうか。
「あァ、これか。こっちが本来のツラだ。あの姿は仮初めの一つに過ぎねェ。」
まじまじとキリンガム聖と名乗る男性を見つめると彼は可笑しそうに喉を鳴らした。
神の騎士団……世界貴族と呼ばれる天竜人の中でも先鋭の武闘派の治安部隊として活躍をしているとは耳にしていた。
私はキリンガム聖と同じ時間を過ごすうちに彼らの一面を垣間見れたような気になっていたが、その誤った認識が雲をつかむように霧散し、特別感を抱いてしまった愚かさを改めて突きつけられた気した。
「お前の抱いている夢……自由になるだとか、ここから逃げ出したいとかいう……大それた願いだったかなァ?」
彼の大きな手が頬を伝う涙を包み込むように丁寧に拭う。
「ゆ……夢?夢ですか……夢?」
彼がキリンガム聖だとして……何故いきなり夢が何かと問われるのかが分からない。
「そうだ……ハリの本当の夢だ……。」
肌に彼の手が触れ、自分とは異なる体温が伝わってくる。
「お前はただ俺の『隣にいたい』と願った……。身分も種族という皮までもを脱ぎ捨てた……ただの男と女として。」
確かに、ふと『身分差が無ければ』という無礼な想いを抱いたことはあったが、流石に『男と女』……だとは。
「……違ェか?」
低い囁やき声が伝わり心臓が跳ね上がる。
まさか意識を失った時に無遠慮な世迷い言を言ってしまった?
もしそうだとしたら、それを否定しては……。
天竜人に対して虚偽を働いた事になってしまう。
私は彼に対して決して抱いてはならない、敬愛でも恋慕でもない『安心感』を持ってしまったのは事実……夢うつつで妄想を吐いてしまったのだろう……天竜人に嘘はつけない。
「……申し訳ございません。どうかその事についてはお忘れ頂けませんでしょうか。」
深々と頭を下げてソファから滑り落ちるように跪こうとするとグイッと身体を引き寄せられて彼の胸板に顔が埋まってしまった。
「逃げるなよ。……オレ達は今、恋人同士だろ?」
耳元で囁かれる低く甘い声に身震いして鳥肌がたった。
「あの……はい。や、役ですから……。」
布地越しに伝わる心臓の鼓動は力強く脈打っている。
「ハリ……お前……。」
彼は私の顎をくいと持ち上げると逃げ場を塞ぐように視線を絡めた。
「自由が欲しいならくれてやる。その気になれば外に連れ出して飼い主の首を撥ねてやることも出来る。」
目を伏せて得物を見定めるかのような熱を放つ瞳から逃れようとすると、彼のしなやかな指が顎を撫でて狩る者の眼を見るように促した。
「……だが、お前が望んだのはそんな安っぽい神の救済じゃねェだろ?」
彼の指が私が縫い付けたエギュレットをなぞって見せた。
「二度と解けねェように俺の心にピタリと縫い付けてほしいんだろ? ……お前という恋人の名をよォ。」
唸るような声は獣じみた野生の命の駆け引きを感じさせ、奪われる緊張で身体が強張る。
……首を縦に振っても横に振っても私に平穏な未来はない。
「あなたの望むままに致します。」
彼の分厚い手の甲に震える手をそっと重ねた。
キリンガム聖はフッと笑みを零すと、ガラスドームのようなヘッドセットを外して私の指先に唇を落とした。
「外されても大丈夫なのですか……?」
口付けをされた驚きよりも天竜人のシンボルでもあるヘッドセットを外した事実に戸惑いを覚えた。
もしこの場を誰かが目撃してしまったら、神であるキリンガム聖が人間と同じ空気を吸ったとして彼の名誉に傷がつくかもしれない。
「いちいち細けェことを気にすんじゃねェよ……今この部屋にいるのはただの男と女だろうが。」
そう語りかけると私の指を手に取って鋭い歯にプツリと当て、鋭い痛みが走った。
「痛っ……」
指の腹からはマチ針を刺してしまった時のように血の雫が膨らんでいる。
「それも恋人同士だ。……ハリ、どうして欲しい?……天竜人ではない、恋人としての俺に願いを言ってみろ。」
赤褐色の液体が白く尖った牙のような歯をなぞり零れ落ちた。
恐ろしさより先に彼の吐息が獰猛な獣に変わったようで、不安の靄が胸に込み上げてくる。
「願い……。」
目の前にいる彼は、もうどこにも私の知るキリンガム聖の面影を纏っていない。
震える指を引っ込めると何とか言葉を絞り出そうと口を動かした。
「名前を……」
天竜人への嘆願は許されない。
職人としての忠義を語ることでもない。
女として、恋人としての私はこの男に何を乞うべきか。
「名前を呼んで頂けたら……。」
奴隷という目には見えない身分という鎖からの解放という真の夢を願ってはいけない。
「……そうか。」
彼は目を細めて頬を撫でた。
この願いがどれほど人間として如何に傲慢な願いかは理解している。
彼ら天竜人にとって人間の名など覚える必要がない。
直ぐに割れるシャボン玉の一つに名を付けさせ、それを追わせるようなもの。
「分かった。ハリ……いや、ハリマチ・ピンベリー。」
「ピンベリー、俺はガムでいい。」
そう頬を撫でられても、こちらからの略称呼びは命に関わる。
恋人役とはいえ、この部屋にいる間だけの仮初め。
「……ありがとうございます。キリンガム……様。」
彼は眉間にシワを寄せると血が滲んだ指先を慈しむように舌でなぞった。
「ひゃ……」
ぬるりとした熱い感触が、思考を痺れさせる。
「……なら俺もハリと呼ぶ。ピンベリーと呼ばれたきゃ愛想よくしろよ。」
キリンガム聖は喉を鳴らすと私の腰を抱き寄せて腕を優しく撫でた。
「……それとなァ」
彼の通った鼻筋が首筋に当たり、深く息を吸い込んだかと思うと熱い吐息を落とした。
「今日からお前は、俺だけのハリだ。……俺がお前の人生を買った。……この意味、分かるか?」
身体に回された腕の力が強くなる。
「他の誰の人生にも何人たりとも関わらせねェ。……お前が針を通すのは俺の人生だけで充分だろ?」
放たれた言葉は胸の奥で甘く転がり落ちて、部屋に響いた。
「買っ……買った?」
その言葉は救いというよりも、新たな飼い主に変わったという宣言にしか捉えることができない。
一言一言が逃れられない呪いの糸を縫い付けるかのように私の胸に突き刺さった。
「ああ。」
彼は短い言葉を漏らすと私の頭を手で押さえつけて固い抱擁をした。
まるで私という概念を自分の中に刻み込もうとするかのように、ゆっくりと彼の腕が背中を擦る。
「俺はお前の願いを二つ聞いた。一つは自由か眠酔化かの選択を。そして一つは恋人として願いをだ。」
キリンガム聖の指先が首筋に触れる。
「次はお前が俺の願いを聞き入れろ。まず一つは……俺を愛せ。」
予想外な言葉に頭が混乱して脳裏に様々な返答パターンが浮かんでは弾けて消えた。
「愛する……。」
わけも分からないまま手を伸ばして彼の髪を撫でると、落胆を滲ませた深い溜息が漏れた。
「ハリよぉ……お前なぁ……。」
困惑の顔を浮かべる彼の顔は私がいつも目にしているお寝坊で惚けた顔をした彼そのもので、思わず笑みが溢れた。
「ふふっ……本当に同一人物なんですね。」
しばらく彼の頭を撫でていると、彼も同じように手袋を外して私の頭を撫で始めた。
「だから始めからそう言ってるだろ……。」
彼の固い指先は繊細で労る配慮が感じられて……まるで本当の恋人になれたかのような錯覚を覚えた。
「で、次の願いを聞き入れる番だ。……俺を受け入れろ。」
「受け入れる……。」
言葉の真意を測りかねて沈黙してしまった。
その態度に失望したのか、撫でていた彼の手が止まる。
『愛せ』という抽象的な指示ではなく、具体性を帯びた命令。
彼の瞳には飢えた獣のような怒りが混じっていた。
「……それは、具体的には……どういうことでしょうか?」
私の間抜けな問いに対して答えを導くように、私の首筋に尖った歯が立てられた。
「痛いです……」
出血しない程度に皮膚に触れた鋭利な刃により、命を摘まれることを予感させる緊張感がゾクリと背筋を駆け抜けた。
「……俺が言ってるのはなァ、お前の心の中に俺を縫い付けろって言ってんだよ。」
「縫い付ける……?」
彼は顔を上げ、射抜くように私を見つめた。
「天竜人としての俺も、神の騎士としての俺も……全部。ただの男としてお前の中に居場所を作れ。」
居場所……。
それは自由を差し出すよりも無茶難題だ。
彼を単なる天竜人の一人として畏怖し崇め奉っている方が何も考えなくて済む分、ずっと楽な状態で。
その容易さを捨て、彼を個として彼の持ちうる弱さまでもひっくるめて受け入れるということは……。
仕立て屋と騎士団の団員という身分差に目を瞑れということで……。
「……分かりました。……キリンガム……様。」
恐る恐るその広い背中に腕を回した。
「ん……ハリ……。」
固い抱擁を交わす。
……これでいいんだよね?
「貴方のすべてを受けいれます。……恋人としての役割ですから。」
私の返答に満足げに喉を鳴らすと、躊躇いなく私の唇を奪った。
「ん……ふ?」
彼は背中を丸めながら貪るように口付けを繰り返す。
「んっ……ん……」
唇の輪郭をなぞる様に柔らかい皮膚が重なりあう。
壁一枚隔てた外側の世界では決して許されることのない体温の交換に思考がショートしたように真っ白になった。
「ん……キスはどうだった?」
唇が離れると、彼は私を抱き上げてソファの上に押し倒した。
「あ、の……。キリンガム様……。」
冷たい指先が私の髪を優しく撫でて絡めとった。
肉体に直接感じた心地よさについ身を委ねて、瞼が閉じそうになるのを必死に堪える。
「……キリンガム様。」
彼は一瞬驚いたように目を見開いた後、フッと笑った。
「……そうじゃねェだろ?」
再び唇を重ねられた。
より深く長く、感情を押し付けられるように。
「っ……ん…私はぁ……」
息継ぎのために唇を開くと舌がぬるりと滑り込み、上顎を擽り撫でる動きに背筋が震える。
「受け入れろ……ハリ。」
熱と体を構成する液体を交換する口付けは全身を痺れさせ、甘く胸を締め付けた。
どうしていいか分からず、その蕩けるような快楽に身を委ねるように彼の背中に手を回した。
「っ……は……ぁ」
唇が離れて苦しい呼吸を整えようと肩で息をする私を見下ろすと、首筋にそっと指が触れた。
「切ない顔して……この痕は契だ。……誰にも見せるんじゃねェ。」
そう言って彼はもう一度唇を落とした。
何度も優しく、壊れやすいガラス細工を愛でるように。
狭い作業部屋の中に甘い香りと、鉄の匂いが混じり合って噎せ返りそうだ。
外の世界がどれほど荒んでいたとして、傍から見れば今の私たちはただの愚かな男と女。
まるで恋人同士だった。
「愛してやる……。」
彼の大きな手がブラウスのボタンに指を掛けた。
私はじっと身を委ね、見ていることしかできない。
プチップチッとフロントのボタンが外れると胸元にひんやりとした空気が触れて全身のうぶ毛が逆だった。
「緊張するな……どんななりでも男と女は同じ事をする。」
大切なプレゼントの包装紙を捲るようにブラウスの上半分を広げられると、肌が晒された恥ずかしさで目を伏せた。
「……綺麗だ。」
そう呟くと泡を撫でるようにそっと指先が肌に触れた。
「……っう」
指先の冷たさに思わず肩が跳ねると、彼は目を細めて口元を緩めて笑みを零した。
「安心しろ……痛くはしねェから。」
固い皮膚が首筋から胸元までゆっくりと滑り落ちていく。
硬度を確かめるように触れる手つきは、まるで神が御子を導く神聖な儀式のようで息を呑んだ。
「……ぅ……はい」
その手が胸に辿り着くと乳房を両手が優しく包み込み、円を描くように揉み込まれては時折先端を指で摘まれた。
「ぁ……っ……んっ」
出してはいけない甘ったるい嬌声が漏れ出てしまい、慌てて手で口を塞ごうとすると直ぐに制されてしまった。
「いちいち我慢すんな……」
彼は不敵な笑みを浮かべると胸の突起を口に含んだ。
「あぁ……はぁっ」
舌先で先端を転がされる度に甘い痺れが全身を走り抜けた。
「っあ……や……そこは」
思わず手で口を覆うと、それを咎めるように手首を掴み取られてしまう。
「……隠すな。全部見せろ。」
再び乳房に吸い付かれ、もう片方の乳房の先端も指先で弄ばれると快感に身体が跳ねてその度に頭に真っ白になる。
「ん……ふ……ぅ……」
必死に声を抑えようと唇を噛んでいると彼の指が制止するように口内へ侵入した。
「声……我慢すんなって言ったろ?」
舌を二本の指で挟み込むとくちゅくちゅと音を立てながら擦り合わされて鳴る淫靡な音に身体が反応して火照りを増した。
「あ……っ……やぁ……んむ……っ」
その間も舌による乳房への愛撫は休むことなく続き、何度も性感帯を責め立てた。
「すっかり蕩けた顔になったな、ハリ。」
唾液を何度も塗り込まれ、段々と思考するスピードが衰えていく。
「あぁん……はぁ……ぅう」
この後どうすればいいのか、何を言ってどのような態度をとればいいのか何も考えられなくなり、ただ彼に与えられる快楽に身を委ねた。
「……そろそろ頃合いか。」
「ハリ……気を保てよ。」
私の口から指を引き抜くと、涎を絡めたままスカートの中に差し込んで太腿を撫でた。
「っ……ああ」
思わず足を閉じようとするが、彼の屈曲な身体に阻まれて敵わない。
湿り気を帯びた指を内股に手を這わせると、ゆっくりと足を開くように付け根を押して促した。
「はぁ……あっ……」
私は何の抵抗もできず、されるがままにそれに従った。
「……もう濡れてんのか?」
下着越しに秘部に触れられるとジワッと愛液が布に染みたのが分かって顔が火が出るように熱が放たれた。
「これしきのことで……いちいち照れるな。」
グッと入り口を押さた瞬間、激しい電流のような快感がつま先を貫いて背中が仰け反り、体を大きく捩らせた。
「っひぁ……やめ……そこ……っ」
キリンガム聖は鋭い歯を剥き出しにして笑った。
「嫌じゃねェだろ?……もっと気持ち良くしてやるよ。」
そう言いながら私の下着をずらし、直接秘部にフニフニと触れた。
既に潤っていた腟内にくちゅりと長い指が差し込まれ、膣壁を押し広げるように抽挿する動きをする度に腰が浮ついて、無我夢中で彼の背中に手を回した。
「あっ……ん……や……ぁ……」
グリュグリュとナカをかき混ぜられるたび喉の奥が渇きを覚える。
「……ここか?」
ある一点を指先掠めた瞬間に今まで感じたことのないような快感に襲われてガクガクと全身が跳ねて脚をキリンガム聖の腰に巻きつけてしまった。
その反応を見ると、彼は狙いを定めたように執拗にそこばかりを攻め立て始める。
「っあ……そこ……だめ……っ」
指の腹でトントンと叩かれる度に目の奥で火花が散った。
「駄目じゃねェだろ?こんなに悦んで……。」
長い指が膣内を往復する度にくちゅくちゅと卑猥な水音が響き、恥ずかしさのあまり耳を塞ぎたくなる。
「あぁ……もぅ……だめ……ぇ」
来たる快感に備えて体を強張らせると指がズボッと抜かれた。
息を整えて安堵する間もなく、今度は彼の舌が私の秘部を縦横無尽に舐めずり這った。
「っあ……やめ……汚いですからぁ……」
慌てて足を閉じようとするものの快感に伴う脱力で力が入らない。
「うるせェ……命令するな。」
彼はお構いなしにその中心にある陰核を口に含んで扱いた。
「ダメぇ……そこぉ……」
舌が這い回る度、強い快感が全身を駆け巡る。
「ん……やぁ……」
つま先がぴんっと反り絶頂が近い気配を感じて身構えると、舌が秘部から離れて舐め取った愛液を見せつけるように舌なめずりをしてみせた。
「はぁー……はぁ……」
行き場を無くした熱を発散する事が出来ず荒い呼吸をしていると顎を掴まれ、雄の顔をした彼が意地悪な笑みを浮かべた。
「まだイくな。……俺がいいと言うまで、我慢できるな?」
彼は再び下がると太ももに口付けをしながら、再び秘部へと指をズブズブと埋め始めた。
「あ……まって……まってくださ……」
今度は二本同時に挿入され、圧迫感を増した指に膣がキュウッと収縮するのを自分で感じた。
「あっあん……」
二本の指で膣内を掻き回される度グポッグポッと音を立てた。
「待ってじゃねェだろ?」
長い指は容易に奥まで届き、既に暴かれてしまった弱点を掠める度に喘ぎ声が漏れる。
「ゃ……あっ……あ……」
私はただ、媚びた痴態と嬌声を彼に提供することしかできない。
「ここが好きか?……もっと触ってやるからな。」
彼は執拗にそこを攻めた。
指の腹でぐりぐりと押し潰すように刺激を与えられるたび、喉の奥からの渇きに耐えかねて舌を出し呼吸が浅くなる。
「っひあ……だめです……もぅ……イッ」
呆気なく達してしまい、秘部からは潮吹きで噴き出した愛液が流れ落ちている。
キリンガム聖の「許可なくイって」しまった。
「申し訳……ありませ……勝手にイってしまいました……」
彼はゴクッと生唾を飲み込むと指による愛撫を再開した。
「……いまイっ……イッたばかりで」
「知ってる。勝手にイッた罰だ。」
短い返答の後、更に強い力でそこを擦り上げられ、あまりの快感に腰が跳ね上がり背中が大きく仰け反った。
「ひあぁ……もうや……またイっちゃ……」
指の動きが激しさを増し、同時に陰核をぐりっと押し潰されると激しい快感が痺れとなって再び絶頂をもたらそうとした矢先に突然手の動きが止まった。
「まだイッていいと言ってねェよな?」
彼は笑みを零して太ももに唇を落とし、キツく吸い上げた。
痛みを伴った赤い痕がじんわりと浮き上がり、所有物である証が刻まれた思いと退路が防がれた焦りで心臓が高鳴る。
……もう元の関係性には戻れない地点まで来てしまった。
「……そろそろいいか。」
「俺を受け入れろ……」
隊服のズボンを下げると既に猛ったモノを取り出した。
初めて見た彼のモノは一般的な人間のそれとは比にならない大きさで息を呑んだ。
キリンガム聖と私では倍以上の体格差があることは承知の上、理解していたつもりではあったが……このサイズのモノをナカに無理やり挿入された場合……最悪、死ぬかもしれない。
「ほら……ほぐしてやっただろ?」
私の脚を開かせてその間に割り入ると、秘部にモノの先端をあてがった。
「あ……っ」
モノが触れただけで甘い吐息が漏れ出て受け入れる態度を勝手に取ってしまう。
「力抜いてろよ。……痛みが最小限になるように軟膏を塗っておいた。」
私の頭を撫でながらゆっくりと先端をズプッ埋め込むと膣口が受け入れられず肉襞がプチプチと悲鳴を上げた。
「んっ……」
指や舌とは比べ物にならない質量と激しい鈍痛に思わず息が詰まり、呼吸を忘れる。
「おい、息止めんな。……リラックスしろ。」
彼は頬を優しく撫でながら唇を奪い、舌を捩じ込んませた。
「ん……ふ……っ」
舌同士が擦れ合う度、勝手に脚がキリンガム聖の腰を挟み撫でるように動いて身体の力が抜けていく。
脱力しかかると一気に奥まで突き上げられた。
「っ!んんぅ……!」
あまりの衝撃に意識を失いかけると舌をジュルリと吸われ快感により引き戻される。
彼のモノを辛うじて受け入れた膣内はギチギチになり隙間なく拡張していた。
「……一応入ったな。流石に全部は無理か。」
ナカに入ったモノの在り処を探すように下腹部に触れられると、その僅かな刺激を敏感に感じ取ってしまい腰を浮かせた。
「あ……あ……」
彼は額に口付けをするとゆっくりとしたスローペースで抽挿し始める。
「こんだけ狭ェと……動くのも厳しい……」
ヌチュッヌチュッと淫らな音を立てながら膣内を擦られる度激しい快感に襲われた。
「イ"ッ……あ"っ……」
抽挿が繰り返される度に愛液が溢れ出て太ももを伝った。
「……お前の中……締め付けがッ……」
初めて聞く余裕のない声色。
「そんなに俺に愛されたかったか……」
耳元で囁かれコクコクと頷くと腰を掴まれて激しく腰を打ち付けられた。
「あっあっあっあっあ"あっ」
子宮口を突かれる度に目の奥で火花が何度も散った。
溢れ出る涙で頬を濡らすとそれを舌で舐め取られて更に動きが早まり肌同士がぶつかるパンッパンッという乾いた音が部屋に響き渡った。
「今だ、今イけッ……」
ドチュンという衝撃を伴いながら最奥を突かれ、絶頂した。
「ああぁぁっ……」
それと同時に膣内がギュウッと収縮し彼のモノをキツく締め上げて射精を促すとビュルルッと精液が放たれた。
「はッ……ハリ……受け止めろ」
ズルリと引き抜かれ、ぽっかりと穴があいた秘部からとろりと白い精液が垂れ落ちるのを彼は満足そうに眺めていた。
「これでお前は俺の女だ……もう誰にも渡さねェ。」
優しい声色で頬に唇を何度も落とされながら抱きしられると私も彼の背中に回した手で優しく撫でた。
「はい……貴方のものです。」
「股を開け。」
彼は未だに衰えを見せず硬さを保ったままのモノを再び秘部にあてがった。
「……まだするんですか?」
秘部からは血が滲んでいてじんじんとした痛みが走っている。
「ああ?当たり前だろうが……」
開けた道を確かめるかのように再び私の中へモノを押し入れ始めた。
「無理です……これ以上は」
天竜人に対して決して口にしてはいけない否定の言葉。
「無理じゃねェだろうがよッ」
私の言葉を遮るように彼の舌が唇をこじ開けて、口内と腟内を同時に蹂躙しながら腰を打ち付ける速度を上げていく。
「んむふぅ……」
息苦しさから逃れようと顔を背けようとしても顎を掴まれて目の前の快楽へと引き戻される。
「っ……締め付けんな……一緒にイけ、ハリ」
彼のモノが大きく脈打ったのを感じると同時にドクドクと熱い精液が放たれ、吐き出された欲望を受け止めた。
「はぁぁ……」
ズルリと引き抜かれる時にすら甘い痺れを感じ、乱れた呼吸を整えるのに一杯一杯だった。
「この程度でへばってんじゃねェ……これからもっと凄いことをするんだからなァ……何か分かるか?」
……凄いこと?
肉体関係以外ならば……拷問?
キリンガム聖は唇を重ねると下腹部を撫でながら囁いた。
「本気の子作りだ。ここにたっぷり注いでやるよ……俺の子種をな。」
子作り……?
天竜人の……夫人に……
人間がなれるわけがない。
私は買われた。
恋人役という玩具として。
もうこの役目からは逃げられないのなら……。
「はい……どうか子種を下さいキリンガム様。貴方の子種で孕みたいです。」
その役目を演じきって見せよう。
おもむろに自ら足を開き彼を受け入れる体勢を取ると彼は一瞬驚いた後、悪い顔を浮かべてみせた。
「……その誘い文句は悪くねェな。……望み通り、たっぷり注いでやるよ。」
彼は開脚した太ももを掴むと一気に最奥まで貫いた。
「お"ほっ……」
そのまま激しいピストン運動が始まり、ただ快楽に喘ぎ藻掻くことしか出来ない人形のように振る舞った。
「あっあん……お"っ……怖いっ……」
目の前にいる獰猛な雄という個体に快感とは違う緊張感がゾクッと背中を走る。
「怖くねェだろ……お前はそのまま気持ち良くなってろ。」
彼は苛立ったように首筋に歯を立てた。
その瞬間に頭のてっぺんからつま先まで激しい快感が電流のように走り抜けた。
「く……ッ出すぞ……!全部受け止めろよハリ……」
唸り声を上げると熱い飛沫が子宮内に流れ込んでくる感覚に何度も絶頂して指を握った。
「はぁ……はぁ……」
頭がくらくらする。
暫く快感の余韻に浸りながら互いに息を整えると、彼はゆっくりとモノを引き抜いた。
膣からコポッと精液と愛液が入り混じった白濁の液体が溢れ出ている。
「ありがとう……ございました。キリンガム様……」
上半身を起こそうとすると逞しい腕により制止された。
「おい……まだ終わりじゃねェから。」
「え……?」
これ以上されたら……それこそ死んでしまう。
「これで終わりなわけねェだろ。……俺の子を孕むまで何度でも犯して……愛してやるよ。」
突き放すように吐き捨てると再び私に覆い被さった。
その瞳には情欲のみが宿っている。
私はこれから訪れる快楽に期待と不安を抱きつつ彼の背中に腕を回した。
もう逃げ道など……無いのだから。
「はい……キリンガム様……」
、、、
「ん……んっ……あ……っ」
数え切れないほど彼の欲望を受け入れ続けた。
「無理です……あっ……」
涙を流しながら懇願しても聞き入れてられるはずもなく、ただ私は彼にされるがままだった。
「どうした?まだ休むには早ェだろ……」
両脚を思い切り拡げられると結合部分を見せつけるようにして再び腰を動かし始めた。
あまりの羞恥に顔を背けようとするも、彼に顎を掴まれ阻止されてしまう。
「っやぁ……んっあぁ」
「出す」
子宮内に大量に精液が注がれ、その熱に浮かされて思考が蕩けていく。
彼は最後の一滴まで注ぎ込もうとするように腰を動かし、全て出し切るとようやくモノが引き抜かれた。
秘部からドロッと溢れ出す白濁の液体をぼんやりと見つめることしか出来ない。
「おい。」
気怠い身体をなんとか動かして彼の方に向き直ろうと顔を向けた。
「もう一回だ。」
、、、
「っあ……は……」
酸欠になりながら必死に酸素を取り込もうと口を開くたびに舌が捩じ込まれる。
「お前が孕むまで……本気の子作りだと言っただろ?」
、、、
「もう今日は終わりだ。ゆっくり休めよ……。」
彼は何度も私の頭を撫でた。
抱きしめられている今の私には服という布地の壁があった。
それに名残惜しさを感じながらも安堵する。
「はい……キリンガム様。」
私のよく知る黒い龍ような姿をした彼がそこに居た。
「……お前は俺の女だ。誰にも触れさせねェ。」
そう言うと再び私に口付けた。
惚けた顔をしたその優しい風体で。
口付けは今までにされたもののどれよりも蕩けるように甘く甘美で、私が親しみを覚えていたキリンガム聖はもう居ないという事実を思い知らされる。
「最初に言っただろ?お前は俺の恋人役だと。」
何も答えられず、ただ彼を見つめることしかできなかった。
私は夢を見ていたんだ。
あとがき
流石にハリマチ・ピンベリーはダサい