ONE PIECE ―紫電の副船長(レイル・ロード) 作:烏丸レン
1. 蹂躙される海賊船と、震える少年
東の海のどこか、波間に浮かぶ一隻の豪華客船。それを襲撃していたのは、この海域で「金棒のアルビダ」として恐れられる女海賊の船だった。略奪の叫びと悲鳴が飛び交う中、アルビダの船の食料庫では、一人の銀髪の男が悠然と樽入りのワインを煽っていた。
「……ハッ、東の海の海賊なんてのは、酒の味も知らねぇらしい」
アルフォンス・D・レオンは、不味そうにワインを床に捨てた。その傍らには、樽の中に隠れていたルフィが、幸せそうに骨付き肉を頬張っている。
「もごもご……おいレオン、この船、肉はいっぱいあるぞ!」
「肉より先にマシな女を探せ、ルフィ。……おい、そこに隠れてるメガネ」
レオンの鋭い視線が、物陰でガタガタと震えるピンク色の髪の少年、コビーを射抜いた。コビーはあまりの威圧感に、腰を抜かしてその場にへたり込む。
「ひっ……! 助けてください、殺さないで!」
レオンは冷笑を浮かべ、コビーの首根っこを掴んで強引に引き寄せた。銀髪の隙間から覗く冷徹な瞳が、コビーの心の奥底を見透かすように光る。
「殺す価値もねぇな。だが、その怯えきったツラ……虫唾が走るぜ。おい、ガキ。お前は何のために生きてる? そのクソ女の雑用をして、一生を終えるつもりか?」
「そ、そんなの……アルビダ様は怖いし、逆らえるわけないじゃないですかっ!」
「……教育が必要だな」
レオンはコビーを突き放すと、腰のタバコに火をつけた。紫煙が食料庫に漂う。
「いいか、ガキ。この世には二種類の人間しかいねぇ。蹂躙する側か、される側かだ。お前が『される側』でいたいなら、そのままそこで震えてろ。だが……もし一瞬でも『自由』を夢見たなら、その足で地を蹴ってみせろ」
2. 傲慢なカリスマと、醜女への断罪
「誰がクソ女だってぇ!?」
食料庫の天井が、巨大な鉄棍によって粉砕された。瓦礫と共に降り立ってきたのは、肥大した肉体を持つ女海賊、アルビダだった。彼女の背後には、武器を構えた数十人の手下たちが控えている。
「この海で一番美しいアタシに向かって、よくも抜かしたねぇ! その銀髪、むしり取って豚の餌にしてやるよ!」
レオンは眉一つ動かさず、吐き出した煙をアルビダの顔に浴びせかけた。
「……美しい? 鏡が割れていないのが不思議なレベルだな。おい、ルフィ。この化け物、お前の好みか?」
「いいや! 全然っ! おっかねぇおばさんだ!」
ルフィの無邪気な言葉に、アルビダの顔が怒りで土色に変わる。
「殺せ! 一人残らず切り刻め!」
手下たちが一斉にレオンとルフィに襲いかかる。ルフィが拳を固めた瞬間、レオンがその前に一歩踏み出した。
「ルフィ、手出しは無用だ。……『教育』の時間だと言ったはずだぜ」
レオンの右手が、腰の刀の柄に触れる。抜刀した形跡すら見えない。
「瞬刃(しゅんじん)」
キィィィィィン、と鼓膜を劈くような高音が響く。次の瞬間、襲いかかった十数人の手下たちの武器が、一斉に真っ二つに折れて床に落ちた。さらには彼らの服のボタンやベルトだけが正確に切り裂かれ、男たちは下着姿でその場に呆然と立ち尽くす。
「な……!? 何が起きた!?」
「瞬きをするな。次は首が飛ぶぜ」
レオンの身体が青白い火花を散らし始める。「バリバリの実」の能力が、彼の血流を加速させ、細胞を活性化させていく。
「雷穿(らいせん)」
レオンが指先をアルビダに向ける。放たれた極細の電撃ビームは、彼女の持つ巨大な金棒を瞬時に熱し、真っ赤に溶かした。熱さに耐えきれず金棒を放り出すアルビダ。
「あ、アタシの金棒が……! 貴様、能力者か!」
「跪け。その醜い面を床に擦り付けろ」
レオンは電光石火の速さでアルビダの懐に潜り込むと、その太い首筋に冷たい刀身を添えた。圧倒的な死の気配。アルビダの額から脂汗が滝のように流れ落ちる。
「……ひ、ひぃっ……助けて……」
「フッ、美しいレディなら助けてやったんだがな」
レオンは刀を鞘に納めると同時に、掌をアルビダの腹部に押し当てた。
「雷牙(らいが)」
至近距離での高圧放電。アルビダの巨体は雷光に包まれ、そのまま甲板を突き破って海へと吹き飛んでいった。後に残された手下たちは、腰を抜かしてレオンの前に平伏するしかなかった。
3. 略奪の報酬と、少女の誘惑
戦いの後、客船の乗客たちは解放された。レオンは混乱に乗じて、一人の美しい貴族の少女を船室へと連れ込んでいた。恐怖で震えていたはずの少女だったが、レオンの銀髪と、敵を圧倒したその力、そして何よりその危険な色気に、いつの間にか熱い視線を送るようになっていた。
「……レオン様、お助けいただき、何とお礼を言えばよいか……」
「礼? 言葉はいらねぇよ。お前のその体で、俺を満足させてみせろ」
レオンは少女の細い腰を引き寄せ、乱暴にソファへ押し倒した。
「あっ……レ、レオン様、いけません……誰かが見て……んっ……」
抵抗の言葉は、レオンの強引な接吻によって塞がれた。彼の舌が少女の口内を蹂躙し、支配を刻み込んでいく。レオンの手は既に彼女のドレスの紐を解き、剥き出しになった白皙の肌を愛撫していた。
「嫌か? 身体は正直だな……こんなに震えているぜ」
レオンの指先が、微かな電撃を伴って少女の敏感な場所をなぞる。チリチリとした刺激が快楽を増幅させ、少女は声を殺してのけ反った。レオンの「バリバリ」の能力は、戦闘だけでなく、女を悦ばせるための「道具」としても完成されていた。
「あぁっ、すごい……何、これ……っ! レオン、様、もっと……お願い……っ!」
「フッ、傲慢な俺の女になるなら、この程度で音を上げるなよ」
レオンは欲望のままに少女を抱き潰し、その嬌声を糧に勝利の美酒を味わった。
4. 旅立ちの船
一刻後、レオンは満足げに船室から出てきた。髪を整え、再びタバコをくゆらすその姿は、先ほどまで女を蹂躙していた男とは思えないほど冷徹で気高い。
甲板では、ルフィとコビーが小さな脱出用ボートを用意して待っていた。
「おい、レオン! 遅いぞ! お前、何やってたんだ?」
「……少しばかり、報酬を受け取っていただけだ。おい、メガネ」
レオンは、まだ震えが止まらないコビーの頭に手を置いた。
「アルビダはもういねぇ。お前を縛る鎖は消えた。……これからどうする?」
コビーは顔を上げ、涙を拭った。レオンの圧倒的な強さと、その傲慢なまでの生き様を目の当たりにし、彼の心には小さな火が灯っていた。
「ぼく……ぼくは、海軍将校になりたいです! そして、悪い奴らを捕まえるんだ!」
「ハッ、海賊の俺を捕まえるってか? 面白い。精々、俺の影を追って強くなれ」
レオンはボートに飛び乗ると、ルフィの隣に座った。
銀髪を潮風に躍らせ、レオンは不敵に笑う。東の海の「狂犬」が、ついに自由の海へと解き放たれた。それは、世界が最も恐れる「副船長」の伝説が、幕を開けた瞬間であった。