※この作品はR-18です。

ONE PIECE ―紫電の副船長(レイル・ロード)   作:烏丸レン

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格

1. 埋まらない「格」の差

ゾロは荒い息を整えながら、自分の刀を見つめた。世界最強の剣士、ミホークを目指して海に出た。それなりの自負もあった。だが、今目の当たりにしたレオンの剣術は、これまでの修行の次元を遥かに超えた「極致」だった。

 

(……一歩も、動けなかった)

 

能力を使わず、ただの抜刀術だけで自分の三刀流を封じ、喉元に刃を突き立てたあの速度。単なる「速さ」ではない。敵の動きのすべてを予見し、最短最速で死を突きつける、圧倒的な「天才」の戦闘感覚。

 

「おい、ゾロ……。大丈夫か?」

 

ルフィが心配そうに声をかける。ゾロは無言で刀を鞘に収めると、レオンが消えた船室の扉を真っ直ぐに見据えた。

 

「……ルフィ。あの野郎、ただの女好きじゃねぇな」

 

「ししし! 当たり前だろ! レオンは強ぇんだ!」

 

「ああ……分かってる。だが、あいつは俺にとって、ミホークの前に越えなきゃならねぇ『壁』だ」

 

2. 誓いと目標

ゾロは、レオンが先ほどまで立っていた場所に歩み寄り、そこに残る微かな焦げ跡を指でなぞった。熱い。レオンの剣が放った摩擦熱が、まだ甲板に焼き付いている。

 

(あいつの隣に立つのが『副船長』の席だって言うんなら、俺は今のままじゃあ話にならねぇ)

 

これまでのゾロは、ルフィを船長として認めつつも、自らの力に絶対の自信を持っていた。しかし、レオンという「圧倒的な格上」を目の当たりにしたことで、彼の中に新たな「飢え」が生じていた。

 

「レオン……。てめぇの背中を、ただ眺めてるつもりはねぇぞ」

 

ゾロは不敵な笑みを浮かべ、そのまま甲板で腕立て伏せを始めた。レオンが見せたあの「瞬」の領域。それを捉え、いつかその喉元に自分の刀を突きつけること。それが、ゾロがこの船で自分自身に課した新たな試練となった。

 

3. 副船長への敬意

その夜、宴の喧騒の中でもゾロは酒を控え、ひたすら素振りを繰り返していた。

そこへ、レオンの部屋から出てきたばかりのベルが通りかかる。彼女の顔は赤らみ、その瞳にはまだ恍惚とした色が残っていた。

 

「……ゾロさん。レオン様に挑むのは自由ですが、あまり無茶をなさらないことですわ。あの方は、努力でどうにかなるような次元におられる方ではありませんから」

 

ベルの言葉には、レオンに対する狂信的なまでの崇拝が混じっていた。ゾロは汗を拭い、ベルを一瞥して鼻で笑った。

 

「努力で届かねぇなら、それ以上の何かを掴み取るまでだ。……あいつは傲慢だが、その強さだけは本物だ。俺は、あいつをこの船の『副船長』だと認めてやるよ」

 

レオンという「目標」を得たことで、ゾロの成長速度は加速していく。ルフィを王にするために、そしていつか、あの銀髪の天才を越えるために。

 

麦わらの一味の二番手と三番手の間には、この日、強固な「師弟」にも似た、しかし殺伐とした「競い合い」の絆が刻まれたのだった。

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