IF版 進化したら人外系お姉さんになる雑魚モンスの俺、飼い主♀の性癖を破壊する 作:霧夢龍人
あれはウソだ。
腕の中のメルが可愛い。
ソファーで寛いでるモウガンとは対照的に、私に抱かれて緊張しているのかな。
揶揄う目的で背中を軽くツーっと撫でれば、「うきゅっ!?」と驚いて私に抱きついてきた。
可愛い。
昼間のイライラが嘘みたいに霧散していく。
でも───。
「ねぇ、メル」
「うきゅ?」
「そのマーキングされてる時さ」
やっぱり首元の紋様は気に入らない。
「気持ちよかった?」
思い出すのは頬を軽く赤色に染めたメルの姿。嫌そうにしながらも、焔のロリっ子モンスターに噛むように促された時は、同じようにマーキングしようとしていた。
分かってる。
これはただの八つ当たりに近いんだって。
メルにはメルなりの考えがあって私たちを守ろうとしてくれたし、私も一々それを責めるべきじゃない。
それでも私は、メルが私以外にしっぽを振るのが気に食わない。
「……う、うきゅ」
私の質問にマーキングの事を思い出したのか、恥ずかしそうにムズムズと顔を逸らすメル。
そっか、そんなに気持ちよかったんだ。
あんなに私にくっ付いて、頭を撫でれば嬉しそうに微笑んでくれたのに。
「ねぇ、メル」
メルを深く抱き寄せた後、私は小さなメルのお腹辺りに腰を下ろした。私がメルを見下ろして、上から抑えこむ形。
もはや私の服は意味をなさない。
きっとメルには私の全てが見えているはずだ。
恥ずかしさは無かった。
ただ彼女の首元の紋様が気に食わなくて、胸の奥がムカムカして、上書きしたいと思ったから。
「君が悪いんだよ」
私はメルの首元に、口付けをした。
──冷たい。
チビスラだからなのか首筋はひんやりしていて、啄む唇を心地よい冷たさが包む。まるで冷静じゃない私を正気に戻すかのような温度は、余計にその熱を加速させた。
メルは何も言わない。
ただ快感を我慢するように耐えているその表情は、私にえも言われぬ罪悪感と背徳感を引き起こした。
ベッドシーツが粘液で溶けていく。
メルの身体から分泌されるソレはヌルヌルしていて、服に見える部分から白くて艶やかな肌が露になる。その癖に私が触れても痛みも何もないのだから、色々な意味で都合のいい。
太腿をツーッと撫で、耳を優しく甘噛みする。
「んきゅっ……」
切なげな声が零れるメルの瞳は、吸い込まれそうな程美しい。甘く甲高い鳴き声が、人の言葉じゃなくて本当に良かったとすら思う。焔を形作る肩の紋様も、私以外に付けられたこと以外はメルの魅力を引き立たせる材料になっていた。
「駄目だよ、メル。そんな声漏らしたら……期待してるように見えちゃうから」
私がそう言えば、ぎゅっと目を瞑って顔を逸らす。
本当は、期待してて欲しい。嫌がってるようにも、快楽を我慢してるようにも見える表情は、ドロドロした感情を齎した。
やっぱり喋って欲しいかも──なんて、私に都合がよすぎるかな。ただのパートナー同士でしかない上に、出会ったのも数日前のこの関係を壊そうとしてる自分が言えた義理じゃないけど、そう思わざるを得ない。
もしメルが嫌がってたら、どうしよう。
もし気持ち悪いと思われてたらどうしよう。
もしメルが……。
そんなことを考えてるうちに、頭が冷静になった。
「……ごめん、嫌だったよね。私、ちょっとどうかしてた」
メルの上に覆い被さっていた私はゆっくりと身体を離した。いつの間にかメルの身体から服は溶け消えていて、お互いの体温がはっきりと分かる。本当はもっとくっ付いていたいし離れたくない。
けどそんなのは私のエゴだ。
種族だって違う。性格も、好みも、年齢も、種族すら違う。一緒なのは性別だけ……って余計ダメか。
だから──。
「頭、冷やしてくるね」
──泣きそうな顔を見られないように、メルから離れようとした。
その時だった。
「きゅ」
「え?」
ベッドから降りようとしていた私の足に絡みつくナニか。ふと視線を向ければ、メルの粘液と私の汗でドロドロになった触手が太ももにべったりと巻き付いていた。
反射的に解こうとするも、全く抜け出せる気がしない。
それどころか、ヌルリと別の触手が現れたかと思えばもう片方の足にも巻きついてきた。逃がさない、と言わんばかりにぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「メ、ル……?」
戸惑いを含んだ声で名前を呼ぶ。
どういうこと?と問いかけようとして──言葉が、喉の奥で詰まった。というより、生ぬるい感触が開こうとした私の口を塞いだんだ。
情欲に濡れた顔を浮かべたメルにぐいっと身体を抱き寄せられ、小さな舌で歯をこじ開けられる。そして私の舌をうねる感触が刺激したかと思うと、そのまま絡め取られてしまった。
……何されてるんだ、私は。
状況の整理がつかない。ベッタリと濡れた触手がメルと自分とを縄のように結びつけ、ドロドロな粘液が透明な橋を築く。生ぬるいはずの風が冷たく感じるほど、私たちは密着している。
「っあ、ふっ……ん……」
「んきゅっ、きゅあきゅあ」
声が漏れるのも構わず小さな舌を刺激し、舐め合い、絡め取る。その度にメルの瞳はハートを描き、静かに明滅するスライムの紋様が、快感の度合いをはっきりと教えてくれる。
気が付けば、私は尻もちをついていた。
恥ずかしながら、経験したことのない気持ち良さに腰が砕けてしまった。そのせいで互いの顔は離れ、はぁはぁと情けなく荒い息を晒してしまう。
だって仕方がない。
恋愛をしたことがなかったし、自分の好きなタイプはカッコよくてリードしてくれる男性だと思っていたから。
でも──そんな私を見て、膝の上に腰を下ろし、更にキスを求め続けるメルと触れ合うだけで。
「もっと……お願い」
高鳴る心臓は、もう偽れない。
「っ!?いきゅ…ぅっ……♡」
露出した小さな乳房を、指で優しく摘んだ。
反応は劇的だった。淡く明滅するだけだったスライムの紋様が更に赤みを帯び、光り続けている。取り巻く触手も感覚を共有しているのかブルブルと僅かに震え、粘液がどろりと溢れ出した。
「まさか、イっちゃった?」
「…………んきゅ」
胸の周りを円を描くように指先で撫でながら問いかけると、恥ずかしそうに首を縦に振るメル。ほんと、いつ見ても惚れ惚れするくらい整ってるよね。
可愛くて色気があって……もっと意地悪したくなる。
柔らかい胸の中心、手のひらに密かな硬さを主張するその部分を、今度は口元に含んだ。舌先のザラザラした部分で一撫ですれば、メルはビクリと身体を大きく震わせる。
口元を抑えて大きな声を出さないように、必死に耐えているメルの顔が可愛くて、感覚を共有しているだろう触手を左手で輪っかを作って、上下に擦る。
血液が流れているのかビクビクとした脈動を抑えつけながら、蛇の交尾のように、ねっとりと乳房の中央を触れるか触れないかの力加減で弄る。ヌルヌルの身体どうしが擦れあって、私の胸もじんわりと熱を帯び始めた。
その熱は徐々に下腹部へと向かい、擦れ合う度に更なる快楽を求めるように温度をあげていく。
「イきそうなの?……んふ、だ〜め。私以外にそんなマーキング付けられちゃうような子は、イかせてあげない」
「んきゅぅ……や、ぁ」
私は意地が悪い人間なのかもしれない。
“好きな子”の乱れてる姿が見たくて動かしていた手を止めるなんて、まるでドSの変態みたいだ。
切なげにため息を吐いて、イかせて欲しいのか肩甲骨に甘噛みを繰り返すメル。頬を優しく撫でれば、甘えるように擦り寄せて来た。
「……もうっ、メルのせいなんだからね」
我慢なんて出来るはず無かった。
こんなに可愛くて可愛くて好きな子から甘えられて鉄面皮を貫けるほど、私のメンタルは強くない。
再び触手を擦り、強めに乳頭を摘む。
「〜〜〜っ♡♡♡」
その瞬間。
腰を震わせ、無言の嬌声をあげるメル。
声を漏らさないようにしてるのが、余計に私の加虐心を加速させてるのが分からないのかな。
私は何度もイき続けるメルを抱き締めながら、そう思った。
──☆
頭がおかしくなりそうだ。
全身が痺れそうな快楽が押し寄せてきて、引く気配がない。考えることすら出来ず、無様にご主人様の胸元でイき続けることしか出来なかった。
永遠にも感じるほどの快感は地獄にも思えてしまうほど甘美で、これ以上なくご主人様を求めてしまう。
でもこれじゃ嫌だ。
俺だけ気持ちよくなってるのは嫌だ。
ご主人様にも気持ち良くなって欲しい。
それに俺は男だ。
断じて、快楽に負けて気持ち良くなってるわけじゃない。
「きゅっ」
「ん?なぁに、どうしたの?」
朦朧とする脳内で何とか触手を手繰り寄せ、俺とご主人様の間に入り込ませる。ちょうどお互いのへそに位置する場所に在る触手に、俺の感じている快楽を流し込んだ。すると、同じく触手と触れ合っているご主人様の表情があからさまに変わる。
「……ん、ぁ♡なにこ、れ……きもち、い」
みるみるうちに蕩けた顔のご主人様。
大きな胸を小さな手のひらで覆い、口付けを繰り返す。太腿を指先だけで刺激し、ぐしょぐしょに濡れたソレを優しく撫でた。それと同時に、触られていないはずの俺の身体にも同様に快感が走る。
「ひぁっ♡……だめ、それ。結構クる……っん♡」
何度も言う。頭がおかしくなりそうだ。
俺がしたのは、触手を媒介にした感覚の共有。触手と俺に触れている間は、互いの触られた感覚や匂い、声などの五感を繋ぐことが出来る。
つまりこうして責めている間にも、俺は何度も甘イキを繰り返していた。
──☆
「もっと、もっと……!〜〜〜っ、んは♡……またクるっ♡♡♡」
「いっ♡……きゅっ、いきゅっ♡」
私は何度も甘イキを繰り返す。
ぐしょぐしょの自分の恥ずかしい部分を触手が刺激し、いやらしい水音が響く。それは私だけじゃなくて、メルの方からも聞こえてきた。
チビスラの紋様は完全に浮き出ていて、瞳のハートマークは消える気配がない。交尾や発情期の時によく見られる光景だけど、誰とでも交われるチビスラは人間のメスとも子どもを孕むことができる。
しかし他種族とは基本的に交わることがない。もし出来るとすれば、今のメルみたいに紋様が浮き出てて、瞳の形が変わった時だけ。
……てことは、これ以上シたら子ども出来ちゃう可能性があるってことだよね。
「んっ♡……ねぇ、いいの?これっ♡……い、以上シちゃう……あっ♡……と、子どもできっ、ちゃうかも、だよ?」
いつの間にかメルと恋人繋ぎになっていた私は、息が絶え絶えになりながら何とか耳元で囁いた。
私だって子どもは好きだ。メルとの子が欲しくないかで言われれば、間違いなく「欲しい」と断言出来る。
でも同じ女性として、妊娠や出産させることに抵抗がある。
だから離れたくない気持ちを何とか押し切って、メルから距離を取ろうとしたのだが。
「や、らぁ……」
メルはそれを許さなかった。
むしろ余計に身体を密着させてきて、啄むようなキスを私に何度も浴びせる。腰にはメルの足が逃げ場を塞ぐようにホールドしているせいで身動きが取れず、やわっこくて小さな舌の感触を味わうしかない。
数秒か、あるいは数十秒か。
危うく酸欠になりかけたところで、ようやく解放された。
チビスラは広く分布しているモンスターで、あらゆる生物と交われるのは幾度か述べた通りだが、実はどうやって子が出来るのかは判明していない。一説では、対象のDNAを取り込むだけで妊娠できるモノもいるらしい。
つまり、今の発情しているメルとキスをすることすら危険なのだ。
「そんなに私と赤ちゃん作りたいの……?」
「…………ん」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ──」
何度も言うよ。
私は異性が好きな女の子だ。いや、だった。
それが自分より年下にしか見えないチビスラから子をせがまれて、怖いどころか愛おしいと思ってしまう人間になってしまった。
好み……言い方を変えれば、性癖。
その全てを粉々に打ち砕かれて、新しい扉を開いたような感覚。
これも全部、メルのせいだ。
「いっぱいシよ?」