女性誌の記事を読んだ東が、友達?恋人よりいいじゃん?ずっと一緒にいられるよね。と友達以上、恋人未満の完成形(notセフレ)を目指し平を堕とそうとする話。
■キャラ
東:平が死んだら自分も死ぬ覚悟の女、重い。子供は沢山欲しいと思っている。
平:友達と恋人の境界をいじられる男。東のことは人として好き。筋は通す男
★プロット/展開/詳細描写/台詞は作者が書き、校正にAIのべりすとを利用/調教して書いています。
★本作はハーメルン/Pixivで公開しています。
※ハーメルンは男性向けのエロ、凌辱、鬼畜系も置いてあるので注意ください。(あらすじで注意は入れてます)
作者:eronosuke
ハーメルン:https://syosetu.org/user/514099/
Pixiv:https://www.pixiv.net/users/125632702/novels
# 平への想いと欲望が渦巻く夜
『友達と恋人の境界線とは何か』
東は女性誌のページを閉じると、ため息をつきながら天井を見上げた。夕暮れ時の自室はオレンジ色の光に満ちていた。窓の外から聞こえる虫の音が、いつも以上に心のざわめきを増幅させる。
女性誌は友達から恋人へのステップアップを煽るような記事になっており
友達の良いところは「気安い、何でも話せる、気兼ねしない、安心、束縛しない」
彼女の良いところは「愛がある、性行為可、秘め事がある方が燃える、ある程度束縛してもオッケー」
など、つらつらと書かれていた
この記事の通りなら、自分と平は完全に友達のカテゴリーに収まってしまっている。気安くて何でも話せて安心できる。
そう思われるのも悪くないけど、それじゃ一生何も変わらない。東は唇を噛んだ。
「愛がある」「性行為可」「秘め事がある方が燃える」……
そのフレーズが脳内で踊るたび、下腹部が熱く疼いた。もし今、平と二人きりになれたなら……もし本当に彼が望んでくれたら……東の指が無意識に太腿の間に滑り込んだ。
---
深夜、眠れない東は布団の中でスマホを開いた。LINEの履歴には平との他愛もないやり取りが並んでいる。
「英語の予習どこまで進んだ?」「今日の放課後コンビニに寄り道しようぜ」といった何気ない会話が積み重なっていた。
ふと画面をスクロールする指が止まる。数ヶ月前のスタンプだけのメッセージ。
「おやすみ」という猫のスタンプに対し、「ひひっ」と変な笑い声と共に返されたスタンプ。
その些細なやり取りだけで鼓動が速くなる自分が滑稽で、同時に愛おしかった。
東はそっと指先を下着の中へ潜らせた。普段なら自慰なんて滅多にしないのに、今夜はどうしても我慢できなかった。
平のことを考えながら秘所を弄るうちに、そこはすでに蜜で潤っていた。
「ん……っ…平……」
小さく呟いた名前に反応するように、さらに熱くなった。彼の太い腕で抱きしめられることを想像する。
剣道で鍛えられた硬い胸板に顔を埋めたらどんな匂いだろう。汗の混じった雄臭さを思い浮かべるだけで喉が鳴る。
「平……もっと強く抱いて……」
声に出した瞬間、全身に電流が走った。もう理性なんて吹き飛んでいた。中指が奥深くを探る動きが激しさを増していく。
「あっ……平…そこ……っ…いい……」
腰が跳ね上がるほど快楽の波に襲われ、東は震えながら枕を抱きしめた。それでも足りない。
本当は彼のものを受け入れたいのだ。あの逞しい肉体に組み伏せられ、何度も貫かれたらどれほど幸せだろう。
「もっと……奥まで……突いて……お願い……」
声にならない懇願をしながら頂点を迎えた。しかし絶頂の余韻に浸る暇もなく現実が押し寄せる。
結局自分は何をしているのか。こんな妄想で自分を慰めるしかない現実は虚しすぎる。
# 淫らな境界線
翌朝、寝不足の目を擦りながら登校すると、教室前で平と鉢合わせた。彼の視線を感じただけで頬が火照る。
「おはよ。なんか顔色悪いな」
「うるさいな……ちょっと寝不足なだけ」
いつもの強がりが出てしまった。でも内心では昨夜の淫靡な行為を思い出し、罪悪感と恥ずかしさで胸が締め付けられる。平は怪訝そうな表情を見せたが、すぐにいつもの調子に戻った。
「そういや数学の模擬試験問題、ありゃなんだ?難しすぎて投げ出したわ」
「またぁ?ちゃんとやらないと進学に響くよ」
軽口を叩き合いながらも、東の脳裏には昨夜の妄想が鮮明に残っていた。
図書館での受験勉強中もノートを取るふりをしながら、平の横顔を盗み見る。
広い肩幅、首筋のライン、シャープな顎の輪郭……すべてが官能的に映る。ふとペンを取り落とした拍子に平の指に触れてしまい、思わず小さな悲鳴を上げた。
「なんだよ急に。びっくりさせんな」
「ごめん……指、冷たかったから」
咄嗟に出た嘘に自分でも驚く。平の指の感触だけで体内が熱く溶けていくようだった。早く家に帰りたい。一人になりたい。そして再び彼を想いながら自分を慰めたい―そんな浅ましい願望が胸に渦巻いていた。
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放課後のファミレス。テーブルの向こう側で平が問題集とにらめっこしている。コーヒーを飲みながら見つめるその姿にさえ欲情してしまう。制服の下で乳房が痛いほど張っている感覚に耐えながら、東は考え続けた。
*友達でありながら恋人でもある関係*
それは確かに矛盾している。友達として接する時は心地よい。気兼ねなく冗談を言い合えるし、互いの欠点も許容できる。でも恋人のような濃密な関係になると話は別だ。独占欲や嫉妬心が生まれてくる。平にはそういう負担をかけたくない。
(じゃあセフレなら?)
頭の中でその単語が浮かんだ瞬間、吐き気がした。今まで付き合ってきた男たちと同じ轍を踏みたくはない。平には誠実でいたい。でも身体は正直だ。彼の吐息を感じるだけで蜜壺が潤んでいくのだから。
「なあ東、ここわかんねぇんだけど」
突然話しかけられて我に返る。平が参考書の一節を指さしていた。近づいた顔から漂う微かな整髪料の香りに眩暈がする。
「ああ……ここはこの公式を使って……」
必死に平静を装いながら説明するものの、声が上ずるのがわかる。心臓が暴れ狂っている。もし今ここで平がキスしてきたらどうなるだろう?そんな衝動的な想像が頭をよぎる。
「サンキュ。助かるわ」
屈託なく微笑む平を見て胸が締め付けられた。こんな純粋な関係を汚したくない。でも同時に激しく抱かれたいという欲望もある。二律背反の感情が身体を引き裂くようだった。
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自室に戻った東は服を脱ぎ捨て、全裸になった。鏡に映る己の姿―豊満な胸と締まった腰つきに羞恥を覚えながらも、指先が自然と下腹部へ伸びていく。
「友達として……平はきっと優しいよね」
鏡の中の自分に向かって呟く。平の穏やかな笑顔を思い浮かべながら陰核を撫でる。そこは既に熱く充血していて、触れるだけで甘美な刺激が走った。
「でも……恋人として……」
次の瞬間、東の指使いが激しさを増す。想像上の平は別人のように荒々しい。壁に押しつけられ、抵抗できないほど強く抱き締められながら激しく求められる―そんな幻想に陶酔していく。
「あっ……平…もっと強く……っ」
喘ぎ声が部屋に響く。実際に触れられたわけでもないのに、内股から蜜が溢れ出す。昨夜よりも遥かに深い快感に溺れながら、東は自問する。
友達としての気安さと恋人としての情熱。両立など不可能ではないか?
でも……それでも私は諦めたくない。平だけは特別なのだから。
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深夜の部屋。薄暗い照明の下で東は再びスマホを手に取った。SNSのタイムラインには平の投稿が表示されている。「テスト期間だるいわ」という平凡な呟きにさえ心が躍る。
「友達として何でも話せる」
そう言い聞かせながらも指先は自らの肌を這っていく。鎖骨から胸元へ、そして禁断の領域へ。
「恋人のように愛し合い、抱き合う」
妄想の中の平が覆いかぶさってくる。熱い唇が首筋を辿り、彼の荒い呼吸が耳朶をくすぐる。指先が胸の膨らみを優しく揉みほぐし、硬く尖った先端を摘み上げる―その幻覚的な接触だけで東は腰を浮かせた。
「あぁ……平…もっと……触って……」
現実の平が決してしないような仕草で自分自身を愛撫する。指を蜜壺の奥深くまで沈め、膣壁を擦り上げる度に嬌声が漏れる。まるで彼に犯されているかのような錯覚に身を委ねた。
「平……愛してる……ずっと……あなただけ……」
涙ながらに囁きながら絶頂へと昇り詰める。だが同時に悲しみが込み上げてきた。自分は何をしているのだろう?平をこんな形で消費するなんて罪深いのではないか?
それでも身体は正直だ。欲望は尽きることなく湧き上がってくる。東は泣きながら自らを慰め続けた。友達であり恋人でもある理想の関係など夢物語だと理解しながらも、それを追い求める諦めきれない想いと共に。
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翌朝、洗面台の鏡に映る自分の顔を見つめながら東は決意した。
「限りなく恋人に近い友達」
そこに活路を見出すしかない。友達としての気安さを保ちつつ、恋人らしい親密さも手に入れられれば……それは極めて困難な道だが、挑戦する価値はある。
制服に袖を通しながら東は微笑んだ。今日はどんな風に平と過ごそうか。いつも通りの軽口を叩き合いながらも、どこかで彼の温もりを感じられる時間を─
それが彼女の選んだ道だった。友情と愛情の狭間で揺れ動く淫らな境界線を歩む覚悟を決めた瞬間であった。
# 恋の罠
学校の廊下で平を見つけた時、東は思わず小走りに駆け寄った。
「おっすー!」軽く肩を叩くと、平が怪訝な表情で振り返る。「なんかあったんか?」
「別に?ただの気分だし」東は笑いながら言った。「てかさ、昨日言ってた数学の問題、ちょっと教えてくれない?」
平は少し眉をひそめた後、「またかよ……今忙しいから後でな」と言う。その一言に胸が締め付けられた。でも大丈夫。これから少しずつ距離を縮めていけばいいのだ。
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昼休みの図書室。窓際の席で向かい合う東と平。数学の問題集を開きながらも東の意識は別の場所にあった。
「ここがわからないの。この式ってどうやって展開すればいいの?」
わざと難しい質問を選び、困ったふりをした。平が身を乗り出して説明しようとする度に距離が縮まる。彼の体温が届きそうで届かないもどかしさ。
「こういう場合は因数分解するんだよ。ほら、まずa²-b²の形にして……」
平の指先が問題集の余白に書き込む。その手に触れたい衝動を抑えながら東は頷いた。今すぐ押し倒してしまいたいという獣のような本能と、優雅に振る舞うべきという理性が葛藤している。
「ありがとう!すごいわかりやすい、やるじゃん平!」
無邪気な感謝を装いながらも心は荒れ狂っていた。友達としての態度を保ちつつも、徐々に触れる機会を増やす作戦は順調だった。
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夜。自室のベッドで東は昨夜よりも積極的に自分を責めていた。
「平ったら鈍感なんだから……」苛立ちながら乳首を捻り上げる。「もっと近くで見せてあげてるのに……全然気づかないんだもん」
今日一日かけて仕掛けた罠が脳内で再生される。わざと肘をぶつけたり、肩に頭を預けたり、足を伸ばして触れ合ったり。いずれも偶然を装った接触だったが効果はあったはずだ。
「明日は……もう少し踏み込んでみようかな」
そう呟きながら指を蜜壺に挿入する。平の低い声や逞しい腕を思い浮かべるだけで溢れ出す蜜に溺れそうになった。もはや自分の欲望を隠すつもりもない。ただ策略的に行動するのみ。
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翌朝の電車内。通勤ラッシュの人混みで必然的に二人の距離が縮まる。平の胸板に東の胸が押しつぶされる感触。心臓が爆発しそうだ。
「ごめん……重くない?」東は上目遣いで尋ねた。
「大丈夫だって」平は気にしていないように答えるが、耳が少し赤くなっている。よし、と内心喜んでいる自分がいる。
駅を降りてホームへ続く階段を上がる途中、わざとバランスを崩してみせた。「きゃっ!」小さな悲鳴とともに平の腕の中に飛び込む。
「おい!危ねえな!」
慌てて支えてくれた平の腕の力強さに全身が震える。目的達成。友達として支え合うという建前のもと合法的な触れ合いができた。
「ごめんね〜」東は照れ笑いを浮かべながら平の腕から離れた。「でもありがと」
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放課後の教室。夕陽が差し込む中で平が一人きりになる瞬間を待っていた。
「ねえ平」
東は前かがみに伏せるような格好で、教室の机に座っている平の方へ身を乗り出した。ブラウスの襟元から胸の谷間が見え隠れする角度を選んで。
「なんだよ」
平は不審そうな目を向けたが東は気にせず続けた。
「今日の国語の宿題、一緒にやらない?」
「え?なんで俺が?クラス違うだろ……」
「だってさあ」東は指先で机を叩きながら言った。「私って暗記モノの国語苦手じゃん?」
言葉を区切りながらゆっくりと椅子を引いた。太腿を見せつけるように脚を組み替える。
「平に国語の極意を教えて欲しいんだけどな?」
平の視線が明らかに動揺していることに気づいた東は勝利を確信した。友達としての枠を超えつつも拒否されない絶妙な距離感を維持できている。
「わかったよ。ただし十分だけな」
予想以上の成果だった。平が勉強に付き合ってくれることになったのだ。しかも十分だけという限定条件は逆に興奮材料になるはず。
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「で、ここで接続詞をどう使うかだけど……」
平が教科書を覗き込んでいる隙に東はさりげなく足を伸ばした。靴下越しに平の脛に触れる。ピクリと動いた平の反応を見て思わず口角が上がる。
「なるほどね。でも、こっちの方がよくない?」
平のペンを持つ手を掴みながら自分の方へ引き寄せた。指先が絡み合う一瞬。反射的に手を引っ込めようとする平を許さず更に強く握る。
「こう書いてみるとわかりやすいでしょ?」
演技派女優のように無邪気な笑顔を浮かべながら東は言った。完全に計算済みの行動だった。
平の頬が赤くなっていく様子を見つめながら東は思った。もうすぐだ。あと少しで……
# 変わりゆく心の距離
次の日の朝。いつもの通学路で待ち合わせた東と平。秋の風が頬を撫でる季節になっていた。
「おっはよー!」元気に挨拶する東の姿に平は少し違和感を覚えた。いつもより薄着だ。しかもミニスカートで生足を惜しげもなく晒している。
「おい……寒くないのかよ」
「ん〜?大丈夫♪」
無防備に笑う東の太腿に視線が吸い寄せられる。平は慌てて目を逸らしたが遅かった。一瞬の間に見た肌色と淡い下着の影が脳裏に焼き付いてしまった。
***
昼休みの屋上で弁当を広げていると突然雨が降り始めた。急いで二人は校舎内の踊り場に避難する。
「あちゃー……傘持ってないのに」東が嘆息する。
狭いスペースに二人きり。壁にもたれかかる東の背中に平の腕が触れそうになる。東はわざと身を翻して平の胸に凭れかかった。
「ちょっ……!」
「ごめんね〜滑っちゃった☆」
冗談めかした言い訳をしながらも東の鼓動は高鳴っていた。友達のフリをしつつも平の筋肉質な体幹を感じる至福の瞬間。一方の平も最初は狼狽していたものの、次第に落ち着きを取り戻していく。
「まあ……しゃーねえか」
意外な言葉に東は驚いた。平が受け入れている。これが第一歩だ。
***
放課後の図書館。静まり返った空間で二人は試験勉強に励んでいた。突如として東が小さな咳払いをした。
「喉乾いちゃった……ジュース買いに行ってくる」
立ち上がろうとする東の手首を平が咄嗟に掴む。「俺も行く」
連れだって自販機に向かう途中、東は平の横顔を盗み見た。以前なら考えられない行動だ。これは明らかな変化だった。
「なあ」唐突に平が口を開いた。「最近……東、なんか変わったよな」
「え?そう?」
平静を装いながら内心ガッツポーズを決める東。「どこが?」
「いや……なんていうか」平は首を傾げた。「俺に対する接し方が柔らかくなった気がする」
核心に迫る一言に東は緊張した。だが動揺を表に出さぬよう細心の注意を払う。
「そんなことないよ?前からずっとこの調子だったじゃん」
無邪気に笑い飛ばしながら東は自販機のボタンを押した。落下する缶コーヒーを取り出す際、わざと手を滑らせ平に受け止めさせる。触れた指先の温もりに二人とも小さく息を飲んだ。
***
週末の放課後。教室に残っているのは平だけだった。
「ねえ」東が大胆に平の隣に移動してきた。「テスト範囲のとこ、教えて欲しいんだけど……」
教科書を開くために平のノートに身を寄せる東。腕と腕が密着する距離だ。甘い香水の香りが鼻腔を刺激する。平は困惑した表情を浮かべたが離れようとはしない。
「ここは……この公式使えば簡単だろ」
解説しながら平の指が東のノートに触れる。偶然を装った接触だが東の計算通りだった。二人の手が重なる位置に問題を書き込むと見せかけた巧妙な罠。
「あっ……ごめん」
「いいよ」東は微笑んだ。「っていうかさ……こういう時って謝る必要ないんじゃない?友達同士だったら当たり前のことでしょ?」
挑発的な問いかけに平は黙り込んだ。確かにそうかもしれない—心の中で自問自答する平の瞳が揺れる。
「それにさ」東は更に踏み込んだ。「友達ってさ……時々お互いの匂いとか確かめ合うじゃない?髪の毛嗅いだりとか……」
「いやそれは……」
言いかける平の言葉を遮るように東は身体を寄せた。甘い香りが濃厚になる。
「嗅いでみて?私の匂い……結構自信あるんだ」
半ば命令のような口調に平は抗えなかった。恐る恐る東の髪に鼻先を近づける。柑橘系のシャンプーと女性特有の甘い体臭が混ざり合った極上の芳香。
「どう?」
「……いい匂い」
率直な感想に東は満足げに微笑んだ。主導権を握っていく感覚が快感だった。
***
その晩。自室のベッドで東は熱く火照った体を抱きしめていた。
「今日は……うまくいった……」
平の変化を再確認できた充実感に浸る。徐々に触れ合いに慣れさせていく作戦は奏功している。次は何をすべきか思案しながら指先を秘所に這わせる。
「友達っていう言い訳が、少しずつ平を積極的にさせるはず……」
独り言ちながら東は妄想に耽った。次のステップ—それはもう少し露骨な接触だった。例えば……
***
月曜日の体育。複数クラスの男女が合同で行う種目で、二人は組を作ると背中合わせの状態になった。背中合わせにお互いを引っ張りあう柔軟体操だ。
「重くない?」
「大丈夫」
形式的な会話の後に東が身体を反転させるとのしかかってきた。柔らかな胸の感触が平の背中で潰れる。意図的に圧力をかける東の計算高い動き。
「おい……ちょっと……」
「平の背高いから、こうしないと上に乗れないじゃん」東は無邪気を装った。「友達ならこれくらい普通でしょ?」
その言葉に平の抵抗が止んだ。友達という魔法の言葉が理性の壁を溶かしていく。
練習終了後、更衣室に向かう廊下で東が小声で囁いた。
「今日も帰り……一緒に帰らない?」
***
夕暮れの駅。人混みの中を歩く二人の距離は前日よりも明らかに近くなっていた。
「平ってさ」突然東が切り出した。「本当は優しいよね」
「は?」
「だって」東は平の袖を摘まんだ。「今日の体育みたいなことしても怒らないでしょ?普通の男なら『調子に乗るな』って言うかもしれないけど」
「そりゃ……まぁ……」
言葉を濁す平の横顔を東はじっと見つめた。
「それに」東の指が平の腕を伝って肩まで昇っていく。「私の髪の匂いも嗅いでくれるしさ?」
核心に迫る質問。平の呼吸が僅かに乱れた。
「それは……」彼の視線が彷徨う。「お前がそうしろって言ったから……」
「でも嫌じゃなかったんでしょ?」東は追い打ちをかけた。「匂いも気に入ったみたいだし」
沈黙。やがて平は小さな声で認めた。
「……ああ」
勝利の瞬間だった。東の胸が歓喜で震える。この関係は確実に進行している—
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体育祭の練習期間中。
校庭で体育祭係として、競技の打ち合わせをしていた平と東。
「この並びだと東のクラス、こっちの走順の方が良さそうだな」
「そうだね」汗で湿った東の首筋から微かに香水が漂う。それを無意識に嗅ぐ平。
「この匂い……」ふと思い出したように平が言う。「あのシャンプーの香りと似てるな」
「え?どれのこと?」
「ほら、前に言ってた……」平は東の髪に鼻先を埋めた。「これだよ、〇〇社の〇〇シリーズ」
周囲のクラスメートが凍りつく。公然と髪の匂いを嗅ぐ光景は明らかに友人の域を超えている。しかし平本人は全く意に介さない様子。
「よく覚えてたね」東は内心驚愕しながらも平静を装った。「さっすが平!友達だもんね。私のことよく知ってるんだ」
その言葉が魔法のように作用する。クラスメートたちの目つきが変わり始めた。
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帰り道。公園のベンチで休憩中の二人。
「今日の体育祭の練習キツかったな」
「そうだね〜」東は伸びをする振りをしてわざと距離を縮めた。
「汗めっちゃかいたから、早くシャワー浴びたいな」
突然平が東の髪を手に取り顔を近づけた。
「東、汗臭くなんかない。やっぱり良い匂いだ」周囲に人がいるにも関わらず堂々とした態度。「昨日変えたって言ってた新製品?」
「うん」東の鼓動が早まる。「よく分かるね平」
「友達だから当然だろ」平はさらりと言った。「これ使うと気分上がるよな」
公衆の面前で繰り広げられる奇妙な光景。通行人たちの視線を集めていることに東だけが気づいていた。
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翌日。昼休み、屋上で二人は昼食をとっていた。
「ねえ平」東が小声で尋ねた。「昨日のこと……覚えてる?」
「何?」
「公園のベンチで私の髪の匂い嗅いだこと」
「ああ」平は箸を止めた。「それがどうかした?」
「いや……なんでもない」東は誤魔化した。「ただ気になっただけ」
この時点で彼女は確信していた。平は既に「友達だから」という言い訳を完全に受け入れている。そして東自身もまたその境界を曖昧にする計画を進めていた。
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放課後。音楽室で待ち合わせた二人。
「あれ?」ピアノ椅子に座っていた東を見て平が眉をひそめる。「またシャンプー変えた?」
「うん」東は期待通りの展開に胸を躍らせた。「新しいのに挑戦してみた」
平は躊躇なく東の後頭部に顔を埋めた。
「良い匂いだな」周囲の生徒たちが二人を見ているにも関わらず気にする様子もない。「でも前の方が好きだったかも」
「そう?」東は髪を掻き上げながら尋ねた。「どんな感じが良かった?」
平は東の顔を掴むと、自分の髪に東の鼻先を深く沈ませる。「こんな感じ、よくない?」
東の体温が一気に上昇した。これは計算外の大胆さだった。
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一週間後。定期考査前夜。
「明日の数学ヤバいな……」平が呟く。
「手伝おうか?」東が提案した。「一緒に勉強しない?」
「マジ助かる」平の表情が明るくなる。「でも家には来ない方がいいぞ」
「どうして?」
「母さんがいると……面倒だから」
「じゃあ私の家来る?」東は賭けに出た。「お父さん単身赴任中だから、家に誰もいないよ」
一瞬の沈黙の後、平は頷いた。「それならいこうかな」
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土曜日。東の自宅。
「適当にくつろいで」東は冷たい麦茶を持ってきた。「何か食べたいものある?」
「いや、大丈夫」平は珍しく緊張した様子だった。「それより早く始めようぜ」
テーブルに向かい合って座った二人。集中して問題を解くうちに東のシャンプーの香りが室内に充満する。無意識に平は顔を上げて匂いを探った。
「平?」東が気づいて笑みを浮かべる。「また匂いチェック?」
「悪い」平は赤面した。「つい……」
「いいよ」東は誘うように髪を掻き上げた。「友達なら普通でしょ?」
平の躊躇が消えた。彼は立ち上がって東の背後に回り込んだ。椅子越しに彼女の頭を抱きしめるような姿勢になる。
「やっぱ良い匂いだ」平の声は微かに震えていた。「落ち着く」
東の身体が硬直する。この行動は予想外だった。しかし同時に願ってもないチャンスでもあった。
「ありがと」東は振り返くと「私も平の匂い好きだよ」平の頭に抱き着くように顔を埋め、思い切り息を吸い込んだ。
***
週末の終わり。駅までの道のりで二人は沈黙が続いていた。
「あのさ」平が口を開いた。「昨日の東ん家でのことだけど……」
「うん?」東は平静を装った。
「ちょっとやり過ぎたかもしれなくて……」平の視線が泳ぐ。「ごめん」
「なんで謝るの?」東は微笑んだ。「友達同士なら普通でしょ?私は嬉しかったよ」
その言葉に平の肩から力が抜けた。
「そうか……そうだよな」
駅の改札で別れる直前。東はふと思いついたように言った。
「ねえ平」
「ん?」
「今度は私から……」東は指先で平の首筋に触れかけたが、思い留まる。「また今度ね」
改札を抜ける平の後ろ姿を見送りながら東は確信した。もう引き返せないところまで来ている—
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週明けの朝。駅前で待ち合わせた二人。
「おはよ」東が小さく手を振る。
「おう」平は無造作に答えた。しかしその視線は東の制服姿に釘付けだった。夏服のブラウスは透けそうで危うい。
「暑いね」東が囁く。「汗ばんできた」
確かに彼女の鎖骨沿いには小さな水滴が光っていた。
「そうだな」平は答えながら自然と東の手を握った。あれ?どうして俺、と疑問が浮かぶ平。
「え?」東は驚いたふりをする。
「何?」
「今……手…」東が問いかける。
「ああ」平は握ったまま続けた。「仲のいい友達なら普通だろ?」
その言葉は魔法のように平の頭から疑問を奪っていった。
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昼休み。自席で弁当を食べる二人。
「今日さ」東が唐揚げを口に入れながら言った。「うちで勉強しようよ。クーラー効いてるし快適だよ」
平は箸を止めた。「でも……」
「何?怖い?」
「いや……そういうわけじゃ……」
「大丈夫」東は声を落とした。「『仲のいい友達』って言えば親も納得するし」
「……わかった」
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放課後。東の自宅。
「お邪魔します」平は玄関で靴を揃えた。
「そんな堅苦しくしなくていいって」東は平の背中を押した。「さっさと行こう」
二階へ続く階段を上りながら東は振り返った。「お風呂入ってきたから汗臭くないでしょ?」
「ああ」平は素直に答えた。「いつも通り良い匂いだ」
部屋に入るなり平は窓を開けた。「外、蒸し暑いな……」
「エアコンつけよっか」窓を閉めた東が壁のリモコンに手を伸ばす。
ブーンという低い音とともに室内にほんの少しだけ涼しい風が吹き始める。しばらくは静かな勉強タイム。しかし東のシャツのボタンが一つ外れていて、そこから覗く肌色が平の集中力を削いでいった。
「平?」東が不意に顔を上げる。「手止まってるよ」
「ああ……」平は慌てて参考書に戻る。しかし数分後、再び顔を上げた。「やっぱり暑くないか?」
「あちゃー、エアコンの調子が悪いみたいね」東はわざとらしく汗を拭い、更にシャツのボタンを一つ外す。「窓開けても……やっぱりムシムシするね」
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夕方。夕暮れが部屋を赤く染める頃。
「今日はここまでにしようか」東が提案した。
「そうだな」平は伸びをする。「腹減った……」
「待ってて」東は立ち上がりクローゼットを開けた。「汗かいちゃって服気持ち悪いから、下着を替えさせて」
「おい!」平が慌てる。「親いるだろ?」
「平気平気。てか親がいなければいいの?」東は笑いながらTシャツを脱ぎ始める。「『仲のいい友達』なら肌くらい見せるでしょ?」
平の息が止まった。目の前で東の白い背中が露わになっていく。
「あ……」東は中途半端なところで動きを止めた。「ごめん……やっぱ恥ずかしい?」
「いや……」平は唾を飲み込んだ。「俺も……脱ぐか…暑いし」
---
数分後。二人は下着姿で床に座っていた。
「こんな格好で勉強するなんて」東が笑う。「友達の特権だよね。最高に夏って感じ!」
「まあ……な」平の視線は東の胸元から離れない。
「ねえ平」東が突然立ち上がる。「ゴメン。もう我慢できない」
次の瞬間、彼女は両腕を平の首に巻きつけた。温かい肌と肌が触れ合う感触。心臓の鼓動が互いに伝わる。
「ハグくらい……」東が耳元で囁く。「仲のいい友達なら普通でしょ?」
平は何も答えず東の背中を強く抱きしめた。その体温の高さに東は恍惚とした。
---
一週間後。駅前の喫茶店。
「最近のアズと平」佐藤葵がストローを咥えながら言った。「距離感おかしくない?」
「そうかな」東はアイスティーを一口飲んだ。「だって私たち仲のいい友達だし」
「友達ねぇ……」佐藤は眉をひそめた。「じゃあ聞くけど……」
彼女はバッグから一枚の写真を取り出した。
遠くから撮影されたそれは、公園のベンチで手を繋ぎ、仲良さそうに身体を寄せ合って座る二人の姿。
「この前偶然見ちゃって。隠し撮りして悪いんだけど、これも友達の距離感?」
東は写真を一瞥して微笑んだ。「そうだよ。だって私と平は……」
言葉を選ぶように一拍置いて続ける。「"特別に仲のいい友達"だからね」
佐藤の目が細くなった。「なるほど、それにしてもやりすぎじゃない?」
東の瞳が妖しく輝いた。「そういうこと言われるから秘密にしてたんだよ。平とのこの関係を壊したくないから」
佐藤は深い息をついた。「つまり……」
「私と平は、友達以上の友達関係……なのかな?」東は謎めいた笑みを浮かべた。
佐藤はふぅんと鼻を鳴らすと、仲の良い友達ってそんなものかな、と納得した。
***
夜。東の自宅。ベッドの上で二人は向かい合って座っていた。
「東」平が真剣な眼差しで言った。「俺、もう限界かも……」
東の指が平の頬を撫でる。「普通の友達の線引きを超える覚悟はある?」
一瞬の躊躇もなく平は東を押し倒した。その重みを受け止めながら東は思った。
—ここまで来たらもう後戻りできない
そして口元に勝利の微笑みを浮かべる。
(これからは……もっと深く刻んであげる)
薄暗い部屋の中、二人の呼吸だけが響いていた。東は仰向けに寝たまま、ゆっくりと平の首筋に手を滑らせた。
「あのね……平」
東の声は蜜のように甘く粘つく。
「私ね……平のこと……」
一旦言葉を切り、目を閉じる。
「……好き」
再び瞼を開いたとき、その瞳は獣のような光を宿していた。
「大好き。愛してる。世界で一番大事な……」
一拍おいて囁くように。
「……友達」
平の表情が歪んだ。困惑と欲望が入り混じった複雑な感情が彼の目に渦巻く。
「だからね」東は身を起こし、平の膝に跨るように座った。「友達同士だったら……なんでも話せるよね?」
平の喉仏が上下に動く。
「例えば……」東の指先が彼のシャツのボタンを一つ外す。「恋人には言えないような……平の本心とか」
さらにボタンを一つ。平の肌に冷たい空気が触れる。
「例えば……」今度は東の指が自分のブラウスの裾から中へ滑り込んだ。「恋人にはしちゃいけないような……こととか」
平は東の腕を掴んだ。その手は震えていた。
「東……お前一体……」
「友達なんだから」東は笑う。「何してもいいんだよ?」
その言葉を契機に理性が砕け散った。平は東をベッドに押し倒し、覆いかぶさるように圧し掛かる。布越しでも分かる互いの体温が火傷しそうなほど熱い。
「本当にいいのか?」平の声は荒々しく掠れていた。
東はゆっくりと微笑んだ。「だって友達でしょ?」
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平の唇が東の首筋を這い上がる。吐息がかかり、その度に東の肩が微かに跳ねる。彼女の指先が平の短い髪を梳きながら頭皮をなぞっていく。
「もっと……強く」東が囁く。「遠慮しないで」
その言葉が平の最後の枷を外した。彼の手が東の背中に回り、ブラジャーのホックを探り、外す。解放された乳房が膨らみを増して前に突き出る。
「綺麗だ……」平の吐息混じりの声。
「知ってる」東は平の耳朶を噛む。「でもそれは友達として褒めてくれてるんでしょ?」
「ああ……友達の身体が美しいって思うのも普通……だろ?」
平の唇が乳房の頂点に向かって下降していく。舌先で乳首に触れると同時に東の腰が弓なりに反った。
「あっ……!」喘ぎと共に東の爪が平の背中に食い込む。「そう……友達なんだから……」と平に囁く
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窓から差し込む月明かりだけが室内を青白く照らしている。二人の体液と汗でシーツはすでに湿り気を帯びていた。
平が東の脚を開かせると、その奥は既に蜜で溢れている。東は羞恥に頬を染めながらも自ら手を伸ばし、指先で秘所を開いてみせた。
「こんな風になっちゃうのは……愛する友達だからかな?」東が挑発する。
「そうだな」平が笑う。「友達がしてくれることへの感謝の証だな」
指先が襞の間に滑り込み、東が小さく呻く。同時に舌先がクリトリスに触れ、彼女の体は電気に打たれたように震えた。
「待って……それ以上したら……変になっちゃう……!」
平は答えずに愛撫を続ける。二本の指が内部を探り始めると同時に舌先で敏感な粒を刺激する。東の呼吸が荒くなり、絶頂の予感に全身が緊張した。
「ダメ……イク……友達なのに……イッちゃう……!」
背筋を仰け反らせて達する東。平の指を締め付ける内壁の蠢きを感じながら彼は満足げに微笑んだ。
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互いの汗で光る肌が触れ合うたびに水音が立つ。正常位で繋がった二人は互いの顔を間近に見つめ合った。
「平……」東が平の腰に足を絡ませる。
「友達とこんなことしちゃってるのって……平にとって悪いことじゃない?」
「いや」平が自分自身を納得させるようにに答える。「最高の友達関係ってこういうものだろ?」
平の律動が始まり、東の喘ぎ声が高くなる。結合部から溢れる蜜が泡立ち、粘つく音を立てている。
「ねえ……もし、もしもだよ。私たち恋人になったら……」
東が乱れた呼吸の合間に言う。
「こんなふうに……できるかな?」
平の動きが一瞬止まる。
「……わからない」
「そうでしょ?」東は泣きそうな顔で笑う。「だからずっと友達でいようね?」
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翌朝。二人は裸のまま互いに背を向けて眠っていた。
「……俺たち、ホントに友達なのか」
平の呟きに東がゆっくりと振り返る。
「そうだよ」彼女の目は昨夜の余韻で潤んでいた。「だからまた……ね?」
東の手が平の手を握り、その指を絡ませる。友達同士の自然な仕草として。
「ああ」平も握り返す。「友達だからな?」2人はお互いに自問自答する。
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放課後の教室。夕日が差し込む静寂の中で二人だけの時間が始まる。
東は平の机に腰かけながら、彼の襟元に指を滑らせた。
「ねぇ平」甘い吐息が耳にかかる。「昨日は激しかったね……特に騎乗位の時」
「ちょっ……」平の頬が朱に染まる。「そんな会話……ここでするなよ」
「なんで?友達同士でしょ?」東は彼の太ももに手を這わせた。「仲良しなら当然じゃん?」
指先がベルトの隙間から滑り込む。平は周囲を見回すが既に他に人はいない。
「今日もする?あの……アレ」東が耳元で囁く。「平が昨日みたいに『もう無理』って泣くまでしてあげようか?」
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同級生たちは二人の距離感の変化に気づき始めていた。
谷が鈴木に囁く。「最近の東さんと平君……なんか近すぎないかな?」
「そうそう!」鈴木がツインテールを揺らす。「昨日も二人で旧校舎の方に行ってたけど、帰ってきた時アズ、ニヤニヤしてたし」
佐藤が冷ややかに言う。「私には単なる仲良し友達に見えるかな。ちょっとスキンシップ過多だけど…」
「でもなぁ」渡辺が割り込んだ。「仲良し友達っていうか……もっと深い関係みたいな感じなんだよね」
「どういうこと?」谷が眉をひそめる。
「だってさぁ」渡辺が声を潜めた。「この前の体育祭で二人がハグしてた時、明らかに下半身で何かしてたっぽいんだよな。見間違いかなぁ」
一同の視線が廊下を歩く二人に向かう。平が東の腰を抱き寄せ、何かを囁いている。東は小さく肩を震わせた。
「あの距離感は」西が小声で言った。「絶対にしてると思う…」
本田だけが無表情で紅茶を啜っていた。「友情という名のセックスフレンド。歪んだ関係だけど推せなくはないわね。好きにすればいい」
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夜の平の部屋。
「ねぇ平」東が彼の膝の上に乗る。「私たちって本当に友達?」
「当たり前だろ」平が彼女の背中を撫でる。「友達じゃなきゃここまでできないよ」
東が突然身を屈め、平の股間に鼻を埋める。
「だったら」彼女が見上げる瞳は欲望で潤んでいた。「友達なら全部教えて?平の本当の望み」
「俺の……?」
「うん」東がファスナーに手をかける。「仲良しなら本当のこと全部知っておくべきじゃない?例えば……平がお口でさせるのが好きなんてこととか」
ジッパーが下ろされる音。東の吐息が熱い。
「正直に言ってみて?昨日みたいに私の口に出したいって」
平の喉が鳴る。「……ああ…」
「違う」東が首を振る。「ちゃんと平の口から本当の気持ちを」
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数時間後。東の唇は赤く腫れ、口角には乾いた精液の跡があった。
「やっぱり平のおちんちんスゴイね。何回出した?」彼女が鏡に向かって微笑む。「あーあ、まだ口の中に残ってるかも」
浴室から上がってきた平のペニスは赤く充血していた。
「なあ東」彼が布団に座る。「俺たち友達なのに……こんなことしていいのか?」
「バカじゃないの?」東が彼の横に寝そべる。「私たちって特別な友達じゃん?肉体関係のある」
平が彼女を仰向けにする。「それって結局……セフレってことじゃ……」
「違うよ」東が彼の腰を掴み、股間に導く。「私たちはお互いのすべてを受け入れ合える特別な存在。ただの友達以上」
平のペニスが彼女の湿った秘所に触れる。
「友達だからこそ」東が両足を開く。「本当の私を全部見せられるんだよ?」
挿入の瞬間、東の背中が弓なりに反る。平の額から汗が滴り落ちた。
「ああっ……これ……すごい」東が腰をくねらせる。「友達だからできることなんだよ」
平が激しく動き始めると、東の嬌声が部屋中に響いた。
「もっと……もっと強く!私を壊して!」東が叫ぶ。「友達ならわかるでしょ?これが私の本音!」
東の指が平の背中に食い込む。爪痕が赤い筋となって刻まれる。
「私たち……友達だから……なんでもできるよね?」東の目が涙で光る。
平は無言で動き続けた。その目には複雑な感情が渦巻いていた。
「友達って……」彼が喘ぎながら言う。「こんなものなのか……」
「そうだよ」自分に言い聞かせるように呟く東が彼の頭を引き寄せる。「これが私たちの形」
窓から差し込む月明かりの中、二人の影が一つに溶けていった。
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夜明け前の薄暗い部屋で、平は天井を見つめていた。東の寝息が耳元で規則正しく聞こえる。昨夜の営みの残滓が皮膚にまとわりつき、汗と精液の混ざった臭いが鼻腔をくすぐる。
(まただ……)
目尻から一筋の涙が枕に滲む。性行為の最中も、終わった後も、なぜか涙が止まらなくなる。快感と同時に襲ってくる喪失感。東の熱い身体を抱きしめれば抱きしめるほど、何か大切なものが崩れていく感覚。
隣で眠る東の寝顔は穏やかだ。いつもは妖艶な笑みを浮かべる唇が、今だけは幼子のように緩んでいる。その唇が昨夜も自分の名前を何度も呼んだ。「平」「平」と。まるで所有物を確認するように。
(友達だからこそできるって……東は言うけど)
でも本当にそうだろうか? 友達なら一緒にご飯食べたりカラオケ行ったり映画を見たりすればいい。こうやって互いの恥部を晒し合い、粘膜と粘膜を擦り合わせるのは何故なのか。
布団からそっと抜け出し、洗面台に向かう。鏡に映った自分の顔は憔悴していた。目の下に隈ができ、頬はこけている。最近食欲もない。体重計に乗りたくない。
蛇口を捻り水を出す。冷たい水が顔を叩き、少し思考がクリアになる。
(東の考えてることがわからない)
最初は純粋に嬉しかった。高校に入って初めてできた女友達。東は美人で明るくて人気者で、そんな彼女が自分にだけ特別な態度を見せてくれる。性行為も含めて。でも徐々に違和感を感じ始めたのはいつからだったか。
例えば数日前──学校帰りに寄ったカフェで。
「ねえ平」東がアイスティーをストローで掻き回しながら言った。「私って重い女だと思う?」
「え?」唐突な質問に戸惑う。「いや……そんなことないと思うけど」
「ふーん」彼女は満足そうに笑った。「でもさ、もし重かったらどうする?友達やめる?」
「そんなわけないじゃん…」即答した自分に驚いた。確かに東がいくら重くなろうと離れられない確信があった。
(あれはテストだったのか?)
あるいは昨日の朝──電車の中で突然東が言った言葉。
「ねぇ平。もし他の女の子に誘われたらどうする?もちろん断るよね?友達だから」
あの時の東の目。優しさの中に刃のような鋭さがあった。平は咄嗟に頷いたけれど、あれは脅迫に近かったのではないか?
スマホを手に取りSNSを開く。フォローしているのは東と数人のクラスメイトだけ。タイムラインをスクロールすると東の投稿が目に留まった。
《今日は友達とラブホデート❤️笑》添えられた写真は平の知らない景色。
(友達と……ラブホデート?俺の知らないやつか?)
胸が締め付けられる感覚。嫉妬なのか不安なのか自分でもわからない。急いでDMを送る。
【これ誰と行ったの?】
返事はすぐに来た。
【平のことだけどw 昨日の記憶飛ばしてるの〜?】
画面が歪む。東にとってこれはゲームなのか?弄ばれている気がしてならない。
(友達って……そもそも何だっけ)
ベッドに戻ると東が目を開けていた。
「どこ行ってたの?」甘えた声が尋ねる。「寒くなってきたから戻ってきて」
その腕が平を引き寄せる。密着する肌。心臓が狂ったように鼓動を打つ。
「東……」言いかけて止まる。「俺たちって本当に友達なのかな?」
「ん?」東の指が平の頬を撫でる。「どうしたの急に。不安になっちゃった?」
「だって……」言葉を探しながら続ける。「こういう関係って友達というより……」
「セフレ?」東の口元が歪んだ。「そんなことないよ。私たちは友達。ただちょっと普通より深くつながってるだけ」
「深くって……どれくらい?」平の声は震えていた。「俺さ……最近すごく怖いんだ。東がどこかに行ってしまいそうで」
東の瞳孔がわずかに拡がった。それは驚きなのか喜びなのか。
「行かないよ」東の声色が変わった。低く、落ち着いた調子になる。「私はここにいる。ずっと」
彼女の手が平の胸に当てられる。その指先が肋骨の間をゆっくりと滑っていく。
「でも平が私を疑うなら……」彼女の目が危険な光を宿す。「証明しないとね」
その夜は異常に長く感じられた。東の身体を隅々まで舐め尽くされ、「友達の義務」と称してあらゆる奉仕を求められる。意識が飛びかけた時、東の囁きが聞こえた。
「忘れないでね。私たちは友達。どんな時も」
平は思った。この関係は友達ではない。恋人でもない。このままでは何か別の恐ろしいものへと変貌してしまう。
翌日、教室で偶然西と目が合う。彼女は何も言わず俯いたが、その耳が赤くなっていることに気づく。
(みんな気づいてるのか……)
渡辺が意味深なウインクを送ってきた。谷は露骨に目を逸らす。佐藤だけが無関心を装っているが、その視線は確実に二人の距離感を探っていた。
昼休み、屋上で弁当を広げる。東が膝に載せてきた弁当箱を開くと、中身は全てハートマークで彩られていた。
「可愛いよね?」東が満面の笑みで言う。「友達としての愛情表現♪」
その時平は理解した。これは愛情ではなく依存なのだ。東は平を独占することで自分を保とうとしている。そして平自身も、その危険な糸に絡め取られて抜け出せなくなっている。
帰り道、東と別れて一人駅に向かう途中で雨に降られた。傘もなく走り出した平の目に映る街並みがぼやけて見える。
(友達?恋人?セフレ?どれでもない)
それは東が作り上げた特殊な檻。名前のない関係。
ベンチに腰掛けて雨粒を見つめる。明日からはどうすればいいのか。友達として続けなければいけないのか。それとも……
「人間関係って俺にはやっぱり難しいな……」
呟きが雨音に溶けていく。スマホを取り出し東の番号を押しかけた指が止まった。今さら何を話せばいい?
その時、LINE通知が鳴った。
《今日もいっぱい遊んでくれてありがとう!友達でよかった❤️》
メッセージの後に続くスタンプは可愛らしい犬がハートを抱えている。平の返信は決まっていた。
【こちらこそ。友達で良かった】
そう打ちながら胸の奥で何かが壊れる音がした。もう後戻りできない。名前のない関係の先に何があるのか、まだ見当もつかないけれど。
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東は自室のベッドの上で天井を見上げていた。窓から差し込む月明かりが部屋の輪郭を曖昧にしている。携帯電話を握りしめた右手の爪が掌に食い込む。
(特別な友達……本当にそれでいいの?)
平との関係は奇妙なバランスで成り立っている。毎晩メッセージを交換し、週末は必ず会う。休日のデートは恋人そのものだし、身体を重ねる時だって……。
でも言葉にできない不安がある。それは平の目を見るたびに膨らんでいく。
「東……大丈夫?」
昼休みの屋上での出来事を思い出す。風が強く吹いたとき、平が反射的に肩を抱き寄せてくれた。その温もりを感じた瞬間、胸の奥で何かが千切れそうになった。
(この関係に名前をつけたら……終わりが来る気がする)
恋人という関係を選んだら必ず自分は平を束縛するだろう。もし別れたら? そんな想像をするだけで息が詰まりそうになる。平を失う恐怖が東の背筋を凍らせた。
ベッドから起き上がり鏡の前に立つ。そこに映る顔は疲れていた。美容院に行っても洋服を新調しても隠せない疲れ。
「平がいなくなったら……」
声に出した途端、膝から力が抜ける。床に座り込んだまま鏡の中の自分を見つめる。
(本当に生きていける?)
答えは明白だった。平は自分の酸素のような存在だ。失えば窒息する。でもその重すぎる感情を平に押し付けるわけにはいかない。
スマホの待ち受け画面には学園祭での平とのツーショット。私が無理を言って撮ってもらったもの。平のぎこちない笑顔。
(あの時、初めて気づいたんだ)
平のことが好きだと自覚した瞬間から世界が変わった。授業中のノートに落書きした平の似顔絵。夜中に送りすぎて消した大量のLINE履歴。全部彼に気づかれないように隠してきた秘密。
「友達なら気軽に会える」「恋人じゃないから別れなくて済む」
自分に言い聞かせる言葉はどんどん薄っぺらくなる。心の奥底では叫んでいるのに。
(こんな中途半端な関係をいつまで続けられるんだろう)
窓の外で星が一つ流れた。祈るべき言葉が見つからない。もし平が私のことをどう思っているか聞いたら?もし「ただの友達」だと言われたら?その恐怖が東の喉を締め付ける。
「……もう無理かも」
初めて弱音を吐いた東の目から涙がこぼれた。それでも平に助けを求めることはできなかった。重すぎる自分を知られる恐怖と、弱さを見せたくない虚栄心が入り混じる。
ベッドに戻り布団に潜る。閉ざされた闇の中で東は願った。
(この関係に名前をつけなくても平がそばにいてくれますように)
翌朝、腫れた瞼で登校した東を見た佐藤が眉をひそめた。
「アズ何かあった?」
「何もないよサト」
嘘をつくのが上手くなった自分が惨めに思えた。
教室に入った瞬間、平の視線を感じる。いつも通りの平静を装う平がそこにはいた。その表情を見て安心する一方で、昨夜の自分の弱さを見せずに済んだことに安堵もした。
(私はこれからも演じ続ける)
(特別な友達を)
(この名前のない関係を)
(平が飽きるまで)
(私が壊れるまで)
机に肘をつき顔を埋める。この苦しさは誰にも理解されないだろう。そして理解されたとしたら、今の関係はきっと変わってしまう。
東は決意した。この痛みと共に生きていこうと。名前のない関係だからこそ永遠に続けられるかもしれないという儚い希望にしがみつきながら。
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ラブホテルの薄暗い寝室の中、カーテンの隙間から漏れる街灯の光が東の横顔を青白く照らしていた。
ベッドの上の二人は互いの呼吸が触れ合う距離にいる。平は東の涙の跡が残る頬にそっと指を伸ばした。
「東……」
言葉を探すように口を開きかけた平だったが、その先を遮るように東が身を起こした。枕に背を預けた彼女の瞳はまだ潤んでいた。
「ごめんね、突然泣き出したりして。生理が近いんかな?情緒不安定気味かも」
無理に作った笑顔が痛々しい。平は黙って東の肩に腕を回した。それ以上の言葉はなかった。言葉よりも確かなものが二人の間にあったはずなのに。
あれから一ヶ月が過ぎていた。あの夜以来、東は表面上は以前のように振る舞っていた。学校でも変わらず明るく冗談を飛ばし、帰り道ではボディタッチを欠かさない。
しかし平には分かっていた。時折見せる虚ろな眼差しや、ふとした瞬間に零れる溜息が示す違和感を。
今夜も同じだった。普段より積極的に求めてきた東の姿は確かに淫らで美しかったが、どこか切迫したものを感じていた。そして事が終わった後の一瞬の静寂の中で、平はついに口を開いた。
「東」
「なに?」
振り向いた東の瞳は澄み渡っているようで底なしの暗さを宿していた。
「最近……何かあった?俺たち友達だろ?」
東の顔から表情が消えた。一瞬の沈黙の後、「どうして?」という問いが乾いた声で返ってきた。
「なんとなく……分かるよ。東のこと見てれば」
東の目がかすかに揺れた。「見ていたの?私を?」
「うん」
「ずっと?」
「そう、ずっと見てた」
-----
平のその優しい声音が東の堰を切った。
「分かってる!今の関係なんてただのセフレでしょ!」
突如として炸裂した怒声に平は驚愕した。東の顔が見る見る赤くなり、拳が震えている。
「友達にだって言えないことある!でも、言ってあげる!」
そう叫ぶと東は平の胸板に頭突きを食らわせた。ゴツッという鈍い音と共に平が小さく呻く。顔を上げた東の瞳からは涙があふれ出していた。
「平がいなくなったら 私 ダメなの」
震える声が平の鼓膜を打つ。
「平がいないと思っただけで、絶望に押しつぶされそうになる」
額を平の胸に押し当てて続ける。
「友達なんて嘘、恋人なんてもっと嘘。私はアナタの全てを自分だけのものにしたい」
嗚咽が言葉を遮る。
「平の望むことなんでもしてあげたい。平には女は私だけいればいい」
肩を震わせながら東は続ける。
「平に死ぬまで一緒にいてほしい」
最後の言葉を紡ぎ終えると東は顔を上げた。泣き腫らした目で歪んだ笑みを浮かべている。
「重くて、怖くて、気味悪いよね。ゴメンね、平」
平は言葉を失っていた。ここまでストレートに愛情をぶつけられたのは初めてだった。
しかもそれは「愛してる」なんて甘い言葉ではなく、もっと重く歪んだ依存と執着の告白だった。
東の歪んだ笑顔を見つめながら平はゆっくりと言った。
「怖くないよ」
その言葉に東の瞳が揺れる。
「むしろ……嬉しい」
「え?」
予想外の反応に東が戸惑いの表情を浮かべる。
「だってそれは……」平は慎重に言葉を選ぶ「東が本当の気持ちをさらけ出してくれたってことだろ?」
東の頬を伝う涙をそっと拭いながら平は続けた。
「今まで東がどれほど重いものを背負ってきたのか考えたことなかった」
東は唇を噛みしめて俯く。
「でもそれって……俺に何かを求めているってことだろ?」
平の真摯な眼差しを受け止めて東は再び震え始めた。
「そうよ……私は平を独り占めしたい。他の女の子なんか見て欲しくない。私だけを見て欲しい」
平は黙って東の手を取った。
「でも平には……重すぎるでしょう?」
「そんなことない」平の声は穏やかだった。「むしろ安心した」
東が顔を上げる。
「ずっと不思議だったんだ。どうして東みたいな人が俺なんかと一緒にいるのかって」
「バカ!」東がまた頭突きを仕掛ける。「平のことが好きだからに決まってるじゃない!」
その勢いでベッドに倒れ込む二人。東の髪が乱れ、シーツの上で絡まる。
「好き?それが本当の気持ち?」
平の問いかけに東は必死で頷く。
「じゃあなんで友達とか恋人とかいう言葉にこだわるんだ?」
「それは……」
「俺たちの関係に名前なんて必要ないと思う」断言する平。
-----
「けど東が安心できるように言葉にするよ」平が続ける。
「東、俺と家族になってください」
平の言葉が東の耳に響いた瞬間、思考が停止した。友達でも恋人でもない関係を指し示す言葉。これまで探し求めてきた答えが目の前にあった。
東は言葉を失った。かつてあんなに望んでいた承認の言葉なのに、いざ与えられると現実感が乏しかった。「え、えっと」と感情が追い付かない。
「それでも安心できないかもしれない」と平は少し困ったように微笑んだ。「けど、毎回ちゃんと話をしよう。正解なんてないんだと思う」
その言葉には妥協や投げやりなニュアンスは一切なかった。むしろ確固たる意思を感じた。
「だって、俺たちは友達で恋人で家族だろ。まだどれも未満かもしれない。けど、どれかにカテゴライズしなくちゃいけないわけじゃない」
その時、東は初めて真正面から平の顔を見た。他人との接触を恐れ、心に壁を築いていた男が今、全てをさらけ出している。その瞳に映るのは怯えではなく決意だった。
「平……」声が震える。「本当にそれでいいの?私みたいな女と……」
「東だからいいんだよ」平の手が東の頬に触れた。「他の誰でもない、君とだから」
東の中で何かが弾けた。それは長い間抱えてきた不安という名の氷塊だった。
「平、私のこと何も知らないと思ってた」東が涙ぐみながら呟く。「でも全部知ってたんだね」
平は東の髪にそっと指を通した。「ああ。東が思ってるよりはずっと」
東は平の胸に顔を埋めた。温もりの中に全てを委ねる安堵感。これがずっと欲しかった「居場所」だったのだ。
「はい」東の小さな声が胸の奥で響く。
「私を平の家族にしてください」
後日談:東の一問一答
泊まりのラブホテルで朝食をとる二人。
テーブルにはトーストと目玉焼き。見慣れた風景のはずが今日は違う。東の鋭い視線が平を刺す。
「平」
東がフォークを握りしめたまま切り出す。
「私たち高校生だけど、いつ家族にしてくれるの?」
平はコーヒーを吹きかけた。「ゲホッ……急にどうした?」
「真面目な話!約束したでしょ!」
東の頬がぷっくり膨らむ。次の攻撃が始まる気配に平は身構えた。
「子供は何人欲しい?三人?四人?それとも七人くらい産ませたい?」
「落ち着け東……朝から……」
「名字はどちらにするの?東家?平家?私は『平紫乃』の方が可愛いと思うな」
トーストをかじりながら東が畳み掛ける。
「あと平のご両親にはいつ挨拶に行けばいい?やっぱり週末?」
「ちょ……待てよ」
「まだある!私以外の女を見ないってどうやって守るの?スマホ没収?GPS装着?」
東の指が次々と条件を数え上げる。まるで婚約契約書を読み上げるかのようだ。東の瞳が悪戯っぽく揺れる。
「ねぇ平!一日一回キスしてくれる?最低限これくらいは必要だと思うんだけど!」
平はコーヒーカップを置いた。東の矢継ぎ早の質問に苦笑いを浮かべるしかない。
「そうだな」平は立ち上がり、テーブル越しに東の頭を撫でた。「こういうことをちゃんと話さないとな。正解なんてないんだから」
東の表情が一変した。
「あー!」突然の大声に平が飛び上がる。「誤魔化そうとしてるー!!」
東の頭が平の胸に突っ込んできた。ゴツンという鈍い衝撃。
「痛てっ!」
「もう!バカ!」
顔を上げた東の目に光るものがあった。しかし口元は緩んでいる。
「でも……ありがとう」消え入るような声。「ちゃんと向き合ってくれて」
平は東の頭をそっと抱き寄せた。窓から差し込む朝日が二人を優しく包み込む。
「一つ一つ決めよう」平の低い声が東の耳に届く。「まずは今日の放課後……どこへ行くか、からかな」
東は黙って平の腕の中で頷いた。満足そうな吐息と共に。