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「顔色が悪いな……。まだヴィムは帰らないのか。全く、何を考えているんだ、アイツは……。
ダイニングルームで夕食を摂りながら、ローマンは不在のヴィムに苦言を零す。
「
フリーダは頬を手を当て、溜息を吐く。だが彼女は大して気にしている様子はない。エルゼを助け出したというだけでも十分。加えてヴィム自身も圧倒的な力を有している。これ以上多くは望まない。というか、いつもの調子で安心しているくらいだった。
「……一週間くらいって言ってたから、そろそろだとは思う」
顔色が悪いまま、パンを手に取り口に運ぶ。エルゼは妊娠中の為、多少気分じゃなくても食事はしっかりといつも以上に摂らないといけなかった。
「……エルゼ。ヴィムがいるから妊娠期間は二週間程度に縮められるだろうが、その後はどうする? 学院の入学手続きは取り消した方が良いか?」
本音で言えば、ローマンはエルゼの学院入学は反対している。決して口にはしないが、その方がエルゼ自身にとって幸せなんじゃないかと考えていた。
貴族社会において、モンスターに犯された〈
きっと学院に入れば辛い目に遭うと、ローマンの表情は少し暗かった。
「――行く。兄さんが居るから……」
「…………。アイツは嫌がらないだろが……、寮にも戻らず、学院にも行かず、旅に出ている様な奴だぞ……。同じ寮に居ても、一緒に過ごせる訳じゃない。その事は理解しているのか?」
「分かってる……。でも出来るだけ近くには居たいから」
エルゼは自分でも言っていて、気持ちが悪いと感じていた。何より兄から気持ちが悪いと引かれないか不安だった。
それでも気持ちを隠しても仕方がないと、今は割り切っている。
一週間会えないくらい、なんともないって思っていたのに……。不安というか……、寂しいというか……、何をしても楽しく感じない。
兄さん、早く帰って来ないかな……。
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本当はじっくりと三姉妹を味わうつもりだったけど、少しやり過ぎたからね。緊急事態としてかなり強引だけど、街まで連れて帰れてかえちゃったよ。
鍛え抜いた魔力操作技術で身に付けた変身能力を、思う存分に使いたい欲求が溜まっていたかも知れない。ついつい
今後は輪姦は控え目で、じっくりと味わった方が良いのかも。
「――久しぶりのお風呂……。気持ちが良いね……」
高級旅館で僕は、個室の浴槽で湯に浸かっていた。個室とはいえ、
だから三姉妹と一緒に入っても全く狭くないはずだったが――。
「はい……」
フローラは右隣で僕の腕を抱き締めてる。一番生真面目で堅物なイメージがあった彼女だが、恥ずかしそうに先程からベタベタと接してきていた。
「貴方は、これから何か予定はあるんですか?」
浴槽の縁に背を預け、少し離れた距離から視線を向けて来るセレスト。
「そうですね……。僕は暫く忙しいかも知れません。恋人や家族にも生きていると報告しないといけないですしね……」
気不味そうに肩を落とす僕。
そういえば、この姿の少年を殺した時、恋人らしき相手がいたけど……、あの子に会うと色々厄介そうだなぁ……。
仮に出くわした時の為、普段から記憶喪失の振りをした方が良いのかも知れない。まぁ他人の空似として押し通すのも手。何とでもなるよね。
「……その報告が終わった後は、どうするつもりですか? 良ければ、私達と一緒に冒険者として活動してくれたら嬉しいんですけど」
フローラは目を逸らし、恥ずかしそうに言う。完全に恋する乙女という感じ。積極的な癖に照れているのを隠せてない。恋愛に不慣れなりに頑張っているという様子。
「…………。孕ませた手前、縁を切ったりする気はないですよ。ただ冒険者として活動は控えようと思ってます。これでも各国の騎士団と協力している立場なんで」
苦笑しながら意味深な発言をして、僕は頬を掻いた。
「各国の騎士団と協力……?」
アリシアは左隣で僕の腕を掴んで抱き付いている。こんなに広い浴槽だというのに、フローラもアリシアもベタベタとひっついて離れそうとしない。
輪姦に遭い、女の価値を失っている様子だったのに……、二人共積極的だなぁ。まぁ良いや。僕としては嬉しい限りだよ、元気を取り戻しつつあるようで。
「…………別に政府に属している訳じゃないですよ。一言でいえば〈情報屋〉です。何処かの国に肩入れする訳ではなく、ただ情報の売り買いを生業にしているというだけです」
この世界は実際に情報屋はいる。僕も何度も顔を合わせたし、一時期は情報屋として働いた経験もある。
「情報屋って……、暗殺者がよく利用してるっていう……。まさか各国の騎士団も利用しているなんて……」
セレストは顎に手を当て、心配そうに此方の様子を伺っていた。どうやら僕が悪事に加担しているのではないかと疑っているのだろうか。
「僕達は良くも悪くも、情報を売る相手を選びません。金になりそうな情報を掴んで、ただ売り込みに行くだけなので……。掴んだ情報次第で客を選びます」
正義の味方だと思われても面倒だから、あくまで中立であり商売人だという立場を示しておく。
「悪事に加担した事もある感じ……?」
アリシアは不安そうな表情で僕を見ていた。僕が姿を消すのを不安にでも思っているのか、腕を引っ張り強く抱きしめている。
「それは勿論。情報屋ですから。……だから、僕にやった事は忘れて良いですよ。僕はどんな目に遭おうが自業自得。身から出た錆。殺されても文句は言えない程、これまで悪事に手を染めています」
そういう生き方を選んだ理由は分からない。ただ何か理由があって、悪事に手を染めたのだろう風な、自虐的で悲し気な表情を僕は作る。
「……忘れませんよ。貴方が既に手を汚してしまっているとしても、……私達の罪は消えません。何より自分を犠牲にしてまで、貴方は私達を庇ってくれました。少なくとも私達からすれば、貴方は悪人なんかじゃありません」
フローラは凄く真剣な表情で、緊張でたどたどしく想いを伝える。ただ一見すると普通の恋する乙女な彼女だが、何処か目が濁っていた。
何か……、前世のトラウマが蘇る目だ……。パッと見は可愛らしいのに、目に光が無くてグルグルと渦を巻いた様な、闇を感じるというか……。
これはアレだ。
「私達、もう女としての価値はないかも知れませんが……。偶にでいいんで、顔を見せて下さい」
多くは望まない。そう言いたげなフローラ。でも僕は知っている。
「……そうですね。僕達、子供も居るし夫婦みたいなものですから」
そんなこと言って、ヤンデレはいつも徐々に近づこうとしてくるんだ……。最初はただの友達だと油断させて、少しずつ、じわじわと近づいていつの間にか一緒に住むんだ……。
しかも一番ヤバいのは、ヤンデレは突き放しても愛憎が強くなるし、近づいてもウェルカムな所だ。
正直、打つ手なし。だからこそ僕は前世で殺された訳だしね……。
「…………。夫婦って、そんな……。段階飛ばし過ぎじゃ……。いや、最初に飛ばしたのは私達ですけど……」
「あくまで例えだから! フローラ! 冷静にッ! 嬉しい気持ちは分かるけど!」
狼狽えたフローラはブツブツと呟き、アリシアが突っ込む。セレストは「…………ッ。私が男と……。いえ、貴方は例外で、嫌いじゃ有りませんが……」とまだ男に抵抗が有りそうな態度だが、わりと満更でもなさそうだった。
「…………」
何か厄介な事になっている気もするけど……、このまま縁を切る訳にもいかないよなぁ。
僕の変な性癖の所為で傷つけてしまったんだ。傷つけた分だけ、この子達を後から幸せにしてあげないと……。