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ガルムの脅威を知った国王は、ある意味において先見の明があったのだろう。しかし警戒心が強すぎるが故に
『相手の戦力も
『――時間が経つ程に戦力が増えるのだ』
ローレの忠告を、父である国王は無下にした。
そしてローレの忠告通り、悲劇は起きた。攻撃的な程にガルムの拠点を潰して回る。そんな荒い手段を用いたが故に、王都が襲撃されてしまったのだ。
これにより優秀な人材に溢れたアルテミシア王国が、一夜にして
その事についてはローレは、父や騎士の自業自得としか思わなかった。
だから言ったのに……。あのクソ親父……。
戦いの跡地で、内心毒づくローレだったが、悲しみ以上に怒りが大きかった。どいつもこいつも、揃いも揃って
勝てる訳がない。逃げれば良い。無意味に民衆を殺して回る連中じゃないと知っているのだから、逃げて問題なかったはず。
だとしても賊に背を向けられない。民衆を守らずして何が騎士だ、貴族だと。命より
それはマルテも例外じゃなかった。
馬鹿げた魔力密度を持つドロイを前に、彼は戦いを挑んでしまった。
近づくだけで吐き気がする程の濃密な魔力が重くのしかかり、ローレは恐怖に震えて声も上手く出せずにいた。
隣にいたマルテも似た様な状態だったはずなのに……――。
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「――良かった……、アンタが無事で」
大きくはないが、小さくもない程良い胸を押し付け、ローレはギュッとジュードを抱き締めた。「馬鹿じゃないの? 何であーしのとこ、戻ってこなかった訳?」歓喜のあまり目尻に涙を溜めていた。
「…………?」
フローラは咄嗟にジュードから離れて、この事態に困惑していた。アリシアやセレストも状況を呑み込めていない様子。
「…………。すみません……。実は僕、記憶を喪失していて……、貴女の事を思い出せません……。
彼女の肩を掴み、少し引き離すジュードは申し訳なさそうに目を伏せる。
「…………ッ」
彼の発言に、ローレは言葉を詰まらせて驚き、何か諦めた様に悲し気な表情を浮かべ「…………そっか。何だかんだ、無事で、……一件落着だなんて、そんな事ある得ないか」と小さく零して眼下を見つめる。
涙が落ち、
「…………。婚約者だった……。政略結婚ってやつ。私が三歳年下で……――。いや、アンタ……、見た目変わってなさ過ぎじゃない?」
涙を指で拭いながら話すローレの表情は、驚きと困惑が入り混じった物に変わる。
「――まぁ、一応これでも僕、亜人らしいので……」
ジュードは頬を掻き、気まずそうに伝える。
「「――――ッ⁉」」
ローレだけじゃない。その場にいたアデーレや三姉妹も彼の言葉に驚く。
「非常に
実際それは本当の話。ヴィムは魔石を食らい亜人となっている。ただ見た目に変化が出ないというだけ。
「え……? まじ……? どゆことそれ? 体調べて良い?」
錬金術師としての血が騒ぎ、ローレがベタベタとジュードの体に触れる。「体を調べるって……、もしかして、錬金術師だったりします?」と彼は恐る恐る尋ねた。
「――あーし、これでもアルテミシア王国随一の天才錬金術師だから。凄いでしょ」
「随一って……、
何処か悲しそうに笑うローレに、ジュードは困った様な反応で返す。
彼は温和な態度とは裏腹に、全身に緊張が走っていた。
何せジュードが姿を変えているのは、見た目だけ。遺伝子ごと変えている訳でもなく、姿形を
……もしかすると体を調べられた結果、マルテとジュードが別人だと判明してしまうかも知れない。
一応、警戒しないとなぁ。
「――あれ? 君さっき家族に会わないといけないって言ってたじゃん? 家族の事は忘れてない感じ?」
割って話に入るアリシアは自然と近づき、ジュードの腕を抱き寄せる。「…………、あの、えっと……?」戸惑い不安そうな顔をするローレ。どうやら三姉妹とジュードの仲を気にしているらしい。
「いえ……、僕は言語以外、殆どが五年前からの記憶しか持ってません……。家族とは言いましたが、正確には家族の様に大切な仲間の事ですね。今も僕の帰りを待っているはずです。明日には帰らないと――」
「だ、駄目ッ! 駄目だから! せっかく再会できたのに! すぐいなくなるなんて許さないからッ! もうこれからはずっと、あーしの
ジュードが言い掛けると、ローレがジュードの手首を掴む。今のジュードにとって自分は赤の他人に過ぎないと理解しつつも、感情が抑えられなかった。
「「…………」」
少しローレの声が大きかった所為か、通行人達がジュードに刺す様な視線を向けていた。
どうやら痴話喧嘩か何かだと思われているのだろう。周囲から見ればジュードは女を
可愛い顔してドロドロした恋愛をしている、貴族の坊ちゃんに見えているのかも知れない。
「とりあえず生きている事を教えたり、溜まった仕事を片付けないと……――」
肩を竦めて