※この作品はR-18です。

【可哀想】じゃなきゃ抜けない!   作:BIBI

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第3話 兄としての怒り!笑

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 夕暮れ時。両袖机(りょうそでづくえ)に手を置き、立ち上がるヴィムの父――ローマン。

 

 

「なん……、だと……?」

 

 

 私室。その表情は青ざめ驚愕に染まっている。確かに王子の傍とはいえ、娘一人を預けるなんて不用心ではあった。

 

 

 

 しかしモンスターは基本的に帝都に近い程、弱いと言われている。

 

 

 しかも帝都で最強といえば二級であり、その域に近い実力を持つ自分の娘に何かあるだなんて思ってもみなかった。

 

 

 

「確かな情報です。エルゼ様が黒ゴブリンに襲われたと……。部隊は生き残りが一人だけ……。既に4時間が経過しています。恐らく……、もうエルゼ様は……」

 

 

 騎士は言葉を濁し、悔しそうに目を逸らした。

 

 

「…………そんな」

 

 

 フリーダはぺたりと床に尻もちを突き、涙を流して放心した様子だった。あまりにも強いショックを受け過ぎて、取り乱す気力すらも湧かないらしい。

 

 

 

「詳しい事情と今後の救出作戦については、皇帝も全力を尽くす方針だと……。ただ今いる戦力だけでは心許ないのも事実。黒ゴブリンは二級モンスター。しかも集団で生活する習性があり、容易く討伐する事は不可能です。その為、急遽(きゅうきょ)話をまとめ、再度連絡すると。そう仰られていましたが……」

 

 

 

 公爵貴族の次期当主をこんな目に遭わせてしまったのだ。王族としても沽券(こけん)に関わると対応を急いでいるのは事実だろう。しかし――そう簡単に二級を出動させられない。

 

 

 

 もう皇帝自身、エルゼが無事に戻って来る事は有り得ないと切り捨てており、モンスターに犯され〈(けが)れ者〉となった女如きに、帝国の最強を救出に向かわせるなど他の貴族が反対する。

 

 

 

 地位が高い貴族ほどモンスターの脅威を知らない。安全な場所で暮らし生きている。それ故だ。〈着床免許(ちゃくしょうめんきょ)〉を持つだけでも汚らわしいと偏見を持っており、ましてモンスターに犯された〈穢れ者〉など、差別の対象として見るのが当然。

 

 

 

 今頃『エルゼを失ったライザー家は没落一直線だ』と、周囲の貴族達は笑い話で持ち切りだろう事は、想像に難くなかった。

 

 

 

「…………。こればかりは運だからな。集団で動く二級モンスターなんて遭遇するのは本当に稀だ。特に帝都付近ではな……。アラン王子や皇帝の責ではないさ」

 

 

 

 頬を汗が伝う。涙は出ない。ローマンもまたフリーダ同様、気力が抜け落ちており、椅子に腰を降ろして深く溜息を吐く。

 

 

 

 数秒。いや何十秒も経過したかも知れない。沈黙が続く。それを打ち破る足音が下手に響くとバンッと唐突に扉が勢いよく開かれた。

 

 

 

「――父さん。事情は聞いた。僕がエルゼを探しに行くよ。ギルドじゃゴブリン退治の依頼は引き受けていたから、多分大丈夫。黒ゴブリンに見つからない様に、上手くエルゼを救出くらいは出来るだろうから」

 

 

 

 落ち着いた声で黒髪の少年――ヴィムが告げる。いつもの飄々とした、どこか怠そうな喋り方。実の妹がモンスターに攫われたとは思えない落ち着いた態度だった。

 

 

 

「ならん……! お前をここで失う訳には!」

 

 

「ヴィム。貴方まで失ったら、私は……」

 

 

 

 顔を上げ睨み付ける様に心配するローマンと、激しく狼狽えるフリーダ。その両親の言葉を受けても、ヴィムの意思は変わらなかった。背を向け彼は黙って立ち去ろうとする。

 

 

「今から行った所でもうエルゼは、モンスターの子供を孕んでいる……! 世継ぎを残せない……! お前まで――」

 

 

 

「心配なのは世継ぎなの?」

 

 

 

 後継の事ばかり気にする父に、ヴィムは冷たい声を発する。

 

 

 振り向かない彼の表情は分からない。

 

 

 だが失望されている事は後姿と声だけでも分かると「…………」ローマンは拳を固めて数秒黙り――。

 

 

「そういう事が言いたい訳じゃない……! 貴族は感情で命を懸けるべきではないと言っているんだ……! お前も貴族なら、冷静になれ! 合理的に考えろ!」

 

 

 

 精一杯の言葉だった。無意識だった。自分が娘の命より、後継の事を優先して考えているだなんて。嫌っていた周囲の貴族と自分が似た様な思考をしていた事に、ローマンは激しい失望を抱く。

 

 

 

「…………貴族としては父さんが正しいとは思う。確かに一番最初の子は親の才能を受け継ぎやすいのは確かだしね。でも、僕とエルゼを見ればわかるだろ? 末っ子だろうと才能を受け継ぐ事もゼロじゃない。今からでも助ける価値はある」

 

 

 

「…………ッ。だが――」

 

 

 背を向けたまま話すヴィムに、ローマンは未だ食い下がる。だが――。

 

 

「言っとくけど僕が此処(ここ)に残っても、予定通り一ヵ月後、廃嫡の手続きを進めて家を出るから」

 

 

「「――――ッ」」

 

 

 振り返り放ったヴィムの豪胆(ごうたん)な宣言に、両親だけではなくその場にいた騎士や使用人達さえも驚愕で表情が凍り付く。

 

 

 

「……貴族の損得で言うなら――僕が運よく妹を助け出せる方に賭ける事が合理的だよね? ――それに安心して良いよ、二級モンスター如きに後れは取らないから」

 

 

 

 不敵な笑みを浮かべるヴィム。纏う魔力の密度はエルゼを(ゆう)に越えており、剣の腕前はこの場の誰もが知る所。

 

 

 

 間違いなく、彼は二級の実力を持っている――。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 いやぁ。上手くいったなぁ。やっぱ出来損ないの王子だけあって、強い護衛は付いてないねぇ。まぁだとしても、エルゼだけ放置して逃げるのは意外だった。

 

 

 

 もしかしてアラン君って酷い奴だったりする? 普通は護衛に抵抗してでも自分の女を守ろうとするよね、男なら。

 

 

 

 まさか恐怖で体がすくんで助けに入れなかったとか? そんな訳ないか。流石にそこまで情けない男が婚約者とか、エルゼが可哀想すぎる。

 

 

 

 血の繋がった兄としては、そんな妹の不幸は想像したくもないよ。

 

 

 

 まぁ理由は何にせよ、僕としては有り難い。無駄な殺しは僕も望む所じゃないからね。殺さなくて良いなら殺したくはないんだ。

 

 

 

 僕の趣味はあくまでレイプだ。()いて求める血があるとすれば、破瓜(はか)の血だけさ☆

 

 

「さーて……」

 

 

 ――――やりますか。

 

 

「変ッ身!」

 

 

 ――なんてね。

 

 

 森の中にある崖付近(がけふきん)には、人どころか獣の気配すらなかった。僕の体を黒い霧が包み、一瞬にして姿を黒ゴブリンへと変貌させた。「ギィ!」と何度も声を発し、声色をモンスターに近づける。

 

 

 こんなものか……。問題ないね、完璧だ。

 

 

 後はエルゼを犯すだけ。血の繋がった妹を犯すとか、最高すぎるよぉ♡

 

 

 ワクワクが止まらないね!

 

 

 一瞬にして着替え地面の落とした衣服を袋に詰め込み、僕は口角を上に吊り上げた。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「…………ッ」

 

 

 目を覚ますと洞窟に作られた牢屋だった。

 

 

 鉄格子(てつごうし)や手首の(かせ)を見る限り、此処(ここ)はゴブリンが作ったとは思えない……。恐らくかつて賊の隠し拠点で、其処(そこ)をゴブリンが巣穴として利用しているって事か。

 

 

 

〈縛り〉の呪印か……。魔力が練れない……。じゃあもう詰み。無事に逃げ出す事はできない。

 

 

 これから孕み袋として利用され、ゴブリンの子供を何体も産む事になるのかな……。

 

 

 でも――何週間も何ヶ月も犯され続けていたら……、きっと逃げ出すチャンスくらいはあるはず、だよね……。

 

 

 

 これから自分の身に起こる事を論理的に考え、少しでも冷静さを無理やり保とうとするが、恐怖が(ぬぐ)える訳もなく――。

 

 

「~~~~ッ」

 

 

 エルゼの目から、ボロボロと涙が零れ落ちた。腕を拘束された状態で手術台で乗せられているのだ。冷静さを保つ事などできるはずもない。

 

 

 

 出産の時、腹を破って出てくる個体もいるんだっけ……。死ぬのかな、私。大体モンスターの子種って着床までが早くて数時間……、遅くても四日だったはず。

 

 

 

 そして妊娠から出産まで、大体一週間くらい……。

 

 

「…………」

 

 

 二週間もしないうちに、私、ゴブリンを産む事になっちゃうんだ……。まだキスすらした事がないのに……。

 

 

 

 何で私がこんな目に……。ずっと毎日毎日休まず努力して、真面目に生きてきたのに、どうして……。

 

 

「…………ッ」

 

 

 グッと拳に力を入れ抵抗するが、鎖がガシャッと音を立てるだけ。ここから抜け出す事なんて不可能に思えた。

 

 

 

 いっその事、従順に奉仕(ほうし)したら……、油断して鎖を外してくれるかも知れない……。

 

 

「ギャギャギャ!」

 

 

 入り組んだ洞窟に響く、禍々しい笑い声。「――――ッ」心臓がバクバクと音を立て、緊張が走りエルゼの表情が強張る。逃げれない、無意味だと頭で理解していても、体が勝手に逃げようと動き、引っ張られた鎖がガシガシと音を立てていた。

 

 

 

「ギャ!笑」

 

 

 まるで驚かせる様に、曲がり角から顔だけをバッと出して此方(こちら)を見てきた。遠目でも嫌という程に伝わった、その瞳には醜いオスの欲望が込められている事が――。

 

 

 

 これから何が起こるのか、それはもう言うまでもない。

 

 

「ギャギャギャ~♡」

 

 

「助けてッ……‼ 誰か……‼ たす――――……」

 

 

 

 





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