7月4日土曜日。午前10時。
少し蒸し暑い中、俺達は予定の時刻ぴったりに
「じゃあまず、罰ゲームを追加しよっか。私は腰振りダンスね」
菫紅はルーレットのアプリを開くと、腰振りダンスというマスを追加した。
全裸で腰を振るのは二人も恥ずかしいと思うけど、これは俺を恥ずかしがらせる為に考えたのだろう。できれば回避したい罰ゲームだ。
「ん。私はお尻を撫でられる」
次にスマホを受け取った
これは、百嶺はされても恥ずかしくないけど、俺達は恥ずかしいという絶妙なラインを突いた罰ゲームだと思う。百嶺は撫でられるのが好きなので、よく撫でられる系の罰ゲームを追加している。
仮に全裸でお尻を撫でられたとしても、百嶺はむしろ喜びそうだ。
「俺はまんぐり返しな」
百嶺からスマホを受け取ると、俺は予め考えておいた罰ゲームを追加した。折角の脱衣麻雀なので容赦はしない。
「何、それ?」
「仰向けになって、両足を開いたまま頭の方に曲げるんだよ」
「……えっち」
仮に全裸でやれば何も隠せなくなる羞恥のポーズ。
恥ずかしいのは俺も同じだが、二人にとっては特に恥ずかしいだろう。百嶺は想像しただけで顔を赤くしているし、菫紅はどんなポーズか知っていたのか、罰ゲームの内容を聞いた時点で顔が赤くなっていた。
「し、下着とかの罰ゲームは抜いておいたし、他の罰ゲームはこのままでいいよね?」
「私もそう思う」
「それでいいんじゃないか?」
この罰ゲームルーレットは三人で少しずつ追加してきたものの、増え過ぎたら相談して消しているので今は26個になっている。
他にも過激な罰ゲームはあるが、新しい3つの罰ゲームに比べれば比較的マシな部類なので、なるべく残しておいた方がいい。それは満場一致の意見だった。
「じゃあこのままで。それと、合計失点は私がここに記録してくね。リーチ棒とかノーテン
「あ、そうだな。ありがとう」
菫紅は小さな黒板をベッド横に立て掛けた。
麻雀は単にアガった、アガられただけではなく色々な要素で点数が上下するので、それらの合計失点を覚えながら打つのは不可能だろう。
「どういたしまして。準備もできたし、始めよっか。部屋は私が建てるね」
「ん」
「よろしく」
スマホで麻雀アプリを立ち上げて、フレンド一覧から菫紅が建てた部屋に入る。
そして対局の準備ができたら、菫紅がベッドの前。百嶺はタンスの前。俺は壁際。いつもと同じ位置に移動して、それぞれ正座、三角座り、胡座というこれまたいつもと同じ座り方で向かい合う。
そして、特に合図もなく脱衣麻雀は開催された。
初めの親は俺。南家が百嶺、西家が菫紅だった。
「
「まだこっからだろ」
麻雀アプリでのネット対局とはいえ、目の前に居るので反応が分かる。俺とは違い、菫紅の配牌は良かったみたいだが、配牌の時点では何も分からない。ここからが重要なのだ。
「ま、そうだけどね。リーチ」
「……まじかよ」
「……お姉ちゃん早すぎ」
まだ二巡目なのに菫紅がリーチをした。いくら何でも早すぎる。
俺がひとまず菫紅が一巡目に捨てていた
「それロン」
そして、菫紅に振り込んでしまった。
しかも演出が入ったので、最低でも8000点。2枚分の点数だ。
中 1翻
ドラ 1翻
裏ドラ 1翻 8000点
「8000点だから、2枚脱ごっか、百嶺」
「……分かってる」
「まあ、今のは事故だって」
流石に可哀想なのでフォローする。二巡目のリーチなんてどの牌が安全でどの牌が危険かも分からないし、事故といっていいだろう。
「流石に私の運が良すぎたもんね」
「それも分かってる」
百嶺はそう言いながら、靴下を脱いだ。そしてシャツのボタンを一つずつ外していく。肌着くらいなら普段から見えることも多いし、百嶺は普通に脱いでいるけど、俺は興奮していた。
着替える訳でもなく、ただの遊びなのに、服を脱いで肌着を見せてくれている。その事実にどうしょうもなく興奮してしまう。
「脱いだし、進めよ」
「……だな」
それに、脱衣麻雀はまだ始まったばかり。
全裸まではあと4枚残っているとはいえ、開始数分で2枚も脱ぐことになったのだ。二人の全裸を見られるかもしれないという期待が膨らむと共に、脱衣麻雀の恐ろしさを改めて理解した。
俺が脱がされる可能性もあるので、いつも以上に気を付けて打とう。
「残念、それロン」
なんて考えていたにも関わらず、次局。俺は菫紅に振り込んでしまった。
抜きドラ 3翻 12000点
「あはっ、いい反応。跳満あるし、警戒してるっぽいからリーチせずに待ってみたんだ」
「……菫紅ってそういう所が強いよな」
菫紅が北を3枚抜いていたので警戒はしていたのだが、リーチをしていなかったので平気だろうと思ってしまった。
菫紅は牌効率や読みの技術があるのはもちろんだが、そもそもの駆け引きが上手いので、心理戦が本当に強い。特にこうして、顔を合わせて麻雀を打っていると痛感する。
「お褒めに預かり光栄。だけど、早く脱ごっか」
「分かってるよ。5枚しか着てないから、靴下の左右とシャツで3枚な」
俺は靴下とシャツを脱いだ。
百嶺と違ってブラが無いので、靴下で脱ぐ枚数を調整することにしたのだ。
「靴下じゃなくて、パンツで調整してもいいんだよ?半脱ぎと全脱ぎ、みたいに」
「する訳ないだろ。早く次やるぞ」
「ざーんねん」
揶揄うように言われたが、そんな安い挑発には乗らない。
それに、菫紅は暑がりなので、出掛ける時はともかく家に居る時は肌着を着ないことが多い。今は透けてないから分からないけど、着ていなかったら俺と同じ5枚だろう。
もしそうだったら言い返してやろう。