※この作品はR-18です。

Fate/All Played Out   作:齋藤 翼

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 さてさて、お立合い

 これここにて語るは世にも奇妙な戦の噺
 戦い抜きながら――誰一人として
 誰も死ななかった聖杯戦争。

 願いを巡る争いは、やがて『結末』へと至る。

 どうか――最後までお付き合いを。

(by????)


Fate/All Played Out

 さてさて、お立合い

 

 これここにて話すは世にも珍しい、戦い抜いたのに

 誰も死ななかった聖杯戦争の噺。

 

 どうか――心行くまでお楽しみを。

 

 

Fate/All Played Out

 

 

[浅草某所]

 

 ここは浅草のとある神社。

 

 車いすの私は二つの魔法陣の上にそれぞれ、扇子と巨大な下駄を置いた。

 後は詠唱を唱えるだけ

 

 大丈夫……きっとうまくいく。

 すべてうまく行って……

 

 そして私……『久遠 灯(くおん あかり)』は、詠唱を始める。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。

 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 血脈の魔力が高まってゆく。

 

「閉じよ(みたせ)。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

 繰り返すつどに五度。

 ただ、満たされる刻を破却する」

 

 血が騒ぐのを必死に抑える

 

「―――――Anfang(セット)」

 

 声が震えそうになるのを堪える

 

「――――――告げる」

 

 ただ心静かに英霊に願いを

 

「――――告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 捧げるための詠唱を

 

「誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、

 我は常世総ての悪を敷く者。」

 

 さあ、ここからが勝負だ……

 

 二重詠唱!

 

「さあさ、お立合い。

(その一歩は地を震わせ、その一撃は天を割る。)

 これより一席、語り申す。

(積み重ねし鍛錬は山の如く)

 結末は未だ白紙なれど、落ちはわが手にあり。

(見るがいい、これぞ最強の証)

 ――いでよ、語りて結びし者。

(――来たれ、破格の力そのもの。)」

 

 後は最後の詠唱だけ……!!

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 そうして。

 

 私は――確かに成し遂げた。

 6尺はあろうかという大男と羽織、袴、紋付にフェドラハットを被った優男が現れた。

 

 二人は同時に問う

 

「お前が……俺のマスターか?」

「一応聞くけど……。

 お前さんが、あたしの主人かい?」

 

 私は唾がごくりと喉を通るのを感じつつ

 確かに答えた

 

「私が……貴方たちのマスターで万能の願望機、聖杯を欲するものよ

 よろしくお願いするわ。」

 

 私がほっとしているころ……

 

 

[同時刻:浅草某所]

 

 浅草、某寺にて

 

「……汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」

 

 浅草、某教会にて

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

 浅草、某公園にて

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」

 

 浅草、某ホテルにて

 

「汝、三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 浅草、とある河原にて

 

「な、汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 女の前に厳めしい侍が現れた

 

 侍は問う

 

「貴様がわしの主か?」

 

 女は慌てて……否定した

 

「いえいえいえいえ、滅相もない

 ただの一ファン……推しを好きな人です!」

 

 侍は……戸惑い狼狽えた。

 

「……はあ?」

 

 こうして、七騎揃った。

 

 かつてない……

 

 ――戯れの前に。

 

 

[浅草某所]

 

「はあ、でも私に戦えって言われてもね……

 私、魔術師としては三流って言われてるのよ?」

 

 バーサーカーには霊体化してもらい

 キャスターには車いすを押してもらっている。

 

「それがあんたが覚悟して臨んだことでしょう?

 大体腕は一流じゃないかい?」

「うっさい、キャスター。

 私は召喚の儀さえ、つつがなくマスターになって済めば

 万能の願望機が手に入って

 平凡な隠遁生活がおくれるって聞いて……

 しかも、願いが一つしか敵わないなんてとんだ計算違いだわ。

 ――はあ、確かにあたしがバカだったわね。

 あんな両親の言う事信じるなんて」

 

 ……腕は一流だが魔術師としては三流

 

 その言葉を納得したキャスターは確かに頷いた

 

「なるほど……三流なのに一流とはそういう事でしたか。

 ――しかし。

 仮にもあんたの親でしょ?

 そんな事言っちゃいけません。」

 

 私は小うるさいキャスターにため息を吐き文句の一つも言ってやる

 

 これは所詮、八つ当たりに過ぎないけど。

 

「もー、もー、もー、うっさいなあ

 キャスターは。

 人の家庭事情も知らないのに

 土足で突っ込まないでくれない?」

「はいはい。

 じゃあ、あたしの事情も知らないのに

 土足で踏み入らないでいただけますか?」

 

 その時だった。

 

 ――気配が二つ。

 間違いなく魔術師とかサーヴァントの類だ。

 

 私は小声でキャスターに指示を出す

 

『……会話を続けたまま

 近くの神社まで』

『――承知で。』

 

 次の瞬間……私はキャスターの頬を思いっきり叩く

 

「私のことはもう放っておいて!!」

「ああ、そうかい。

 じゃあ勝手にさせてもらうよ!」

 

 そうして、私は落ち込んだふりをして神社まで

 恐らく、相手のマスターとサーヴァントを誘導した。

 

 相手のマスターは黒髪に黒い服装に身を包んで

 心が凍えそうなほど冷たい目をしている。

 

「あの、何か用で」

「しらばっくれるな。

 貴様を殺す方法など48以上あったが

 ここまで我慢してやったんだ

 さっさと俺のために殺されろ」

 

 ――ああ、私はなんて幸運なんだろう

 

 そう思った。

 

 なんせ、足の悪い私相手に

 手加減してくれているのだから、この青年は。

 

 ここで……ランサーと思しき武士の

 槍持ちの相手が霊体化を解いて姿を現す

 

「……まあまあ、お待ちください、主殿。

 ここはいくら恐ろしくも愛おしい妻に逢うためとはいえ

 か弱い女子を討ち取るより

 さっきのキャスターと思しき輩を」

 

 私はランサーの槍をよく観察する

 刃の中央に倶利伽羅龍……と髭の印象が残る恐妻家のこの男は……!

 

「誰がか弱いって?

 この男は福島正則よ!」

 

 背後から私の言葉に合わせて、キャスターが出てくる。

 手拭いを刀のように変えて、ランサーと思しき相手の背後を取った。

 

 ――はずだった。

 

 槍により手拭いは真っ二つに、キャスターは距離を取り

 キセルをぷかあっとふかす。

 

 次の瞬間、ランサーの周りには目も眩むような名酒、酒樽の数々

 ランサーは思わず、酒に夢中になる

 

 いや、戦闘中にもかかわらず、

 酒に夢中になってしまうような催眠が、あの煙にはかけられている。

 

 が、次の瞬間マスターの方が私を殺そうとして

 

「悪いが……死んでもらう。」

「あら?

 ――そうなるかしら?」

 

 バーサーカーが霊体化を解き、

 素早く左足を踏み込み、左手で張り手を一発。

 

 あっという間の幕切れだった

 

 木にぶつかったランサーのマスターが

 元気な事に、這う這うの体で私に殺せ殺せとせがんでくる

 

「殺せ……殺せよ。

 俺の作戦負けだ」

 

 私は何とか覚えた、治療魔術を使う

 

 驚いたランサーのマスターは目を見開き、質問してくる

 

「何故……俺を治療する?

 更に痛めつける為か?」

「……んー?

 チェスと将棋の違いって知ってる?」

「取った駒を再利用できる「持ち駒」ルールの有無……か?

 俺たちを持ち駒にしようと?」

「そう、それよ。

 君が頭よくて助かるわー。

 とりあえず共闘開始記念に……」

 

 私は場所を移す。

 

 宴会にふさわしい場所へ

 

 

[月島もんじゃ]

 

「何だこのげ」

「それは言わないお約束ですよ?」

 

 言ってはならない一言を言おうとしてキャスターに言いくるめられる

 ランサーのマスター。

 

 呆れた私がコテの上に餅めんたいチーズをのせて

 ランサーのマスターへすすめる

 

「ぐちゃぐちゃ言ってないで一口食べてみなさいよ?

 まずは……同じ釜の飯を食うところから始めましょう

 私の名前は久遠 灯。

 見ての通り毒なんて入ってないから、さ」

 

 ランサーのマスターはものすごく嫌そうな顔をした後

 思い切って一口。

 

「……うまい

 海鮮と餅と出汁の旨味が舌を包み、紫蘇の香りが鼻を抜けた後

 辛みが舌を刺激して凄く、うまい」

 

 ランサーのマスターは途端に餅めんたいチーズを食べ始める。

 

 キャスターはと言えば相変わらずのマイペースで

 お焦げを味わいながら食べる

 

「ああ、この身になってもう食事は必要ないものだと思っていたけど

 やっぱり、食事は最高に楽しいねえ」

「何、英霊になったくらいで悟ったような事言ってんのよ?

 食べるのは美味しいし娯楽は楽しいモノでしょ?」

 

 私が思わず思ったことをキャスターは少しびっくりした顔をして

 その後にっこりと笑って私の頭を子供の頭を撫でるように撫でてくれるのだった

 

 私がなんとなく子供扱いされた気がして口を尖らせていると

 ランサーのマスターは感慨深そうに言う

 

「良いな……お前たち

 お前たちを見てれば俺の中に欠けたものもわかりそうだ」

 

 思わず私がツッコミを入れてしまう

 

「ちょ、それどういう意味よ?」

 

 するとものすごく申し訳なさそうな顔をして

 ランサーのマスターは喋り出す

 

「俺の名は『零(れい)』。

 それが抜けた組織から与えられた名前だ。

 産まれたときから戦場を傭兵として渡り歩いていたが

 俺は元同僚曰く人の愛というものを知らんらしい。」

「なにそれ?

 失礼な同僚ね

 ケツに蹴りくらい入れてやった?」

 

 零は凄く驚いた顔をした後なるほどという顔をして

 何でもない事のように答えた

 

「……なるほど。

 あいつにそう接してやればよかったのか……」

「そうよ、あたしなんかもう既に一回

 キャスターの頬を叩いてやってるわ」 

「えええ……。

 あれ、演技じゃなかったんですか……?」

「何よ、乙女の心に土足で踏み入って。

 なんか文句でも?」

「そりゃありますよ。

 もう少しですね?

 可愛い女の子らしくは出来ないんですか?」

「何よ?

 今度は殴られるのがお好み?」

「……いえ、何でも無いです。」

 

 突然、零が笑いだす

 

「やっぱり……お前たち面白いな!

 面白いと言えば……

 今回の聖杯戦争、七騎なのに

 なぜか監督役のルーラーが召喚されていた

 何でも令呪の受け渡しができるらしい

 それから、令呪が参画無くなると失格扱いとも聞いた

 お前は吸血種のカルネミアという監督役に三井高利のコンビを知っているか?」

「あら、やっぱりそう思います?

 お似合いだって」

「はあ、寝言は寝てから言いなさいよ

 それより、規定通りなのにルーラーか。

 でも、三井高利なら話も通じそうね。

 しかも監督役が教会じゃなく吸血種。

 後令呪は二画まで失える。

 よく覚えておくわ。

 って、バーサーカーとランサーは飲みすぎ

 いくら飲み放題だからって

 少しはお店のことも考えてあげなさいよ?」

「あい、わかった。」

「もう少しよかろうー……?」

 

 む、物わかりのいいバーサーカーに対し

 ランサーの奴……まだ懲りてないわね?

 

 そう思っていると零が注意してくれる。

 

「そんな事だから酒癖の悪さで後悔する羽目に合うんだ

 ランサー。」

「はい……

 零殿。」

 

 こうして楽しい宴もお開きになるのだった。

 

 まるでこれから何かが始まるというように

 




さて、一話目いかがでしたでしょうか?
楽しめましたか?
楽しめたのなら何より
本日より定期更新いたしますので
お待ちのほどよろしくお願いいたします
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