検証♡推しと二人きりでどこまで耐えられるのか〜黛冬優子の場合 作:高牧園
『今日はですねぇ、ふゆ推しのファンの方とふゆちゃんで、二人三脚クイズに挑戦していただきますっ!』
大きいダブルベッドに、やすっぽいローテーブルとその上のテレビ。
そこに冬優子と冬優子のファンだという一般男性が入れば、それだけでセットはいっぱいだ。
バラエティ出演は顔を売るチャンスだ。
この番組はネット配信だというが、それでもSNS時代、キャプチャが出回ってバズるチャンスはどこにでもある。
どんな仕事の時でもそう思うように、冬優子はトップへ駆けのぼる道筋を求めて、司会者の声に笑顔を作る。
「クイズですか……ふゆ、頑張りますっ」
きゅ、と胸の前で小さく拳を作って、カメラに笑いかける冬優子。
それからすぐに、視線は隣にいる『ふゆ推し』の男性へ向けられる。
「頑張りましょうねっ♡」
ぱっちり開いた瞳でじっと見つめれば、男性の顔は面白いくらい真っ赤だ。
「が、頑張りますっ!」
ガチガチに緊張した男性は、少し前のライブ物販のTシャツ姿で、腕には冬優子のメンカラーである緑のラバーバンドまで巻いている。
(ふゆ推しってのは事実みたいね)
気付かれないようにそれらに目を配って、冬優子はそんな風に判断する。
『さぁでは、ふゆちゃん推しのファンがどれだけふゆちゃんに詳しいか! カルトクイズに挑戦していただきます!』
司会者によると、ルールは簡単。
冬優子に関する初出し情報のクイズが三問出題され、ファンはそれに答える。
冬優子はクイズに関するサポートをして、彼を正解に導くのだ。
三問正解で、ファンは冬優子とのチェキを一枚撮れる。
二問正解、一問正解の場合も、ランクに応じたご褒美があるらしい。
だが、不正解の数に応じて罰ゲームがあるらしい。
その罰ゲームの内容が伏せられているのがなんとも不穏に感じられ、冬優子はセットの外にいる司会者へ問いかける。
「罰ゲームって、なんだか怖いです……どんなことをするのか、ちょっとだけでも教えてくれませんか?」
お願い、と言わんばかりに手を胸の前で組んで、目をパチパチさせておねだりする冬優子。
「か、可愛い……!」
むしろ隣にいる男の方が悩殺されているが、そんな姿をどこからか見ている司会者には効かない模様。
『ま、それは後のお楽しみとして……さっそく一問目に移りましょう!』
威勢の良い声と共に、スタッフがセットの中に何かを差し出した。
布が掛けられたトレイと、目隠し用のアイマスクだ。
『トレイの中には、三つの物が入っています。ファンの方は目隠しして、三つの内どれがふゆちゃんの私物か、当てていただきます!』
「ふゆの私物ですか? ファンの方にお見せするのは、初めてかもしれませんね♡」
事前の台本通りの台詞を吐いて、冬優子は微笑む。
私物として、冬優子はハンカチを提供していた。
白地にフリルがたっぷりの、ふゆのイメージにピッタリのハンカチ。端の方に刺繍で「F」のイニシャルが入っていることに気付くかどうかが、運命の分かれ道となるだろう。
『ではファンの方がアイマスクを着けたら、ふゆちゃんがトレイをオープンしてください!』
「はいっ」
指示に男性はアイマスクを装着。
「……ふゆのこと、間違えないでくださいね♡」
囁きかけてから、冬優子はトレイにかかっている布を外す。