検証♡推しと二人きりでどこまで耐えられるのか〜黛冬優子の場合 作:高牧園
『えー、ここまで二問とも不正解ですので、最終問題は三択ではなく二択にしたいと思います』
ですが、と勿体ぶって司会者は続ける。
『最終問題は、我々も答えを知りません。正解発表は、冬優子ちゃんにしていただきます!』
「え……?」
言葉の意味が分からなくて、冬優子はポカンと口を開ける。
(出題者が答えを知らない? どういうこと?)
それに、二択問題の正解発表を冬優子自身がしても良い――答えすら決めて良いのなら、ファンの男が選んだ方を正解にしてしまえば済む話。
(コイツら、何企んでるのかしら)
番組スタッフの悪意をさんざん浴びてきた冬優子が警戒を強める中。
モニターに、二択が出現した。
『冬優子ちゃんについて、正しいのはどーっちだ!?』
A 実は腹黒!人をあんた呼ばわりする猫被りアイドル
B 実は淫乱!毎日オナニーしまくりの色狂いアイドル
(ッどこまで人を馬鹿にすれば済むわけ……!?)
あまりにも酷い二択が表示され、冬優子は歯が砕けんほどに食いしばる。
どちらを正解とするかは冬優子の手に委ねられている。
逆に、どちらかは正解と認めなければいけないのだ。
腹黒と淫乱。
どちらを選んでも、アイドル黛冬優子が築いてきたものは崩れ去る。
「えっ? えーと、ええ……!?」
男は困ったように冬優子に視線を送るが、ふゆモードで反応も返せないほど、冬優子も迷っていた。
(ふゆにとってダメージが少ないのはどっち? ふゆを守るならどっち? ふゆは――)
『さあ答えていただきましょう! 5、4、3、2、1――ファンの方、お答えください!』
考える暇も与えないカウントに、男性も焦って。
「えっ、A!? Aです!」
『ほう、冬優子ちゃんの本性は腹黒とのお答えです!』
「腹黒ってわけじゃないかもですけど……でも噂は聞いたことあるし! 二択で言うなら、ですけど!」
「……ッ!!」
男の回答を耳にした瞬間。
冬優子の魂は、憤怒の炎に包まれる。
(――ありえない)
これまでの、アイドルとしての活動の日々を思い出す。
ふゆの本当の笑顔を見せたあの時、GRADでの密着取材を受けた時、愛依が迷惑な配信者に絡まれた時。
冬優子は、いつだってふゆを守り続けてきた。
(最悪な二択だけど)
黛冬優子は、ふゆを諦めない。
絶対に――!
『ではふゆちゃん! 正解をどうぞっ!』
「はいっ♡正解は――」
バラエティ番組にありがちなタメ。
ふゆらしい愛らしい笑顔のまま。
「B! もうっ、ふゆは腹黒じゃないですよ♡」
冬優子は、ふゆを守るために『淫乱』の汚名を被る。
『おおっと残念~!! 三問連続不正解ッ、ふゆちゃんは淫乱だった~!!』
「それで、罰ゲームって何をするんでしょう……? 連帯責任なんですよね?」
B、淫乱であると認めたことに触れずに番組を進行させようとする冬優子だが、
「え、ふゆちゃんが……淫乱……?」
ファンは呆然と、冬優子を見つめている。
『おおっと、ファン心理的には複雑か!? ですがふゆちゃん自身が認めたことですから、現実は受け止めていただく他ありませんね!』
「え、えへへ……♡」
『それにしてもふゆちゃんがオナ猿だったとは意外ですねえ、今日もシてきたんですか?』
「いえ、今日はまだ……」
『てことは、この後シちゃうってコトですね。いっぱい気持ち良くなってくださいね♡』
「あ、ありがとうございまーす……♡」
『淫乱』の烙印を押された冬優子は、引きつり笑いで応えるばかりだった……。