大人向け18禁小説。多分純愛。性行為はほんのちょっとだけ特殊かも。

拙作「東のモノローグ」から地続きの世界の話。平と恋人同士になれた東が、佐藤から論文執筆のお手伝いを依頼される話。薬学科といえば、そう、媚薬の実験だ。佐藤から渡された薬は果たして本物か偽物か。

■キャラ
佐藤:薬学専攻の研究生。男女の機微が分からない。だから彼女は今日も実験する
東:佐藤の親友。平と恋人関係になれて安定している。平がいなくなると病む
平:佐藤の友人。東と恋人関係になれて安定している。東がいなくなると病む

★プロット/展開/詳細描写/台詞は全て作者作成、校正にAIのべりすとを利用/調教しています。
★本作はハーメルン/Pixivで公開しています。
※ハーメルンは男性本位のエロ、凌辱、鬼畜系も置いてます(あらすじで注意入れてます)

作者:eronosuke
ハーメルン:https://syosetu.org/user/514099/
Pixiv:https://www.pixiv.net/users/125632702/novels

1 / 1
タイラズマ ~薬学科2年佐藤の実験~

「ダメ。もっとデータがいるわ……」

 

私はパソコンの画面から顔を上げ、深く溜息をついた。大学の研究室には静寂が広がっている。

机の上には散らかった資料とエナジードリンクの空き缶。

薬学部2年生の論文執筆は想像以上に過酷だった。

特に私が取り組んでいるテーマ――**『特定状況下における人類の生存本能を最大化する薬の構成要素の特定』**――は難題中の難題だ。

 

「生存本能」。それはすなわち「性欲」。

現代社会では抑制されるべきものとされるこの本能こそが、生物としての本来的欲求であり、その活性化が次世代存続に直結する。

……というのが私の仮説だ。しかしそれを証明するための「生きたデータ」が圧倒的に不足していた。

血液サンプル? 尿検査? そんなもの、大学の倫理委員会が許可するはずがない。

 

「こんな時のアズね……」

ふと思いついたアイデアに、口角がわずかに上がる。

東紫乃。あの感情豊かで奔放な彼女なら……いや、正確には**彼女とつい最近恋人になった平の関係**なら、私の研究にピッタリのデータを提供してくれるかもしれない。

 

それに――。

彼女が何度も繰り返してきた愚痴や相談。

「平とどうしたら進展するかな?」、「付き合って分かったんだけど、やっぱり平って最高なんだよね!」「もうダメだ、私フラれちゃうかも!」「いやー、取り越し苦労だったわ!」……その膨大な感情の波が、今回の研究にどれほど価値のある「生データ」となるか想像に難くない。

そうだ、これは恩返しでもあるのだ。これまで散々「相談会」という名の恋愛劇場に付き合わされてきた私への正当な対価だろう。

 

スマホを取り出し、慣れた手つきでメッセージアプリを開く。

相手は当然、「アズ」。

 

私はキーボードを叩いた。

 

【サト】:アズ、第一回『特定状況下における人類の生存本能を最大化する薬の構成要素の特定』論文に向けたキックオフを開催するので、いつもの喫茶店に夕方6時に集合すること。平クンも一緒に。

 

メッセージを送信する。

 

これでいい。アズのことだ。平とのデートプランか何かと勘違いして飛びつくだろう。

そしてあの繊細で慎重な平も、アズの「お願い」には逆らえないはず。

問題は「キックオフ」で彼らにどこまで論文内容を開示するか。

 

 

 

## 佐藤葵のキックオフ準備

 

キックオフ資料は、論文の目的説明から始まり、課題の共有で締める形とする。

 

①論文の目的:人類の生存本能『性欲』を最大化する薬、すなわち媚薬の作成

②生存本能の重要度:人類が繁栄するためにうんたらかんたらを数百ページ程度で説明

③現在の状況:媚薬は既に完成。安全性は佐藤本人で実験済。佐藤以外の被検体を探している状況

④課題:内容がセンシティブなため、佐藤が心から信頼できる友人での実験およびアンケートが必要。

 

これだけ論理的に説明すれば、手伝ってくれるはず。

アズは私にとって親友であり、高校からの信頼できる仲間でもある。

何より平とカップルであり、今回の論文にうってつけという条件もある。

絶対に協力してもらわないと。拒否権はない。

 

 

### 最終チェック:佐藤葵の独白

 

(鏡に向かって呟く)

「これで完璧。論理的矛盾なし。科学的手順に則った実験は合法範囲内。親友だからこそ信頼もできる……そうでしょ?」

右手にはキックオフ資料の束を握りしめ、左手には媚薬のアンプルを忍ばせている。

すべては人類存続の為。そして私の論文の為。

 

明日の喫茶店が、新たな歴史的瞬間の舞台になるだろう。

(小さく微笑み)

 

「ごめんねアズ。でもこれでアズの悩みも解決するかもしれない。彼とより深く繋がるための『お薬』なんだから」

 

 

---

 

 

## 喫茶店『ノーチェ』でのキックオフ

 

窓際の席に置かれたアイスコーヒーが汗をかいていた。佐藤は腕時計をちらりと確認し、静かに足を組み替える。

待ち合わせの5分前、ドアベルが鳴った。

 

「お待たせー!サト!」

 

東紫乃が鮮やかな金髪を揺らしながら駆け込んできた。その背後から、まるで幽霊のように存在感の薄い平秀司が気怠そうに歩いてくる。

普段なら軽口の一つも叩くはずの平だが、今日は眉間に深い皺を刻み、東の半歩後ろをただ黙ってついてきていた。

 

(ふふ……平はなにか察してるかもね)

 

佐藤は微かに口角を上げる。予定通りだ。この警戒心こそが佐藤の計画をスムーズに進める潤滑油になることを彼女は知っていた。

 

「二人とも来てくれてありがとう。早速キックオフを開催するわね」

佐藤はテーブルの端に積んであったA4サイズの資料の束を二人の前にスライドさせた。

パタン、と乾いた音が響く。ざっと見積もっても数百ページはあった。

 

東は「おぉ!」と目を輝かせ、早速一番上の資料を一枚めくった。

 

「ほー、こうきたか。サトったらまた面白そうなテーマ選んだねぇ!」

東の指が軽快に紙を送っていく。内容を理解しているというより、そこに書かれた文字の羅列が彼女を楽しませているようだった。

一方で平はというと……

 

「……」

 

その目は明らかに焦点を失っていた。文字列を目で追うことはできても、それが何の意味を持つのか全く理解できないという絶望的な表情。そして佐藤が発した次の言葉が、彼の思考を完全に停止させる。

 

「論文の主題はね、人類の根源的欲求である『性欲』を人工的に増幅させること。つまり──」

 

**『媚薬の研究開発』**

 

佐藤の淡々とした口調で放たれた単語に、東の頬が一気に赤くなった。手元の資料がぱたりと閉じられる。

 

「へぇぇぇ〜〜!!?!?サトの言ってた『すごいお薬』ってそれのこと!?」

その声は興奮を抑えきれないようで、目はキラキラと輝いている。対して平はというと、

 

(……)

 

完全に思考を放棄した顔。まるで世界から色が消え去ってしまったかのような虚無感に包まれていた。

 

佐藤がその後延々と並べ立て始めた細胞賦活化理論だの神経伝達物質の選択的促進作用だのといった専門用語の嵐は、彼の耳を右から左へ通り過ぎていくだけだった。

 

東だけが「すご〜い」「それでそれで?」「なるほどな~」と適当な相槌を打ち続けている。

佐藤はそんな二人の様子を冷徹な観察眼で捉える。

 

「で、結局なにすればいいの?サト?」

 

東が待ちきれなくなったように尋ねる。その瞳には既に「実験」に対する好奇心だけでなく「使ってみたい」という個人的な願望まで浮かんでいる気がした。

佐藤は小さく微笑むと、小さな銀色のケースを取り出した。カチャリと蓋を開けると、中には無色透明のカプセルが数粒並んでいる。

 

「これを飲んだ後で性交して」

 

その言葉が発せられた瞬間、店内の喧騒が一瞬止まったように感じた。少なくとも平にはそう思えた。

「その後簡単なアンケートを受けてもらえば終了よ。被験者が実際にどのように感じるのか──それが私が最も欲しいデータなの」

 

東は食い入るようにカプセルを見つめた。恐る恐る一つ摘み上げると、光に透かしたり指先で転がしたりして感触を確かめている。その顔は明らかに上気していた。

 

(あぁ……サトのためだし、それにこれは研究なんだもんね……それに平と……もっと……)

 

二つの動機が彼女の理性を溶かしていくのが傍目にも明らかだった。

「……うん!サトの論文のためだもんね!私はオーケーだよ!」

 

そしてゆっくりと平の方に向き直り、真っ直ぐに彼の目を見据えた。

「サトの頼みなの、お願い平」

 

平は東の熱っぽい視線に囚われながらも、神に救いを求めるように天井に視線を泳がせた。

佐藤は涼しげな顔でコーヒーを一口啜っている。

 

(こうなった東は止められない……)

 

諦念が平の全身を覆い尽くした。

彼は無言で俯き加減に小さく、しかしはっきりと一度だけ首を縦に振った。

 

「よし!決まりね!」

佐藤は満足そうに頷くと、研究データ提出フォーマット(と称するアンケート用紙)を二人に配り始めた。

 

 

 

---

 

 

## 暗躍する佐藤

 

キックオフの説明が一段落し、資料の束は再び佐藤のバッグに収められた。

東は興奮冷めやらぬ様子で「早く使いたいなぁ〜」と一人呟きながら席を立ち、「ちょっとお手洗い行ってくるね!」と言って慌ただしく店内奥へと消えていった。

 

テーブルに残されたのは、放心状態の平と、コーヒーを優雅に啜る佐藤だけ。

佐藤は平が自分のカップの底を無意味に見つめているのに気づくと、静かに椅子を平の方へ寄せた。

その動きは蝶が花に舞い降りるかのように滑らかだった。

 

「平クン」

 

その声は驚くほど近くで響いた。佐藤は平の肩越しに身を乗り出し、その息が彼の耳朶をくすぐるほどの距離まで接近していた。

平は反射的に身体を硬直させる。

 

「あなたには論文の真の目的を言っておくわ」

 

耳元で囁かれる声は、先ほどまでの冷静沈着なそれとは違っていた。どこか愉悦を含んだ、蜜のような甘さを帯びている。

 

「さっき渡した薬は偽薬。あれはただのビタミン剤よ」

 

平の目がわずかに見開かれる。しかし驚愕よりも深い脱力感が彼を襲う。偽薬だろうがやることは変わらない。

佐藤は続けた。吐息が耳にかかる。

 

「論文の主題は『プラシーボ効果が性欲向上に寄与するか』の心理実験なの。私自身も被験者となって臨床データを取得中だけど、異なる個体のサンプルがどうしても必要なのよ。特に……意識レベルで効果を疑っている場合と信じ切っている場合の2パターンの比較が必須なの」

 

彼女の指先が平の肘のあたりをそっと撫でた。

「だからあの薬はあくまで偽薬。信じるかどうかは平クン次第だけどね」

 

平は深く長い溜息をついた。もはや抗議する気力もない。目の前の科学者はすべてを掌握している。偽薬かどうかも怪しいものだ。

彼は椅子の背もたれに深く沈み込み、天井の埃さえ見えそうなほど虚ろな目で虚空を見つめながら言った。

 

「分かったよ……サト。覚えてろよ」

 

それは恨み節というより、敗北宣言に近かった。佐藤はそんな平の反応に「ふふっ」と短く笑うと、彼の頬を一瞬だけ軽くつねった。

「褒め言葉として受け取っておくわ」

 

ちょうどその時、東が勢いよく戻ってきた。「お待たせ!さてと……」

そして佐藤から平の視線へと移す。その瞳は期待に満ち溢れていた。

 

「じゃあ、さっそく行こうか?平」

 

東はためらいもなく平の手を取り、強く握った。温かくて少し汗ばんだその手が、平を現実へと引き戻す。

「ラブホ街は駅前の裏通り!」

 

東はすでに歩き出す気満々だった。平は抵抗する意思も失せたまま、彼女に引かれるままに席を立つ。

佐藤はその二人を見送りながら、優雅に手を振った。

 

「頑張ってね。あとでデータ入力用のIDとパスワードをメールするわ」

 

その声は風のように軽やかだった。ドアが閉まると同時に店内に戻る喧騒。

佐藤はコーヒーカップに残った最後の一滴をゆっくりと飲み干しながら、窓ガラスに映る自分の影を見てにっこりと微笑んだ。

 

実験は第二ステージへ進んだのだ。

 

 

 

---

 

 

 

### 心臓が爆音を奏でる東の内部劇場

 

駅前広場の喧騒が耳鳴りのように遠ざかる。腕を絡めた平の体温が服越しにも火傷しそうなほど鮮明だ。

 

(サト、私だって……馬鹿じゃないんだからね)

 

偏差値65の看護学部に通う東にとって、佐藤の薬が何らかのトリックだろうと推測するのは容易かった。

おそらくカフェインとビタミン剤を混ぜた程度の代物だろう。それでも──

 

(でも、サトのためなら)

 

親友の疲れた背中が脳裏に焼きつく。論文に追われる日々。寝不足で腫れた目。

それでも自分の悩みを聞く時の穏やかな声。そんな佐藤が自分に頼ってきた事実だけで、胸が張り裂けそうに嬉しかった。

たとえ偽薬でも構わない。親友の笑顔のために何でも協力したい。

 

(けど……)

 

隣を歩く平を盗み見る。ぎこちなく視線を逸らす仕草。肩幅は中学時代よりずっと広くなり、Yシャツの袖から伸びる腕には剣道で鍛えた腱が浮き上がっている。あの腕が……先週本屋の参考書コーナーで私を支えた感触が蘇る。

 

(ホント、媚薬なんて要らないんだよね)

 

喉の奥で唾が粘つく。平の匂い──シャンプーと制汗剤と微かな汗が混ざった匂いが鼻腔を突くだけで、下腹部がジンと疼き始める。太腿の内側が震える。まるで獣に舌舐めずりされる獲物の錯覚。

 

(薬なんか無くても……)

 

思考が濁流に飲まれる。

 

(平が私の髪を撫でたら──)

 

脊椎が弓なりにしなるイメージ。爪先まで走る電流。息が止まる。

 

(指が耳たぶを掠めたら──)

 

鼓膜が沸騰し破裂しそうになる感覚。涙が溢れる。

 

(口の中を舌で掻き回されたら──)

 

膝が崩れ落ちそうになる震え。溺れる寸前。

 

(そして……あの場所に……平の……)

 

背筋に氷柱が刺さるほどの衝撃が走る。視界が霞み足取りが不安定になる。今朝剃刀で整えたばかりの茂みの奥で蠢く湿り気。布一枚隔てた先で熱湯が煮えたぎっているようだ。股間に沿ったシミが広がらないよう必死で内腿を擦り合わせる。

 

「どうした?」

突然平の低い声。驚いて顔を上げると心配そうにこちらを見下ろす眼差しがあった。琥珀色の瞳に映る自分の紅潮した頬に愕然とする。

 

(やばい……気づかれちゃった?)

 

咄嗟に茶目っ気を装う笑顔を作る。

「平……私緊張してるのかな?」

からかうような声色を必死で絞り出す。

(演技上手くなったもんだよね)

 

内心で舌打ちしつつ平の左腕にさらに体重を預ける。タイトスカートの裾が捲れないよう注意しながら、太腿をぴったり密着させると平の筋肉質な二の腕が固まるのを感じた。

 

「……どうだろうな」

ぶっきらぼうな返事。でも耳たぶが僅かに赤くなっている。

 

(可愛いなぁ)

思わず口角が緩む。かつて陰キャだった少年がこうして私に翻弄されている現実がたまらなく嬉しい。

 

(この男は……私のものなんだから)

 

脳裏をさっきの薬袋がかすめる。

 

(佐藤……ごめんね。私の理性もう保ちそうにないんだ)

唇を噛む。涎が糸を引く感触。

(いま平に抱きしめられたら……)

 

妄想が暴走する。

平の掌が私の乳房を掴み揉みしだくイメージ。痛みと恍惚が同時に押し寄せ脳内で火花が散る。

太い指が私の秘裂を探るビジョン。悲鳴が出そうになるほどの快感が腹の奥で膨れ上がる。

そして……

 

(ダメ……ここでイッちゃいそう)

 

理性が警鐘を鳴らす。周囲の通行人の目。昼間の街中。公共の場。なのに身体が勝手に昂っていく。

左手を無意識に太腿に添えスカート越しに敏感な芽を押さえつけてしまう。

 

「っ……!」

鋭い快感の針が脊椎を貫く。息が詰まる。

「大丈夫か?」

またも平の声。心配そうな響きが逆に火に油を注ぐ。

(ダメだ……このままじゃ)

東は必死で平常心を装いながら平の手を引っ張る。

「ほら行くよ!早くラブホ行こっ!」

 

声だけはいつも通りの明るさを装えたと思う。しかしその刹那──

 

(ああぁ……ダメぇ……!)

太腿に添えた指先が無意識に動いた瞬間、鋭い雷光が閃いた。

「〜〜〜ッ!!!」

声にならない呻きと共に膝から力が抜ける。崩れかけた身体を平が反射的に抱き止めた。

 

「東?どうした!」

至近距離で覗き込まれる目。汗で額に貼りついた前髪。その甘い匂いが鼻腔を直撃した瞬間──

 

(もう……我慢できない)

 

東は目を伏せ、震える声で囁く。

「平……お願い……もう……ホテルに入って……」

 

股間に咲いた蜜の泉はもはや堤防を決壊させていた。

 

 

---

 

 

 

### 街灯の橙が照らす欲望迷宮

 

東の小さな手が俺の手の中で震えている。温かい。いや、熱い。ラブホ街の派手な看板が次々と目の端を掠める。

ピンク色のネオン。ガラス張りのエントランス。行き交うカップルの影。

 

(佐藤と東の関係か)

 

頭の中でふと考えが巡る。あのふたりの独特な空気感。高校2年からの付き合いで、最初は「え、あのクールな佐藤が東と?」って驚いたけど、いつの間にか当たり前の風景になっていた。

 

(まるで鏡みたいだよな)

 

東の奔放さと佐藤の冷静さ。一見正反対なのに、妙に噛み合ってる。お互い遠慮なくものを言うくせに、どこか相手の本質を見極めてる気がする。「あー言えばこー言う」のやりとりも、最後は必ずフォローが入る。

 

(俺とは違う)

 

俺はいつも内側に閉じ込めるタイプだ。剣道で鍛えた体格も、高校デビューで磨いた外面も全部借り物みたいな気がして。

本当の弱さとか悩みとかは誰にも見せたくない。だからこそ——

 

(俺にとっては東だけが特別なんだ)

 

彼女だけは俺のダサい部分も知ってる。中学時代の肥満体型も、服のセンスのなさも、ひどい笑い方も。

それでも隣にいてくれるのが奇跡みたいだ。こんな俺を好きになってくれた女の子なんて——

 

(谷や山田とも違う……)

 

男友達も勿論大事だ。けど俺は、彼らにもどこか壁を作ってしまう。谷の真っ直ぐさも、山田の明るさも眩しい。

いつか本音で語り合える日が来るんだろうか?佐藤と東みたいな——鏡像のような親友関係を築けたら……

 

(こんなこと考えてる場合じゃないのにな)

 

手の中の東の指が突然きゅっと握ってくる。心臓が跳ねた。彼女の肩が小刻みに震えてる。さっきから呼吸が荒くて——

 

(やっぱりさっきの薬?いや、そもそもまだ飲んですらいないんだが?)

 

佐藤が「偽薬」と言って渡してきた謎の錠剤。本当に媚薬的な成分が仕込まれてた?肌から摂取されるような成分とか?

——いや待てよ?でも、もし——もし本当に効く薬ならば?

 

(……もう効果が出てきてる?)

 

媚薬なんて信じてなかった。でも東の潤んだ瞳。耳まで赤くなった横顔。熱っぽい吐息。これが演技だとしたら女優すぎる。

もしかして——もしかしてだけど——あの錠剤に実は何か……

 

(ダメだ……余計なこと考えるな)

思考が飛躍する。とにかく今は——隣で耐えている東のことだけを考えろ。

そっと手を握り返す。彼女が小さく頷いた気がした。

 

 

---

 

 

# 欲望の海へ沈む

 

## ラブホテルの一室で理性が溶ける

 

ガチャン!と扉が閉まった瞬間、私の世界は湿った空気に満たされた。薄暗い照明。壁一面の鏡。ダブルベッド。

 

(もう限界……)

 

喉が灼けるように渇いている。心臓が肋骨を突き破りそう。足が震えて立ってられない。

バッグから錠剤を取り出すと、迷わず口に含んだ。舌の上でざらつく感触。水なしで嚥下する。

 

「ちょっ……東?!それまだ……」

 

慌てる平を無視して、もう一つの錠剤を口に放り込んだ。そして——

 

「……ごめん」

言い訳が口を衝く。そのまま彼の顔に飛びつくように覆いかぶさる。

唇を塞ぎながら舌で押し出す。平の開いた口の中に異物が滑り込む。

 

「んっ……!?」

彼が反射的に飲み込むのが分かる。

(やった……)

 

罪悪感が背中を駆け上がるが、それを上回る解放感。

 

「全部……薬のせいだから……」

言い訳のように繰り返しながら彼をソファに押し倒した。

 

## 性欲が理性を凌駕する瞬間

 

平の体温が腕に伝わる。服越しにも感じる筋肉の隆起。これでもかと押さえつける自分の腰。下腹部が疼いて止まらない。

 

(効いてきた……?)

 

胸の鼓動がドラムのように響く。目の前の平が別人みたいに魅力的に映る。いつもは控えめな彼が今夜は獣のような輝きを宿している。

「……大丈夫?」

彼の囁きが耳朶に刺さる。

 

「ううん……全然大丈夫………」

嘘だ。大丈夫なんかじゃない。

下着がぐっしょり濡れている感覚。股間から滲み出す液体が太ももを伝う。

(ヤバい……気持ち良すぎて気が狂いそう)

 

指が自然とスカートに伸びる。留め具が弾け飛ぶ勢いで脱ぎ捨てる。ストッキングの摩擦さえ快感に変わる。

「東……ほんとにこれ……」

平の抗議を遮るように彼のベルトに手をかける。

 

「黙ってて……」

ジッパーを下ろす音が部屋に響く。パンツ越しに主張する屹立。

(触りたい……)

理性など吹き飛んでいた。

 

## 禁断の領域への侵入

 

下着を剥ぎ取ると現れたのは予想以上の逞しさ。

「すごい……大きい……」

思わず声が漏れる。亀頭が天井を向いて脈打っている。赤黒く充血したそれは既に透明な先走りを溢れさせていた。

(これが……私の中に……)

想像しただけで蜜壺が収縮する。

 

「ダメだ……こんなの……」

平の抵抗は形ばかり。私の手が触れただけで全身が跳ねる。

 

「気持ちいい……?」

確認せずとも分かる質問を投げかける。

 

「ああ……っ」

短い喘ぎ。それだけで満足だ。

両手で竿を包み込む。熱い。血管の浮き出し方が芸術的ですらある。

ゆっくり上下に扱き始めると彼の腰が浮き始めた。

 

「東っ……もっと……強く……」

(それって命令形……?可愛い……)

速度を上げる。ぬるぬるとした粘液が指の隙間にまとわりつく。

突然——

「ああっ!!」

 

平が短く叫び、大量の白濁が弧を描いて飛び出した。私の胸元にかかる。

「……早いね」

からかうように言うと彼が顔を覆った。

 

「だって……久しぶりだったし……」

たった一週間ぶりだけど、平が求めてくれるのは心の底から嬉しい。

平の愛らしい言い訳を聞きながら精液を拭う。指に付いたそれを無意識に舐めた。

(変な味……でもクセになりそう)

 

## 禁断の快楽へと誘われる

 

「ねぇ……もっと欲しい……」

彼の足の間に潜り込む。萎えかけたペニスを再び咥える。

 

「くっ……」

平の呻きを聞きながら舌で丁寧に清掃する。先端から尿道口へと舌先を這わせる。カリの縁を円を描くように刺激すると再び硬さを取り戻してきた。

(すごい……もう復活してる……)

 

「東っ……それ……ヤバい……」

懇願するような声。

 

「もっと?」

口を離さずに聞く。吸い付く力を強めると彼の脚が突っ張った。

 

「あっ……あっ……だめっ……」

二度目の放出は口内深くで迎えた。苦みが広がる。でも吐き出す気はない。全て飲み干す。

 

「おい……汚いだろ……」

平が慌ててティッシュを差し出す。

 

「平のだから平気」

にっこり微笑んで見せる。自分の表情がどれだけ淫靡か自覚はあった。

 

## 禁断の結合の儀式

 

「次は……私にもして……?」

自分で下着を下ろす。糸を引く粘液。平の視線が釘付けになる。

 

「東……お前……」

彼の目が泳ぐ。羞恥と興奮が入り混じった複雑な表情。

 

「恥ずかしがってるの?」

問いかけながら彼の顔を跨ぐ。いわゆる69の体勢。

 

「ちょっ……!」

 

彼の抵抗を無視して自分の割れ目に顔を埋めさせる。

少しだけ抵抗した彼だけど、舌全体を使ってクリトリスから膣口までを何度も往復する。

途中で尖らせた舌先で陰核を集中攻撃すると私の下半身が痙攣し始めた。

 

「んっ……そこ……ヤバぁ……」

私の口が勝手に湿った声を押し出す。さらに執拗に責め続けられると私の腰の動きが勝手に激しくなる。

 

「あああっ!」

大量の愛液が迸り、彼の顔面に噴射する。

「熱っ……」

文句を言いながらも抵抗しない姿が愛おしい。

 

「そろそろ……入れたい……」

振り返ると欲望に染まった彼の目が私を見上げていた。

 

## 禁断の結合

 

避妊具を探す暇も惜しかった。そのまま彼にまたがる。

「待って……ゴム……」

「いい……このままで…今日は大丈夫だから…」

先端を入り口に当てる。それだけで全身が震える。

ゆっくり腰を落としていく。熱い塊が肉襞を押し分けて入ってくる感覚。

 

「あっ……あっ……入ってきたぁ……」

声が勝手に出る。半ばまで埋めたところで一旦停止する。

 

「東……辛くないか?」

気遣う言葉に胸が締め付けられる。

 

「ううん……すごく……気持ちいい……」

残りの部分を一気に飲み込む。奥まで到達した瞬間、脳内で火花が散った。

 

「あああっ!!」

あまりの快感に背中が弓なりに反る。(これが平の形……)

 

記憶に焼き付けるように膣が収縮を繰り返す。

 

## 禁断の絶頂

 

「動いて……」

懇願するような声。理性などすでに消失していた。

最初は緩慢な動きだった。徐々にペースを上げていく。

 

「あっ……あっ……深いぃ……」

結合部から卑猥な水音が響く。平の手が腰に添えられ、動きをサポートしてくれている。

 

「東っ……俺…また……」

「いいよ……いっぱい出して……」

次の瞬間——

 

「ああっ!!」

熱いものが体内で爆発する。同時に私も頂点を迎えていた。

 

「イクっ!イっちゃうぅ!!」

身体がバラバラになりそうな激しい快感。爪先から頭のてっぺんまで電流が走る。

 

 

 

# 快楽の余韻に浸る二人

 

## 安堵と混乱

 

荒い呼吸がようやく落ち着いてきた。平の胸板に倒れこむように抱きつく。

汗ばんだ肌と肌が吸いつく感覚。これがセックス後の幸福感かな。

(思ったより冷静……)

 

ふと冷静になった頭で薬の効果を考え始める。

確かに身体は反応していた、ような気もするし。いつもより濡れていたのも確か、だと思う。

でも——

(いつもと同じって言えばそんな気もする……?)

 

「薬のせい……だったのかな」

思わず口に出してしまう。

 

「え?」

平が困惑した表情で私を見上げる。

 

「何でもないよ」

微笑んで誤魔化す。本当はもっと複雑だ。

 

(サトには悪いけど……効果あったかは微妙かな)

心の中で謝る。でも。

 

(薬のおかげで大胆になれてるのは事実よね)

そう考えて納得することにした。

 

## 薬の免罪符

 

「そうだ」

思いついたように立ち上がる。床に正座してから両手を差し伸べる。

 

「平、こっち来て」

「なに?」

怪訝な顔の彼を無理やり引っ張る。

 

「ほら、横になって?」

促されるまま彼が横になると——

 

「えへへ……」

両腿の上に彼の頭を乗せる。完全な膝枕の体勢。

 

「東……?」

驚いた声。当然だろう。普段なら絶対できない行動だ。

 

「ん~?平は私の彼氏なんだから、これくらい当然じゃない?」

優しく彼の髪を梳き始める。黒髪が指の間でサラサラと流れる感覚。

 

## 裸体の触れ合い

 

全裸で膝枕をするという行為。普段なら絶対に耐えられない羞恥心。

でも——

(今の私には薬のせいという最強の免罪符がある)

 

「なぁ……」

平が言いかける。

 

「なあに?」

返事をしながら髪を撫で続ける。

 

「ちょっと恥ずかしくない?」

至極真っ当な質問。

 

「もちろん恥ずかしいよ?」

正直に答える。

 

「でも……これも薬のせいだから」

にっこり笑って見せる。

 

「薬のせいだと恥ずかしくないのか?」

ますます混乱する彼。

 

「うーん……」

少し考えてから続ける。

 

「平が相手ならどんな恥ずかしいことも許されるんじゃないかな?」

我ながら大胆な発言だと思う。

 

## 愛情表現の新境地

 

髪を撫でていた手を止め、彼の耳元に顔を近づける。

 

「平」

甘い声で名前を呼ぶ。

 

「好き」

直接的な言葉。平との性行為を重ねるほど口にはしなくなった言葉。

 

「もっと言って?」

彼の要求に応える。

 

「好き」

 

「もっと」

 

「愛してる」

最後の一言を囁くと彼の身体が僅かに震える。

(あぁ……こんな単純なことで喜ぶなんて…すごく嬉しい)

 

## 初めての触れ合い

 

彼の頭を持ち上げて自分の胸に押し当てる。

「わっ!」

突然の行動に驚く平。

 

「これも薬のせいだから」

もう一度口にする魔法の言葉。

柔らかな乳房の感触が彼の顔を包み込む。

 

「東……これは……」

困惑した声が胸の中でくぐもって聞こえる。

 

「気持ちいい?」

尋ねると小さく頷く気配。

(やっぱり可愛い……)

 

右手で彼の股間に触れる。驚くほど早く硬さを取り戻している。

(やっぱり絶倫だな平)

指先で輪郭をなぞると彼の息が荒くなる。

 

「東……ダメだって……」

懇願するような声。

 

「何がダメなの?」

意地悪く聞き返す。答えなど期待していない。

 

## 二度目の挑戦

 

「だって……またしたくなる」

意外な回答に思わず吹き出す。

 

「え?それ『ダメ』なの?」

笑いながら訊ねる。

 

「…………」

顔を胸に埋めたままの彼が反論する。

 

「『ダメ』じゃなくて『して』でしょ?」

完全な主導権を握ったつもりで言う。

 

彼の顔を胸から引き離す。潤んだ瞳と視線が合う。

(ゾクゾクする……)

抑えきれない衝動に襲われる。

 

「………して」

小さな声で懇願する彼。

 

「聞こえなーい」

意地悪く聞き返すと——

 

「東……お願い…して…くれ…」

精いっぱい冗談めかした口調なのに必死さが滲み出ている。

 

 

 

 

 

# 深まる官能と母性

## 授乳プレイの始まり

 

「いいよ」

にっこり笑って承諾する。でもすぐには許さない。

 

「まずは……」

右手で彼の頭を掴み、自分の左胸に押しつける。

 

「んんっ!」

苦しげな声を上げる彼。

 

「ほら……吸って?」

命令口調で囁く。普段なら絶対できない行為。でも今日は特別だ。

(薬のせいだもの)

心の中で繰り返す魔法の言葉。

 

彼の唇が乳首を探り当てる。温かい口腔内に含まれる感覚。

 

「ん……」

思わず声が出る。

歯を立てずに優しく吸われる。舌先が乳首を転がす感覚。

(あぁ……)

今まで感じたことのない満足感。

 

## 手淫による支配

 

左手を彼の股間に伸ばす。完全に勃起したペニスを優しく握る。

 

「ひっ!」

驚いた声を上げる彼。構わずに上下に滑らせる。

 

「気持ちいい?」

甘い声で訊ねる。

 

「うん……」

素直な返事が胸の中で響く。

 

(可愛い……)

支配欲が満たされる感覚。

 

右手で彼の頭を撫でながら、左手で巧みにペニスを刺激する。

親指で亀頭を擦りながら、掌全体で竿を包み込む。

 

「ほら……もっと吸って」

命令する。強く吸われる乳首。同時に強くなるペニスへの圧力。

 

「んっ……んんっ……」

彼の呻き声が胸に響く。

 

## 母性と官能の狭間

 

(不思議……)

乳首を吸われる感覚とペニスを扱く感覚が奇妙に同期する。

母親のような安心感と女性としての官能が混ざり合う。

(平、赤ちゃんみたい……)

 

必死に乳房に吸いつく彼を見て思う。

(でも……)

 

指の間で脈打つペニスは明らかに成人男性のもの。

その矛盾した光景に背徳感を感じる。

 

## 身体の変化に気づく東

 

気づけば自分の下腹部が熱くなっている。

(嘘……)

濡れているのが分かる。何もされていないのに。

 

(平が気持ち良くなってるから……?)

そんな馬鹿なと思いながらも確信する。

 

(私……変態になっちゃったかも……)

自嘲気味に考える。でも悪い気分じゃない。

 

「東……」

優しく名前が呼ばれる。

 

「俺も……してあげたい……」

懇願するような声。

 

「まだダメ」

冷たく切り捨てる。

 

「私が全部してあげる」

右手で彼の頭を固定したまま続ける。

 

## 高まる快楽

 

左手の動きを速める。亀頭から根元まで一気に扱く。

 

「あっ……ダメだ……」

懇願する彼。

 

「ダメじゃないでしょ?」

意地悪く聞き返す。

 

「もっとしてほしいなら正直に言って?」

彼が迷っているのが分かる。

(可愛い……本当に可愛い……)

 

「もっと……たのむ……」

ついに屈服した彼。

 

「よく言えました」

褒めながら更に力を込める。

 

「んんっ!」

 

突然、何か熱い液体がお腹に当たる感覚。

(え?)

慌てて確認しようとするが角度的に見えない。

 

「平……何……?」

疑問を投げかけると—

 

「ごめん……出ちゃった……」

申し訳なさそうな声に思わず微笑む。

(まさか乳首を吸いながらイッちゃうなんて……)

想像以上の可愛さに胸が痛む。

 

「いいよ……気にしないで」

優しく頭を撫でる。

 

「次はちゃんと最後までさせてあげるから」

約束する。

 

彼の唇が乳首から離れる。唾液で光る胸元。

 

「平」

名前を呼びながら彼の顔を覗き込む。

 

「大好き」

嘘偽りなく心から伝える。

 

(もう逃げない)

薬のせいじゃなくてもこの気持ちは本物だ。

 

 

 

 

# 薬と罪悪感の狭間で

## 暴かれる絶倫体質

 

「ハァ……」

静かに息を整えながら天井を見つめる。

 

(またヤッてしまった……)

3回目の射精が終わり、冷静さが戻ってくる。

 

「大丈夫?」

優しい声と共に東の手が額に触れる。

 

「……ああ」

短く答えるのが精一杯。

 

「平、大好き」

嬉しそうに微笑む彼女。

(なんでそんな笑顔ができるんだよ……)

 

## 薬の真相を疑う心

 

「なぁ……」

言いかけて止まる。

 

「なに?」

不思議そうに首を傾げる彼女。

(訊けるはずないよな……)

 

喉まで出かかった質問を飲み込む。

『あれは本当に偽薬だったのか?』

 

サトの顔が浮かぶ。あいつなら「偽薬」と言いながら実は……なんて十分あり得る。

「いや……なんでもない」

誤魔化すように俯く。

 

## 罪悪感の重圧

 

下半身に残る違和感。ペニスは再び勃起していた。

(マジかよ……)

自分自身に呆れる。

 

「なんでこんなに元気なんだよ」

呟いてしまう。

 

「え?何が?」

東が不思議そうに尋ねる。

 

「あ……いや……」

 

布団の中に潜り込ませたままの左手で慌てて覆う。

(隠す必要もないのに……)

自分でも矛盾した行動だと思う。

 

## 自己嫌悪の嵐

 

(4回目なんて……)

性交の度に増える回数。

「絶倫」という言葉が脳裏を過る。

(俺の体質のせいで東の負担になってないだろうか)

考えれば考えるほど自己嫌悪に陥る。

 

## 怯える未来への恐怖

 

「東……」

痛いほど勃起しながら、思わず名前を呼んでしまう。

 

「ん?」

振り向く彼女が俺を見た。彼女の表情が一瞬で曇る。

 

「なんかあった?」

心配そうな声。

 

「いや……なんでもない」

苦笑しながら答える。

(言えないよ……)

本音を口に出す勇気がない。

 

『もし愛想尽かされたら……』

頭の中を巡る不安。

東の顔を見ることができない。

 

## 抑えきれない涙

 

(もし東と別れたら……)

想像するだけで心臓が締め付けられる。

 

(耐えられない)

確信する。

 

「俺……」

言葉が詰まる。

 

「平?」

東の声が遠く感じる。

 

(どうしよう……)

感情の制御が効かなくなる。

 

「ごめん……」

謝罪が口を突いて出る。

 

視界がぼやける。

(泣いてる?)

自分でも信じられない。

 

涙が止まらない。

「東……」

嗚咽混じりの声で呼ぶ。

 

「平!!」

悲鳴のような叫びと共に東が飛びついてくる。

抱きしめられる腕の中で涙が溢れ出す。

「どうしたの!?どこか痛いの!?」

彼女の声が震えている。

 

「違う……ただ……」

言葉にできない。

(怖いんだ)

失うことへの恐怖だけが胸を支配する。

 

「ゆっくりでいいから話して」

優しく背中を撫でてくれる。

その手の温もりが余計に涙腺を刺激する。

 

「……薬…」

掠れた声で呟く。

 

「え?」

「本当は本物だったんじゃないかって……」

 

そこまで言って言葉が途切れる。

 

 

 

 

# 愛の告白と涙の理解

## 泣きながらの本心吐露

 

「……俺」

言葉が途切れ途切れになる。

東の肩に顔を埋めたまま、震える声で続ける。

 

「いや、違う。薬のせいじゃない」

首を横に振る。

 

「本当に偽薬かもしれないけど……」

(違うんだ)

核心に迫る言葉を選ぼうとして躊躇う。

 

「違う……俺が……」

呼吸が荒くなる。

 

「俺の性欲が……怖いんだ……」

本音が溢れ出す。

 

「東といると……自分が制御できなくなる」

言葉にすることでさらに実感する恐怖。

 

「何度も求めてしまう……東の負担になってるって……分かってるのに……」

自分でも嫌になる。

 

「こんな俺が……」

そこまで言って息が詰まる。

 

「東に……愛想尽かされたら……」

最悪のシナリオを口にする。

 

「想像しただけで……耐えられない……」

涙が止まらない。

(こんな弱い姿を見せたくない)

そう思うほどに感情が溢れ出す。

 

## 東の困惑と理解

 

「平……」

彼女の声が震えている。

 

「何言ってるの?」

混乱した様子。

 

「平が負担?負担なんて思ったこと一度だってないよ」

優しく背中を撫でる手。

 

「むしろ逆。私がいつも平に支えてもらってる」

 

「だって……こんなに何度も……」

言い訳のように繰り返す。

 

「性欲が強い男なんて最低だろ……」

自虐的な言葉。

 

「東に……迷惑かけて……」

(自分でも信じられない)

そんな思考が堂々巡りしている。

 

「馬鹿」

東の声に少し厳しさが混じる。

 

「なんでそうやって自分を卑下するの?」

真っ直ぐに目を見つめられる。

 

「私はあなたのことが……好きなの」

 

その言葉に顔を上げる。

彼女の瞳が潤んでいる。

 

「それに」

少し恥ずかしそうに続ける。

 

「私も……平に求められること……嫌じゃない」

 

## 受け入れられる不安

 

「でも……」

まだ納得できない。

 

「毎回こんなだったら……東の身体も……」

心配そうに尋ねる。

 

「大丈夫だってば!」

笑い飛ばすように言う東。

 

「むしろ嬉しいくらい」

(嬉しい?)

耳を疑う。

 

「どういう……」

戸惑いながら問いかける。

 

「だって」

彼女が顔を赤らめる。

 

「平が私に夢中になってくれてるって……分かるから」

小さな声で告白する。

 

「それに……私も結構……いや、すごく、その……」

 

言い淀む彼女。

「感じてるし……」

 

意外な返答に言葉を失う。

「でも」

再び真剣な眼差し。

 

「そんなことで嫌いになるわけないじゃん」

強く断言される。

 

「逆に好きすぎるんだって気づいてる?」

少し拗ねたように言われる。

 

## 涙の和解

 

「好きすぎる……」

その言葉が胸に沁みる。

(そうか……)

自分の気持ちに気づかされる。

 

「東……」

名前を呼ぶ声が掠れる。

 

「うん?」

優しく返事をする彼女。

「俺……東のことが好きだ」

素直な告白。

 

「大好きだ」

涙と共に溢れ出す想い。

 

東の顔が輝く。

「知ってる」

少し得意げに微笑む。

 

「だって」

再び顔を寄せる。

「私の胸を吸いながら泣いちゃうくらいだもんね♪」

 

冗談めかした言葉に思わず赤面する。

(そうだった……)

自分の情けない姿を思い出してしまう。

 

「でも」

真剣な表情に戻る彼女。

 

「これからはもっと甘えてほしいな」

優しく囁く。

「辛いこととか不安なこと……全部話してほしい」

お願いするような口調。

 

「私たち……恋人同士でしょ?」

 

その言葉に胸が熱くなる。

「そうだな……」

 

小さく頷く。

「ありがとう」

 

感謝の言葉が自然と出てくる。

 

## 新たな一歩

 

涙で濡れた顔を拭う暇もなく、東に抱きしめられる。

 

「これからもずっと一緒にいようね」

誓いのような言葉。

 

「うん…こちらこそ…」

心からそう思う。

 

 

 

# 涙のあとには情熱の夜

 

## 予想外の誘い

 

「……」

鼻水を啜りながら顔を上げる。

 

東の表情が変わる。

さっきまでの優しい顔つきから、一気に妖艶な色香が漂い始める。

彼女の目が細くなり、唇の端が吊り上がる。

 

「ねぇ平?」

甘い声で囁く。

 

「涙も落ち着いたところで……」

ゆっくりと視線を下ろしていく。

 

「こっちはまだまだ固いよね?」

太ももの間に触れる指先。

 

(!?)

驚きで身を硬くする。

「いや……もう……」

抗おうとするが言葉にならない。

 

「ふふ……」

東の目が笑っている。

 

「我慢なんてさせないよ」

抵抗する間もなく押し倒される。

 

「4回目いってみる?」

挑発的な笑み。

 

「平が泣きながら『好きだ』って言ってくれたんだもん」

意地悪く言う。

「もっと愛したげる」

 

## 心の解放

 

(……負けた)

諦めというより安堵に近い気持ち。

全身から力を抜く。

 

「東……」

名前を呼ぶ声が柔らかくなる。

 

「好きだ」

もう一度伝える。

 

「うん♪」

満足そうに微笑む彼女。

 

「私も大好き♡」

キスが降ってくる。

 

「じゃあ……始めよっか」

身体を擦り寄せてくる。

 

## 二人の新しい朝へ

 

翌朝―――。

 

カーテンの隙間から漏れる光に目を開ける。

腕の中に東が眠っている。

昨夜の激しさを感じさせる寝息を立てている。

 

(結局5回も……)

苦笑いが漏れる。

自分でも呆れるほどの情熱。だが不思議と疲労感はない。

むしろ清々しい気持ち。

 

そっと彼女の頬に触れる。

「ありがとな……」

心から感謝する。

(こんな俺を受け入れてくれて)

 

胸の奥が温かくなる。

窓の外から鳥のさえずりが聞こえる。

新しい一日が始まる。

二人の関係もまた、新しいスタートラインに立ったような気がした。

 

 

 

 

 

# 佐藤葵の実験レポート

 

## 実験結果分析開始

 

机に向かう佐藤。

パソコン画面には昨日提出されたアンケート結果が表示されている。

「さて……実験は完璧に遂行されたけれど……」

眉間に皺を寄せながら呟く。

「ここからの分析が肝心よね」

 

マグカップのコーヒーを一口飲む。

「アンケートは10点採点方式としましょう」

ペンを手に取りメモ帳を開く。

「薬を飲まない普段の性行為と薬を飲んだ今回の性行為……」

項目を書き込んでいく。

 

「それぞれ3項目で10点満点評価ね」

①性欲の向上度(どれくらい性欲が高まったか)

②肉体の敏感度(どれくらい肉体が敏感になったか)

③絶頂時の感度(エクスタシーのレベル)

 

---

 

## 東紫乃の場合

 

「さて……まずは被験者A:東 紫乃から確認しましょうか」

ファイルを開く佐藤の表情が曇る。

 

「……なにこれ?」

眉をひそめる。

 

「普段も媚薬を飲んだ時も全部オール10じゃない!」

驚きを通り越して呆れている様子。

 

「これじゃ何も分からないわ」

溜息をつきながら椅子にもたれかかる。

 

---

 

## 東への追及

 

昼休みの大学の廊下。佐藤は看護科まで行き、東を見つけると鋭い視線を送る。

「ちょっとアズ!」

低い声で呼び止める。

 

「昨日のアンケートなんだけど……あれは一体どういうつもり?」

壁際まで追い詰める勢い。

 

東は首を傾げながらあっけらかんとした態度。

「あれ?何か変だった?」

無邪気な笑顔で答える。

 

「平とだもん。普段も媚薬飲んだ時も全部最高に決まってるじゃん!」

 

佐藤は額に手を当てる。

 

「だから真面目にやってほしいんだけど!」

苛立ちを隠せない。

 

「科学的データとしては使えないわよ」

厳しい口調で忠告する。

 

東は肩をすくめる。

 

「でも~」

口を尖らせながら反論する。

 

「自分に素直に回答した結果だよ」

両手を広げて訴える。

 

「嘘つくわけにもいかないし」

屈託なく笑う東に対し、佐藤は頭痛を覚える。

 

---

 

## 教訓を得る佐藤

 

教室に戻る佐藤。

机に突っ伏しながら独り言。

 

「まぁ……仕方ないわね」

天井を見上げて考える。

 

「あの子のことだもの」

少し諦めた様子で笑う。

 

「次は100点方式にしようかしら」

皮肉混じりのつぶやき。

 

「それとも……」

しばらく考えてから静かに呟く。

 

「性欲は…感情は数値化できないものだと認めるべき?」

 

 

 

 

 

 

# 佐藤葵の実験記録・続章

 

## 実験報告の続き

 

研究室の扉が閉まり、佐藤は再びパソコンの画面に向かった。

「次は……被験者B:平 秀司の場合ね」

 

ファイルを開く佐藤の顔に困惑の色が浮かぶ。

「……呆れた」

深いため息が漏れる。

 

「こちらも全部オール10」

画面に映し出された数字に目を疑う。

 

「これじゃ何も得られないじゃない」

頭を抱える佐藤。二度目の失敗に落胆の色が濃い。

 

---

 

## 喫茶店での対決

 

翌日の放課後。

いつもの喫茶店のテーブルに座る佐藤。

目の前には不機嫌そうな顔と嬉しそうな顔の二人。

 

「ちょっと二人とも」

厳しい口調で切り出す佐藤。

 

「これを見てちょうだい」

東と平のアンケート結果を印刷した紙をテーブルに叩きつける。

 

「どうして二人ともオール10なの?」

 

東は平然と答える。

「だって〜事実だもん!」

無邪気な笑顔で続ける。

 

「やったー!平も同じこと思ってくれてるの嬉しー」

隣で照れる平の腕に抱きつく。

 

佐藤は呆れた表情で頭を振る。

 

「あなたたち二人とも」

冷静さを取り戻すように深呼吸。

 

「なんの研究か分かってるの?」

二人を交互に睨みつける。

 

平が真剣な顔で答える。

 

「勿論!」

嘘くさく胸を張る姿に佐藤の苛立ちが増す。

 

東がすかさずフォロー。

「人間、素直が一番!」

 

平が得意げに同意する。

「その通りだな」

 

佐藤はついに椅子から立ち上がりそうになる。

 

「あのねぇ……」

怒りを抑えながら言葉を選ぶ。

 

「この研究では客観的なデータが必要なの」

冷静になろうと努力するが無駄だった。

 

「こんな主観的な評価じゃ……」

 

東が突然真面目な顔で言った。

 

「でもサト」

佐藤の渾名で呼びかける。

「私たちの幸せは科学で測れないと思うよ?」

 

平も頷いて続ける。

「そうだよ。愛って数字で測るものじゃないだろ?」

 

---

 

## 和解の瞬間

 

数秒の沈黙の後。

佐藤はゆっくりと椅子に腰かけた。

 

「もういいわ」

降参するように手を挙げる。

 

「人選ミスかしらね」

諦めの言葉に安堵の表情を浮かべる二人。

 

佐藤はコーヒーカップを持ち上げながら言った。

 

「次は別の実験にするわ」

溜息まじりの言葉に安堵の表情を浮かべる二人。

 

ふと佐藤が微笑む。

 

「まあ」

意外な優しさを見せながら言う。

 

「二人仲良さそうなのはいいことね」

悪戯っぽく続ける。

 

「相談会も減ると嬉しいわ」

 

東が「サトのいじわるー」とジト目で睨む。

 

「そんなこと言われたら寂しいじゃん!」

不満そうに頬を膨らませる。

 

平が笑いながら仲裁に入る。

「まあまあ、サトも俺たちの幸せを祝福してくれてるんだろ」

 

「そういうことにしておいてあげる」

佐藤が冗談めかして言い返す。

 

三人が互いの目を見交わす。

そして……

同時に吹き出した。

「あはは!」

店内に響く明るい笑い声。

 

---

 

## 新たな展開の予感

 

帰り際、佐藤は静かに呟いた。

「科学だけじゃ説明できないこともあるのね」

夕焼けに照らされる研究室の窓。

そこに映るのは複雑な表情を浮かべた自分自身。

 

スマホが震える。

メッセージを見ると東からだった。

 

『今度の土曜日、三人でカフェ巡りしない?』

東の誘いに佐藤は小さく笑う。

 

『いいわよ』

短く返信して画面を閉じる。

 

机の上には未完成の研究ノート。

しかし今日は違うページを開く。

 

『感情の統計学的分析 - 初期試案』

 

新たに始まる研究テーマ。

 

そして今日もまた科学者は理論と感情の狭間で踊る。

 

いつか自分の感情すらも説明できる未来を信じて。

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。