僕のファーストキスを奪った幼馴染が、超ドSだった件 作:微熱@
そして、おあずけ地獄の日々が始まった。
おあずけ一日目。
月曜日の放課後。美優は僕を旧校舎裏に連れ出し、貞操帯の上からローションを塗った指で、金属の隙間から覗く亀頭の先端だけをツンツンと突いた。
「あぁっ……! 美優様っ……!」
「今日は触るだけ。もちろん開けないわよ」
鬱血した肉棒が金属の内壁にギチギチと押し付けられ、先端からは糸を引くほどの我慢汁が溢れ出している。それなのに美優は、その透明な液を指先で絡め取っては「ほら、こんなに漏らして」と嘲笑するだけで、決して鍵を外してくれなかった。
「はぁ……はぁ……出したい……っ、美優様、お願い……」
「駄目。ひまりのことを完全に忘れるまで、ずっとこのままよ」
美優は僕の懇願を切り捨て、帰り道もずっと僕の半歩前を歩いた。その背中は、以前よりも少しだけ遠く見えた。
おあずけ二日目。
火曜日の朝。教室に入ると、僕の机の上に小さなタッパーが置かれていた。
「あっ、堀田君! おはよう! 昨日、クッキー焼いてみたの。よかったら食べて?」
ひまりちゃんが、自分で焼いたと思われる手作りクッキーを持って来てくれていたのだ。少し蓋を開けてみると、バターの甘い香りが鼻腔をくすぐった。
チョコチップクッキーに、一枚だけハート型のものが混じっている。明らかに好意を持っている相手専用の特別製。こんな物を貰えるんて、以前の僕なら飛び上がって喜んでいたと思う。でも、今は──
「ひまり、ちゃん……これ……」
「えへへ、修学旅行の時のお礼。ちょっと焦がしちゃったけど……」
ひまりちゃんは照れくさそうに笑った。その笑顔は、桃のような甘い匂いと一緒に、僕の心臓をぎゅっと掴んできた。
その瞬間、氷で出来で出来ているかと思うような冷たい指が僕の肘を掴んだ。
「わぁ、ひまりのクッキー。すごいね、手作りなんだ!」
美優だった。満面の笑顔で、ひまりちゃんとクッキーを交互に見ている。その微笑みの完璧さが、かえって薄ら寒い。
「よかったね、由紀人! ちゃんとお礼言いなよ」
「あ、うん……ありがとう、ひまりちゃん。嬉しいよ」
僕が礼を言うと、ひまりちゃんの顔がパッと輝いた。
「ほんと!? よかったぁ! 堀田君、甘いもの好きかなって思って」
「うん、好き。大事に食べるよ」
その言葉を口にした直後、美優の爪が僕の肘の内側の柔らかい皮膚に、ズブリと深く食い込んだ。
「っ……!」
「あたしもひまりのクッキー、一枚もらっていい?」
「もちろん! いっぱいあるから、どうぞ!」
美優はクッキーの中から、あのハート型のクッキーを一枚選んで口に入れた。ひまりちゃんが僕のために焼いた、たった一枚の特別なクッキーを。
パリン、と軽い音を立てて、美優の白い歯がハートを真っ二つに割った。
「うん、美味しい。ありがとう、ひまり」
ひまりちゃんはそのことに気づいた様子もなく、満足げに自分の席へ戻っていった。
美優は咀嚼しながら、僕の耳元に口を寄せた。
「あのハートは、あんたを想って焼いたんでしょうね。あたしが食べちゃったけど。甘すぎて、ちょっと気持ち悪かったわ」
その声の底に滲む感情が、嗜虐なのか嫉妬なのか、もはや僕には区別がつかなかった。
おあずけ三日目。
水曜日。地獄はさらに深まった。
体育の授業後、男子更衣室で着替えを済ませた僕は、いつものように貞操帯が目立たないか入念に確認してから教室に戻った。
すると、廊下でひまりちゃんとばったり鉢合わせた。
「あ、堀田君! 体育お疲れさま!」
「あ、うん、お疲れ……」
ひまりちゃんは体育の授業後で、体操着から制服に着替えたばかりのようだった。首筋にうっすらと汗が光り、運動で上気した頬がほんのりと赤い。
ポニーテールに結んだショートボブの毛先から、汗とソープの混ざった匂いが微かに漂ってくる。普段の桃の香りとはまた違う、生々しい女の子の体温を感じさせる匂い。
「あのね、堀田君。今度の週末、もし暇だったら──」
「由紀人ーっ!」
ひまりちゃんの言葉を遮るように、廊下の向こうから美優の声が飛んできた。
「先生が呼んでるわよ。職員室来てって」
「えっ、先生? 何の用だろう……」
嘘であろうことは、美優の目を見れば分かった。しかし、ひまりちゃんの前で「嘘でしょ」とは言えない。
「ごめんね、ひまりちゃん。また後で……」
「うん、わかった! また後でね!」
ひまりちゃんが小さく手を振る姿が視界から消えた瞬間、美優は僕の腕を乱暴に引っ張って、人気のない階段の踊り場へと連行した。
「美優様、あのっ、本当に先生が──」
「呼んでない。嘘よ」
「だよね……」
美優は壁に寄りかかり、僕を正面から見据えた。
「さっき、ひまりが何か言いかけてたわね。週末がどうとか」
「いや、最後まで聞けなかったから……」
「聞かなくても分かるわよ。あの子、あんたをデートに誘おうとしてたんでしょ」
デート。その単語が空気中に放たれた瞬間、僕の股間の金属がズキンと鈍い痛みを訴えた。
美優は目を細め、僕の腰に手を回した。制服のシャツの裾からするりと手を滑り込ませ、素肌に直接触れてくる。冷たい指先が脇腹を這い上がり、僕は小さく身じろぎした。
「ね、由紀人。正直に答えて。もしよ……もし、あたしという人間がいなかったら。あの子のデートの誘い、受けてた?」
「……え?」
「仮定の話よ。あたしが由紀人の主人じゃなくて、ただのクラスメイトだったら。ひまりに『週末、遊びに行こう』って言われて、嬉しかった?」
美優の指が、僕の肋骨の上をゆっくりとなぞる。その問いかけは、明らかに罠だった。「嬉しい」と答えれば嫉妬の炎に焼かれる。「嬉しくない」と答えれば嘘をついたことになり罰を受ける。
だが、今の美優の声には、いつもの余裕に満ちた嗜虐ではなく、答えを本気で聞きたがっている切実さのようなものが混じっていた。
「……たぶん、嬉しかったと思う」
正直に答えた。もう嘘はつけなかった。
美優の指が、僕の肌の上でピタリと止まった。
「そう」
一拍の沈黙。
「じゃあ、今日の放課後、あたしの家に来なさい。新しいお仕置きを用意してあるから」
美優はそれだけ言って、階段を降りていった。その歩調は、いつもよりわずかに速かった。
放課後、美優の家。
いつものように二階の美優の部屋に通され、首輪を着けられ、制服を全て脱がされた。
貞操帯と首輪だけの裸体。もう何度目かも分からないこの姿だが、今日は空気が違った。
美優はベッドの上に腰かけ、僕を床に正座させると、僕から取り上げたスマートフォンを操作し始めた。
「LINEしなさい。ひまりに」
「えっ? 今から?」
「今からよ。あたしが言う通りの文章を、一字一句そのまま送りなさい」
僕は美優から自分のスマホを手渡され、LINEのトーク画面を開いた。ひまりちゃんとの会話が表示される。
「打って。『ひまりちゃん、さっきは途中でごめんね。週末のこと、聞きたいです』」
「えっ……!? そ、それ、自分から聞きに行くってこと?」
「いいから打ちなさい」
美優の声は有無を言わさない鋭さだった。僕は震える指で、言われた通りの文章を打ち込み、送信ボタンを押した。
既読がつくまで、わずか数秒。ひまりちゃんは即座に返信してきた。
『嬉しい! あのね、日曜日にちょっとだけ、駅前のカフェでお茶しない? 話したいことがあって……』
「ほら、読んで」
美優は僕のスマホの画面を覗き込み、ひまりちゃんのメッセージを声に出して読み上げた。その声は淡々としていたが、読み終わった後、美優はゆっくりと僕の顔を見上げた。
「由紀人、今このメッセージを読んで、心拍数、上がったでしょう?」
「……」
「顔に書いてあるわよ。ほら、ここ」
美優の指が僕の首筋に触れ、頸動脈の拍動を確かめた。
「やっぱり。ドクドクいってる」
美優はまた僕のスマホを取り上げ、返信を打ち始めた。
「こう返しなさい。『ごめん、日曜は用事がある。また今度ね』」
「え……でも、今こっちから聞きいたのに……」
「そうよ。あの子に期待させてから断る。それが由紀人へのお仕置き」
僕は絶句した。
ひまりちゃんの気持ちを踏みにじるための、計算された残酷。美優はこれを「由紀人へのお仕置き」と呼んでいるが、傷つくのはひまりちゃんの方だ。
「それは……さすがにひどくない? ひまりちゃんは何も悪くないのに……」
「悪くないわよ。でも、あの子があんたに好意を持ってる限り、あたしの邪魔になるの。だから、あんた自身の手でゆっくり距離を取ってもらう」
「……」
美優からスマホを渡され、僕は唇を噛みしめた。
断るメッセージの送信をタップする指が、鉛のように重かった。送信音が鳴り、数分後に返ってきたひまりちゃんの返事は、
『そっかぁ、残念! じゃあまた別の日にね! 楽しみにしてるね!』
弾けるような明るさの中に、微かな寂しさが滲んでいた。それを読んだ僕の胸が、ズキンと痛んだ。
美優はそれを見届けてから、冷たく微笑んだ。
「よくできました。ご褒美に、少しだけ触ってあげる」
美優は床に正座した僕の前に跪き、貞操帯の金属の表面に唇を押し当てた。冷たい金属越しに微かに感じる、彼女の唇の温度。
「んっ……ちゅっ……」
隙間から覗く亀頭の先端を、舌先でチロリと舐められた。
「あぁっ……!」
たったそれだけの刺激で、僕の全身に電流が走った。もう何日も射精していない体は、わずかな接触でも爆発しそうなほどに感度が上がっていた。
「美優様っ……お願い……鍵……開けて……っ」
「開けないわよ。日曜日までね。ほら、もっと我慢して」
美優はさらに舌を伸ばし、金属の隙間に器用に舌先を突っ込んで、閉じ込められた亀頭の裏筋をレロレロと舐め上げた。
「ひぃぃぃっ……! だめっ、それっ、おかしくなるっ……!」
「おかしくなればいいじゃない。あたしのことだけ考えて、頭の中があたしだけでいっぱいになるまで、ぐちゃぐちゃに壊れなさい」
美優の舌が執拗に亀頭を責め立てる。出したい。狂いそうなほど出したい。だが金属の枷がそれを許してくれない。精液が尿道の途中まで競り上がっては行き場を失い、また睾丸の奥に逆流していくあの感覚が、何度も何度も繰り返される。
「あぁぁぁっ、あぁっ! 美優様ぁっ……もう、もう限界なのにっ……!」
「限界なんて、由紀人の体が勝手に思い込んでるだけよ。男の子は、あたしが許すまで何日でも我慢できるの」
美優は口を離し、精液ではなく大量の我慢汁でテカテカに光る金属の表面を、指先で弾くように叩いた。カンカンという硬質な音が、僕の睾丸の奥まで響く。
「ちゃんと由紀人に聞いておきたいことがあるの」
美優は僕の前に座り直し、その大きな瞳で僕を真っ直ぐに見据えた。
「さっき、ひまりのデートを断るメッセージを送った時。由紀人は、本当は行きたかった?」
「……」
「正直に答えて。嘘ついたら、おあずけをさらに一週間延長する」
合計二週間。その言葉が僕の理性の最後の砦を粉砕した。
「……少し、だけ。行ってみたいって、思った」
沈黙が降りた。
美優の表情は読めなかった。怒っているのか、悲しんでいるのか。彼女の大きな瞳の表面に、薄い水の膜が張ったように見えたのは、きっと僕の錯覚だ。
「そう。少しだけなんだ」
美優は立ち上がり、クローゼットから何かを取り出した。
見覚えのある、あの電動マッサージ機だった。以前、奈緒が僕にドライオーガズムを強制した時に使った、あの凶器。
「美優……様?」
「安心して。お姉ちゃんのやり方は乱暴すぎたけど、あたしはもっと上手にやるから」
美優はマッサージ機のスイッチを最小出力に設定した。ウィーンという微かな振動音。
「うつ伏せになって。お尻を上げなさい」
「まっ……まさか、美優様、それを……!」
「お姉ちゃんみたいに力任せにはやらないわ。でも、あんたのここが」
美優の指が、僕のお尻の割れ目を辿り、会陰部のすぐ手前で止まった。
「あんたのここが、お姉ちゃんの手にかかった時どんな声で鳴いてたか、あたしはちゃんと覚えてるの。あの時、あんたはあたしよりお姉ちゃんを選んだ。射精の快楽より、ドライオーガズムの方が強かったから」
美優の声が、わずかに震えた。
「だから、あたしも覚えた。あんたの体のこと、お姉ちゃんより知ってなきゃいけないと思ったから。この一週間、ちゃんと勉強したの」
勉強。美優は、僕の体を完全に掌握するために、前立腺責めの技術を独学で習得したというのか。
あの夜、奈緒に屈してしまったことが、美優のプライドをどれほど深く傷つけたのか。今になって、その深さが分かった気がした。
「美優……様……」
「黙って。声は出していいけど、質問はしないで」
美優はマッサージ機を僕の会陰部にそっと当てた。奈緒の時のような暴力的な押し当て方ではなく、そっとを撫でるような、微かな振動。
「あっ……うぅ……」
繊細な振動が、前立腺を遠くから揺する。強すぎず弱すぎず、ちょうど意識の端に引っかかり続ける絶妙な刺激。奈緒のやり方とは根本的に異なる、ゆっくりと体の奥から熱を練り上げていくような責め方だった。
「あたしはね、お姉ちゃんみたいにすぐに壊したりしないの。時間をかけて、少しずつ、由紀人の体をあたし色に染めていく」
美優の空いた方の手が、僕の背骨をなぞる。指先が尾てい骨から首筋まで、ゆっくりと往復する。
「あぁっ……美優、様……それ、じわじわ来る……っ」
「でしょ? お姉ちゃんはいきなり最大出力で暴走させたけど、あたしはこうやって、弱い振動でじっくり焦らすの。由紀人の頭の中が、あたしのことでいっぱいになるまで」
振動が微妙に角度を変え、前立腺の別の面を刺激し始める。波のように押しては引く快感が、膀胱の奥からじわじわと温かい圧力となって広がっていく。
「うあぁっ……なんか……おしっこしたいみたいな、でも違う……っ」
「それが前立腺の感覚よ。お姉ちゃんに教えてもらったんじゃなくて、あたしが教えてあげるの。由紀人のここは、あたしが最初に名前をつけてあげる場所」
美優がマッサージ機の出力を一段階上げた。
「あぁぁっ……! 美優様っ、それ、中からっ、何か込み上げてくる……っ!」
貞操帯の中で、ペニスが限界まで膨張している。射精感に似ているが、もっと深い場所から湧き上がる、底知れない快感の塊。腰が勝手にガクガクと揺れ始め、僕はクッションを掴んで耐えようとした。
「我慢しなくていいわよ。前からは出ないけど、体の奥で果てなさい。あたしの手で」
「あぁぁぁっ! 美優様っ、美優様ぁぁっ……!」
僕は美優の名前を叫びながら、全身を硬直させた。
精液は一滴も出ない。貞操帯がそれを完全に封じ込めている。だが、脳が「絶頂した」と錯覚するほどの、圧倒的な快感の波が何度も何度も押し寄せてきた。
ドライオーガズム。奈緒に強制された時のような暴力的な絶頂ではなく、美優の繊細な手技によって導かれた、ゆるやかだが深い深い絶頂。
「あ……あぁ……はぁ……はぁ……」
僕は全身の力が抜け、うつ伏せのまま床に沈んだ。痙攣が止まらない。意識が朦朧とする中、美優の小さな手が僕の髪を撫でているのが分かった。
「ほら、ちゃんと気持ちよくなれたでしょ? お姉ちゃんなんかいなくても、あたしだけで、由紀人を壊せるのよ」
美優の声は勝ち誇っていたが、髪を撫でるその手は、どこまでも優しかった。
「由紀人。今、頭の中に誰がいる?」
「美優……様、だけ……です……」
「ひまりは?」
「いません……」
「よくできました」
美優は僕の額にキスを落とした。精液交じりではない、乾いた、しかし確かな温もりのあるキス。
「あたしは、由紀人のことが──」
そこまで言いかけて、美優は唇を閉じた。
僕が顔を上げた時には、彼女はもういつもの冷酷な女王様の顔に戻っていた。
「帰っていいわよ。明日も、ちゃんとスマホ見せなさいね」
美優の部屋を出て、夜道を歩きながら、僕は自分の体がまだ微かに震えていることに気づいた。
ドライオーガズムの余韻? 違う。美優が最後に言いかけた言葉の続きが気になって、胸が苦しかったのだ。
あたしは、由紀人のことが……なんだ?
好きなのか。憎いのか。それとも、その両方なのか。
美優の本当の気持ちが、初めて怖くなった。美優に支配されることが怖いのではなく、美優自身が壊れてしまうのではないかという恐怖。それは、僕がこの関係の中で初めて感じた感情だった。