僕のファーストキスを奪った幼馴染が、超ドSだった件 作:微熱@
翌日の木曜日。
おあずけ地獄は四日目に突入していた。
もはや僕の日常は、貞操帯の存在を中心に回っていた。朝起きた瞬間から股間のジンジンとした鬱血感に支配され、歩くたびに金属が擦れ、授業中も居眠りする隙すら与えられない。常に半勃起状態を強いられた肉棒は、健康上の問題すら心配になるほどに充血し続けていた。
そんな木曜日の昼休み。
「堀田君!」
教室で一人、購買で買ったパンをかじっていた僕に、ひまりちゃんが駆け寄ってきた。美優は珍しく友人グループと一緒に食堂に行っていて、この場にはいない。
「あ、ひまりちゃん。どうしたの?」
「あのね、日曜日のこと、残念だったけど……来週の土曜日はどうかな?」
ひまりちゃんは両手を胸の前で重ね、上目遣いで僕を見つめてきた。ショートボブの毛先がふわりと揺れ、耳たぶがほんのりと赤く染まっている。
「え……」
「あのね、私、堀田君にちゃんと伝えたいことがあるの。修学旅行のお守りの中の手紙、読んでくれた?」
手紙。美優にバスの中で読まれた、あの手紙。僕自身はまだ内容を確認していない。美優が読んだ後、巾着袋ごと僕の胸ポケットに返してくれたが、それ以来、美優の監視が怖くて開けていなかった。
「あ……ごめん、まだちゃんと読めてなくて……」
「そっか。じゃあ、読んでほしいな。それで、返事を聞かせてほしいの」
ひまりちゃんの声が、かすかに震えていた。
返事。それはつまり、告白への返事を求めているということだ。お守りの中の手紙は、やはり。
「ひまりちゃん、あの……」
僕が何か言おうとした瞬間、ひまりちゃんの小さな手が、僕の手の甲にそっと重ねられた。
「無理に今日答えなくていいよ。でも、ちゃんと読んで考えてほしいな。……私、本気だから」
ひまりちゃんの指は細くて温かくて、桃の匂いがして、そして美優の冷たい爪とは対照的に、何の痛みも伴わなかった。
その優しさが、かえって僕の胸を締めつけた。
この手の温もりを心地よいと感じてしまっている自分がいる。それは、歪んだ主従関係の中で美優に飼い慣らされた僕にとって、失ってはいけない正常な感覚なのか、それとも美優を裏切る感情なのか。
「……ありがとう。ちゃんと、読むよ」
僕がそう答えると、ひまりちゃんはぱっと顔を輝かせた。
「うん! 待ってるね、堀田君!」
ひまりちゃんが教室を出ていってから数分後。
食堂から戻った美優が、僕の机の前に立った。
「何かあった?」
「……ううん、何も」
「あたしに、嘘つくなって言ったでしょ? ひまりと一緒にいたの、食堂の窓から見えてたわよ」
「えっ!?」
食堂は一階にあり、教室は二階だ。角度的に窓から教室内はギリギリ見えるかどうかだ。たぶん鎌をかけたのだろう。
そして、僕のぎくりとした反応で美優は確信しただろう。観念するしかない。
「……手紙の返事を聞きたいって言われた」
「ふーん。で、あんたはなんて答えたの?」
「読む、とだけ……」
「読む、ね」
美優は静かに自分の席に座り、教科書を開いた。
何も言わなかった。怒りもしなかった。
それが、いちばん怖かった。
金曜日。おあずけ五日目。
限界という言葉の定義を、僕はこの日ほど深く理解したことはなかった。
もはや朝の目覚めから地獄だった。毎朝の朝勃ちが金属の内壁に押し込められ、萎えるまでの数十分を布団の中で呻きながらやり過ごす。シャワーを浴びてもぬるま湯が貞操帯の隙間から侵入し、閉じ込められた亀頭を撫でるせいで余計に興奮してしまう。登校中は歩くたびに金属が陰嚢に当たり、まともな歩幅で歩くことすらままならなかった。
そして、五日目の美優は、これまでの焦らしとは次元の違う責めを繰り出してきた。
四時間目の数学。
僕と美優の席は隣同士だ。窓際の最後列、教壇からは死角になりやすい位置。美優が最初にそこを陣取った時から、嫌な予感はしていた。
授業が始まって十分ほど経った頃。
ふと、僕の右太ももに何かが触れた。
「……っ」
美優の足だった。上履きを脱いだ足が、紺のハイソックス越しに僕の太ももの内側を撫でている。さりげなく、しかし正確に、椅子に座った僕の股間へと距離を詰めてくる。
(また……っ)
以前にも同じことをされた記憶が蘇る。あの時は靴のつま先で貞操帯をこすられ、授業中に声を出しかけた。だが今回は、五日間の蓄積された欲求不満が全く違う反応を引き起こしていた。
美優のハイソックスの足が、ズボンの上から貞操帯の金属に触れた瞬間。
「ひぅっ……!」
声を噛み殺した。両手で机の縁を掴み、歯を食いしばる。
美優は横目でこちらを一瞥しただけで、涼しい顔をして教科書に視線を落としている。まるで何もしていないかのように、ノートにシャーペンを走らせながら、足だけが僕の股間を蹂躙していた。
つま先が貞操帯の根元から先端までをゆっくりとなぞる。そして先端をトントンと叩き、中の亀頭に刺激を与えてくる。
(やめて……っ、ここ教室……っ、みんないるのに……っ)
だが美優の足は止まらない。つま先の動きがリズムを持ち始め、金属越しの亀頭を一定のテンポでこすり上げてくる。五日間の鬱血が極限まで達した肉棒は、この程度の間接的な刺激ですら暴発寸前にまで追い込まれた。
我慢汁が溢れ出し、貞操帯の隙間からパンツの生地へと染みていく。太ももの内側が、自分の体液でぬるぬると湿っていくのが分かる。
「堀田。三十二ページの問三を読め」
不意に数学の教師に当てられた。
「はっ、は、はいっ……!」
僕は裏返った声で返事をし、教科書を持つ手が小刻みに震えているのを必死に抑えようとした。立ち上がろうとした瞬間、美優の足がすっと離れた。代わりに、隣の席からかすかに「ふふっ」という含み笑いが聞こえた。
問題文を読み上げる僕の声は、端から端までどうしようもなく震えていた。
「ど、どうした堀田。声が変だぞ。風邪か?」
「だ、大丈夫です……っ」
席に座り直した途端、美優の足が再び伸びてきた。今度はさっきよりも強く、つま先の腹で貞操帯の先端をグリグリと押し込んでくる。
「んぐっ……!!」
机に突っ伏すようにして耐えた。ノートの上に額を押し付け、顔を隠す。これ以上はもう本当に声が漏れる。教室中に僕の喘ぎ声が響き渡ってしまう。
チャイムが鳴った。
四時間目が終わり、昼休みの開放感が教室に満ちる。僕は机に突っ伏したまま動けなかった。股間部分はズボンの内側まで我慢汁でべっとりと湿っており、立ち上がればシミが見えてしまうかもしれない。
「由紀人、大丈夫? 顔色悪いけど」
美優が、表の顔で心配そうに覗き込んでくる。
「大丈夫……じゃ、ない……美優せいで……」
「あら、あたしのせい? 何のことかしら」
白々しい。だがクラスメイトの目がある以上、僕は何も言い返せない。
「堀田君!」
その時、教室の前方から聞き慣れた明るい声が飛んできた。ひまりちゃんが、小さな弁当箱を手に持ってこちらに歩いてくる。
「今日、お弁当多く作りすぎちゃったの。よかったら一緒に──」
ひまりちゃんが僕の机の横に来た瞬間、美優が先に口を開いた。
「あっ、ひまり。由紀人ったらね、さっきからずっと落ち着かないの。なんか変でしょ?」
「え? 堀田君、どうしたの? 顔、すごく赤いよ?」
ひまりちゃんが心配そうに僕の顔を覗き込む。彼女特有の桃の匂いが鼻先をかすめ、貞操帯の中の肉棒がまたビクンと跳ねた。
「な、なんでもない、ちょっと調子が……」
「由紀人ってね、実は変態なのよ」
美優がさらりと言い放った。
僕の心臓が止まった。本当に一瞬、完全に止まっていたと思う。
「えっ?」
ひまりちゃんが目を丸くする。
「ふふっ、冗談よ。でも、由紀人って意外とムッツリなところあるのよ。幼馴染のあたしが言うんだから間違いないわ」
「え~、堀田君がムッツリ? そうなの?」
ひまりちゃんは笑ってくれた。冗談として受け取ってくれたらしい。だが僕は、心臓が喉から飛び出しそうなほどの恐怖に支配されていた。
美優の発言は、ひまりちゃんにとっては幼馴染のからかいにしか聞こえない。しかし僕と美優の間では、紛れもない事実の暴露だ。それも、ズボンの中に金属の貞操帯を装着し、五日間射精を禁じられて我慢汁を垂れ流しているという、途方もない秘密のほんの表層を、ひまりちゃんの目の前でちらつかせたのだ。
「あはは……美優は昔からこうなんだよ、僕のことからかってくるから……」
「そうなんだ。でも、幼馴染って仲良しだからこそだよね。ちょっと羨ましいな」
ひまりちゃんがそう言って微笑んだ時、美優の表情がほんの一瞬だけ凍りついたのを、僕は見逃さなかった。
羨ましい。ひまりちゃんのその言葉は、美優にとって最も聞きたくない種類のものだったはずだ。美優と僕の「特別な関係」を、外からは微笑ましい幼馴染としか見ることができないひまりちゃん。その純真な羨望が、美優の独占欲をどれほど逆撫でしているか。
美優が本当の暴露をしてしまうんじゃないかと、僕は不安を込めた視線を彼女に送ってしまった。
「……ほら由紀人、ひまりちゃんのお弁当、ありがたくいただきなさいよ」
美優は平静を装って言ったが、その声の温度は不自然なほど低かった。
僕はひまりちゃんのお弁当を一緒に食べた。卵焼きとウインナーとおにぎりという、シンプルだけど温かい味がした。美優は自分の席に戻り、スマホをいじりながら時折こちらに鋭い視線を向けていた。
放課後、美優は僕の方を見もせずに教室を出ていった。
いつもなら「由紀人、行くわよ」と連行されるはずなのに、何も言わずに一人で帰っていった。
その背中を見送りながら、僕の心の内は嫌な予感でいっぱいだった。