※この作品はR-18です。

僕のファーストキスを奪った幼馴染が、超ドSだった件   作:微熱@

25 / 46
深夜の散歩・ただし犬として・2

 二周目に入った時、公園の東側を通りかかったところで、僕の下腹部に切迫した圧迫感が押し寄せてきた。夜風に体を冷やされたせいか、急速に尿意がせり上がってくる。

 

「み、美優様……っ」

「何? 犬語で」

 

 無茶を言う。ワンだけでは通じようもないので、鳴きながらぶらぶら情けなく揺れるチンポを見つめた。

 

「わ、ワン……ワンワン……っ」

「ひょっとして、トイレ?」

 

 美優が察してくれたので、僕は何度も強く頷いた。もう限界だった。

 

「ふーん。じゃあ、あの木の根元でしなさい」

「え……」

「犬はトイレに行かないでしょ? 電柱とか木の根元にするものよ。ほら、右足上げて」

 

 公園の端に植えられた木──欅だろうか。その根元に連れていかれ、僕はリードに繋がれたまま立ち止まった。

 

「さっ早く足、上げなさい。犬らしく」

「そ、そんな……」

「できないなら、あたしこのまま帰るわよ?」

 

 えっ!? 僕を裸まま、置き去りにするってこと?

 限界だった。膀胱がもう何秒も耐えられない。

 僕は四つん這いの姿勢から、震える右足を持ち上げた。犬がマーキングをするように、片足を上げた不格好なポーズ。全裸で、公園の木の根元で、飼い主に見守られながら。

 

「いい子ね。ほら、出していいわよ。ちゃんとマーキングして、ここがあんたの縄張りだって示しなさい」

 

 恥辱で顔が燃えそうだった。だが膀胱のリミットには逆らえず、僕は唇を噛みながら放尿した。

 シャーッ、という音が、静まり返った深夜の公園に驚くほど明瞭に響き渡った。温かい液体が欅の幹を伝い、根元の土を湿らせていく。尿の湯気がほのかに立ち登り、夜の空気に溶けていった。

 

「あはっ、すごい。本当に犬みたいに足上げておしっこしてる」

 

 美優が堪えきれないように笑い声を上げた。その笑い声が、僕の耳にこびりつく。

 

「ほら、ちゃんと最後まで出し切りなさい。見ててあげるから」

 

 長い放尿が終わり、最後の数滴がぽたぽたと地面に落ちた。おしっこ後の生理現象で僕の体は、ブルブルと身震いする。それがまた本当の犬みたいだった。

 

「よくできました。いい子ね、由紀人」

 

 美優は僕の頭をぽんぽんと叩き、それからスマホを取り出した。

 

「さて、お散歩の記念写真、撮りましょうか」

「し、写真……!?」

「犬は喋らない。ワンって鳴いて、お座りの姿勢」

 

 僕は反射的にお座りの姿勢を取った。地べたに尻をつけ、両手を前について、犬が座るような格好。全裸の体に首輪とリードだけ。興奮で勃起しかけたペニスが月明かりに照らされてしまい、手で隠そうとするが、美優がそれを許さなかった。

 

「手はそのまま前について。おチンポ隠さないの。ペットの全身写真なんだから」

 

 カシャッ。

 スマホのフラッシュが、暗い公園を一瞬だけ白く染めた。僕の全裸姿が、デジタルデータとして美優のスマホに記録された。

 

「もう一枚。今度は、お手のポーズで。ちゃんとカメラ目線ね」

 

 カシャッ。

 

「次は伏せのポーズ」

 

 カシャッ。

 

「最後。舌を出してハッハッハって息しなさい。犬って暑い時そうするでしょ?」

 

 僕は屈辱に打ち震えながら、舌を出して犬のように「はっ、はっ、はっ」と荒い呼吸をした。

 

 カシャッ。

 

「ふふっ、すっごく可愛い。あたしのペット、世界一可愛いわ」

 

 美優はスマホの画面をスクロールしながら、撮影した写真を確認していた。暗がりの中、モニターの光に照らされた美優の顔は、実験の成果を確認する研究者のように冷静で、それでいてどこか恍惚としていた。

 

「ねえ由紀人。この写真の中の由紀人、本当に犬みたい。首輪もリードもすごく似合ってる」

「み、美優様、その写真……消して……」

「バカね、消すわけないでしょ。大事に保存するわ。それにね──」

 

 美優は僕の首輪をグイッと引き寄せ、スマホの画面を僕の目の前に突きつけた。画面には、全裸に首輪とリードを着けた僕の写真が表示されている。砂利の上で四つん這いになり、舌を出して喘いでいる、救いようのない姿。

 

「これ、いつでもひまりに送れるわよ?」

 

 心臓が凍りついた。

 

「ひまりのLINE、あたしも知ってるんだから。ポチッってワンタップで、ひまりのスマホにこの写真が届く。『ひまり、由紀人の本当の姿、見てあげて』ってメッセージを添えてね」

 

 血の気が引いた。膝から力が抜け、砂利の上にへたり込む。

 もし、この写真をひまりちゃんに送られたら。全裸に首輪をつけて犬のポーズを取る僕の姿を、あの純真なひまりちゃんが見たら。

 彼女の中にある「堀田君」のイメージが、一瞬で粉々に砕け散る。修学旅行の優しい思い出も、手紙に綴ってくれた真っ直ぐな好意も、全てが──

 

「い、嫌だ……! それだけは……ひまりちゃんにだけには……!」

「じゃあ、あたしの言うことを聞きなさい。今までも、これからも、ずっと。ひまりの前では普通にしてていい。でも、あんたの本当の姿はこれなの。あたしの犬なの。それを忘れないで」

 

 美優は写真にロック機能をかけ、スマホをポケットにしまった。

 

「安心して。すぐには送らないわ。これはあくまで保険よ。あんたがあたしを裏切らない限り、ひまりがこの写真を見ることは永遠にない」

 

 保険。録音データに続く、第二の鎖。しかも今度は視覚的な証拠だ。文字や音声よりも遥かに衝撃的で、言い訳の余地がない、決定的な「変態の証拠」。

 僕はもう何も言い返せなかった。ただ、無慈悲な地面の上で裸のまま膝を抱え、震えることしかできなかった。

 

「ほら、そろそろ帰りましょう。風邪引いちゃうわよ」

 

 美優はバッグから僕の衣服を取り出し、一枚ずつ手渡してくれた。パジャマに袖を通した瞬間、布地の温もりが冷え切った肌を包み込み、涙が出そうになった。

 貞操帯も再装着された。カチャリという金属音を、僕はもう何の抵抗もなく受け入れた。

 

「今日のお散歩、楽しかったわ。由紀人、本当にいい犬になったね」

 

 美優は僕の頭を最後にもう一度撫でし、こちらに背を向けて歩き出した。僕は置いていかれないよう、慌てて追いかける。

 深夜の住宅街を並んで歩く帰り道。月明かりに照らされた美優の横顔は、奇妙なほど穏やかだった。まるで本当にペットとの散歩を楽しんだ飼い主のように、満ち足りた表情をしていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。