僕のファーストキスを奪った幼馴染が、超ドSだった件 作:微熱@
貞操帯のない股間で水中を自由に泳ぐ感覚は、久しぶりに心地よかった。水圧が全身を均等に包み込み、普段は金属に閉じ込められた部分までもが解放される。ただし、それは同時に「金属による制御がない」ことを意味していた。
冷たい水のおかげで今のところ勃起は抑えられているが、プールサイドに上がって身体が温まれば、いつ暴発するか分からない。
一時間ほどの水遊びの後、休憩タイムになった。プールサイドのベンチに六人で座り、売店で買ったかき氷やジュースを手に、だらだらと喋る。山本がブルーハワイのかき氷を一気食いして頭痛に転がり回り、斉藤がそれに突っ込みを入れている。
「ねえねえ、ちょっと聞いていい?」
伊藤が不意にアイスバーを咥えたまま、僕のの顔を正面から覗き込んできた。茶髪のセミロングが肩から垂れ、ネイルの施された指先がアイスの棒をくるくると回している。その目は、完全に「獲物を見つけた猟犬」のそれだった。
「堀田くんってさ、ぶっちゃけどっちと付き合ってんの?」
世界が、凍った。
夏の太陽が照りつけるプールサイドの気温は三十度をゆうに超えているはずなのに、僕の周囲だけ急速に氷点下まで冷え込んだように感じた。
「え……ど、どっちって……」
「だから、坂本さんとひまりちゃん。どっち?」
伊藤は悪びれもせず、しかし本気で興味津々な目でこちらを見ている。横では山本が頭痛から復活して「いいぞ伊藤! 聞いてくれ!」と野次を飛ばし、斉藤は「おいマジか……」と眼鏡の奥で目を丸くしている。
「つ、付き合ってなんか……どっちとも、そんな関係じゃ──」
「えー? でもさぁ、最近ずーっと坂本さんとべったりだし、修学旅行の後からひまりちゃんともすっごい距離近いし。クラスでもけっこう話題になってるんだよ? 堀田由紀人ハーレム疑惑って」
僕は助けを求めるようにひまりちゃんと美優を見た。
ひまりちゃんは耳まで真っ赤にしてかき氷のカップで顔を隠している。
美優は──
「ただの幼馴染よ。小さい頃からの」
涼しい顔で一蹴した。その声は、冷静そのものだった。
「由紀人はあたしの……手のかかる弟みたいなものだから。昔から面倒見てあげてるの」
「弟かぁ。でも坂本さん、さっき日焼け止め塗る時、すっごい丁寧に塗ってたよね。背中の端の端まで。あれ弟にやる感じじゃなくない?」
伊藤の観察眼は鋭かった。日焼け止めのマーキングまで見抜いている。
「日焼けしたら可哀想だから。色白だし、この子」
「ふーん。じゃあひまりちゃんは? ひまりちゃん的には堀田くんのこと、どう思ってるの?」
伊藤の矛先が、今度はひまりちゃんに向いた。ひまりちゃんはかき氷のカップから顔を上げ、頬を桃色に染めたまま、小さな声で答えた。
「わ、私は……堀田君のこと、大切な……お友達だと、思ってます……」
「お友達ねぇ。ひまりちゃんの堀田くんを見つめる瞳、とても友達って感じじゃないんだけどな~」
「はいはい、そこまでにしときなさい。あんた、人の恋愛事情に首突っ込みすぎよ」
美優がぱちんと、軽く伊藤の頭を叩いて会話を打ち切った。その声はあくまで穏やかだったが、「これ以上続けたらどうなるか分かるわよね」という警告が、微笑みの下に潜んでいた。
「えー、つまんなーい。まあいっか。続きは二学期にでも聞くわ」
伊藤はけらけらと笑いながら、アイスバーの最後の一欠片を齧った。しかしその目は、今日の収穫にしっかりと満足している目だった。坂本美優が「弟みたいなもの」と言ったこと。橘ひまりが真っ赤になったこと。僕がが完全に狼狽えたこと。全ては伊藤麻美の情報ネットワークに記録され、適切なタイミングでクラス中に拡散されるのだろう。
伊藤の投じた爆弾は、不発に終わったように見えた。だが、着火された導火線は確実にどこかで煙を上げ始めていた。
休憩が終わり、午後からまた泳ぎ始めた。
山本と斉藤は25メートルプールでタイムアタック対決を始め、伊藤はプールサイドの寝椅子で日焼けに専念するらしい。
結果として、流れるプールには僕と美優とひまりちゃんの三人だけ。
ひまりちゃんが浮き輪に掴まりながら先を行き、僕と美優が少し遅れて並んで流されている。カーブに差し掛かったところで、他の利用客たちとの距離が少し開いた。
その瞬間だった。
「由紀人」
美優が耳元で囁いた。水の音に紛れて、他の誰にも聞こえない声量。
「さっきの伊藤の質問。由紀人、顔に出すぎ。もっと平然としなさい」
「む、無理だよ……あんなこと急に聞かれたら……」
「無理じゃないわ。訓練よ」
水面下で、何かが僕の太ももに触れた。
美優の足だった。
流れるプールの水流に紛れて、美優が水中で片足を伸ばし、つま先を僕の太ももの内側に当てていた。
「な、美優さ──」
「しっ。声出さないの。ひまりに聞こえるわよ」
美優のつま先が、太ももの内側をゆっくりと上に這い上がっていく。プールの水温で冷えた足の指が、サーフパンツの裾の下に潜り込んだ。布地の下、素肌に直接触れる冷たい足指の感触に、全身が粟立った。
(水の中で……美優様の足が……っ!)
つま先が、サーフパンツの中をさらに上へと進む。太ももの付け根。鼠径部。そして──貞操帯のないペニスに、美優の足の親指の先端が触れた。
「っ……!!」
必死に声を殺した。歯を食いしばり、呼吸を止めた。水面上では何事もないように流れに身を任せる二人。だがそこの水面下では、美優の足の指が僕のペニスを器用に挟んで弄んでいた。
冷たい水温の中で、足指だけがほのかに温かい。その温度差が異常な快感を生み出す。親指と人差し指の間にペニスの竿を挟み、ゆっくりと上下にスライドさせる。まるでプールの水流に合わせるように、自然な動きで。
「ほら、硬くなってきた。あたしの足で触られたら簡単にこうなるのね」
美優の口元が、水面の反射に照らされて嗜虐的に歪んだ。
「あたしの足であんたが反応するのは、奴隷として当然。当然というか義務。でもひまりの体でこうなったら──覚えてるわよね」
「は、はい……ごめんなさ──んっ……!」
「謝るなら、あの子で硬くならないでよね。あたしが触ってるのに萎えたら、それはそれで許さないけど」
矛盾した命令。美優に触られて勃起しなければ怒られ、ひまりちゃんの姿で勃起しても怒られる。どちらに転んでも罰が待っている。
美優の足指が、亀頭の先端をくるりと撫でた。先走りの液が水中に溶けていくのが分かる。
「いい? 由紀人。あんたの体はあたしだけに反応していいの。他の女のことは考えるな。あたしの足の感触だけを覚えなさい」
その時──先を行っていたひまりちゃんが、振り返った。
「堀田君、坂本さん、遅いよー! 早くおいでー!」
美優の足が、すっと引いた。まるで最初から何もなかったかのように。
「はーい、今行くわー!」
美優は明るい声で応じ、何食わぬ顔で泳ぎ始めた。
僕は呼吸を整えながら、水中で半勃起したペニスが収まるのを待った。冷たい水が救いだった。美優の足の残像が下腹部に焼き付いていたが、ひまりちゃんの視線があることで理性がかろうじて勝った。
(美優様は……僕を自分の前でだけ反応する体に仕上げようとしてる)
奈緒の言葉が蘇った。「内側から依存を植え付ける」。美優はそれを、自分なりのやり方で実行している。匂いだけでなく、足の感触でも。プールという公共の場で、水面下の秘密として。