僕のファーストキスを奪った幼馴染が、超ドSだった件 作:微熱@
公園でのあの日、僕が「一生の奴隷」になる誓いを強要されてから、たった数日が過ぎただけだというのに、僕の日常は以前とは決定的に違う色に塗り変えられていた。
それは絶望的なまでに甘美で、破滅的なまでに理不尽な色の日常。
「おはよう、由紀人」
教室に入り、自分の席に着くや否や、隣の席から悪魔──いや、僕の絶対的な主人である坂本美優の声が降ってくる。
「お、おはよう……美優様……」
僕は周囲のクラスメイトに聞こえないよう、限界まで声を顰めてそう返した。これが、僕に課せられた第一の絶対遵守ルールだった。「二人きりの時、あるいは周囲から確実に隠蔽できる状況でのみ、彼女を様付けで呼ぶこと」。もし違反すれば、またあの僕の精神と肉体をギリギリまで追い詰める「お仕置き」が待っている。
「ふふっ、偉いね。ちゃんとご挨拶できたご褒美に、今日の予定を教えてあげる」
美優は、誰もが見惚れるような日本人離れしたその美貌に、慈愛に満ちた──と錯覚させるような──笑みを浮かべて僕の耳元に顔を寄せた。シャンプーの甘い香りと、彼女固有の微かな体臭が混ざり合った匂いが鼻腔をくすぐり、それだけで僕は条件反射のように心臓の鼓動を早めてしまう。
「今日の昼休み、裏庭にある旧校舎の裏に来て。お弁当、あたしが作ってきてあげたから」
「えっ、お弁当……?」
予想外の言葉に、僕は思わず目を丸くした。あの美優が、僕のためにお弁当を作ってくれた? そんな家庭的な一面があったなんて。いや、でも相手はあのドSの美優だ。素直に喜んでいいのだろうか?
「なぁに? あたしの手作りじゃ不満?」
「う、ううん! 嬉しいよ、すごく」
「ならいいの。チャイムが鳴ったらすぐに、遅れないようにね」
それだけ言い残すと、美優は満足げに自分の席で教科書を開いた。
僕はと言えば、午前中の授業中、その「お弁当」のことで頭がいっぱいで、黒板の文字など一つも頭に入ってこなかった。お弁当って、普通は彼女が彼氏に作ってくるものだ。僕たちは別に恋人同士になったわけじゃない。「主人と奴隷」だ。それなのに、なんで?
期待と不安が入り混じったまま、待ちに待った昼休みのチャイムが鳴り響いた。
僕は不自然にならないよう、少し時間差を置いてから教室を抜け出し、指定された場所へと向かった。
旧校舎の裏は、今は使われていない焼却炉があるだけで、普段は誰も寄り付かない死角だった。夏草が伸び放題になっている狭い空間に、美優はすでに待っていた。
「遅い」
壁に寄りかかっていた美優が、冷たい声で言い放つ。
「ご、ごめん。誰も見てないか確認してから来たから……」
「言い訳は聞きたくない。奴隷は主人の待つ場所へ、誰よりも早く駆けつけるべきでしょ?」
「はい……申し訳ありません、美優様」
僕は慌てて頭を下げた。美優は一瞬だけ不満そうな顔をした後、足元に置いてあった可愛らしいピンク色のランチボックスを持ち上げた。
「まぁいいわ。ほら、お昼の時間、短くなっちゃうから早く食べて」
美優がランチボックスの蓋を開けると、そこには卵焼き、タコさんウインナー、唐揚げ、そして可愛らしくデコレーションされたおにぎりが綺麗に敷き詰められていた。想像以上に本格的な、女の子らしいお弁当だった。
「わぁ、すごい……これ、本当に美優が作ったの?」
思わず様付けを忘れて感嘆の声を漏らすと、美優は鋭い視線で僕を射抜いた。
「……美優様、だよね?」
「あっ、ごめんなさい、美優様」
「いいよ。特別に、今日はあたしが直々に食べさせてあげる」
美優はそう言うと、持参していた小さなレジャーシートを地面に敷き、そこに僕を座らせた。自身はそのシートの端に腰を下ろし、箸で唐揚げをひとつ摘み上げる。
「あーん、して」
「えっ……自分で食べられるよ?」
「あたしが食べさせるって言ってるの。それとも由紀人は、あたしの手料理が拒否できる身分だっていうの?」
美優の目が、危険な光を帯びる。僕は逆らうことを諦め、大人しく口を開けた。
「あっ……ん」
美優が箸で唐揚げを僕の口へと運ぶ。衣がサクッとしていて、中からはジューシーな肉汁が溢れ出した。普通に、いや、ものすごく美味しい。
「美味しい……です、美優様」
「でしょ? 料理には自信あるんだから」
美優は得意げに微笑むと、今度は卵焼きを僕の口に運んだ。甘めの味付けが絶妙で、思わず頬が緩む。
「ふふっ、本当に犬みたいね。餌を与えられて喜ぶ哀れな子犬」
美味しく味わっていた僕の頭に、美優の冷や水のような言葉が浴びせられた。
「い、犬って……」
「そうよ。あたしの言うことを聞いて、あたしが決めた時間に、あたしの決めた方法でしか食事もできないんだから」
美優はそう言いながら、今度はウインナーを指摘み、わざと僕の顔の高さまで持ち上げ、じらした。
「ほら、食べたいなら犬みたいにお口で受け取ってみなさい」
「えっ……」
「嫌なの? なら、このお弁当は全部ひっくり返して捨てるわよ。せっかく由紀人のために、朝早起きして作ったのにね」
美優が悲しそうな、それでいて僕の罪悪感を煽るような声色で見つめてくる。卑怯だ。そんな顔をされたら、断れるはずがないじゃないか。
「わ、わかった……やります……美優様」
僕は手をついて四つん這いになり、美優の膝元まで顔を近づけた。彼女の指先にあるウインナーに向かって、そっと口を伸ばす。
「ふふっ、ほんとにやるんだ。バカみたい」
美優はケタケタと笑いながら、ウインナーをひらりとかわした。
「あ……」
「ほーら、こっちこっち」
美優はウインナーを右へ左へと動かし、僕を翻弄する。僕は本物の犬のように、四つん這いのまま顔を動かしてそれに食らいつこうとする。その滑稽な姿を、美優は心の底から楽しそうに眺めていた。
「ん、んぐっ……」
何度か空振りを繰り返した後、ようやく僕はウインナーを口に咥えることに成功した。しかし、そのまま噛み切ろうとした瞬間、美優のもう片方の手が僕の頭を強く押さえつけた。
「だめ。まだ飲み込んじゃだめ。そのまま、あたしの指ごとしゃぶって」
「えっ……」
逆らえるわけもなく、僕は言われるままに咥えたウインナーごと、美優の冷たくて細い指を口内に含ませられた。
「ほら、舌を使って。あたしの指、美味しく舐めなさい」
美優の命令に従って、僕は口の中で彼女の指先を舌で舐める。ウインナーの塩気と、美優の仄かな甘さが混ざり合い、脳がひどく混乱した。学校でこんなこと、誰かに見られたら完全に頭の狂った変態だと思われる。
「うぅん、うっ……」
恥ずかしさと、それにお構いなしに上昇していく背徳感のせいで、僕のズボンの中はすでに限界まで膨張していた。最近はもう、美優の顔を見るだけで、彼女の声を聞くだけで、僕の身体は自動的に反応するようになってしまっている。
「ふふっ、やっぱり由紀人は変態ね。こんなところで犬の真似させられて、あたしの指しゃぶってるだけで、おチンポ、こんなにガチガチになってる」
美優の空いた方の手が、僕の股間をズボンの上から無遠慮に撫で上げた。
「あっ、ひゃあっ! だ、だめです、美優様……ここ、外だし……」
「外だからいいんじゃない? 誰か来るかもしれないスリル。由紀人はそういうのが好きなんでしょ? ほら、もっとあたしの指をしゃぶりなさい」
美優の指が、僕の口内で暴れ回る。無遠慮に喉の奥まで突き込まれそうになり、僕は涙目で耐えた。
ズチュ、ズチュチュという卑猥な水音が、静かな旧校舎裏に響く。
「っふ、ああ……」
ズボンの上から股間を弄られる快感と、口の中での凌辱。上下同時に責め立てられ、僕の思考は徐々に真っ白になっていく。
「あぁっ、美優様、指……奥まで……」
「ふふっ、いい子。じゃあ、そろそろご褒美をあげようかな」
美優は僕の口から指を引き抜くと、自分の指に付着した僕の唾液を、自らの舌でゆっくりと舐め取った。その艶かしい動作に、僕は息を呑んだ。
「あのさ、由紀人……昨日の夜、何してたか教えてよ」
「えっ……?」
突拍子もない質問に、パニック状態の頭が働かない。
「昨日の夜、あたしのこと考えながら自分で慰めてなかった?」
「なっ……! ち、違います! 我慢しろって、言われてたから……」
「嘘つき」
美優の声が、急にマイナス十度まで冷え込んだ。
「えっ」
「あたし、今日由紀人が登校してきた時からわかってたのよ。由紀人の匂い、少し違ってたし。抜いてきたばかりの、あの生臭い匂いが微かにした」
「そ、そんなはず……匂いなんて……」
激しく動揺する。確かに昨夜、お風呂場での美優の裸や、これまでの異常なプレイを思い出し、限界を迎えて浴室でこっそり処理してしまった。匂いなんて念入りに洗って消したはずなのに、どうして。
「あたしの鼻は誤魔化せないわよ。それに、今の由紀人のおチンポの張り具合、いつもより少し柔らかい。昨日抜いた証拠よ」
美優は僕の股間を強く握りしめた。
「あぁっ! い、痛いっ! 美優様っ!」
「約束を破る悪い犬には、特別なお仕置きが必要ね」
美優は酷薄な笑みを浮かべ、僕のズボンのベルトに手をかけた。
「ま、待って! 服、脱がしたら……誰か来たら……」
「だから脱がすんじゃない。誰かが来たら、由紀人の恥ずかしい姿が丸見えになる。それがお仕置き。変態だって噂になっちゃうかもね」
美優の手馴れた動作で、チャックが一気に引き下ろされる。真昼の陽光の下に、僕の最も見られたくない部分が、醜く勃起した状態で曝け出されてしまった。
「ひっ……!」
「うわぁ、見てみなさいよ? 青空の下で、こんなにはしたなくそそり立って。恥ずかしくないの?」
美優は僕の亀頭を指先でツンツンと弾く。
「ああっ、ダメ、恥ずかしい……隠して、お願い……!」
僕は両手で必死に隠そうとしたが、美優はそれをピシャリと叩いて制止した。
「手は頭の後ろで組んで。動いたら、このまま教室に引きずっていくから」
「……っ!」
そんなことをされたら、僕は完全に社会的に殺されてしまう。震える手で頭の後ろに指を絡め、為す術もなく自分の裸の股間を風に晒すしかなかった。
「ふふっ、やっぱり変態。恥ずかしいくせに、もっと大きくなってる」
美優は僕の竿を手のひらで包み込み、ゆっくりと上下に扱き始めた。
「あぁっ、あぁああっ! やめっ、美優様っ、感じちゃう、ああぁっ!」
「いいのよ、感じても。でも、今日は絶対にいかせない。寸前で止めて、その苦しんでる顔をじっくり観察してあげる」
美優の言葉通り、彼女の手の動きは僕が射精感の頂点に達しそうになる絶妙なタイミングでピタッと止まり、僕を焦熱の地獄へと突き落とした。
「あ、ああッ……! 待って、もう、限界……! 出して、美優様、お願い……出させてくださいッ!」
「だーめ。約束破った罰だもん。ほら、もっと啼いて。あたしに見苦しい姿を晒して」
僕は己の尊厳をかなぐり捨て、みっともない喘ぎ声で哀願を繰り返した。風が旧校舎裏を吹き抜けるたび、誰かが来るかもしれない恐怖と、限界まで寸止めされる狂気的な快感がないまぜになり、僕の脳は完全に溶け落ちそうだった。
そんな無間地獄が、どれくらい続いただろうか。
「……由紀人、いるかー?」
突然、旧校舎の壁の向こうから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。斉藤だ。
「っ!?」
僕の全身からサァーッと血の気が引いた。美優も一瞬だけ動きを止め、僕の顔を覗き込む。
「あら、お友達が探しに来たみたいね」
「み、みゆっ……美優様、お願い、直して、ズボン……!」
声にならない悲鳴で懇願する。しかし、美優は唇の端を吊り上げ、最悪の行動に出た。
「由紀人なら、ここよー!」
美優が斉藤に向かって声を張り上げたのだ。
「なっ……!?」
「あ、坂本か? 由紀人、そっちにいるのかー?」
ザッ、ザッ、足音が着実に、こちらに近づいてくる。
もう駄目だ。終わった。僕の高校生活は、今ここで終了する。パンツまで下ろして、股間を丸出しにしたまま同級生の女子と一緒にいるのを発見されるのだ。
「美優様……っ、殺して、もう、いっそ……!」
「ふふっ、由紀人の絶望した顔、最高」
美優はそう囁くと、斉藤の姿が現れるほんの数秒前、信じられないほどの早業で僕のパンツとズボンを引き上げ、チャックを上げた。
「お、いたいた。こんなとこで何して……って、そんなとこで二人で弁当食ってんのかよ?」
角を曲がって現れた斉藤が、シートの上に座る美優と、その横で顔面蒼白になって震えている僕を見て目を丸くした。
「ええ。由紀人ったら、一緒にお弁当食べたいってしつこくて」
美優は一切の動揺を見せず、おしとやかな優等生の顔で微笑んでみせる。
「マジかよ堀田、おまえ抜け駆けすんなよ!」
「ち、違うんだ、これは……その……」
僕はまだ股間がジンジンと熱く、中途半端な姿勢のまま言葉を濁すことしかできなかった。
「じゃあ、あたしはもう食べ終わったから。由紀人、片付けお願いね」
美優は優雅に立ち上がると、斉藤に「それじゃあね」と軽く手を振り、僕にウィンクを残してその場を去っていった。
「あーあ、俺も坂本の手作り弁当食ってみてえなぁ。で、堀田。結局おまえら付き合ってんのか?」
ニヤニヤと下世話な笑いを浮かべる斉藤の横で、僕はまだ自分の股間が大きく膨らんで我慢汁が下着を汚している感覚に絶望しながら、
「……だから、幼馴染なだけだってば」
と虚ろに返すしかなかった。