※この作品はR-18です。

せともの。~クラスの銀髪の美少女に、僕が攻略される話~   作:霧里

3 / 12
後3秒

 

巨乳が好きなんだろうか?

 

毎日とは言わない。週に1回か2回。屋上の前の踊り場。瀬戸さんの秘密基地に僕は呼び出されていた。クラスの中では相変わらず。流石にもう教室でエロゲをやろうなんては思わないけど。その繋がりは今も緩く続いている。

 

僕が顔を出すなりスマホを奪い、女の子を取っ替え引っ替えだ。

突っつき回しては、胸を揺らして遊んでいる。いつかの自分をみているようで、ちょっと気恥ずかしい。その内に、気に入った女の子を見つけると、おもむろにエロシーンを再生し始めた。

 

「せめて、イヤホンしてくれない? 聞こえたら不味いって……」

「こんな所、誰も来ないでしょ?」

「気分の問題。僕が居た堪れなくなるから」

「はいはい」

 

渋々と瀬戸さんはイヤホンを耳に引っ掛けると、余った片方を僕の耳に押し込んできた。

 

「え、ちょっと」

「見ないの?」

「……えっと。じゃあ……みる、かな?」

 

距離が近い。ともすれば肩が触れ合ってしまいそう。

正直、画面なんてほとんど見ていなかった。視線の大半は、隣で笑う瀬戸さんで一杯だ。

 

耳に掛かった髪がハラリと解ける。苦いシトラスの香りが甘く漂った。

黒いチョーカーに締め付けられた首筋。白い肌と、項が際立つ。伸びてきた夕日が、鎖骨の影を浮かび上がらせた。光を透かす微かな産毛。白磁めいた丸みが陰影を帯びると、急に生々しく見えてしまう。

 

血が集まってくるのを止められない。少女の喘ぎ声が、熱を帯びてくれば尚更だ。

瀬戸さんとは似ても似つかない声なのに、すぐ隣で彼女が喘いでいるような気がして堪らなくなった。

 

視界の端が白く光る。

 

悲鳴にも似た嬌声を遮って「すけべ」ポツリと、瀬戸さんの声が割り込んできた。

返す言葉もない。慌てて視線をそらしても、瞼の裏には白い肌が焼き付いたまま。

胸元を押し下げる指先に誘われて、まんまと谷間を覗いてしまう。

 

「ゲームよりあたしの見たいんだ? こんなにおっぱい揺らしてたのに、見てもらえないなんて可哀想にねぇ……よしよーし♪」

 

悪戯に笑いながら、スマホの画面を突き回す。

情事の余韻はそこになく、繰り返されるセリフに、だんだん責められてるような気がしてきた。

 

「ねぇ、秋月。これって、課金とかしてんの?」

「まぁ、少しは……?」

「そっか」

 

歯切れ悪く頷いた瀬戸さんは、少し悩む素振りを見せた後。

 

「触ってみる?」

 

何を……言っている? 触るって、それは。

言ってる意味が分からなかった。違う。分かっていても、そんな訳無いと頭が理解を拒む。

 

「あ、それともパンツの方が見たいかな? どっちでもいいよ?」

「まって、まってっ。急に、なに? そういう からかい方は流石にっ。見ちゃった僕も悪かったけど」

「いや見るでしょ? 女子とエロゲーやってりゃ。まったく反応されないのも怖いわ」

 

それは、そうかもしれない。

だとしたら、僕は彼女に男扱いされてないのか。見られはしても、手は出されない。安全だと思われていることの裏返しは、決して信用じゃないはずだ。

 

「勘違いすんな? 秋月の趣味にただ乗りしてるのがモヤるだけ。帰りにバーガー奢れって言うなら、それでもいいけど?」

 

試されている。

 

でも何をだ?

 

手を出すのか、出さないのか。

正解が分からなかった。手を出せば友人としては終わるかもしれない。何もしないでも、それはそれで行き詰まるような気がする。今はただ、瀬戸さんの興味がエロゲに向いているだけ。気が変わってしまえばそれまでだ。彼女のことを何も知らないまま、僕には引き止めることも出来やしない。

 

「はい後3秒。沈黙は損だよ、あっきー♪」

 

理屈はいい。

 

正直、ちょっと苛ついた。

 

「さーん、にー……♪」調子のいい声に、眉根が寄ってしまう。

緩んだ胸元はそのままに、ヒラリとスカートの端が捲られる。白い太ももが眩しい。ゴクリと、飲み込んだ生唾が乾いた喉に張り付いた。勘違いしてるのは瀬戸さんの方だ。そんな風に煽られたら僕だって……。

 

「うはっ。こっちきたっ♪」

 

正しいよ、瀬戸さんは。僕にはコレが限界だ。

柔らかさに飲まれる。指が固まったまま動かない。手の中に感触を、どう処理したらいいか分からなかった。きっと、ゲームの中の彼なら違うんだろう。

このまま押し倒すことだってきっと。現に、そういうシチュエーションもあったはずだ。

 

「感想は?」

「うっ……あ。やわら、かい……です」

「あはははっ♪ 素直かよ。もうちょっとなんかさぁ……いひひひっ♪」

 

笑われても仕方なかった。怒られなかっただけ、良かったかもしれない。

気が緩んだのか、少しずつ指が動くようになっていた。自分でも気づかないくらい、ほんのちょっと。

 

手触りの良いブラウスの感触に指が滑った。胸を包むブラの固さも分かるようになる。手のひらを打つ鼓動が近い。じわっと、肌が汗ばんだ。空気が湿り気を帯びていくにつれ、段々と大胆に。

 

「……いつまで触ってんの?」

 

そんなの、いつまでもだ。押し倒すような覚悟はなくても、手放すにはあんまり惜しい。白いブラウスにシワが寄る。衣擦れの音が、指の隙間を通り抜けていく。重いんだ。ゲームと一番違うのはそこだった。

 

持ち上げて、落とす。

 

ブラの中で窮屈そうに弾む。

 

薄い布地をかき集めるように、刻んだシワの深みにハマる。

「ちょっと……」止める声も聞こえない。引っ張られたボタンが とうとう弾けて、薄青いブラの色が顔をだした。

 

「ぇ、ぁ……」

 

氷のように冷たい青。のぼせていた頭がようやく冷える。

変にからかってきた瀬戸さんが悪い。それは今も変わらない。少し脅かしても、やり返さないと気が済まなかったのはそう。

 

だとしても……

 

流石に、これは……

 

端から見たら、僕が彼女を襲ってるようにしか見えないんじゃないか?

 

「ごめんっ……」

 

慌てて離れようとして、逆に手首を掴まれた。

瀬戸さんの目が細くなる。それが、狙いを定めた狼に見えて、肌がゾワリと波打った。マウンティング。その時点で勝敗はついていたんだろう。

寄りかかってきた彼女を押し返そうとして、胸の膨らみに指が沈み込む。「んっ……」微かに喉が鳴るのを聞いて、心臓が飛び出しそうになった。

 

「じゃあ、やり返してもいいんだよね?」

 

生温かい吐息が、首筋に吹きかかる。

情けない。悲鳴を飲み込むのがやっと。驚いた拍子に手が掛かり、耳からイヤホンが弾け飛んだ。探るようにズボンの上を弄られ、指先が先端を引っ掛けた。

 

「お、なんかヌルヌルしてる? え、もう出たの?」

「いや、ちが……それ、はっ」

「ああ、我慢汁ってやつか……」

 

興味深そうに頷かれてしまった。

瀬戸さんの影に隠れながら、固まったまま動けない。食い入るように谷間を見つめて、下着の色に頭を冷やされる。

 

痛いほど、勃起してた。

 

撫でられたそばから甘く痺れて、気が遠くなっていく。滲み出した先走りが、ズボンに染み渡るのも時間の問題だ。いい子、いい子、冷やかすように。円を描いた指先に、つい甘えたくなる。

 

「いいよ? だしちゃえ♪」

 

手招く声に総毛立った。羞恥と興奮が、引き結んだ唇から溢れ出る。

辛い、出したい。でも、こんな所で果ててしまうのは……。僕にだって意地はある。

なけなしのプライドを掻き集めながら、頭の中では財布の中身を心配させられた。

 

「その代わり。帰りにバーガー奢ってね?」

「ちょっ、そんな……急に言われてもっ」

「なら、我慢すればいいじゃん。ゆ、う、しゃ、さ、ま♪」

 

敵わない。瀬戸さんにとっての勇者さまは、世界を救うヒーローなんかじゃなくて、早漏の代名詞だ。僕だって、もうそんな長くは持たないだろう。

 

「んっ……はぁ。あ、あたしアレが良いな。新作のさぁ……ふぅっ」

 

瀬戸さんの声が微かに揺れる。喋っていなければ、きっと分からなかった。

手のひらを打つ鼓動も大きくなって、薄っすらと頬に紅が差す。このまま続けていればあるいは、彼女のほうが先に果ててくれるんじゃないか? 下腹に力を込めなおして、胸への愛撫を再開する。

 

お互い、完全に止めどきを見失っていた。

 

吐息は熱を上げていく。口数はだんだんと少なくなった。もう、どっちが降参するまで終われない。薄く開いた瀬戸さんの唇から、甘いオレンジジュースの香りがする。引き寄せられるように顔を寄せて、僕たちは初めての……。そんな微かな希望を吹き消したのは、ただの時間切れ。

 

下校を告げるチャイムの音だった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。