イスタール年代記-快楽の修練者と藍色に染まる少女たち- 作:錫鹿とらちよ
人生で初めて経験する、あまりに甘美な衝撃。
ポーターは細い身体を激しく痙攣させ、訳もわからない表情で虚空を見つめていた。
焦点の合わない瞳からは涙が零れ、開いた口からは熱い呼気が漏れる。
「大丈夫かい? 今のが『絶頂』という感覚だよ」
カナンは陶酔に浸るポーターの頭をやさしく撫でながら事も無げに告げた。
(……絶頂?)
ポーターにはまだ、その言葉の意味を正しく理解する余裕などなかった。
カナンが両方の乳首を唇と指で同時に蹂躙し、逃げ場を塞ぐように優しく引き伸ばした瞬間。
同時に、彼の屈強な太腿が彼女の股間を強く圧迫し――次の刹那、甘く強烈な火花が下腹部から脳天へ向け、断続的に突き抜けていったのだ。
「そう、絶頂。女性の快感が高まりきった時、激しく達し爆ぜる感覚のことだ」
甘すぎる。 甘くて強烈すぎる。
今まで生きてきた中で最も甘美で、最も暴力的な刺激が今もなお全身の神経を震わせている。
「ポーター。次からはその予感を感じ取ったら、隠さずに『イク』と言うんだ」
「イク……は、はい……っ」
「次からは」
また、この後にあの衝撃を与えてくれるというのだろうか。
恐ろしいはずなのにポーターの心にはこの愛情の修練がまだ終わらないことへの抗いがたい期待が膨らんでいく。
「さて……次はどうして欲しい?」
カナンが顔を至近距離まで近づけ熱い吐息を吹きかけながら尋ねる。
「ど、どうしてほしいと言われましても……っ」
圧倒的に知識が足りない。
この先、どのような刺激を請えばいいのか、行為そのものの流儀を知らない。
とはいえ先ほどのように乳首を弄くられるのはあまりに刺激が強すぎて思考が焼き切れてしまいそうだ。となると、せめて……。
「……わかった。望み通りに」
そう囁くと、カナンは再びポーターの唇を奪った。
「っ……」
また、思考を読まれたのだろうか。口づけをしたいと願った刹那、それを口にする間もなく唇を押し付けられ、またしても器用に舌を絡め取られて吸い上げられる。
「んっ……んん……んぅっ……んふーっ…」
粘膜を粘膜でじりじりと、ねちっこくなぞられるのが堪らない。
舌を強く吸われるとそれだけで頭の中に白い靄がかかり、全身の血が逆流して顔が熱く焼けていくのを感じる。
このまま、また両の乳首を責め立てられるのだろうか。
そうしてほしいという不埒な思考も、また読まれてしまうのか――。
しかし、カナンの行動はポーターの予想と期待を裏切り、今度はさらに下腹部の方向へと伸びていった。
「!!っつ……!? あ、あぁ……っ」
熱く潤んだ股間の中心にカナンのしなやかな指先が伸びていく。
先ほど「イク」という感覚を味わった際、衝撃の起点となった場所。
ガトン収容所ではただの「穴」として扱われ痛みと絶望しか生まなかったその場所。
恐怖だった。
男性がそこに触れる時、それは苦しみ以外の何物でもなかったことを身体の芯が記憶している。
本能的に身体を強張らせ、脚を閉じようとするポーター。
だがカナンは彼女の舌を幾分か強く吸い上げ、その意識を蹂躙される口内へと無理やり引き戻した。
彼女の意識が呆け、隙が生じた一瞬を見逃さずカナンの手はスルスルと熱を帯びた股間の間へと到達する。
「ぷはっ……カナっ……んんっ!……っ」
唇を解放し必死に制止を訴えようとするが、その最中にまた唇を塞がれ今度は口内の一番好む部分を執拗に舐めつけられる。
もはや彼女自身の知らぬ口内の弱点すら完全に読まれているのだ。
カナンの手が下着の中に滑り込み、ポーターの最も秘めた場所——その最上部に位置する快感の芽に触れた。
「んんんんっ!!??」
瞬間、これまでとは比較にならない強く甘い刺激が脳を貫いた。
女性の最も敏感な箇所、クリトリスを指先で正確に捕らえられ、まずは包皮の上からねっとりと優しく揉み込まれる。
「んはっ……か、カナン様!? 何を……っ、あぁっ!」
今度こそ唇を離し、震える声でカナンに呼びかける。
しかし、そこから先は何を言っていいか分からなかった。
何をされているのかさえ分からない。
ただ、自分でも触れたことのない秘部の中心が、嘘みたいに強烈な熱と刺激を生み出し続けている。
カナンの指で執拗に揉まれ、次第にポーターのクリトリスは充血して肥大していく。
厚く護られていた包皮の中で無理やり勃起を促され、硬く育った陰核の先が皮の端から僅かに顔を出した。
カナンは指で包皮全体をつまみ、その敏感な先を露出させた状態で固定しむき出しの先端を指の腹で細かく、細かく擦った。
「んぐっ!……あ、あ、あっ! だ、ダメ……あひっ、あぁっ」
乳首を刺激された時とは次元が違う、あまりにも直接的でシンプルな性感が全身を駆け巡る。
皮の上から摘まれ、揉まれる、重厚で熱い快感。
そして隙間からせり出た核の先を直接擦られる、鮮烈で尖った快感。
「カナン様ぁ! っ……そこ……何か……来ます……っ!!」
「『来ます』ではないだろう? ……何て言うんだ?」
「あっ……あぁっ、い、イクっ! イクッ……!!」
そのタイミングを見計らったかのように、カナンの指がポーターの陰核を包んでいた包皮を一気にずり上げた。隠されていた敏感な芽の、すべてが露出する。
「だめっ、イクぅっ!!! あ、あぁぁぁぁっ!」
とてつもない衝撃に全身を痙攣させ、四肢をピンと伸ばす。
畳み掛けるように襲い来るアクメの波を、彼女はただ、無防備な身で受け止めるしかなかった。
「……続けるぞ」
カナンは短く、非情なまでに優しく宣告した。
彼はむき出しにされたクリトリスに、溢れ出たばかりの愛液をたっぷりと塗りつけ、その全体を擦るように優しくしごき始める。
「だめっ、カナン様っ! 止め……あああああっ!!」
イったばかりの最も過敏になった突起。
そこを自らの愛液でぬるぬるに潤された指で刺激されるなど、もはや正気ではいられない。
外界に初めて露出した肉の芽を摘まれ、根本を擦られ、表を押し潰され、裏をなぞられ、先端を爪先で引っかかれる。
カナンはまたしてもポーターの「一番敏感な場所」のさらに「弱点」を冷徹な読心によって探り当てようとしていた。
(読まれる……っ、また読まれる……っ!!)
いたぶられるクリトリスが再び包皮の中に逃げ込まないよう根本を指で摘んで固定し、むき出しのまま晒し上げる。
(ここだな?)と言わんばかりに先端のやや表側――彼女の思考を読み取り暴き出した「急所」だけをただひたすらに、しつこくしつこく擦り上げた。
「そこイキますっ!またイクのっ!!…そこっ、そこ好きっ!!」
ポーターはもはや羞恥を忘れてはしたなく腰を突き出し、必死に絶頂を告げる。
カナンは絶頂の尖りを擦り続けながら、最後の一押しとして、無防備に放置されていた彼女の乳首に激しくむしゃぶりついた。
「んあああああああっ!! イクぅっ!!!」
不意打ちの吸引に、クリトリスのアクメと乳首の快感が重なり合う。
先ほどの絶頂にさらに輪をかけた甘美な刺激が、股間と胸を繋ぐ回路を焼き切りながら爆発し、頭部に向かって突き抜け、後頭部で激しく爆ぜた。
「……続けるぞ」
残酷なまでの宣告。
ポーターが涙目で何かを言いかける暇も与えず、その口は再びカナンによって塞がれた。
声も上げられぬまま、彼女は三度目の絶頂に向かって、なすがままに流されていく。
イスタールの深い愛情で包まれ、逃げ場のない快感を浴びせ続けられ。
ポーターは、二度と這い上がれない「幸せの沼」の底へと、静かに沈められていくのだった。