イスタール年代記-快楽の修練者と藍色に染まる少女たち- 作:錫鹿とらちよ
「んぐあぁっ!!……あ、はぁっ、あぁ……!」
整った形の顎を大きく跳ね上げ、ポーターは今日とうとう十度目のアクメに撃ち抜かれた。
その股ぐらには紺色の髪を乱した青年カナンが顔を埋めている。
彼は先ほど剥き出しにされた快感の塊——その肥大した突起を熱い口内に含み、逃がさぬように丹念に舐め上げていた。
「か、カナン様……っ! それ、好き……っ!! で、でもっ、……っっ!!?」
気持ちよすぎる。
その事実を告げ、これ以上の刺激を止めてほしいと請う言葉が喉の奥で詰まって出ない。
肝心な言葉を遮るようにカナンは彼女の最も敏感な尖りを吸い上げる。
温かな口腔の熱に包まれ中へと引き込まれるように吸い上げられ、粘膜がじりじりと引き伸ばされる感覚。
ポーターは目を白黒させ、逃げ場のない快楽にただ身悶えるしかなかった。
「んっ!……ああああああっ!! 吸っちゃ、……っっ!!!」
残酷にもカナンはその吸引を緩めない。
クリトリス全体を縦に伸ばすほど強く吸い上げたまま先端の少し裏側——先ほど心を読まれ、暴かれたばかりの彼女の「正解」を舌先でしつこく舐め回した。
「んあっ!!……、そ、そこっ!!……!」
下腹部に吸い付くカナンの端正な横顔をポーターは潤んだ瞳で見つめた。
そこを責められてはもう抗えない。
数秒後にはまた強烈な雷鎚が自分を貫くだろう。
意識を飛ばさぬよう、そのすべてを甘受すべく彼女は絶頂を受け入れの姿勢に入り、約束の淫句を口にする。
「もうイキますっ!……そこイクのっっ!!……い、イクッ!、イキますっ!!!」
淫らな衝撃に抗えずのたうち回る事になる。それを何度も宣言する。
その淫句を告げることでカナンが「仕上げ」のフェーズに移るのを彼女は知っていた。
イかせるための刺激から、より深く、より大きく、快感の深度を増すための執拗な愛撫へ。
カナンは舌先でのピンポイントな刺激を中断し、舌のなかでも最も粒立ちの激しいザラついた箇所を押し当て、細かく、短い距離を往復するように擦り上げた。
「ああああああっっ!!!……イクぅっ!!!」
口内を、舌先を、乳首を蹂躙された時と同じことを、今自分の一番の急所で受け止めている。
舌より乳首より何倍も感度の高い女性の弱点中の弱点にそんな仕打ちを受けて耐えられるはずもない。
「あっ!………んはぁっ…!!!」
両方の親指でその罪の核を必死に守ろうと覆っていた厚い包皮を全てずり上げられ、快楽の芽を完全に剥き出しにされたまま狂おしい部分をすべて掌握され、吸われ、舐め付けられ……。
ポーターは今日、十一度目にして最大の、そして最深のアクメを迎えた。
「………っ、はあっ!……はあっ、はぁーっ……」
全身を弓なりに突っ張らせ押し寄せる快感の余韻を味わった後、ポーターは糸が切れた人形のようにベッドへ沈み、虚ろな瞳で天井を見つめて息を荒くした。
何が私は痛みしか感じないかもしれないだ。
快感なんて御伽話かもしれないだ。
数刻前までの不安が、今はまるで馬鹿げた幻のように思える。
このイスタールの青年に撫でられ、刺激されるだけで自らの内側からあらゆる快感が溢れ出してしまう。
自分の身体に欠落などなかった。
むしろ、恐ろしいほどに快感を受け入れるためにできている。
その安堵を噛みしめる間もなくカナンは次なる「未知の扉」へと手をかけた。
「はあっ……はあっ、はぁっ……んうっ!!?」
下腹部に新たな刺激が走る。
ようやく解放されたクリトリスの下方、止めどなく熱い粘液を溢れ出させている蜜洞。
今度こそ、生まれてこのかた痛みと苦しみしか生まなかったその場所にカナンの長い指が差し込まれた。
「あっ……はっ!……あ……」
今さら痛むのではないかという不安はなかった。
クリトリスを責め立てられている間、身体の奥が「ずるい、こちらも同じようにしてくれ」と疼き、準備万端のサインのように絶え間なく愛液を溢れさせていたことを自覚していたからだ。
最も秘めた秘所へカナンの中指がゆっくりと侵入する。
濡れそぼったそこは驚くほど易々と彼の指を受け入れた。
彼はその感触を確かめるように人差し指までも滑り込ませ、内部を押し広げる。
「んくっ……はあっ!……はあっ」
ポーターは「大丈夫です」と訴えるようにカナンを見つめた。
痛みは一切ない。ただ、二本の指をすんなりと受け入れ、ぬるついた愛液で彼の手を汚しているという事実がたまらなく恥ずかしかった。
その羞恥を加速させるように、カナンの指がゆっくりと、内壁をなぞり始める。
「~~~~っ!!、……っくっ! あぅっ……!」
クリトリスのような鋭い刺激ではない。
だが、膣内の壁全体にじんわりとした快感が走る。
左の壁、右の壁、入口付近、そして少し奥。
まるで何かを探し当てるように二本の指が開拓を進めていく。
「はあっ……はあっ……んぐっ!!?」
一瞬、ポーターの腰が跳ね、呆けていた顔に困惑の表情が浮かぶ。
何かを、見つけられた。
カナンは彼女の反応と心の揺らぎを読み、一つのポイントを探り当てる。
入口から数センチ入った天井側。
柔らく段を成す粘膜の中で、そこだけが明らかに細かい粒状の凹凸を有し肉が膨らんでいる特別な秘丘。
カナンの繊細な指先はその箇所を的確に捉え、二本の腹でグッと押し込んだ。
「はうっ!……あ、な、何っ!?……あぁっ」
(気持ち……いい……?)
そこから生まれる感覚は間違いなく快感だった。
ただ、それは鮮烈な「火花」ではなく、何かもっと鈍く、重く、腹の底に溜まるような……。
お腹の方向へ肉の丘を押し込んだまま、カナンの指が前後しつこく動かされる。
「あ、あっ……いやっ……何かっ!……凄いっ……あうっ」
たまらない。
攻撃的なクリトリスの刺激に比べなんと甘ったるくとろけるような感覚だろう。
その肉のザラつきを確かめるように指が何度も擦り付けられる。
上手く表現できないが、じんわりとした、何かが股間付近から漏れ出てしまいそうな——「点」ではなく「面」で感じるその感覚は、彼女のなかに一つの感情を生んだ。
(何、この……幸せな感覚……んくぅっ……)
幸福感。
彼女を襲う新たな快感を形容するならそれは紛れもなく「幸せ」だった。
多幸にまみれた甘すぎる快感は下腹部をはみ出し、指先から足のつま先、頭のてっぺんまで全身を浸していく。
「か、カナン様っ!……そ、そこ何か……変です! いいのっ、すごく……!!」
正体不明の快感に追い詰められながら彼女は彼に訴えた。
だがカナンは「こんな時に何を言うか教えたね?」と、静かに目を細めて返してくる。
(い、イクの?……私、このまま……)
シーツをぎゅっと掴み、本能で受け入れる体勢に入る。
尖った絶頂には慣れてきた。
だが今度はまったく別の道筋で同じ高みに連れて行かれようとしている。
膣内での初めての絶頂に不安と期待を混ぜ合わせながら、彼女は達する宣言をした。
「うっ……あぅっ!……カナン……様ぁっ! もうイクッ!……イキそうなのっ……イキますっ!! イクッ! い、イクッッッ!!!」
膣内から滲み出し全身に広がった多幸感が一定のラインを超えた瞬間、身体中のあらゆる箇所で一斉に爆ぜた。
クリトリスから脳天へ突き抜けるそれとは別物の、全身の細胞一つひとつに引火したような同時多発的な強烈なアクメ。
ポーターの身体は一度「ビクンッ!!」と大きく痙攣し、大股を広げた無防備な姿のまま爆発的な快楽に包まれた。
それは激しさこそ今日一番であったが、苦しさは一切ない。
まさに「幸福」という言葉でしか言い表せない、底の見えない深さの絶頂であった。
(気持ち……良すぎるっ……こんな、……こんなの覚えたら……)
たった一撃で一生手放したくないほどの愛おしい快楽を知ってしまった。
女の身体が、本能が、「このイキ方が一番たまらない」と刻み込まれてしまった。
「……良かったようだな、ここも」
カナンは、先ほどまで強く摩擦していたその出っ張りを今はいたわるように優しく撫でつける。
「好きです……、そこ、好きなのっ……カナン様、気持ちよすぎますっ……あ、あぁ……イキますっ」
再度、ポーターの身体が痙攣する。
カナンの指に優しく撫でられただけで、今度は浅く、広く、全身の産毛が逆立つような幸せに包まれ、恍惚の表情を浮かべた。
二度目の絶頂を与えるつもりではなかったが、ポーターの膣内の弱点がこれほどまでに見事な反応を見せたことに、カナンも深い満足感を得ていた。
「この好きな部分を、もっと擦ってほしいか?」
「はい……、もっと、もっとそこで感じたいです。こ、……擦ってください」
「……指で、いいのか?」
「……?………………っ!!?」
一瞬、意味が理解できなかった。
指で擦るのではないとしたら、何で——。
その疑問は、次の瞬間に衝撃と共に氷解する。
いつの間にかズボンをずり下げ、カナンの股間で脈打っていた男の象徴。
濡れそぼった自らの膣口のほんの数センチ先でそそり立つ、太く、熱く逞しいそれに、ポーターの目は釘付けになった。
これから行われる真の「修練」を予感し、彼女は無意識のうちに小さく「ゴクリ」と喉を鳴らすのであった。