イスタール年代記-快楽の修練者と藍色に染まる少女たち- 作:錫鹿とらちよ
「イッッッ………………!!!!」
ゾリッ……ゾリッ……ゾリッッッ!!………
ポーターの喉の奥から言葉にならない悲鳴が漏れる。
激しい絶頂の予兆を、その肌に纏わりつく「読心」の技で察知したグレイスはさらに冷徹に、そして執拗に陰核とGスポットへの摩擦を強めていった。
二の句を継がせまい、宣告などさせまいとするあまりに凶悪な刺激。
(耐えろっっ…………!!!)
ポーターは奥歯を噛み締め爆発寸前の快感に必死で抗った。
意識が白濁し思考が快楽の濁流に飲み込まれるその刹那、彼女は渾身の力を込めて自らに課せられた絶頂の宣告を絞り出す。
「イッッ、イキます!!っ………イクぅっ……!!!!」
三十一回目にしてようやく喉の奥から放たれた淫らな咆哮。
宣告と同時に二つの性感帯から生み出されるアクメの濁流が彼女の精神を完膚なきまでに飲み込んでいった。
何度も約束を破り予感に間に合わないまま無様に快楽を貪らされ続けてきた彼女が、ようやく果たせたたった一つの役目。
その重い務めを果たしたうえで味わう絶頂の嵐は身体を焼き尽くすような悦びとともに筆舌に尽くしがたい充実感と達成感を与えてくれた。
「うん、偉いね。ようやく言えたね」
悪魔のような摩擦運動が、ふっと止まる。
グレイスは優しく手袋を外すと目隠し越しに溢れ出たポーターの涙をそっと指先で拭い、幼子を慈しむようにその頭を撫でた。
先ほどまでの肉体を解体するかのような非道な所業への恨みがその指先の温もり一つで驚くほどあっけなく溶解していく。
彼のこの甘い優しさこそがあの媚薬よりも深く全身に回る毒なのだと、彼女はぼやける意識の中で痛感していた。
これが「快楽の修練」――。
何度もアクメを強要されその度に体力こそ消耗しているが。
しかし、そこには「痛み」や「辛さ」は存在しなかった。
この修行者は、彼女の思考を冷徹に読み取りながらも、ポーターが「痛い」と感じる一歩手前で完璧に手加減しただ純粋な快楽のみを純化させて抽出していたのだ。
(大変だけど……気持ちよくて……私がちゃんとしていれば、止めてくれる……)
絶頂の宣告という唯一の支配権。
それを立派に果たしたことで彼は約束通りに強烈な責めを止め、自分を労ってくれた。
その成功体験が彼女の隷属心に「達成感」という名の奇妙な自信を植え付けていく。
「よくできたね、ポーター。じゃあ、続けるよ」
だが、安息は一瞬だった。
行為の再開を告げるグレイスの声にポーターの身体が緊張でびくりと跳ねる。
しかし、先ほどの役目をこなした自分への僅かな自負が彼女に「はぃ……」という短い返事を選ばせた。
トプン……。
静まり返った部屋に再び淫らな水音が響く。
視界を遮る暗闇の向こうで彼はまたあの恐ろしい薬液に何かを浸しているのだろうか。
あの薬を使われれば自らの意思に関係なく感度を極限まで跳ね上げられてしまう。
だが、それがもたらすのは恐怖だけでなく抗いがたい悦楽であることを彼女の身体はすでに学習してしまっていた。
僅かな期待と不安、そして覚悟を孕んだ沈黙を尻目にグレイスは新たな「器具」を取り出しその準備を整えていた。
彼にとってここまでは単なる準備運動に過ぎなかったのだ。
彼女がギリギリで達成できるハードルを認識させ、成功した瞬間に慈悲を与える。
その反復によって彼女の精神を支配し、飼い慣らす。
三十回はしっかりとアクメを刻み込み、三十一回目にしてようやく宣告が間に合うようコントロールしていたことなど、余裕のないポーターには知る由もなかった。
ヌチッッ……。
「あっっ……」
熱く湿った腟口に硬質な何かが押し当てられポーターの口から短い喘ぎが漏れる。
ズリュッッッ……!!!
「あぉっっっっっ!!……!!!」
突如として彼女の聖域を蹂躙する、太く重い「何か」。
媚薬にまみれたそれはしなやかな木と革で作られた男性器を模した巨大な張型であった。
(ふっ……太いっっ……!!)
あまりに巨大な侵入者にポーターはヒューヒューと浅い呼吸を繰り返し、その圧倒的な圧迫感をなじませようともがく。
革で包まれた内部は適度な弾力を持ち、硬度としなやかさが絶妙に共存していた。
そして何よりその形状が異様だった。
視覚を奪われた腟壁が伝えるのは本物の男性器とは明らかに違う、凶悪な造形。
先端に向かうにつれ何重にも折り重なった「返し」のエラは、挿入される時よりも引き抜かれる瞬間にその真価を発揮するように設計されていた。
そのターゲットとなるのは――かつての修行者カナンとの修練で徹底的に耕され、開発し尽くされたポーター最大の弱点であった。
ズルルルルルルッッッッ……!!
「んあああああああぁぁぁぁ!!!」
腟内のあらゆる柔肉をめちゃくちゃに巻き込み壁を激しく擦り上げながら、無数のエラが引き抜かれていく。
苦しいほどの圧迫感が抜けていく開放感など微塵もなかった。
ただ、そのエラが肉を掻き立てる際に生み出される摩擦の快感が凄まじすぎた。
ドチュッ……!!
「んぐっ」
張型が抜け切る寸前でグレイスは再び容赦なくそれを突き通す。
たった一往復。たったそれだけで、挿入に対する恐怖は消し飛んでいた。
今やこの太く異形の男根が引き抜かれる瞬間の快楽が何よりも「怖い」。
ズルルルルルルッッッッ……!!
「いああああああああぁぁぁぁ!!!」
強烈すぎる刺激。
無数のエラの一つ一つが恨めしいほどに肉を抉るが、何よりGスポットに鋭く引っかかるように作られた一際大きな「返し」の突起が凄まじかった。
(嫌だっっっ……!!……カナン様っっ……)
目隠しの暗闇の中で咄嗟に思い浮かべたのは、あのカナンの優しい笑顔だった。
彼の逞しいカリ首で自分でも知らなかった粒立った急所を抉られるのが彼女にとって至高の悦びだったはずなのだ。
それを、この作り物のさらに凶悪にエラ張った凸部でより強烈に、残酷に上書きされていく。その事実がカナンへの裏切りのようで、何よりも「嫌だ」と彼女は感じてしまった。
感じてはならない――
首を左右に激しく振って耐え忍ぶポーターを無視しグレイスはさらに張型に角度をつけた。
彼女の秘所が最も拒絶し、かつ最も悦ぶ絶妙な角度で、限界まで引っかかりをかけ肉を掻き出すように抉り抜く。
「だっ……!!……イクッ……!!!」
ポーターの腰が大きく跳ね上がる。
強制的な絶頂に身体が打ち震える最中でさえグレイスはその残酷な「引っ掛け」を止めようとはしない。
(嫌だっ……!!……このイキ方っっ……!!……嫌なのっ……!!!)
カナンのそれよりも大きなエラで、
カナンのそれよりも強く引っかかり、
そして……カナンにされるよりも気持ちいいと、本能が認めてしまうのが彼女には堪らなく恐ろしかった。
「お、お願いです!!……グレイス様っっ……あうっ……!!……こ、これは嫌ですっっ!!……止めてええええ!!……イクッッ!!」
絶頂を宣告しながら背筋を反らし大きく痙攣するポーター。
しかし、先ほどまでとは違い宣告をしたところでグレイスの手が止まることはない。
「グレイス様ぁ!!……!!……おっ……お願いいいいい!!!……おぅっ……!!」
自らの快楽の序列が容赦なく塗り替えられていく恐怖。
三度、四度とGスポットを執拗に抉られるアクメに襲われ、絶頂の絶叫を上げながら懇願するポーターにグレイスが低く落ち着いた声をかけた。
「やめてほしいのかい、ポーター」
「はぁっ……! はぁっ……! ……はっ、はいっ!! ……こ、このイキ方っ……嫌なのっ……!!」
「じゃあ、僕の質問に答えてくれる?」
唐突な問い。
ポーターには彼の真意など分かるはずもなかったが、このあまりに強烈な快楽から解放してくれるのであればどんな問いにも答えると一瞬で判断を下した。
彼女はガクガクと小刻みに首を縦に振る。
「じゃあ……ローアイデ王国の秘宝、『黎明の錫杖』の在り処を教えるんだ」
その瞬間。
ポーターの身体から、さあっと血の気が引いていくのを彼女自身がはっきりと感じていた。