イスタール年代記-快楽の修練者と藍色に染まる少女たち- 作:錫鹿とらちよ
「ローアイデ王国の秘宝、『黎明の錫杖』の在り処を教えろ」
グレイスの口から飛び出したのはあまりに場違いな、それでいて冷徹な「尋問」の言葉だった。
快楽の渦から逃れるためなら、どんな屈辱的な問いにも、どんな恥ずかしい告白にも応じようと身構えていたポーターは、その予想だにしない言葉に激しい混乱を覚えた。
ローアイデ王国。黎明の錫杖……。
どれほど記憶の底を浚っても、その国名も、杖の名も、彼女の人生には欠片も存在しなかったからだ。
「グ、グレイス様…申し訳ありません、私にはそれが何の事だか……」
ゴリッ……!!
「んぐっ…あっ!!……」
絶望的な拒絶の響き。
発情しきったGスポットにぴったりとあてがわれていた張型の「エラ」が乱暴に容赦なく引き抜かれた。
摩擦の衝撃が背骨を駆け抜けポーターの小さな顎が天井を仰ぐ。
「あっ……ひっ……」
ドチュッ……!!
「あうっ…!!!」
息を継ぐ間もなく再び凶悪な質量が彼女の腟内へ侵入する。
縛り上げられた腕に必死で力を込め、荒い息を整えながら彼女は必死に思考を整理しようともがいた。
「ローアイデ王国の秘宝、黎明の錫杖」――。
何度も、何度も、必死で記憶の隅々まで探るがやはり微かな響きすら聞こえてこない。
このままでは私がそれを答えなければグレイスはこの地獄のような摩擦運動を止めてはくれない。
「もう一度聞くよ、ポーター? …黎明の錫杖の在り処を吐くんだ」
「グ、グレイス様っ……!! …何かの間違いかもしれませんっ……も、申し訳ありませんが私にはそれが何かが全く分からずっ……」
顔を青くして訴えかける。
分かっていることなら今すぐにでも吐き出すつもりだった。
なのに、この青年が求めているのは自分には全く聞き覚えのない「秘密」なのだ。
「強情だね、まだ口を割らないか」
「まっ……待ってっ……!!」
ズルルルルッッ!!…ゴリッ……!! ガリッッ……!!!
「んおぁああっっっ……!! …ひっ、引っ掛かりがっ……!!」
より残酷な角度をつけ、彼女の急所を無慈悲に抉り抜くグレイス。
そこから挿入と引き抜きの凄惨な往復運動が再びその速度を上げた。
ズチュッ…!! …ガリッ……!! ……ズチュッッ……!! ……ガリッッ……!!!
「!! ……だめイクッ……!!!」
短く、悲鳴のような絶頂の宣告。
縛られた四肢は無様に痙攣し、淫らな丘から生み出される全身で快楽が破裂するようなアクメを彼女は受け止めるしかなかった。
(このイキ方っ…!! ……嫌っ……嫌なのっ……!!)
カナンに教え込まれた甘く全身が爆ぜるようなあの絶頂。
それと同じ快感が今、より凶悪な角度でより重い威力となって股間を中心に身体中を駆け巡る。
彼に教えられたあの優しく鮮烈な記憶が、無機質な道具による暴力的な快感によって黒く塗りつぶされていくのが何よりも耐え難かった。
道具の方が気持ちいいなんて、そんな残酷な真実を身体に刻み込まれたくない。
一刻も早くこの刺激を止めてほしい。なのに――。
「教える気になったかな? さあ、言うんだ」
「分かりません……グレイス様……私、知らないんです…」
ゴリュッッッ……!!!
「ぁおぉっ……!! ……グ、グレイス様ぁ…!! ……お、お願いいぃっっ…!!!」
涙で目隠しはぐっしょりと濡れ、喉は裂けんばかりの絶叫を繰り返す。
そんな極限の意識の中でポーターの脳裏をグレイスの最初の言葉がよぎった。
『今から君は、どれほど快感に責められても決して秘密を漏らさない捕虜の女性だ』
そうだ。
確かに彼はそう言っていた。
自分は今、何をどう責められても口を割らない「捕虜」の役割。
口を割ろうにもその秘密自体を知らないがゆえに、強制的にその大役を彼女は完璧に演じさせられているのだ。
「んあああぁぁっ…!! ……グレイス様ぁっ…!! こ、こんなっ……酷いっ…!!」
事態を把握し、髪を振り乱しながらただただ股間を襲う凶悪な前後運動に翻弄される。
「さあ、いい加減吐くんだ。錫杖はどこにある?」
ゴリッ…!! ……ゴリッッ……!!
「わ、分かりません!! っ……知らないのっ……!!」
「本当に強情だね……」
ドチュッ……!!
「んくっ…!! ……」
グレイスにとってこれは「決して口を割らない捕虜を尋問する」という状況を想定した、最高に効率的で残酷な練習であった。
目の前の少女が彼のでっち上げた架空の杖の在り処を絶対に言うはずがない。
存在しない秘密はどれほど快感で責めても吐き出させることができないからだ。
「いっ…言いますっ……!! …在り処を……教えますっ……!!」
「ほう? どこにあるのかな?」
苦し紛れの嘘に、グレイスはわずかに手の動きを緩め少し聞く耳を持つ振りをしてみせる。
「はぁっ……はぁっ………あ、あのっ……! ……それは…わ、私の部屋の机の……中にっ……」
「適当な事を言うんじゃない」
ゴリィィッッッッ……!!!
「んぐああぁぁっ…!! …い、イキますっっ……!! ……嫌あああぁぁっっっ……!!!」
再び吹き荒れる悪魔の摩擦。
望まぬアクメを何度も叩きつけられ、あの優しい男性との甘い記憶が黒く、深く塗りつぶされていく。
「グレイス様ぁ……!! グレイス様ぁっ……!! …あぁ……」
限界だった。
望まぬ絶頂を何度も味わわされ、快楽の濁流から抜け出せない彼女。
(そろそろ頃合いかな)
グレイスはそんな息も絶え絶えな彼女を見据え、仕上げに入る。
手袋を外していない左手の指先に再び粘りつく薬液を取り、放置されいまだ肥大しきり雄々しくそそり立つ彼女の陰核の傍らで待機させる。
「もう一度だけ聞くよ、ポーター。次に本当の事を言わなかったら今日一番の仕打ちをしなければいけない」
やけに落ち着いた声。その内容にポーターは青ざめた。
「ローアイデ王国の秘宝、『黎明の錫杖』の在り処は知っているかい?」
「ぁっ……、は、はいっ……知ってます!! ……」
恐怖から逃れたい一心で、反射的に嘘をついてしまうポーター。
「ほう、じゃあ教えて。それはどこにある?」
「あ、あの……えっと……っ……グ、グレイス様ぁ……許して……ください……!!」
何も言えず、ただ情けなく許しを乞うだけの彼女に、彼は無慈悲に宣告した。
「強情だね、君は」
次の瞬間。
彼は薬液まみれのざらついた指で、彼女の陰核を無慈悲に挟み込んだ。
首を横に振って絶望する彼女を尻目に――硬くそそり立ったその核を、彼は「く」の字に折り曲げた。
フェリオの屋敷の夜気に今宵最も凄惨で最も淫らな断末魔の叫びが長く、長く、こだました。