1
龍園達の奢りという事で、飲み会が開催される。
先ほど伊吹と、西野に連絡が入ったらしい。
ひよりにもグループチャットで通知が来ていると思うが、ひよりは一度も携帯を出さなかった。
「逃げんなよ!綾小路」
という、親の仇の様に見て来る伊吹を見て、ひよりに目を向けた。
「どうでしょう、せっかく龍園くんが奢ってくれるというのですから、参加されたら良いんじゃないでしょうか」
「ひよりも参加するのか?」
そう聞くと、参加すると言って来る。
そろそろ5月の最終日。
月に1度の会議の日付が迫ってきていた。
一度家に帰った方が良いだろう。
明日の朝にオンラインでの予定も入っている。
アルバイトも終わり。
坂柳チーム、櫛田、そして一之瀬も急ピッチで依頼をこなしてくれている。
アメリカから投資家連中との打ち合わせ依頼も来ていた。
ここいらでまとめて処理しておくべきか。
「分かった。だが、俺は寮を引き払うから、車で現地集合にする、先に行っていてもらえるか」
「あ、でも場所、この宿舎からすぐ近くのイタリアンバルだと思いますよ」
ひよりはいつの間にか知っていたように、そう口にした。
◇
質素な寮だった。
それでも大きな建物の中に一人いると、賑やかだった事を思い出し少し感傷に浸る。
石崎は強引なヤツだったが、それでも立場のある身。
そんな中付きっ切りで指導してくれて頼もしかった。
木造の2階建て、横に長く、1室が6畳。
風呂、トイレは共同。トイレは男子で小便器が3つ、大便器が2つ。
入口を隔てて隣に女子寮があるが、それは男のものより小さいと、西野が教えてくれた。
東京から電車を使えば1時間半はかかるが、最寄駅からは徒歩10分のその場所。
意外に、ひよりの大学からは近いとの事だった。
俺は来た時と同じ服装。
ジーパンとジージャンのセットアップも、一度石崎に洗われて少し色落ちをした。
ワイシャツは西野がアイロンをかけてくれたが、それでもクリーニングレベルとは言い難い。
足元はブーツだが、ほとんど足袋を履いていたため傷がついていない。
もしかしたら今日も泊まるかもしれない。
それでも帰りは鍵を開けて出る決まりがあるそうだ。
鍵の返却はいつでも良いと言われている。
それならと、携帯の充電器を返して、イタリアンバルを目指した。
もう既に皆、向かっているようで、寄宿舎には誰一人いなかった。
◇
「おう!来たか!こっちこっち!」
店に手をかけて入ると石崎が向かい入れてくれる。
広い店内で、真ん中に食べ物が置いてあり、端に椅子と小さな丸テーブルが置いてある立食スタイル。
飲み物は、バーカウンターで作るスタッフが一人。
キッチンで料理を作るものがいて、運ぶスタッフが複数名。
石崎が呼んでいるところとは別の場所で、三宅が目に付いた。
石崎の元には建設作業員で一緒になった従業員が複数名いたが、俺に声をかけてくれる。
「綾小路!良く分かんねぇけど助かったぜ。ホント良く分かんねぇけどな!」
そう勢いよく言って来る。
純度100%の御礼を言われると、少し小恥ずかしい気がする。
「俺は何もしていない。龍園とお前、そして葛城が真面目に働いて来た結果だ。それで、ゼネコンはどうなったんだ?」
「聞いて驚くなよ?」
といって、石崎はしたり顔をする。
「石崎!まだあんた龍園に口止めされてるんじゃないの?良いの言って?」
「バカ!西野、綾小路なら良いんだよ!」
「ちょ……いや逆に綾小路だからダメな場合だってあるんじゃないの?」
「そ……そうなのか?」
「龍園だって、綾小路に直接自分から言いたいんじゃないの?」
と、西野はそこまで言うと、石崎が口を噤む。
俺が呆然としていると、隣から三宅が話しかけてくれた。
「おう、先日ぶりだな」
「明人、飲んでいる様だな」
三宅は手にグラスを持っていた。
先日の旅館で、ハイボールにハマったらしい。
「清隆、お前今日は飲むのか?」
「いや、今日は帰る必要があるから、アルコールは飲まないつもり……」
そう言いかけた時。
ワァッと、店の入り口から歓声が上がった。
「龍園さん!」
「龍園さんが帰って来た!!」
「龍園さーん!!」
と、様々な場所から声があがる。
お色直しをした龍園、そして後ろに葛城と山田アルベルト、他にも強面の社員を複数名引き連れて店に入って来る。
「うるせぇぞお前たち!」
というが、キャーキャーと声を発する男たち。
龍園、お前男にばかりモテてるな……。と、見回すと、女子の集団が見え、そのうちの一人と目が合った。
龍園は店の真ん中に立つ。
「おい!グラスは全員持ってるか?」
シーンと音の出ない空間。
グラスを持っていないのは、俺だけ。
50人以上のいる空間で、龍園の目が俺を刺す。
「ポンコツが!俺の酒を飲めねぇのか?……おい!」
と顎をクイとやり、近くにいた石崎が「へい!」と声を出した。
やがてバーカウンターから慌てて……なんと1本のシャンパンが、ポンと音を立てて、二酸化炭素をゆらゆらとさせて持ってきた。
皆の注目を集める中、石崎が「度が低いヤツだからよ!」と、フォローにならないフォローをしてくる。
そして、石崎も龍園の集団に加わると号令をした。
「おいお前たち、オレ達の1期決算だが、散々たる結果だ。赤字だ赤字。ったく、お前たちは働いてねぇのに給料ばっかり求めやがる」
と龍園が言う。
龍園は空のシャンパングラスを二つ持っていた。
周囲の空気が少し緩んだ。
「だが、ボーナスを得た。ゼネコンのクソども、そして銀行のゴミと話を付けた。オレ達の金は……無事だ!」
おぉ!という声が上がる。
そして龍園は俺を見て、こっちに来い!と声を出した。
皆の注目を浴びて、動かない訳にはいかない。
俺は片手でシャンパンを持ち、龍園の方へ歩いて行った。
「注げ!」
という命令の元、龍園の持つ二つのグラスにシャンパンを注いでいく。
そして、ドンッ!と片方のシャンパングラスを持つ手を俺の胸に突き付ける。
そのまま龍園は、周囲を見回した。
「明日からもガンガン働いてもらうぞお前ら!グラスを上げろ!」
俺が呆気に取られていると、龍園の後ろにいた石崎が、シャンパンを持ち、テーブルに置いてくれる。
やがて俺の手にはシャンパンが握られてしまった。
「乾杯!!」
乾杯!!!という声と共に、龍園はグラスを口元に持っていった。
そして横目で俺を睨みつける。
俺はやむなく同じ動作をした。
二人で一気に、酒を飲み交わした──。
2
三宅の地元の友人もいるらしいが、誰も俺に声をかけて来ない。
紹介とか、あっても良いんじゃないだろうか。
最近人に囲まれていたから、陰キャだと分からなかった。
西野の兄とやらを見て、西野に似ていると思った。
龍園に力を貸しているのは、そういった元1年Cクラスの同級生のコネもあるんだろうな。
時任がニヤつきながら近づいてきて、乾杯をする。
クールな顔。
そしてタバコを取り出すと、一本を俺の元へ。
タバコを咥えると、火をつけてくれた。
やがて、時任が持っている、半分残っている箱と、その中に入ったライターを俺に押し付けて来る。
「選別だ。寮でも吸えるんだぞ?」
と、いらない情報を教えてくれる。
イタリアン料理は美味しい。
牡蠣のピラフ、牛肉のソテー、サラダも新鮮だ。
料理を取り分けようと、最後のミニトマトを見つけて、取ろうとした時。
「「あ」」
トングが当たった。
身長の低い、目の前の少女。
水色のワンピースに、白いカーディガンを着ていた。
「あ、すみません。綾小路くんも、ミニトマト、好きなんですか?」
椎名ひよりが、微笑みこちらを見ていた。
「あぁ、だが、そこまで好きという訳ではない、ひよりが食べると良い」
「ありがとうございます。もしかして、飲んでいますか?」
「あの状況で飲まないという選択肢はないんじゃないか」
皆の前で注目を浴び、断るなんて出来ない。
「ふふふ、そうですね、思わず笑っちゃいました。明日も早いのに」
「龍園は強引だからな…。ひよりは、酒は飲んでいないのか?」
「いえ、飲んでいます。私、結構お酒好きなんです」
といって、眼で自分のテーブルの方を刺した。
見ると伊吹や西野、そして元1年Cクラスの女子数名が座っている所で、ひよりもグラスもあるのだろう。
椅子が一つ空いていた。
「綾小路くんも、ご一緒されませんか?」
そういって席に誘って来た。
俺はひよりの、長い髪をまとめた髪留めを見ながら、その後ろに着いて行った。
◇
ひよりと合流してからは、ひよりが盛り上げ役のような役目を買い、俺の傍にいてくれた。
「──やっぱりお前たち、出来てるんじゃねぇの?」
「石崎、酔い過ぎなんじゃないか?」
「いやでもよ、お前椎名の顔……」
「おい!お前調子に乗り過ぎ!」
相変わらず石崎の近くには西野がいるんだな。
椎名の顔?と、ひよりの方を向くが、いつもと変わらず微笑んでいた。
そんな俺を見て、ひよりも頭にハテナを浮かべている。
数時間後、どこからともなく、カラオケ大会が始まった。
なんでもこのイタリアンバルは、龍園の会社で運営しているようで、管理は葛城が任されているという話だった。
「金田は今日は来ていないのか?」
「金田は今向かっているらしい。これから参加だ」
というが、時刻は既に11時を過ぎている。
3時間弱、この場にいることになる。
「それはそうと、綾小路。お前の話を聞かせてくれるか?」
と、ずいと顔を近寄せて来る葛城。
「良いか?綾小路。オレには愛する妹がいる。アイツを一人前にするまでは、死ねん。だから経営をオレに教えてくれ」
「おい、葛城ってこんなヤツだったか?」
「葛城君は酔うとこんな感じになります」
ふふッと口元に笑みを浮かべ、そう説明してくれる。
「葛城、お前は進学を選ぶと思ったが、なぜ龍園と組んで起業までしたんだ?」
「いろいろ考えたんだがな。就職か、進学か……しかしな、進学は除外だ」
「なぜだ」
「妹を養えないからに決まっているだろう?大丈夫かお前?」
さっきは経営を教えろと言って来た相手に、大丈夫かはないのではないだろうか。
葛城は酔うと面倒くさいタイプらしい。
しかし、言い切るとスッキリしたようだ。
「だが、こうやって龍園達と仕事をするのも悪くない。オレも結構、この面子を気に入っているらしい」
坂柳のクラスにいる時は頼られはしたが、全員に全面的に信頼されると結局中途半端な立ち位置になってしまう。
葛城はこうやって、誰かのサポートをするのがしょうに合っているのかもしれないな。
うんうんと頷く葛城が、こちらに身を乗り出してくる。
隣で嬉しそうにしていたひよりだ、そこで初めて携帯を取り出した。
「あ、すみません。終電みたいで」
と言い出した。
すると石崎がひよりを止める。
「お、おい、椎名!そろそろ金田が……」
金田が…?なんなのだろう。
全てを言い終わる前に、西野に怒られていた。なんでも「あんた今日は話すの禁止!」らしい。
伊吹は龍園に喧嘩を売り、龍園の周りには社員が群がっている。
ひよりもそろそろ帰るというし、俺もそろそろ引き上げる──。
「椎名、また今度ね、今日は来てくれてありがとう。まさか、飲み会にも来てくれるとは思わなかったよ」
と、西野が声をかける。
そして、俺に目を向けて来るが、その隙に石崎と葛城が俺の肩を叩いて来た。
「「飲み足りないよな?な!」」
ペコリと礼をして、小さなポーチを肩に。
ふわり良い匂いを残して、椎名は帰って行った。
俺は残され、地元組としばらく飲んだ。
3
午前1時。
流石に明日は5時起き。
6時には家に着き、オンライン会議に参加しなければならない。
酒を飲んでも俺は変わらないが、アルコール検査があればひっかかるだろう。
一応、身体は熱い。
良いヤツ等だが、こちらの都合を考えない。
やれやれだと、思いながら宿舎に帰る。
まだ、月曜日。
大学生組は明日も学校だろうが、大丈夫なのだろうか。
確かに、アメリカの遊ぶ大学生は夜通しクラブに行っていたようだが。
まだ誰も帰っていない宿舎。
鍵を持ち、もう1泊だけして帰ろうと思った。
俺は携帯のアラームを5時にセットする。
4時間は寝れる。
あれ?
宿舎の、玄関靴。
そこに、見覚えのあるパンプスが一つ。
女子寮の、誰かの忘れ物だろうか。
水色の小さなものが、ちょこんと端に添えられていた。
気のせいだろう。
それに、気にする必要もない。
俺は、何を期待しているんだ。
寄宿舎は暗く、誰もいない。
スリッパを一つ取り出し、ブーツを脱いで、2階へ。
パスパスと、スリッパの音を反響させ、自分の部屋に入り、鍵を閉めた。
──質素な部屋。
布団と、備え付けの棚、小さなテーブルの上に灰皿と、コンセントが一つだけ。
木造の寮。
畳んだはずの布団が敷かれ、人形ではないならば、誰かが寝ている形跡。
聞こえる寝息。
一瞬、部屋を間違えたか?と思った。
しかし、見間違える訳はない。
カーテンが少し開いている。
今日は少し、寝苦しいらしい。
エアコンのない部屋。
俺は、部屋を出ようとした──。
瞬間、宿舎の灯が着く。
『おい!麻雀でもやるか?あ、綾小路帰って来てんな?椎名も泊まってんのか?』
『女子寮に泊めたんだよ!相当酔ってたからさ!』
と聞こえて来る声。
月明かりに照らされ、テーブルの上に見覚えのあるポーチが置いてあった。
仕方ない。
布団が使えないなら、離れて寝よう。
今外に出ても不自然だ。
そう思って、俺はジージャンを脱ぎ、壁に背を付けて、眼を閉じた。
4
──やはり今日は寝苦しいらしい。
目を開けると、毛布が掛けてあった。
そして、隣に目を向けた。
髪留めを外した水色の、長い髪をした少女が、こちらを見ていた。
真剣な眼差しで、俺の目に合わせて来る。
「──ひよ……」
腕腰に感じるひよりの体温は熱く。
エアコンのない、寝苦しい室内も扱った。
低身長のしいなが、下から俺の顔を伺って来る。
幻想的な空間。
ひよりが、口を開けた。
俺の胸に手を置いた。
顔が近くにある。
ひよりは目を閉じた。
やがて。
──眠たげな瞼を閉じ、男は女の頬をツツー…ッとなぞる。やがてゆっくりと磁石が反応するかのように、二人の唇は近づき、キスをした。
息が出来ない。
ひよりの唇は柔らかく、小さく、ふんわりと良い匂いがした。
数秒後、顔を離した。
ひよりが、求めている気がした。
こちらを見て、微笑んでいた。
俺は吸い寄せられるようにひよりのワンピースにかかっている、首の紐のリボンを、片手で外してゆく。
毛布から覗く、ひよりの両足。
グレーのストッキングが被せられた二本足。
俺の太ももに当たる、膝。
ひよりの両手が、俺の腹に置かれた。
何か言葉を発する必要はなかった。
俺は、ひよりの求めに応じて、ワンピースのリボンを外すと、ポケットに入っていた、時任から貰ったタバコと共にテーブルに置いた。
鎖骨が見え、下着が見えた。
決して大きくない、守られる乳房が見えた。
上半身のボタンをすべて外すと、ひよりがこちらに上半身を向けて来た。
俺は開いたスペースに手を伸ばし、彼女のブラジャーのホックを外した。
途中、彼女の身体に手が触れた。
細い、そして熱い。
ひよりの肉の感触を感じる。
外したブラジャーから、胸部が落ちて来るなんて事はない。
俺は左手で、ホックを外した手を、ひよりの胸に当てた、
その腕を、ひよりは大事そうに両手で触って来る。
触らない様にしていたが、硬い部分に掌が当たってしまった。
ビクンとひよりは、肩を震わせた。
俺は着ているワンピースを脱がせようと、両手でワンピースを上に挙げる。
ひよりは両手を上げて、一気に脱いだ。
その状態のまま、ひよりは今度は俺のワイシャツに手をかけて来た。
慣れないボタンの配置に戸惑っている少女を見て、俺は自分で服を脱いでゆく。
お互いに上半身が裸になった。
下半身は毛布にくるまったまま。
しかし、俺はジーパンを脱ぎ、パンツ1枚になった。
ゴアゴアとしていて、寝づらいと感じていたからだ。
脱いで、ふとひよりを見る。
少女はまるで、全てを見透かしているかのように、微笑んでいた。
何かを喋ろうとして、右手を俺の頬をなぞった。
俺はそんなひよりを見て、肩を抱いた。
そのまま俺は、キスをし、彼女の腰を持って、布団に連れて行く。
枕に寝かし、小ぶりな胸を見た。
濃いグレーのストッキングをそろりと脱がしていく。
水色の、短いパンツがあらわになった。
女はこちらを艶っぽい目で見て来る。
俺は女の、パンツにそっと手を入れた。
「……ん…ぁ………ぁあ……」
声が漏れていた。
ぬっちょりとする割れ目を触っていると、両手をこちらにあげてくる。
俺は両手に包まれ、そして、キスを繰り返した。
ひよりはキスを味わうように、俺の唇を舐めた。
しかし。
ダメだ。
こんなことを。
俺にも分かる。
ここで、手を出してしまったら──。
そして手を止めた。
そして、バツの悪い顔をする。
そんな俺を見て、ひよりは上半身を上げて来た。
「──どう、されたのですか?」
「ひより、ダメだ。こんな事、俺には出来ない」
「なぜ、なのでしょうか」
「なんでもだ。こんな状態で、お前と関係したくない」
「こんな状態、とは?」
「ひより、俺は、お前の事が───」
何かを言いそうになった。
しかし、その口を防がれてしまった。
そして、再度壁際に押し寄せられてしまう。
ひよりは長い事キスをしていた。
何度か目を開けたが、綺麗な瞼、長いまつ毛が目に入るのみだった。
そして、舌をつつつッと、首筋、胸、腹筋と、唾液をたっぷり含ませ、辿って行った。
「──ぇぃッ!」
と言いながら、俺のパンツを脱がせた。
そして、ニコッとして、舐め始めた。
根元を持ち、あっちこっちに行く棒状のそれを、なんとか舐めようとしていた。
しかし、ちゃんと舐めることは出来ず、結局遊ぶだけに終わった。
でも、小さな両手で、やさしくしごいてくる。
俺は射精感に襲われていた。
先端を口に含ませながら、危ないと思いつつ。
ひよりは出て来る液体を舐め、逃さまいとしていた。
「──ひよ……ッ!!」
引き剥がそうとしたが、下半身を握られている。
俺はガタガタと下半身を揺らし、ひよりの口の中で射精した。
そして、ピクピクとする俺の下半身に満足したのか。
口を離し、ゴクリと飲み込み、唇を舐めまわした。
軽く俺の頬にキスして、少し立ち上がり、ポーチからコンドームを取り出した。
「……どうぞ、サイズが合うか、分かりませんが、XLを買ってきました」
もう逃げないと確信したひよりが、俺への拘束を解く。
そういって布団にほふく前進をして、下半身をこちらに向けて来た。
そして、そのまま一気にパンツを脱いだ。
テラテラと、見せてくる女の大事な場所。
毛がほとんどなく、割れていた。
不思議と目を吸い寄せられる、ただの、ぷっくりした割れ目。
つつーと、肉厚なそれから、ひよりの愛液が、漏れていた。
ひよりがこちらを向き。
艶っぽい顔をした。
俺はひよりの尻に唇をそっと当てる。
無味無臭の、漏れたそれを口に含み、味わった。
グンッと、ひよりの背中が波を打った。
そして、コンドームを付けて、小さな膣に、背後から欲望を打ち付けたのだった──。
5
すぅすぅと寝息を立てる、隣の少女。
もう完全に疲れ果てているようだ。
4時50分。
アラームが鳴る前に起きれた。
俺はそっと布団から抜け出し、衣服を着た。
そして、テーブルの上に置いてあるタバコに火をつける。
タバコの匂いのついている寮の部屋。
それでも空調はあるため、煙は逃げる。
外が明るくなってきたが、まだまだ早朝で、涼しそうだ。
タバコを吸うのには訳がある。
嫌な煙でも肺にいれなければ、ひよりの裸に手を伸ばしてしまいそうだったからだ。
脱げ出されているひよりのワンピースと下着をまとめ、毛布からはみ出ている下半身の一部をすっかりと覆う。
布団の外に投げ出されているティッシュの残骸を回収して、小さくする。
赤い血が、飛んでいた。
毛布にも残っているのだろう。
俺の下半身は、落ち着くことをしらず、何度も射精をした。
コンドームは1つで足りなかったが、ポーチの中に3つあり、全て使い切った。
コンドームはひよりが回収してくれた。
タバコの火を燻らせ、携帯のアラーム機能を停止させる。
そして俺は寝ているひよりを見て、鍵を開け、外に出る。
そして、小さな鍵をかけて、ドアの隙間から投げ入れた。
6
宿舎の食堂には、何人か飲んだまま寝たのだろう、石崎もそこにいた。
龍園は、流石に帰ったか。
外に出る。
開放的な空間。
楽しい1日だった。
ブーツを履き、ジージャンから車のカギを取り出す。
奥に置いた、3日振りの愛車のエンジンをかけた。
本日は曇り。だが、まだ雨は降っていない。
俺はオープンカーにして、チュンチュンと小鳥の鳴く世界へ、走り出した。
まだ数本残っているタバコに火を点けて。
これで、終わりだろう。
言葉はお互いいらない。
ひより、──好きだった。
さようなら。