※この作品はR-18です。

ようこそ実力至上主義の社会へ   作:〇彪

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 〇あらすじ
 高育卒業後に1年姿を消した綾小路が、日本に帰ってきました。
 大学2年生になった佐藤と松下が、綾小路を誘い居酒屋に行きます。

 もし本作が気になる方はどうぞお読みください。


【ボーナスステージ】佐藤&松下と駅下で

 1

 

 京成立石駅徒歩3分。

 明治時代に栄えた町工場の下町、せんべろの聖地近くの立ち飲み居酒屋。

 仕事帰りの20代前半の3人組。

 女性も一人はスーツだし、男性もオフィスカジュアルスタイルだ。

 女性の服装が異なるから、もしかしたら大学の同級生なのかもしれない。

 

「ほんっとにイラつく!」

 

「天沢が悪かったな……」

 

「まーまー飲みなよ松下さん♪」

 

 私は珍しく怒ってた。

 

 綾小路くんの使いという天沢一夏という女。

 先日、店に買いに来た時にウチの車にあーでもないこーでもないとケチをつけ始めたのだ。

 

 別にそこまでバイト先に恩がある訳ではない。

 父が外交官をしているため、港区には住んでいるわけだが、大学入学と共にアルバイトの誘いを受け了承したものだ。

 青山学院大学。

 ランクが少し上の上智や慶應に行きたかったかと言われるとそうなのだが、青山学院大学のオープンキャンパスに行った時の衝撃は忘れられなかったのだ。

 

 職場ではチヤホヤされるし、来客は勝手にこちらを新人だと見て難しい質問もしてこない。

 つまり今の私は社会にルックス以上のものを求められていない。

 店内に女子大生がいると華やいで、私を求めて来店する客を増やそうという会社の下心は分かっていた。

 

 しかしそんな状況も変わる。

 

 急に櫛田さんから連絡があり、綾小路くんを連れてきてから──。

 

 富裕層の接客はしたことがあるが、こうもポンポン決めるものではない。

 金額もそうだが、比較対象があるからだ。

 高価格帯ならば欧州産の別会社との比較が必ずある。

 燃費の問題もあり、形が同じなら日本車が優勢だ。

 

 ウチにはウチが好きなロイヤルカスタマーがおり、その人たちに救われている。

 車両スペックはもちろん良いのだが、サスペンションや、エンジンなどの細かい性能は分からない。

 それでも、各社がそろって差別化をしているのは当然の事。

 

 実はそのロイヤルカスタマーでも、富裕層というよりは一般のサラリーマンの方が割合は多い。

 必ずローンを組むし、修理時の交渉もするし、車検の時はよその整備工場に流れる時も多々ある。

 保険も会社で進めるのではなく、ネット保険を使うような、そんな人たちだ。

 

 綾小路くんは、櫛田さんから「今からヤバいやつ連れて行くから定価で売ってやって!値段は気にしないから!」と、誰かも教えてくれない興奮した電話を貰い接客したが、その通りであった。

 

 そもそも接客しているときから気付いていたが、一切値段を見なかった。

 

「手続きはどうすればいいんだ?」と、「それで進めてもらって構わない」以外交わした会話があっただろうか。

 

 思うに値段交渉という時間そのものが、彼にとって弊害で、お金の概念そのものが、勝手に懐に入ってくるものであって、その懐があまりにも大きいから多少の事では何も思わないと、そんな感覚なのではないだろうか。

 つまり、大きく出さなければ、大きく貰うことも出来ないが、100円のものを200円で買う事は出来ないので、値段交渉が前提のディーラーだろうとも交渉せずに定価で買う。

 

 一言で表すことの出来ない、「ヤバイ」しか言えなかった自分が恥ずかしいが、それ以上の語彙力を持っていなかった。

 

 欧州では、10億ユーロ以上の資産所有者はビリオネアと呼ばれる。

 日本で1700億円以上の資産を持つ人の定義だが、綾小路くんを見てすぐに私の嗅覚に反応した。

 彼は1年でビリオネアになったのだ。

 恵まれた家庭に生まれ、そんな両親の関係者と関わりの深い私だからこそ分かる匂い。

 

 ──そんな人が、身近に。

 

 ──欲しい。

 

 中世のお城の物語の、政略結婚の話を思い出す。

 

 今日は6月の平日。

 敵がいないのは分かっている。

 自動タクシーの監視カメラを常に見ている女も、彼の会社のパートナーも、先日見た憎々しい後輩だって。

 

 大チャンス。

 今日が勝負なのだ。

 

 2

 

 京成立石駅という葛飾区にある駅がある。

 

 そこの超人気の居酒屋。

 安居酒屋だが、他のサラリーマンやOLのお姉さま達に混ざり、私たちは乾杯した。

 

 [綾小路くん立ち飲み居酒屋って知ってる?]

 

 そんな感じで送った。

 当然メッセージの前に、天沢一夏に対する愚痴も言わせてもらった。

 

 あの子は上司と天沢さんに挟まれる私を見て、面白がっていた様で、綾小路くんが決断したことなのにも関わらず契約の取り消しを仄めかしてきた。

 残念ながら仄めかしとは分かっていたが、彼なら彼で理由も聞かずに了承してしまう恐れもあったため、内心ではビビっていたのだ。

 

 たっぷりと愚痴を聞かせた後、佐藤さんと共に彼をハメる算段を立てる。

 

 彼のもとには佐藤さんの会社の支店長が接待をしたいからと伝えていた。

 

「支店長は来ないのか?」

 

「ちょ……と待ってね。遅れているのかなぁ。不動産業って急な契約もあったりするからねぇ」

 

 ごそごそと携帯をバッグから出して、触る佐藤さん。

 

 あかんでそれ。バレる……。

 

 選ぶ相手を間違えたかもしれない。

 

 しかし、私の仲間は彼女しかいない。

 

 軽井沢さんは綾小路くんを神か何かだと思っていて私の狙いをカミングアウトすることすら出来ない。

 

 思わず顧客さんの口癖が出てしまった。

 声の大きな顧客さんは大体が関西弁だったからだ。

 

 3

 

 結局怪しまれずに、なんとか0時を回った。

 

 私たちの仕事が終わった後での合流。

 21時から開始して3時間。

 まだまだ体力的には余裕だ。

 

 2人には酒を飲むから皆で電車でと伝えていた。

 

 佐藤さんの上長も来る予定。

 おじさんの酒を飲まない若者は、顧客だろうと年功序列のルールでは論外だ。

 それを知らない訳がない綾小路くんも、「分かった」と返信をくれた。

 

 今は店を代えて2件目のカラオケルーム。

 

「ごめんね、綾小路くん、支店長なんだけど、やっぱり仕事で来れないみたい……。終電もなさそうだから、近くのホテルに泊まってって。経費出してくれるからさ」

 

 佐藤さんの片言がさく裂したがまぁ及第点はあげられるだろう。

 

「それにしても暑いね……」

 

 と、1枚脱いで白のワイシャツになる佐藤さん。

 

 佐藤さんに内心でグッジョブをしていると、歌い始める。

 

 彼女は感情を込めて熱唱し始めた。

 

「うまいねー、佐藤さん」

 

 そう言ってみる。

 

 ダウンライトにしていい感じのムード。

 

 綾小路くんは何を考えているのか分からない顔。

 だが、こちらの策略はバレている前提で動いた方が良い。

 そうしなければ意図を伝える前に離脱することが容易だからだ。

 

「あの…綾小路くんちょっと良いかな」

 

 スカートのふとももを見せる。

 私が一切やってこなかった女を見せる感じ。

 初めての試み。

 

「どうした?」

 

 息を吸う。

 

「騙したわけじゃないんだけど、結果的にこうなっちゃって申し訳ないなって」

 

「別に松下が悪いわけじゃないだろう?佐藤の会社もいろいろあるってことだな」

 

 本当なら私の上司もいるはずだったのだが、それは早い段階で来ないと伝えていたことだ。

 

 始めに3人+2人の5人で開催すると見せかけたところで、3人。

 同級生だけになったのだ。

 普通なら「なんだよ来ないのかよ、結局同窓会じゃねぇか」である。

 新たな出会い、深く知らない相手とコミュニケーションをとる機会を失ったともいえる。

 

「だからさ、お詫びさせてくれない?」

 

「お詫び?」

 

 と言いながら、ソソソと綾小路くんの腕を掴む。

 

 大丈夫。

 このカラオケ店は地元の地主が運営している小さなカラオケ店。

 

 堀櫛と仲の良い私たちが言った、「私たちの会社の男の偉い人たちが綾小路くんにどうしても御礼がしたいから」という名目に、信用しないまでも深く気にはしないだろう。

 それに二人はただでさえ忙しいのだから。

 

「松下、ちょっと胸が見えてるんだが」

 

「メンズにとってこういうのはお詫びにならない?」

 

 と、ワイシャツの第二ボタンを開けて下着をアピールする。

 綾小路くんの膝に手を添える。

 

 彼の眼を見る。

 

 好きだとアピールする。

 

 そして彼の手をもって、私のふとももに手を置いた。

 

 更に。

 

 綾小路くんの反対側で立って熱唱する女子。

 

 彼女が歌いながら、恥ずかしそうに、なんと彼の左手を取り、手を組んだ。

 ただ組むだけではない、恋人繋ぎである。

 

 顔がモニターを見ながら、恥ずかしがりながらのソフトなソレ。

 

 そして極めつけ。

 

「ここにカメラとか、録音とかそういうのはないから安心して♪」

 

 綾小路くんが入り口に目を向ける。

 

 意味はない。

 カラオケ店のVIPルーム。

 黒の重厚な扉。

 

 彼の膝をソフトタッチしながら、近くにあるアレに目を向けて、さりげなくそこも触ると、少し硬くなっているのが分かった。

 

 勝ち負けの問題ではない。

 私も佐藤さんも、綾小路くんもこの状況に発情していたのだ。

 

「私、前から綾小路くんのこと狙ってたんだよね。佐藤さんと一緒に食べてみてくれないかな♡」

 

 佐藤さんの歌うバラードが終わった。

 

 涙ながらに熱唱する佐藤さん。

 高校での娯楽は主にカラオケだったから、曲のレパートリーだけでなく声の出し方も素晴らしい。

 

 そして流れを知っているかのように綾小路くんの近くに座り、繋いでいる手を自身の太ももに持っていく。

 

「……じゃ、そろそろ予約しているホテル行こうか♪」

 

 4

 

 私がシャワーに入っているとき。

 出たら既に始まっていた。

 

 ジャンケンで勝ったはずなのに、なぜか負けた気がした。

 

 明治時代に栄えた町工場の下町、せんべろの聖地から徒歩15分。

 カラオケまでは10分位歩いた。

 

 古めのホテルだが、ツインルームがあり、セミダブルベッドが二つで、3人泊まれるのだ。

 

 バス・トイレ一緒なところは少し嫌だが、高校の寮と比べるとそこまで遜色はないと思われた。

 

 シャワーから上がり、部屋を見ると、手前側のベッドで始めている男女。

 

 既にダウンライトにしており、間接照明だけがついていた。

 

 確かにシャワーは人より長いが、どうしてそうなった?

 

 

「きもちィィ……♡ソコ………」

 

 

 同級生の女子が喘ぐ。

 

 なんか複雑な気分。

 

 私は見ないふりをして奥まで行って、1脚のソファを運び、ベッドの近くまで持っていく。

 

 流れ作業のような綾小路くんの愛撫。

 ベッドに腰かけ、彼が座りその上に佐藤さんがもたれかかっている。

 

 服は既に半脱げの状態。

 

 佐藤さんの口に綾小路くんの手が突っ込まれており、唾液が出ていた。

 

 突っ込まれている手は左手であり、彼は右手で佐藤さんの下腹部を下着越しに撫でている。

 

 私に気付かないのも無理はないかもしれない。

 

 彼女が相当トリップしているせいだ。

 

 

 しかし、今日はボーナスタイムのはず。

 

 私は白のガウンを着たままそっと二人の元へ近づいた。

 

 そして、綾小路くんの背中に近づき、胸を押し当てる。

 

 彼はこちらに気付くものの、佐藤さんの相手をしているため何もしてこない。

 

 カプ

 

 私は彼の耳をかむ。

 

 カプ

 

 チュル

 

 チュル

 

 チュル

 

 頭に振りかけているだろう何かの香水の良い匂いがした。

 

 綾小路くんの耳の味を担当しながら、顔を触り、こちらへ。

 

 すぐ下では佐藤さんが喘いでいるすぐ上で

 

 ──私は彼にキスをした。

 

 チュパ

 

 チュプ

 

 チュ……チュ…

 

 音を立てながら綾小路くんは佐藤さんの、もう残り1つになったワイシャツのボタンをはずし、下着をあげて胸をあらわにする。

 

 女性相手でもきれいなとんがった乳首が桃の先っぽに付いている。

 

 それを彼が触ると「あぁン♡」とひと際大きな声が出た。

 

 マジか、私も行為の時はこんな感じなのか。と少し引くものの、そうだ今日はボーナスステージだと思いなおし、キスに集中する。

 

「舌出してよ♡」

 

 と言いながら、唾液を含ませた唇を綾小路くんの口を遊ばせる。

 

 すると、ピクリと、下の方で反応があった。

 

 佐藤さんが動きを止めたのだ。

 

「──ちょ……ちょっとぉ、松下さん、それは反則じゃないかな」

 

 いつもの佐藤さんと異なる反応。

 私と綾小路くんの唇は離れていた。

 

 ジト目をこちらに向けて来る。

 

 私に。

 佐藤さんは高校1年生から彼の事が好きだ。

 その彼とキスをしている私を見るのが嫌なのか。

 

「あ、ごめんね」

 

「あたしもごめんだけどぉ、順番は守ってくれないかなー?」

 

「わかった、わたしは後ね」

 

 そう言いながら身体を離す。

 

 手持無沙汰になるが、とりあえず近くに置いていたソファに座る。

 

「そこで見るの…?ちょっと恥ずかしいんだけどー」

 

「そんなまじまじと見るつもりはないんだけど」

 

「…良く分かんないんだ・け・ど!この空間から離れて欲しいって言うか。その、下の方にロビーがあったでしょ?そこにいて欲しいって言うか」

 

 女子同士に緊張感が走る。

 佐藤さんは私という協力者をここで切りに来たのだ。

 さも、後で半分上げるからいいでしょ?的な、そんな雰囲気で。

 流石、この辺りは生粋のギャルと言える。

 ナチュラルギャルなのだ。

 

 何も言わずに様子を見る綾小路くん。

 ワイシャツから見える鎖骨がセクシーだ。

 高校の時はおぼろげな目で、何を考えているのか分からない表情をしていたのに、こうやってダウンライトに照らされている所を見るに、そんな所もエッチに見える。

 当時より大人びた顔、下から見上げられるとその整った顔立ちに目が奪われてしまう。

 

「…佐藤?」

 

 彼が名前を呼んだ。

 

「あ、ごめんね、少し萎えちゃったよね?」

 

 腰辺りに感じる彼のアレの様子を感じて佐藤さんがそんな事を言った。

 そしてこちらに向き直る。

 

「あー、じゃあ松下さん、ごめんだけど、急いでもらえるかなー?」

 

「う、うん。ごめんね、ちょっと着替えさせて?」

 

 先ほど脱いだばかりのスーツを着る。

 

「ごめんね、先に話しておくべきだったよねー」

 

「ううん、どれくらいで戻ってくれば良いかな?カギ一つ持って行っちゃうね」

 

「えっと……3時間くらい?」

 

 それだと長い、3時になってしまう。

 

「私も明日予定有るから、出来れば1時間くらいにならないかな?」

 

「うう~ん……ま、分かった、いいよそれでー」

 

 言葉では謝っているが、内容は残酷であった。

 女とは男の前で変わる。

 好きな男の前で友情は瓦解するのだった。

 

 5

 

 私は今羞恥プレイを受けている。

 

 目の前で、凄まじい状況なのだ。

 勿論時間は守った。

 1時間。

 午前1時半ころに、ロビーから戻って来た。

 ロビーで携帯をいじっていると何度も声をかけてくるナンパがうるさくて、流石に警察を呼びそうにもなったが。

 ともあれ約束の1時間後。

 

 まだ終わっていない可能性もあったため、カギをそっと回し、家に深夜に帰った時の様、音を立てない様に入る。

 靴、クローゼット、バストイレの扉を通過し、室内。

 壁際にそっと伺うと──。

 

 軋むベッド、喘ぐ声。

 綾小路くんの責める言葉。

 軽井沢さんは何を仕込んだのか。

 

「あぁぁあ♡ダメだよぉ、もぉ、死んじゃうよ♡」

 

「お前がこんなにエロイとは思わなかったな」

 

「殺していーよぉ♡孕ませて♡ねぇええチューしてもっと♡もっとして♡」

 

「キスが好きなのか?」

 

「キス好きぃい♡チュ♡チュ♡ちゅー♡」

 

 うわぁ…。

 

 脱がされている衣服。

 合体する男女。

 首に回される腕。

 

 佐藤さんの足は綾小路くんを離さない様にガッチリと組まれている。

 

 壁際にチラっと彼のアレが目に触れた。

 

 デカイ……。

 というより太い。

 それに長そう。

 

 一瞬噂になって、艶っぽい顔に「えぇ、そおなのぉ?」という佐藤さんがいた事が思い出される。

 軽井沢さんの前では決してその話題は出さなかったが。

 

 1時間。

 なんなら今から本番なのかもしれない。

 

 なぜならゴミ箱に黒い液体をふき取った後のティッシュが置いてあったからだ。

 黒いというのは見えているのはダウンライトに照らされた明りから見える光で、色が分からないからだ。

 色はきっと茶赤だろう。

 

 それにしても、なぜあんなに佐藤さんは幸せそうな顔をしているのだろうか。

 綾小路くんの顔は相変わらず無表情。

 ゆっくりと下半身を合体させながら”まぐあい”という言葉がぴったりの、下半身をゆっくりとお互いに打ち付ける構え。

 

 クちュ…くチュ…クチュ…ちゅ…

 

 と、嫌らしい音が聞こえて来る。

 それは彼らの下半身から聞こえて来る音であった。

 

 そこで私の下腹部も熱くなってきた。

 

 うわぁ……。

 

 今から私もアレをやるのかぁ…。

 

 少し日和ってしまう。

 

 好きな人、恋愛、性行為。

 それらは知識として知っているが、感情として知らない。

 高校の時に先輩に言い寄られたことはある。

 だがそういった事から自ずと避けて来た20歳の女。

 

 仲の良い同級生は、早かったように思う。

 高校2年生で卒業した軽井沢さんに、篠原さん。

 取り残された私と佐藤さん。

 少し焦っていたのもあるかもしれない。

 

 それにしても……。

 

 佐藤さんのあの変貌ぶり。

 何かあった。

 

 1年に1度しか会えない織姫と彦星がまぐわうがのごとく。

 

 不器用な佐藤さんが腰を動かし、それに合わせて綾小路くんも腰を打ち付けていく。

 

 クちュ…くチュ…クチュ…ちゅ…

 

 なげぇ……。

 戻ってきてから15分くらい経っている。

 時間を守らない佐藤さんにイラつく気持ちはあるものの、それと同じように感じるものがある。

 目が離せない。

 

 じわじわと下腹部が、どんどんと熱くなって来る。

 

 自分でイタしたことはないが、今日は男でヤろうと思っていた。

 男とヤるのであれば、理想の高い私、彼以外の選択はあり得なかった。

 

 しかし。

 

「ぁ~ん……もっとずっとこうしていよぉよ♡あやのこうじクン♡」

 

「そうだな、俺も佐藤とずっとこうしていたい」

 

「ねぇ、さっき言った言葉もう一回言って?」

 

「恥ずかしいな……」

 

「お願い♡お願いするから♡」

 

「さっきの言葉は俺自身、大事にしている想いだ、そうやすやすと言ってあげられない」

 

「えぇ…そぉなのー?でも、うん♡ごめん、やっぱりもっかい聞きたい♡」

 

「ダメだ、わがままな女だ。下が今、すごくワガママなのに、口もわがままなのは許さない」

 

「アァ……ごめん、ごめんねぇ♡あたしを捨てないで♡あやのこうじクン…いけない娘で、わがままな娘でごめん♡」

 

 

 何があった…。

 

 

 すると彼は佐藤さんの両足を持ち上げ、手でホールドした。

 

「えぇ?どうしたの…急に…あぁ♡ァア♡アッ!!!♡」

 

 パン、パン、パン!

 

 と佐藤さんに打ち付ける。

 

「佐藤の可愛さに我慢できなくなったんだ……悪いがそろそろイキそうだ……」

 

「ゥ、ン!!一緒にいこぉ!♡」

 

 ンン~~~~~ッ!

 

 と、喘ぐのを今更我慢している彼女。

 

「………ァアッ……!」

 

 そして佐藤さんは急に脱力する。

 

 綾小路くんはそれを見た後、まだしばらく挿れたままにしていた。

 そして一瞬こちらに目を向ける。

 

 目が合ってしまう。

 

 その後、放心状態の佐藤さんの頬にそっと触れ。

 宇宙にいるであろう彼女の耳元で何かを囁く。

 

 既に放心状態だった佐藤さんは、その言葉に反応し、口角を上げると彼を抱き寄せ、満足そうに寝息を立てた。

 

 綾小路くんは佐藤さんに抱き着かれたまま布団周りを綺麗にし、そのまま腕枕を始める。

 

 やがて、3分程経ち、私も余韻に浸っていると、彼はベッドから立ち上がり、こちらに向かって来た。

 

 ──私は先ほどの様子を見て、ドキドキしてしまう。

 

 ──始めて感じる感情なのかもしれない。

 

 カッコいいと憧れていた存在が、可愛いに変わるような。

 

 目じりが下がった目。

 佐藤さんの唾液で濡れている唇。

 それに鎖骨、ほどよく整った胸筋。

 そして割れている腹筋。

 

 はああああ……?

 

「……見てたのか?」

 

 存在が声をかけてくる。

 

「う、うん。時間だったし──」

 

 と言った時。

 よろっと彼が、何かにつまずいたのか、こちらに身体を傾けて来た。

 

 そして、壁に手を着いた。

 

 顔が、近い──。

 

「エロイんだな、松下。見た目は出来る女って感じなのにな」

 

 身体が、全身の血が沸騰した感じがした。

 

「い、いや、別にエロくないよ?同級生の変貌ぶりにちょっと…ね…」

 

 実際エロくないと思う。

 すごい人はすごい。

 その事ばかりを考える女子だっている。

 2年2学期の時の軽井沢さんがそうだった。

 それに、軽井沢さんはマシな方だろう。

 上には上がいる。

 世の中にはハプニングバーというバーだったり、乱交パーティというものや、BLにエロスを感じる者、その逆など。

 広い世界が広がっているのだ。

 

 それに比べて私は淡白な方だと思う。

 

「……佐藤さんとので疲れちゃったでしょ?私は別に次回でも……」

 

 と、生粋の気遣いを見せようとする。

 本心ではないのだが──。

 

「そうか。身体はそうはいっていないみたいだけどな」

 

 そう言いながら彼はサッと太ももを撫でて来る。

 

 んッ。

 

 声が出そうになるのを我慢した。

 手を、指を見せて来る綾小路くん。

 そこには、テカテカと濡れた液体がついていた。

 私は自分のふとももを見る。

 

 あぁ!!

 

 垂れていた。

 

 ミニスカートが少したくし上げられ、パンツの先端が見える。

 

 湿っていたとしても色の変わらない、レースのパンツ。

 

 水色の、高いブランドもののヤツ。

 

 それに私は下腹部を気にしていつも生理用品を、生理ではない時でも使っている。

 匂いを気にするからだ。

 

 まさかそれが、収集しきれない液体が出ているとは…!

 

「……こ、これは……その……」

 

 言い訳を考えていると、彼は指を擦り合わせていた。

 すごく恥ずかしい。

 顔が熱い。

 私もしらない、恥ずかしい秘密を握られたようだった。

 

「…き、汚いよ…」

 

 他人には人一倍気を遣うワタシ。

 おしっことは別の部分だが、この辺りから出る体液。

 それに汗も、唾液もそうだが、動物の身体から出るものは大体汚い。

 

 手をもじもじさせる。

 

「確かに汚いかもな」

 

 そんな事言わないでほしかったが。

 私の言った事だ。

 

 そして彼は命令して来た。

 

「松下。お前の汚い所がもっと見てみたくなった、自分でスカートをたくし上げてもらえるか?」

 

 6

 

 屈することが出来ず、私はスカートをたくし上げる。

 

 顔が近かった彼が、少し離れてその様子を見る。

 

 うわ……。

 パンツ1枚の綾小路くん。

 

 下腹部が少し、盛り上がってきたかもしれない。

 

 足の間から出ている液体を拭きたい衝動に駆られるが、今はスカートをたくし上げるので精いっぱいだ。

 

 彼は中腰になり、見ていた。

 ジッと、私の下腹部を。

 

 そして、もう直接的に言って来た。

 

「お前のまんこを見せてみろ」

 

 くッ……。

 卑猥な言葉。

 だけど、分かりやすい命令。

 

 私は何も言わずに、そのままパンツを脱ぎながら、生理用品をサッととって隠す。

 

 握れば液体が漏れて来そうなそれを、とりあえず右手に隠した。

 

 誰にも見せたことの無い、大事な部分。

 自分で自分のがどんな形なのかも分からない。

 

 それ程、縁がなかったからだ。

 

 だが、汚い場所という事は分かっているのでエチケットは欠かしたことがない。

 

「……なるほど」

 

 何がなるほどなのか。

 

 綾小路くんはそう言い、ゆっくりと右手を私の下腹部に当てて来た。

 

 ピクリと震える私の身体。

 

 ピチャ

 

 と、音が聞こえ、たっぷりとした液体が彼の掌に浸透した。

 

 すると綾小路くんはそのまま立ち上がり、濡れていない方の手でパンツを脱いだ。

 

 露わになる大きな、ちんこ。

 

 それに塗りたくった。

 

 そして、先端を私の少し毛の生えた部分に擦りつけた。

 

 入りそうで、入らなそうな、入口をグチョグチョと行ったり来たりを繰り返す。

 

「……な、なんかエッチだね……」

 

「あぁ、えっちだ。松下」

 

 入口付近の性感帯を刺激され、感覚の波が徐々に高くなっていくのを感じる。

 

 佐藤さんは上手く喘いでいた。

 私にあんな事、出来るのだろうか。

 

 彼の下腹部が、行ったり来たりを繰り返す。

 強弱が付けられ、触れるか触れないかという時もあったが、時に力強く挿れられるかもしれない状態にもある。

 

 たくし上げているスカート。

 両手でスカートを支えているが、もういらないのではないか。

 

 ずっと下腹部を見ていたが、そろそろ我慢が出来なくなってきた気もする。

 

 ンンッ……♡

 

 私は自分の口から漏れ出ている声に、驚きはするが、自然に出てしまったものなので放置した。

 

 動悸がする。

 

 ふっ…ふっ…フッ…

 

 ジョギングをしている時に感じるような、気持ちの良いリズムが身体を侵食する。

 その何百倍も、今の方が気持ち良かった。

 

 そして彼は中腰のまま私の腰に手をあてた。

 

 壁にくっついている、お尻の方に手を回す。

 

 そのまま、私のお尻を持ち上げた。

 

 宙に浮いてしまうと抵抗がなくなるが、ガッチリと彼に持たれたまま。

 

 身長が少し高めの私、体重は軽い方だが、それでも軽井沢さんや佐藤さんと比べると重い。

 

 足が、開かれていた。

 

 次の瞬間。

 

 下腹部に衝撃が走った。

 

 壁に掛けていた体重を、前に。

 綾小路くんの方に掛ける。

 

 必然的に、両手で彼に抱き着くような形になる。

 

 ──入って来た。

 

 ──入って来たのだ。

 

「うっ!」

 

「痛くないか?」

 

 痛かった。

 でも、そんな事言っていられない。

 

「だ、大丈夫だよ」

 

 というと、綾小路くんはジッと私の目を見て来た。

 思わず照れてしまう。

 勘違いかもしれないが、少し気持ちよさそうな顔をしていた。

 

 そして、彼の右手が私の腰に添えられ、抱きしめられた。

 

 変な格好だ。

 蛙みたいだ。

 

 片手はお尻、片手は腰をガッチリと掴まれ。

 

 下腹部同士が繋がっている。

 

「先が入ったから、奥まで入れるぞ」

 

「うん…」

 

 少し先を入れ、また戻し、また先を入れ戻す。

 

 ゆっくりと先だけでピストン運動をしながら、徐々に深く入って来る。

 

「どうだ?」

 

「大丈夫……ふぁッ…」

 

「奥まで入れていいか?」

 

「うん…」

 

 そして、グイッとお尻を押し込まれ、奥まで挿入される。

 

「ぅ…ぁ……」

 

「入ったぞ、痛いか?」

 

「ちょっと…でも、想像していたのより平気」

 

「そうか、じゃあ、しばらくこのままでいよう」

 

 綾小路くんに挿入されたまま、熱くなる身体。

 切なそうに見えて、顔を近づけていく。

 そういえば、佐藤さんとキスをした後だったっけ。

 

 私で、上書きしてあげないと。

 

 唾液を出して、彼の唇にむしゃぶりつく。

 

 彼も積極的に唇をくっつけて、下を絡めて来る。

 舌を搦め手お互いの口をむさぼりながら、ゆーっくりと腰を引いて、また入れてを繰り返される。

 

 この体制とは言え、綾小路くんは疲れないのだろうか。

 疲れが見えないが、キスをした時に彼の呼吸を感じた。

 

「んっ、ふぅぁ…ぁあ…」

 

 初めてなのに、自然と漏れ出る声。

 

 ただ、とにかく大きいチンコが奥を刺激してきて、少しペースを上げられると私がヤバイ。

 

 私のマンコが、チンコに勝手に絡みついて、彼のチンコをキュンキュンと締めていた。

 

「んっ、ぅぁ…ぁん…ぁっぁん」

 

「気持ちいいか?」

 

「ヒリヒリするけど…感じる…」

 

 始めは大きいと思っていたが、入ってみると意外と相性が良い事に気付く。

 軽井沢さんや佐藤さんと比べて身体が大きい私だ。

 佐藤さんとの先ほどの情事では、満足できなかったのではないか?

 彼を満足させることが、私のアドバンテージになる。

 私をもっと、愛してくれる。

 

 するとズンっ、と奥まで入って来た。

 

「ぅっ…」

 

「悪い、痛かったか?」

 

「ちょっとだけ…でも、平気」

 

 彼は奥まで突きすぎずにピストン運動をした。

 

「んっぅ…ぁぁぅ…ぅぅあん」

 

 奥ではない、手前側のGスポットを的確に攻めて来る。

 

 そして私のために腰を振っている綾小路くんの顔が、かわいすぎてかわいすぎて。

 高校の時から知っていた男子。

 それに、誰も頭の上がらない存在と、こうやって繋がっているという事を考えると、興奮してしまいもちそうにない。

 

 避妊の知識はあれど、流れで生で、妊娠するのはまずいと思うものの、背後関係を考えて、まぁ良いかと彼を全面的に信頼している自分にも気付いた。

 

 感覚の波が最高到達点に行きそうな時だ。

 

 ピタリと彼がピストン運動を止めた。

 

「……?どうしたの?」

 

 もう少しでイキそうだったのに。

 大きな声が漏れ出てしまいそうなのを、何とか我慢しながら。

 それでも動きを止めた綾小路くんに疑問を感じてそんな事を聞く。

 

 そして。

 

「松下、綺麗だ」

 

「は、恥ずかしい……」

 

「親友が寝ているそばで、仕事している服装で、俺に生でおかされている綺麗なお前」

 

 そんな事を言われ、ぶあっと恥ずかしさが押し寄せて来る。

 

 しかし、気持ちいいのだ。

 

 抗えない。

 

「や、やめてよ……」

 

「胸も、後で見せてもらえるか?」

 

「ぅん…良いけど……」

 

 いろいろ聞きたい事はあった。

 どこまでバレていたのか。

 とか、将来はどうするのか、とか。

 

 でも、そんな考えは頭から抜けてしまった。

 

「やめても、良いのか?」

 

「……ダメだよ……」

 

「どっちなんだ?明確にしてもらわないと、俺も出せない」

 

 彼もイキそうなんだ。

 可哀想に。

 イカせてあげないと、辛いだろう。

 

「やめないで……」

 

「あぁ、松下は本当に綺麗だな。当時からそう思っていた」

 

「ぇ、そんなことないよ」

 

「そんな事ある」

 

「んもー……キス、してくれる?」

 

「あぁ」

 

 私は目を閉じて彼の唇を受け入れた。

 

 チュピチュピと音を鳴らすも、その音には気付かない。

 

 キスに合わせてピストンが激しくなっていく。

 

 

 やがて吐息が荒くなっていった。

 

 

「──出すぞ。どこに出してほしい?」

 

 そんなの答えは一つしかない。

 

「中にッ!!中に沢山出してッ!!!」

 

 私の中に入っていた彼のモノが、ドクドクと波を立てる。

 私はそれを膣で感じた。

 中でビクビクするそれ自身も可愛いと思いながら、私も限界点に達する。

 

 ツツーと流れて来る彼の精液を感じ、私は満足した。

 

「気持ち良かったぞ、松下」

 

 彼にそんな事を言われて、佐藤さんに勝った気分になる。

 残念ながら今日は安全日である。

 私の生理周期は安定しており、ルナルナの管理も余念がない。

 

 でも、少し意地悪をしたかった。

 

「……妊娠したら、責任取ってくれるよね?」

 

 そんな重い言葉。

 軽井沢さんや佐藤さんじゃあるまいし。

 

 しかし、立場を弁えている私だろうと、先日の池君と篠原さんの結婚式が思い立つ。

 夢を追いながら、最強の旦那を手にする。

 なんて最高なのか。

 

「あぁ、責任を取ると約束しよう」

 

 籍は入れてもらえないかもしれないが、気にしなくても良い。

 両親には綾小路くんの事は伝えている。

 玉の輿のチャンスだと、母も面白がっていたし、父も会いたいと言っていた。

 来る予定の日にさりげなくバイト先に父が遊びに来ていたのだが、結局来たのは天沢さんと坂柳さん、そして月城さんだった。

 

 月城さんの様子を見た父は彼らを信用した。

 

 お互いにイった後の下腹部を繋げながら、キスを繰り返す。

 

「松下もイケたみたいだな」

 

「ぅん……これ、麻薬だね、今もだけど頭がぼーっとしちゃって」

 

 ふわふわと雲の上を漂いながらそんな事を言う。

 

「平気だったか?」

 

「うん、想像してたよりも全然大丈夫だった」

 

「俺だけじゃなくてお前もイケたようで安心した」

 

「でも、まだ出来そうだよ?どうしよっか」

 

 彼のものは、私の中で少し柔らかくなっている気がする。

 先ほどまではビンビンに硬かった。

 

「とりあえずシャワー浴びるか」

 

 そんな感じで、私たちは、私は立たされた。

 すると足の感覚がなく、よろけてしまう。

 

 彼はそんな私を抱き、ソファに一度連れてってくれた。

 

 立てるようになり、手でつかんでいた生理用品をゴミ箱に捨てる。

 

 パンツを水洗いするか考えていたが、それよりももっと快楽を味わいたかった。

 

 私たちは裸になり、一緒にシャワーを浴びた。

 

「ね、ここ舐めるんでしょ?教えてよ」

 

 綺麗な胸だなと、綾小路くんに言われて洗い合いっこをしながら、私はふにゃふにゃの彼のものを触った。

 

 そのまま舐め方を教わる。

 お返しとばかりに立ったままお尻を上げられ、お尻周りを舐められた。

 

 佐藤さんが寝ている横のベッドで、佐藤さんが万が一起きても裸が見えない様に、布団で隠れながら、私たちはドロドロに溶けあったのだった。

 

 

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