【完結】Angel-04 この世界の女には人権がない 作:コベヤ
悦びの機構Ⅰ
日常という名の皮膜の下で、自分だけが静かに腐っていく。
壇上で教授が喋っている。
だが、それ認識するよりも早く、言葉は霧のように溶けて消えてしまう。
チョークが黒板を刻む鋭い音、教科書のページが擦れる乾いた音、換気扇の単調な唸り、中庭から聞こえるかすかな喧騒──それらすべてが遠く、薄い膜の向こう側から響いてくるようだった。
その晩もまた、佐伯に「この後、飲み会来ない?」と誘われ、俺は曖昧に頷いた。
駅前の安っぽいチェーン居酒屋は、脂の臭いと湿気が肌にまとわりつくような場所だった。
騒がしさだけが取り柄のその空間でお酒を口に流し込む。
ただひたすらに、誰かと言葉を交わすこともなく。
やがて重たい眠気が頭の上から伸し掛かってきて、自分が存在していることへの憂鬱が胸を締め付ける。
落ち込んでいるのに、同時に怒りが湧き上がり、それが一瞬にしてやるせなさに飲み込まれる。
すべてがどうでもよくなって、テーブルに突っ伏し、その場で眠ることにした。
あの夜から、俺は歪んでしまった。
女の汗に濡れた肌が蛍光灯の光で白く輝き、手首に繋がれた鎖の鈍く響く音が耳に残る。
そして、犯されながらこちらを貫くあの瞳──その視線は俺の網膜に焼きつき、剥がれることなく脳髄を這い回る。
彼女の吐息が、熱く湿った記憶となって俺の内側に絡みつき、静かに、だが確実に俺を侵食していく。
──目が覚めると、俺は激しく勃起していた。
理由がわからなかった。
胸の奥に重たい無力感を抱えながら、それと同等か、いやそれ以上に昂っている。
これは絶望、それとも欲望か。
もはやその境界は失われてしまったのかもしれない。
滲み出す感情たちは互いに絡み合い、溶けきらずに内側で濁り続けている。
すでに飲み会は終わっていた。
会計を済ませて店の外に出ると、佐伯に声を掛けられた。
「あー、ムラムラする。ドールバーとか行かない?」
「いいよ、行こうか」
「おっ、珍しく乗り気だねぇ」
「……どうせもう終電も無いから」
と、それらしい理由を言ってみたものの、たしかに普段の俺なら断っていただろう。
けれど今夜は確認したいことがあった。
知りたいのだ。
自分の奥底で蠢いているものの正体を。
ひとけの途絶えた深夜の繁華街を抜け、ビルの裏手に隠れるようにして佇む地下階段を降りると、ネオンサインの薄明かりに「
受付を済ませ、狭い店内を進み、薄汚れたカーテンをくぐると、そこには現実から切り離されたような静寂が漂っていた。
むき出しのコンクリート壁には錆びた配管が這い、天井から垂れる小さな電球が黄昏色の光を頼りなく散らし、部屋全体を隠れ家的な安心感で包み込んでいた。
壁際に寄せられたベージュのソファには色褪せた青いクッションが無造作に置かれ、その前に並べられた小ぶりなローテーブルにはガラスの灰皿が置いてある。
フロアの中央は不自然にぽっかりと空いていて、その空白が何か禁忌めいたものを予感させた。
佐伯が複数あるソファの一つのどっかり座ると、俺はその隣のソファに深く座り込んだ。
手持ち無沙汰にポケットから煙草を取り出し、唇に咥えた。
ライターの火を近づけ、ゆっくりと吸い込むと、肺に広がる苦みに安らぎを感じ、吐き出した煙は天井へと昇っていく。
ぼんやりとそれを眺めていると、カーテンの向こうから忍び寄るような柔らかな足音が響き、やがて二人の少女が現れた。
少女たちはスケスケのネグリジェを着ていて、裸足で下着すら付けていない。
色は一色ずつ、一人は薄いピンクのものを着ていて、もう一人は黒のものを着ている。
ピンクのネグリジェを着た少女は、艶やかなダークブラウンの髪を水色のリボンで左右に結んでいて、ツインテールが揺れるのを見るたびに若さの中にある活発さを感じた。
肩に掛かる横髪が彼女の白い肌に影を落とし、大きく丸い瞳は無垢な輝きを放ち、口元にはにっこりと愛らしい笑みが浮かんでいる。
だが、その顔立ちとは裏腹に、ネグリジェを押し上げる張りのある胸はマシュマロのように柔らかで、彼女が歩くたびに誘うように揺れ、細い腹部とは対照的に、腰から太腿にかけての曲線は豊潤で、瑞々しい肌が見る者の欲望を掻き立てた。
一方、黒のネグリジェを着た少女は、真っ黒な長髪を背中に流し、そのストレートの髪型は落ち着いた、ともすれば冷ややかとも言えるような印象を持たせた。
鋭い視線は研ぎ澄まされた刃のようで、感情を切り捨てるような冷たさを帯びている。
胸は控えめでありながら、引き締まった身体に調和して、歩くたびにさりげなく揺れた。
細くしなやかな腰に、太腿は筋肉の硬さと柔らかさが絶妙に混じり合い、それは禁欲的な美しさを放っているとも言えよう。
二人の少女は部屋の中央に進み出ると、互いに見つめ合う。
ツインテールの少女は、愛らしい笑みを湛えたままゆっくりと長髪の少女に近づき、その頬にそっと手を添えた。
柔らかな唇が触れ合い、一度、二度、三度と羽のように軽いキスが交わされた。
そして、直後それを塗りつぶすようなディープキスが続けられた。
長髪の少女は一瞬、抵抗するように身体を硬直させたが、すぐに目を閉じ、その感触に身を委ねる。
舌先が互いの口内を探り合い、熱く湿った唾液が絡み合う音だけが静寂の中で聞こえる。
ツインテールの少女はキスを続けながら、細い指を相手の首筋に滑らせ、黒いネグリジェの肩紐をはらりと落とすと、そこから控えめな胸と小さな乳首が現れた。
そのまま手をゆっくりと胸元へと降ろしていく。
指先が膨らみの先端に触れた瞬間、長髪の少女の身体が微かに震えた。
ツインテールの少女はその反応を見て、円を描くように乳房を撫で回すと優しく乳首をつまんだ。
んっと長髪の少女の唇からは吐息が漏れた。
ツインテールの少女は唇を胸に寄せ、舌先で硬くなった先端を転がすように愛撫した。
乳首を舐めながら、慣れた手つきでもう一方の肩紐を外すと、ストンとネグリジェを床に落として、長髪の少女を裸にしてしまう。
そして、ツインテールの少女は露わになった両方の乳房を右から左へと舐め、左から右へと舐め続ける。
ピンと乳首の張った胸を唾液で光らせた長髪の少女は、快感に耐えかね、ツインテールの少女の頭を押さえ、背中を反らして離れようとする。
しかし、ツインテールの少女はその手を掴むと、長髪の少女が逃げるのを追い、立ったままの姿勢から徐々に膝を折り、床に座り込んでいった。
そのタイミングでツインテールの少女は自分の着るピンクのネグリジェをがばりと捲り上げた。
衣服に引っ掛かった豊満な乳房が、一度持ち上げられて、ネグリジェが頭から抜けると、ぷるんとゼリーのように揺れて露わになった。
今脱いだピンクのネグリジェを放り投げる隙に、長髪の少女も受け身から抜け出し、ツインテールの少女のその大きな胸に手を伸ばした。
彼女はそれを力強く揉みしだき、指で乳首を弾き、仕返しのように口に含んで吸い上げた。
ツインテールの少女は小さく声を上げ、刺激に集中するように目を瞑ると身体を寄せる。
それに応えるように、長髪の少女は胸にしゃぶりつきながら、片手でツインテールの少女の太腿を撫で上げ、内腿にひんやりとした指を這わせた。
そこはすでに熱を帯び、湿り気を湛えていた。
ツインテールの少女も負けじと長髪の少女を押し倒し、その上に覆いかぶさるようにして秘部に手を伸ばした。
指先が濡れた花弁に触れると、長髪の少女はいきなりの刺激に腰を引いた。
しかし、その手は膣にぴったりと張り付いていて離れない。
ツインテールの少女は花弁をそっと開き、露わになった敏感な珠を優しく撫で、巧みな指使いで彼女を追い詰めた。
長髪の少女は快楽を我慢するも、くぐもった喘ぎを漏らしてしまう。
一方、長髪の少女もツインテールの少女の秘部に指を入れ、互いの濡れた部分を掻き回し、快楽の波を高め合った。
二人は互いにしがみついて、キスをしながら蛇の交尾のように激しく絡み合い続けた。
湿った音と甘い吐息が混じり合って、部屋は淫靡な空気で満たされていく。
そして、二人は同時に絶頂する。
絡み合った熱が冷めやらぬまま、二人の少女はゆっくりと肢体を起こすと、俺と佐伯に向かってM字に脚を開き、自らの指先で愛液にまみれた秘部を露わにした。
薄暗い部屋に響くのは、彼女たちの荒々しい息遣いと、滴り落ちる透明な雫が床に小さな染みを刻む音。
ツインテールの少女は、まるでご褒美を待ちわびる子犬のように喜びに輝く瞳でこちらを捉えていた。
彼女の唇は半開きになり、熱っぽい息が漏れ出るたび、頬に浮かぶ紅潮が一層濃くなる。
対照的に、長髪の少女は顔をそっぽに逸らし、退屈を装った冷めた表情を崩さない。
だがその身体は正直で、わずかに震える太腿の間で、秘められた花弁が濡れ光り、表情と裏腹に滴る蜜が彼女の内面を裏切っていた。
その光景はまるで禁断の供物を差し出す儀式のようであり、隠されていた本能を掻き立てる。
「どっちにする?」
佐伯が低く笑いながら言った。
俺は答えを返す代わりに、ツインテールの少女を見つめた。
彼女は小さく舌を覗かせ、ヘッヘッヘと無邪気に笑う。
その瞳には抵抗の色はなく、ただ選ばれることへの純粋な期待だけが宿っている。
だが、その無垢な笑顔と、露わにされた肉体の卑猥さが交錯する姿に、なぜか胸の奥が締め付けられるような痛みを覚えた。
欲望と嫌悪が絡み合う暗い奔流。
彼女の無垢な在り方が俺の心を刺し、罪悪感が刃となって突き立てられる。
同時に、目の前に広がる淫らな光景が俺の理性を溶かし、熱い血を全身に巡らせる。
この少女を選ぶことは、俺の欲望を満たす甘美な毒を飲み干す行為だ。
その毒は俺を蝕み、内側から破壊していくことだろう。
奇妙なことに、その苦痛こそが禁忌の果実を味わう悦びに変貌するのだった。
佐伯が「じゃ、そっちね」と軽く言い放ち、ふと我に返る。
気づけば彼は黒髪の少女の手首を掴み、自分のソファへと引き寄せていた。
俺は思わず立ち上がり、口を開く。
「お、おい」
これから何をしたらいいのか。
佐伯に問いかけようとした瞬間、ツインテールの少女がそっと近づいてきた。
小さな足音と狭い歩幅。
その動作は幼くも妖艶だ。
彼女は俺の前で立ち止まり、柔らかな笑みを浮かべる。
その視線に射抜かれ、俺は一瞬気圧された。
「……どうした?」
声が掠れる。
彼女は答えず、ゆっくりと床に膝をつくと、細い指で俺のズボンのベルトに触れた。
慣れた手つきで留め具を外すと、ベルトを抜き取った。
そのままズボンもパンツが脱がされると、俺自身も驚くほどに膨張した肉棒が露わになった。
羞恥と興奮が交錯し、俺の息が一瞬止まる。
こんなに勃起していたとは。
ツインテールの少女は、俺の昂ぶりを目の前にすると、大きく丸い瞳を細め、喜びに満ちた微笑みを浮かべた。
彼女は一瞬の躊躇もなく顔を寄せ、熱く湿った吐息を俺の肌に吹きかけながら、柔らかな唇で先端をそっと包み込んだ。
唇の温もりとそのしっとりとした感触が快感となって、全身を瞬時に駆け巡る。
俺は思わず腰を引いたが、彼女は両腕で俺の太腿をしっかりと掴み、逃がさぬよう力を込めた。
その瞬間、彼女の豊満な胸が俺の足に押し当てられ、その柔らかさと弾力が肌を通じて伝わってくる。
温かくしっとりとしたその感触は、まるで絹に触れるような滑らかさを持ち、彼女が動くたびに微かに揺れて俺の肌を撫でた。
胸の先端がわずかに硬く尖り、俺の足に軽く擦れるたびに、彼女の身体が放つ熱を感じる。
少女の口内は温かく、ぬるぬると湿っていた。
彼女は積極的に顔を動かし、唇で優しく締め付けながら、舌を巧みに這わせる。
その舌は、まるで生き物のように柔軟で、時に先端を軽く弾くように刺激し、時に全体をゆっくりと舐め上げるように這った。
ちゅぷ、くちゅ、という唾液の混ざり合う音が、彼女の奉仕をいやらしく強調していた。
彼女は俺を見上げ、その瞳はやはり悦びに満ちている。
彼女の舌が亀頭の先の特に敏感な部分を執拗に攻め立てると、全身に電流のような快感が走り、俺の膝が震えた。
倒れそうになるのを堪え、俺は思わず彼女のツインテールを両手で掴んだ。
水色のリボンで結ばれた髪は滑らかで、指先に絡む感触が妙に現実味を帯び、彼女の動きに合わせて揺れるツインテールが、彼女の興奮を視覚的に表しているように思った。
彼女は俺の手の力を感じ取ると、さらに深くペニスを口に含み、喉の奥まで迎え入れるように動いた。
彼女の吐息が鼻から漏れ、熱っぽい喘ぎのような音が混ざり合う。
その瞬間、俺は今、他人を支配しているのだと認識した。
頭が腰からわずかでも離れれば、ツインテールを引っ張り、その度にこの少女を征服していく。
彼女の口内で脈打つ俺の肉棒は、彼女を従わせる力の源であり、彼女の喉が鳴るたびに俺の愉悦は深度を増す。
確かに俺は、この少女を手中に収め、汚す行為に喜びを覚えている。
彼女の唇が俺を締め付け、熱い唾液が絡みつくたび、俺は自分自身が獣と化すのを感じていた。
そして、快楽の波が押し寄せ、俺は抑えきれずに射精した。
彼女は口を離さず、熱い奔流を受け止めると、ゆっくりと顔を上げ、口内に溜まった白濁を見せつけるように開いた。
どろりと粘つく液体が彼女の舌に絡みつき、その光景は卑猥でありながらどこか神聖だった。
彼女は口を閉じ、ごくんと喉を鳴らして飲み下す。
そして、もう一度口を開けた彼女の口の中に精液は残っておらず、笑みを浮かべた唇の端に小さな犬歯が愛らしく覗いた。
その子どもらしい可愛らしさと、彼女が今しがた行った行為の退廃的なコントラストに、俺は一度果てたばかりだというのに、再び股間が熱く硬くなるのを感じた。