種付けおじさん戦記~勇者召還で外れスキルと言われ追放された元工場長の俺! これまで培った経済スキルで無双します! 作:鯉@
「いいんじゃないか』
「俺はその案に賛成する」
「ゴブリン如きに舐められるのは性に合わん」
「我ら人類のために、害獣は見つけたら、即座に駆除せねばならん」
隊長が静止しているにもかかわらず、意外なことに多くの賛同の声が上がった。
やはり、コック長を取り込んだのは正解だったな。
どうしてここまで大きな賛同を得られたのか。そのには大きく分けて2つの理由が存在している。
1つは、俺が部外者であるということだ。
もともとこの隊商内部では、現在の隊長とベテランとの間で、権力の綱引きが行われている、
要するに、新入りに口出しされたくないベテラン連中からは俺が自ら道を譲ってくれるのならば、それは願ったりかなったりなのである。
2つ目はこの世界の文化。
平和な日本だと、暴力性、勇敢さを尊ぶというのは想像できないだろうが、要するに、この世界の人間は武士のような価値観をいまだに保っているというのである。
なめられたら殺す、それがこいつらの行動原理だ。
皆の応援を受け、ドワーフ、獣人、そして人間の冒険者。
俺をいれて12名がゴブリン討伐に参加することになった。
「ああ、もう分かった。
好きにしろ。ただし、毎日、正午には狼煙をあげろよ。
さもないと、位置を特定できないかもしれないからな」
隊長はカンカンに怒りながらも、最終的に俺を応援してくれることになった。
「3日間は街で待ってやる。その間には必ず、隊商に合流しろよ」
と、最後には激励してくれるのだから、ツンデレなのかもしれない。
これで、男ではなく、ツインテールの年下系の妹だったら、俺はもしかしたら、惚れていたのかもしれないな。
「さぁ、レイグ頼むぞ!」
俺たちはグレイウルフを先頭に、山道を進んでいく。
急斜面を登っていくと、岩場の奥まった場所に複数の小さな足跡残っているのが目に付いた。
「げっげっげっげっ!」
そこからは、敵の見張りを警戒して、身をかがめゆっくりと前に進んでいくと、やはりいた。
俺はパチンコを、横にいた冒険者は弓を構える。
……シッ!
よし、一発命中。
まだ気が付かれていない間に、さらに奥に切り込んでいく。
しばらく進めば、岩の隙間から、声が聞こえた。
「だ、誰か助けてぇ!」
そこからは、ナフリーの声が響く。
どうやら、盛りのついたゴブリンが我慢できずに、浅い階層で彼女を襲い掛かったのだろう。
おかげで、ここまで声が聞こで、スムーズに発見できた。
できた。
入り口は狭い岩場。当然だが、侵入できるのはドワーフの親方しかいない。
無言で、4人を見つめると、無言でうなずいてくれた。
その筋骨隆々の肉体からは信じられないほどに、軽快な足取りで、岩の中に飛び込んだ。
しばらくすると、鉄の匂いが俺の鼻を刺激した。
岩場が地面操作のスキルで小刻みに揺れ動くと、そこには彼女と、細くともしっかりと通れるだけの道が出来上がっていた。
「さあ、やるぞ」
俺の掛け声とともに、鉄の靴を履いているというのに、静かに洞窟の中を進んでいく。
俺のコンドームのおかげだ。
靴にコンドームというゴムを張り付けることで、衝撃を和らげ、音が出なくなる。
「いまだ、かかれぇ!」
やがて、大きな広間のようなところに出ると、そこでは昨日の夜襲に参加していたゴブリンたちが、怪我の治療をしたり、睡眠をとって休んだりしていた。
その無防備な横っ面を俺たちは全力で殴りつけた。
「コンドームッ!」
俺はいつまでの童心を忘れない男。
必殺技の名を全力で叫ぶ。
でさ、このコンドーム意外と便利なんだよな。
何せ、中が空洞になってさえいれば、複雑な形は作れないが、長いひも状のものならばいくらでも作れる。
例えば、岩に括り付けて、モーニングスターのように振り回す。
相手を動かさないように、しばりつける。
あるいはそう、縄のような形状を作りだし敵を捕獲することもできる。
俺の手からは、網状に加工されたコンドームが放たれた。
閉所であり、攻撃能力のあるスキルを皆が使えないのだから、俺のように攻撃性能がない技や、身体能力の強化組が幅を利かせていた。
不意打ちかつ、怪我人が相手だからこそ、一気に5体のゴブリンを捕獲で来た。
相手の動きはまだ鈍い、しかし、人数は向こうが上。
だからこそ、サムエラを始めとした、身体能力を強化可能な面々が動いた。
網の上から、容赦なく刺突が放たれた。抵抗がなくなる前に、俺は網から手を離した。
「仲間を救うために動いたのか……」
話に効いた、下っ端のゴブリンとはずいぶんと印象が違う。
知能が高い、上級ゴブリンなどは例外で、知能が低い低級ゴブリンなど、ほとんどがタダの野生動物。
仲間よりも生存本能を優先するというのだが……。
どうにもこいつは違うらしい。
生憎と、俺は見た目から、上級と下級ゴブリンの違いは分からないので、もしかしたらこいつは上級ゴブリンなのかもしれない。
周囲を見る。
しかし、この場においては敵の方がずいぶんと多い。
戦闘に関しては、完全に初心者なので、誰か一緒に戦ってくれる人はいませんかと、助けを呼んだが、どうにも動いてくれる人はいないらしい。
目の前にいるのは、どうにも色の薄いゴブリンだった。
通常は緑色だというのに、どこか透けているというか、透明感がある。
「げっげっげっげっげぇ!」
牙をむき出し、こちらに飛び掛かってくる。
向かってくる相手に対して、俺は木の棒の先に、ナイフを取り付けた、即席の槍をふるっていく。
どうにも、こいつはゴブリンの中においては地位が高くないらしい。
他の連中が持っているような剣を始めとした武器を持っていない。
「来るなよ」
せい、はぁ、とぅ!
槍を縦横無尽に振るうのに、届かない。
そう、相手はそこまで強くない、しかも無手だ。
しかし、俺はどこまでもへっぴり腰だった。
AかBか
リーチにメートル単位で差があるというのに、結局のところ俺はゴブリンに手を噛まれた。
痛い。
しかし、体格の差はいかんともしがたく、俺はそのままこいつの体を槍で切りつける。
そのままこいつは反転し逃げだした。
どうやら、俺が知らない抜け道があるのだろう。
後、どうしてか、あいつの色合いが変わったような気がするんだが、いったいどうしてだろうな。