種付けおじさん戦記~勇者召還で外れスキルと言われ追放された元工場長の俺! これまで培った経済スキルで無双します! 作:鯉@
――ガタンッ!
山小屋で人の気配がするたびに、私は勢い良く立ち上がり、椅子を倒してしまう。
もうあきらめているのに、夫が帰って来たのではないかと思い、小走りで駆け寄ってしまう。
「行商のものだが、一晩ここを使ってもいいだろうか」
でも、扉を開けるとそこにいたのは、小太りな男。ツルヒコだった。
②その人の置かれた近況を紹介し、
待ち人が来なかったことにがっかりとしてしまうが、そんな失望を客人に悟らせるわけにはいかない。
「今、お茶を用意します」
私はここに訪れる皆をもてなすために、山小屋の中にあるコップをあるだけ引っ張り出して、そこにお茶を注いでいく。
どうにか、行商の本体が彼のところに合流する頃になると、ここにある一番大きな鍋から湯気が立っていた。
とはいっても、こんなものでもまるで足りない。
全部で100人ほど入るのではないだろうか。
これだけの大人数を相手にするのは一体何ヶ月ぶりだろうかと、ふと考えてしまう。
これほどの大人数が協力してくれるなら……。
とは思ったものの、さすがに何のかかわりも内部会社に頼るのは違うだろうと思いなおし、道中で何か変わった者はなかったかを訪ねるのにとどまった。
結局、外では雨が降り、足止めされたさなか、ふとこちらの事情を語ってしまい、行商の隊長が夫の捜索に手を貸してくれると言ったが、もう心の整理をつけていたものだから、私は断った。
私は長い間、この山で育った。
狩りの最中に返り討ち、土砂崩れ、遭難。
ここは恵みをもたらす楽園であり、恐ろしい魔界であった。
実りと冬、天と地、生と死。
それらが舞台の裏と表。完全に調和された世界である。
動物も人間も、必死に生きても次の瞬間は何者かの糧になっている。そんな世界だ。
だから、夫については未練はあるけど、納得はしている。
この山の中で死ぬことにはもう慣れっこだからだ。
それはそれとして、敵討ちは絶対にするけど。
もっとも、その敵討ちに関しても、今まさに時間切れがやって来た。
私は行商とともに、町へ下るのだ。
ふらりと、ここに寄ってきた仲間たちが残した肉なり毛皮を行商に運んでもらう。
その代わりに、責任をもって道案内をするし、街についた場合、宿の割引を行うこととなっている。
でも、神様は意地悪で、皮肉屋みたい。
何せ、せっかく復讐を諦めようとしたその瞬間に、私に機会をくれたんだもの。
きっと、狼の遠吠えだけなら、皆の決まりを優先したでしょう。
土砂崩れだけならば、皆のために尽力したでしょう。
でも、2つがそろってしまった今、私がいてもいなくとも、この場に足止めされるという現実の元。自分のなかの復讐心を押さえることができなかった。
決着をつけてやると、声がしたほうに走った。
結果、皆に迷惑をかけてしまった。
狼どもの数は多く、とてもではないが、一人でどうこうできる限界を超えていた。
それでも、刺し違えてでもと決意を燃やすが、皆が私を羽交い絞めにして、足を止めてくる。
やがて、体が疲労で重くなり、追えなくなると、狼の追跡はできないとあきらめた。
その日、私の目はさえにさえていた。
仇が現れた。
それも、何の成果もあげられずに、空腹の狼がだ。
ツルヒコはどうにも私たちに見えないものが見えたらしく、隊長に直訴して崖の上で、少人数で待ち伏せを提案した。
どうしてここなのか、疑問は残るがどうでもよかった。
なにせ、少人数であれば狼どもが襲ってくる可能性が大きく高まるんだもの。
私は息を潜め、そのせいで、眠りに誘う魔物を興奮で遠ざけた。
きっと、ずっと寝ないで、待ち構えていたのは私くらいのものだろう。
そして、奴らがやって来た。
ゴブリンたちがその小さな足音を響かせて行進していたのだ。
(まさか、こんなことがあるなんて)
私はこれまで、あの狼、レイグが犯人だとして、怒りをぶつけていた。
その前提条件が、彼らを見たとたんに崩れ去っていくのを感じてしまう。
そこから戦闘が始まった。
ツルヒコの読み。則ち、このゴブリンどもの奇襲作戦を呼んでいたからこそ、私たちは全くの無警戒だったゴブリンたちの横っ腹を食い破ることに成功した。
最初の奇襲で、30近くいたゴブリンたちの数がみるみると減っていく。
戦士ではないということで、ツルヒコは私たちの後方にいた。
しかし、こいつは戦士としても、少なくとも狙撃手としては一流だった。
幼いころから、弓矢クロスボウを扱っていた私とは違うおっかなびっくりと、弓のような武器をふるっているというのに、夜だというのに、非常に高い命中力を発揮していた。
ここまで頭が切れ、弓の腕も悪くない。
まったく、いい男だこと。
そして、もう一つ認めなければならないことがある。
私は今この状況において、足手まといでしかないということだった。
もともとは腕力が頼りない女の細腕だもの。
男には大分劣ってしまうことに変わりない。
さすがに剣をもって、バッタバッタと敵を倒すことなどできはしない。
それにこの暗闇の中で、敵を狙い撃ちなんて達人みたいなこともできやしない。
私の存在が邪魔になる。
もう後ろに下がっていたほうがましなのではないだろうか。
きっと、そんな風に、足を止めたのが悪かったのだろう。
後ろに下がろうという、気のゆるみが最悪の展開を生み出した。
「むぅうううぅぅっ、むうううぅぅっ」
突如後ろから襲い掛かって来たゴブリンに私は上から押さえつけられてしまった。
離せ、離せと必死に抵抗するものの、声が出せず、ゴブリンどもと必死に戦っている皆は、私がいなくなったことすら気が付かない。
皆の姿がみるみる小さくなり、木々がそれぞれの姿を完全に消し去った。
遠くへ進めば進むほどに、私の身体を絶望が包み込んでいく。
やがて私は、こいつらのアジトらしき洞窟についた。
小さな岩に私の体が押し込まれていく。
幸いなことに、私はまだ縛られたままだった。
こいつらも、多くが怪我をしているし、ここまで全力で走ったから、大きく体力を消耗しているのだろう。
しかし、この安全期間も長くは続かない。
洞窟の奥で、女を犯す水音が響いている。
ゴブリンたちが下卑た瞳で、私たちを睨みつける。
そんな危機的な状況の中で、ツルヒコがまるでヒーローみたいに私を救いにあらわれた。
「もういいのか」
ツルヒコは心配そうに、夫の遺品を埋葬する私に声をかけた。
正直な話、大丈夫ではない。一週間くらいは引きこもって痛いほどショックだった。
でも、ツルヒコはそんな私に甘えを許さなかった。
お前は強いんだから、立ち上がれなんて、もう無茶なことを行ってくる。
とんでもない辛い試練ではあるけれど、それと同時に、大きな救いでもあった。
私はやるって約束したのに、最初の一日だけは、どうしても協力できなかった。
そのことを謝るために、ツルヒコに会いに行くと、サムエラという女が横やりを入れて来た。
一体何なのよ、あの女!
とはいっても、体調が悪そうだった。刺激するのは悪いと思って、その場を離れたのよね。
気に食わない相手と言っても恩人。
ちょっとした漢方とか、香りのいいお茶をおみやげに、その女の宿を訪れたんだけど、そこで私は衝撃的な光景を目にした。
ツルヒコとあの女が、セックスしていた。
豪華とはいっても、古い宿だから、少し壁を強く押せば、中をのぞけたし、耳を当てれば音も聞こえる。
なんて、なんて激しいセックスなの。
私と夫との関係がまるでお遊戯にしか見えない、それほど激しい関係だった。
気が付けば、私の指は、下半身に伸びていた。
そんな中で、コンドームという声が聞こえた。
ツルヒコのペニスをピンク色の膜のようなものが包こんでいた。
それを見たときの私の感想は可哀そうだった。
当て、おちんちんあんなに立派なのに、女の中に種を残せないなんて。
無茶苦茶な理屈だったけど、あの女への嫉妬もあってか、私はそこに疑いを持たなかった。
そして、2人の交わりが終わった。
私は大慌てで、空いている部屋の中に潜り込んだ。
ツルヒコが部屋を後にしていく。
のぞき見をしていたことを少し悪いと思ったから、私はついていくことができなかった。
そのまま、ツルヒコの部屋の前に来たんだけど、またあんなことがあったらダメだと思い、部屋の中をのぞく。
すると、ものすごく真面目に鎧だとか県を磨いているものだから、声をかけられなかった。
やがて、ツルヒコは疲れたからか、ベットで眠りについた。
そんな中でも、おちんちんだけはものすごく苦しそうで。
だから、私は癒してあげると決めたの。