種付けおじさん戦記~勇者召還で外れスキルと言われ追放された元工場長の俺! これまで培った経済スキルで無双します! 作:鯉@
「フェロモンサーチ」
こっちも使えない能力だったら俺はなく、恥も外聞もなくだ。大の大人が、目の前で泣き叫ぶのだ、俺なら怖い。多分、逃げだすだろう。
アサも逃げだしては……くれないだろうなぁ。
さあ、どこからくると、息を細くし、周囲を警戒していく。
すると、俺の嗅覚に色がついた。
そんが具体的にどういった自称なのかを説明しようにも、説明できない。ただそうとしか説明できない。
犬が嗅いでいる世界はこんな風なのではなかろうかと、ふと思った。
『あちらから、非常に濃い匂いがする』
だからこそ、闇に潜んだアサの匂いがくっきりと浮き上がっていた。
「どこだ、いったいどこにいる!」
今すぐ殴り掛かりたい。でも、がまんがまん。
気が付いているのに、何も知らないという演技を全力で執行。
幸いなことに、相手は待ち伏せしているのだ。
この隙をついて武器を探さねば。
とは思うものの、まともな武器なんてこの部屋にはない。
逃げようにも、アサはドアの方に陣取っている。
窓から逃走できないかと外を見るも、なんかガラの悪そうな連中がたむろしている。
とっさに逃亡を選ばなかったのは正解だった。
それに観察していると、だんだんと状況が分かってきた。
アサはゆっくりと動いているが、一向にこちらに向かってきていない。
そして、移動ルートには一つの条件があった。
陰の中しか移動していないのだ。
クンクン、匂いを嗅ぐ。
もし、姿を見失えば、お終い、ていせい。お死まいだ。
光を当てたら、陰の中から出てくるのだろうか。
というか、影と一体化してるのに殴れるのか?
ダメだ、分からないことが多すぎる。
なら、向こうから出てきてくれるのを待つしかない。
落ち着け、落ち着けよ。
チャンスは一度だけ、二度目はない。
自分がどこにいるのか分かるはずがないというおごりを、最大限利用しろ。
それだけが、ただそれのみが俺の勝ち筋だ。
「どこだ、どこに消えたぁ」
周囲を見渡す。
椅子を放り投げ、闇雲に周囲を破壊しているように見せかける。
運がいいことに、砕けた椅子の脚は武器になりそうだ。
そして、今まさにアサが潜伏しているであろう場所に、背中を向けゆっくりと接近する。
アサは、死角を取ったという確信から、陰の中でのっぺりと飛び出してきた。
一切音を立てず、動揺すら見せず。それだけで、彼女が一流の暗殺者であることが分る。
「丸見えだぁ」
きっと、場所が分かっていても、俺は彼女の奇襲を感じとれなかっただろう。
衣装だなの近くに置かれた、鏡がなければ。
「うをおおおぉぉぉ」
身体をひねり、跳躍し、俺はアサに飛び掛かる。
プロレスでいうところの、ボディ・プレス。
生まれて初めて、自分が太っていることを感謝した。
医者から、散々痩せろと忠告されていたけど、結局痩せられなくて本当によかった。
ぐぇ
アサはつぶれた蛙のように、最もないうめき声をあげた。
「クソ、放せ!
私には神聖なる勇者の権威を守るという大事な使命がぁ!」
衝撃が過ぎ去り、今度は人の声で、獣の戯言を口にする。
「そんなもん、俺の存在を秘匿するだけで、守れるだろうがぁ!
勝手に呼びだしたうえで、能力が気に入りませんから、殺すって、一体何様のつもりだぁ!」
押さえつけた上で、ナイフを握り締めている手を、何度も何度も床にたたきつける。
最終的に、ナイフは遠くに弾き飛ばされた。
「グギギギギギギィ」
やばいやばいやばい!
ナイフという脅威が去ったとはいえ、それでも俺たちの戦いは終わらない。
俺の体重は100キロ以上。
女の細腕でどうにかなるはずもない。さっきは痛みのせいで、抜け出したが、今度は手足もしっかりと抑え込んでいる。抜け出せるものなら、抜け出してみろ!
それがフラグだったのだろう。
アサの身体から白い煙のようなものが立ち上ると同時に、ゆっくりとだが、確実に彼女は俺の身体を動かしていく。
どういう理屈だ!
ファンタジー世界らしく、これが魔力だとでもいうのか!
「全てはレイ国のためにぃ!」
決意を燃え上がらせるとともに、白い靄は力と勢いを増していく。
俺の薄汚い手をはねのけ、このままだと自由を手に入れてしまうだろう。
それほどまでに、圧倒的なt殻を彼女は爆発させていた。
でも、こっちだって、ただで殺されてやるわけにはいかないんだ!
彼女と同じく、俺も気力を昂らせた。
こちらの世界では、精神が肉体を凌駕するらしい。
でも、地球では、元気があれば何でもできるとうそぶくも、そんなこと起きるはずもなく。
これはもう……。
生死がかかるこの状況の中ですら、諦めが脳裏に過ぎ去るほどに彼女の力は圧倒的だった。
でっぷりと、多くの脂肪に覆われた、俺の腕をアサの細腕が押しのける。
少しずつ、少しずつだが、、いつかは重しから解放される。それは約束された未来だった。
『これはもう、やるしかないのか……?」
俺の手には、椅子をたたき割り作った、鋭い木片が握られている。
これをつかえば……。
――はぁはぁはぁ……
誰だか知らないが、息がうるさい。
――はぁはぁはぁ……はぁはぁはぁ
音を立ててるんだ、近くにいるだろ。
「助けてくれよぉ」
情けなく、助けを求めれば、生きづかが止まった。
この段階になって、どこかにいるはずの呼吸音の持ち主が、最も近くにいる自分のものだったと気が付いた。
助けてくれるだれかはいない。
ならば、状況は自分で打開しなければならない。
木片を振り上げる。
「ああぁ~」
しかし、何度振り下ろそうと、木片は首ではなく床にしか刺さらない。
日本でぬくぬくと過ごしてきた俺には、たとえそれが俺を殺しに来た暗殺者であろうとも、命を奪う覚悟を持つことができなかった。
「もしも、もしもつかえないスキルだったら恨むぞ!」
【バイブレーション】
進退窮まった。
もはや、すがれるものは、俺をこの状況に叩きこんだ称号しかない。
正体不明、どこで使えるんだか分らないスキルを俺は起動した。
すると、身体が小刻みに、そして激しく振動した。
分っていたけど、使えねぇぞ、これ!
「どうやらはずれを引いたようですね」
アサが俺をあざ笑う。
余裕を見せられるほどに、圧力が減ったということだ。
「逃がすかぁ!」
打った奇策全てが裏目になった。ならば、正攻法で行くしかない。
スキルにも、武器にも頼ることなく、俺は生まれたときから、共に育った、自分の手でアサを拘束すべく動いた。
対抗するものと、抵抗されるもの。
当然のように両者はもつれあい、互いの身体は絡まりあっていく。
そんな時だった、俺の手が柔らかい何かに触れたのは……。
「うぅ♡」
同時に、この場にそぐわない甘い声が響く。
一体どうした!
訳の分からない状況に困惑するが、それ以上にチャンスだと思った。
俺はさらに激しく、そのやわらかい何かを強く握りしめていく。
「やみぇ、それやめりょぉ♡」
感情を宿さぬ、切れ長の光が、熱にあぶられたかのように光を宿す。
それも、情欲という名の光だ。
ここでようやく、俺は何を触っているのかを理解した。
アサの豊満なバストだ。
その至高のふくらみが、俺の掌にピッタリとおさまっていた。
アサは暗殺者。
そんな血なまぐさい職場に身を置いているのだ。
こういった快楽に耐性がないというのもそれはそれで納得できる。
であいとかなさそうだし。
だから、ただ胸を触っただけで、よわよわである。
羞恥をどうにか隠そうとするも、隠しきれていない。
それでいて、こちらを強気に睨め付けてくる姿を見ると、途端に、――ドクン。
俺の心臓が脈を打った。
「なにを、一体何をしようというのですか!」
アサは、きっと俺の異変を感じ取ったのだろう。
怯えたような目線を下半身に向ける。
「やめ、それやめて……あひぃ♡」
慌てて俺の身体から離れようと力を入れたからこそ、さらに乳房を覆う手に身体が密着し、再度甘い声が漏れ出た。
まさか、これが俺のスキル。
バイブレーションって、これ要するに電〇じゃねぇか!
どうする、どうする、このままやってもいのか。
いや、でもさすがに強姦は……。
「放せ、勇者もどき。ここに神の捌きを!」
もう、本心では逃げられればそれでいい。
しかし、逃げだすためには目の前にいるこの女をどうにか無力化しなければならない。
そして、快楽に打ち震えている間、その抵抗が弱まっていくのを俺は感じ取った。
これは、やらなければやられる展開だ。
躊躇もあるが、仕方ない。
俺は言い訳を完了し、自分のなかの欲望を解放することを選んだ。