種付けおじさん戦記~勇者召還で外れスキルと言われ追放された元工場長の俺! これまで培った経済スキルで無双します! 作:鯉@
「あっ……あっ……、あぁっ♡」
俺の視界の下では、蛙のように見っともなく足を広げたアサが倒れていた。
さっきまで、急に巨大になった俺の一物を加えこんでいたおマンコは形を覚えているからか、ぽっかりとした穴が開いている。
というのに、ねっばねっばの俺の精子は中にとどまり、内側からアサを蹂躙していた。
ときおり、びくびくと痙攣するのはそのせいなのか、あるいはいまだ夢の中で快楽に蝕まれているのか判断付かなかった。
「や、やっちまたぁ」
その状況下で、俺は自己嫌悪にさいなまれていた。
確かに、命の危機だった。
他に選択肢が鳴ったとは言っても、女をレイプしたという事実は消えない。
「これからどうするんだ、俺は宗教的な理由で追われてるんだぞ」
同時に朝の罪も消えないと自分に言い聞かせ、メンタルを持ち直す。
異世界に拉致されたうえで、この仕打ちである。
元の世界でも、人生どんづまりだったが、今回はそれ以下だ。
「だがまぁ、またゼロ、マイナスからのスタート。
前と変わらない。幸い金貨千枚あるんだ。何とでもなる」
ずっと望んでいた、セカンドライフがここにある。
あまり贅沢を望むべきではない。
それどころか、逆境に燃え上がるスーパーヒーローのように燃え上がっていた。
「いぐ……あぁっ♡」
横に、精子垂れ流した女がいなければ、今のやり取りでもそれなりに形になっただろうか。だが、これもまた俺らしい!
「よし、俺はこの世界でもう一度なりあがってやるぞぉ」
さあ、これからは身一つ。
自由気ままにやっていこう。
今度こそ、我がままに生きてやる。
【条件達成――中だしする。スキル・精子強化を取得します。
スキル・防中術を取得します。
対象の女性の妊娠を確認。スキル・子孫強化を取得します】
と思ったら、なんかいきなり身一つじゃなくなった!
え!
スキルの声さん。これまじ、嘘だとか、冗談だよね。
まじで、妊娠したの!
種付けおじさんって怖い。
「いや、今はとにかく身を隠さないと!」
もしも、ここに妊娠検査薬があったら使っただろう。
どうするかは考えたくない。
謎の声に後ろ髪を強く引かれたが、今日初めて聞いた声などどこまで信じていいのか分からない。
そんな不確実なものに信を置いて、確実に来るだろう追ってからの逃走を遅らせるなどできない。
でも、と迷うが……。
「アサさん、言われた通り来ましたよぉ」
存外、タイムリミットは早く来た。
ガラの悪そうな声が、律義に扉をノックする。
窓の外を見れば、見張りはもういなかった。
ここまでの騒動で来なかったのを見ると、素人か、身内ではないか・
部外者であれば、金で懐柔できるかと思ったが、さすがにリスクが高い。
「おい、鍵だ、鍵を持ってこい」
ごろつきは鍵が閉まってるのを見て、宿の主人に怒鳴りつけた。
その間、俺は金貨をいとおしそうに一撫で。
ポケットの中に詰め込めるだけ詰め込んで、窓からの脱出を図る。
「だ、大丈夫ですか、姉さん」
入室するとともに、アサの無様な姿を見て、気まずそうな声が聞こえた。
あんなに、ワイルドな格好をしていたのに、根は純情なのだろう。
どうする、どうすればいい!
顔を赤くして、窓にぶら下がり、屋根に着地。
屋根から山積みの箱を見つけ、そこに足を置き、ドスンと着地音を響かせて、俺は地面に着地した。
もともと運動不足だった俺だ、こんな見っともないアクロバティックでもできるかどうか不安だったが、なんとなかった。
異世界に来たことで、不思議パワーにでも目覚めたからだろうか。
さらに、幸運は続く。
ごろつきが追ってこない。
やはりバイトらしい。
今頃、俺の金貨を懐に納めているのだろう。
とっさにつかみ取った、10から20枚。それ以外は、全てあいつらの小遣いということだ。
「せっかくの金貨がぁ!」
宿そのものが視界から消えたとはいえ、アサの仲間が潜伏している可能性もあるのに、俺は我慢できなかった。
悔しい、悔しい、悔しい。
あれだけあれば、これからの俺の人生は安泰だったのに。
地団駄踏んで悔しがるも、いつまでもその場にとどまることはできない。
とにかく遠くへ、とにかく目立たないところへと、俺は足を進める。
そして朝。
会社が倒産し、家族と顔を合わせることすら気まずく、飲んだくれていた時の経験が生きた。
夜空の下で、体を丸めて、うすら寒い春風を耐えしのぐ。
もう少し季節がずれていれば、凍死していたかもなと、体が寒さだけでなく、恐怖でも震えた。
俺が一番最初にしたことは桶に貼った水を利用しての身だしなみの確認だった。
清潔感がないと、人がよってこないというのはどこの世界でも常識。
というか、風呂好きの日本人として、昨日湯船につかれなかったことに結構ダメージを受けていたりする。
「あれ、一体何だこれ!」
なにせ、そこには少し若いころの俺……、30代くらいの姿が映っていたのだ。
これは後から聞いた話なのだが、この世界の人間の平均年齢は150年。
生命力である魔力を自在に使うことによって、若々しい姿を保っているらしい。
今回の変化は、魔力の扱いを覚え、生命力が活性化したからだ。
この世界相応の年齢に変化したのだろう。
追ってから見つからないように、どう変装したものかと頭を悩ませていたが、これだけ変貌すれば、その必要もないだろう。
だが、襲撃のせいで俺の手元にあるのは金貨18枚だけ。
身分証もなし。
一体どうすればいいんだ。
ここが現代日本だと……。
身分証がない時点で、完全に詰みだよな。
はっはっはっ、おわた。俺の人生、リスタートする前におわた。
だって、俺ならどこのだれか分らん馬の骨を雇わないもん。
雇うとしても、タコ部屋に詰め込んで、奴隷のようにこき使う。
いや、諦めるにはまだ早い。
ここは異世界。
もし、まっとうな戸籍管理ができていないなら、どうとでもなる。
とにかく、今は仕事探しだ。
今すぐ、ここから離れられて、身分を問わない。
その上で、稼ぎが良ければ最高なんだが……、そんな都合がいい職があればいいけど、さすがにないよなぁ。
とりあえず、今着ている服を売ることにした。
最悪、しばらくは物乞い生活だ。
金はいくらあってもたりない。
身分は、そうだな、不法移民でとかそんな風に言い訳をしよう。
もし王様がどこかの国の大統領みたいな人だったら、まちがいなく追い出されるけど。
あれだけキャラの濃い指導者はそうそういない……、と断言したいのだが、異世界からの勇者を気に入らないからと追放する人間だ。
ないとは言い切れない。
幸先がいいことに、服は売れた。
なんと、金貨5枚で。
さすが王宮。
使用人に支給する服でも、高級品だったらしい。
で、売られていた古着を俺は銀貨5枚で勝った。
今の俺の全財産は金貨22.5枚だ
これだけの金額をたった数日で稼げた。
日本なら、運が向いてきたと口笛を吹きながら、美味いものでも食うかと、ちょっとおしゃれな店の暖簾をくぐっただろう。
今は右も左もわからぬ未知の世界である。
これからどうするんだと、進む道には暗雲が漂っている。
なので俺はトボトボと下を向いて歩いていると、
「あんちゃん、もしかして戦争でやらかしたのかい」
上等な身なりの男が俺に声をかけて来た。
その人物に誘われるままに俺は行商隊に参加することとなった。
こんな妖しい奴、雇ってくれるのかと思ったのだが、それは逆だった。
勇者召還は大々的なイベントとして周囲に告知されている。
で、良くある人気取りの一環として、軽犯罪者も釈放されたんだと。
すりとか、食い逃げも多いが、一番多いのは戦場での脱走兵。
この国が末期的な状況にあるのは本当らしく、田舎の貧乏な農夫、町の浮浪者、立場の弱い少数民族をろくに練兵もせずに戦場に叩きこんでいるらしい。
そのせいで、巷には、俺と同じくいい年して、あてどなくウロチョロするしかないおっさんがあふれかえっていた。
そんなプー太郎はどうにか故郷に帰りたい。
行商人たちは一人でも多くの人手が欲しい。
両者の利益が合致したからこそ、俺も、ろくに身元確認せずに雇ってもらえることとなった。
ありがとう王様、あんたのことを冷酷無比の悪魔だと思っていたけど、ちゃんと政治家として、やることはやっているんだな。