――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』
――第肆階層、『既知外』領域
カヌが仲間になった翌日。
俺たちは四人でダンジョンダイブを行っていた。
『既知外』領域――。
それは『既知内』とは比較にならない濃度の瘴気が満ちる危険地帯だ。
空気は重く、呼吸をするだけで肺の奥に泥を流し込まれるような不快感がある。
常人なら数分で精神を摩耗し、レベル一桁の一年の生徒なら立っていることすら困難。
だが――。
「……問題ありません、幹隆様」
隣を歩くカヌは、平然としていた。瘴気に顔をしかめる様子もない。
呼吸一つ乱れていない。
その姿を見ながら、俺は改めてカヌのステータスを開いた。
=====≪STATUS≫=====
名:クリス・カヌ
レベル1
職業:王室奴隷騎士団
スキル:
(
称号:
パーティ:(リーダー)幹隆 レベル52、サクラ レベル52、マリィ レベル50、クリス・カヌ レベル1
=================
……どう見ても異常だった。
レベル1。
それだけ見れば初心者以下。
普通なら第壱階層の瘴気ですら顔色を悪くするレベルだ。
まして第肆階層の『既知外』領域など、踏み込んだ瞬間に精神が圧壊してもおかしくない。
失禁し、錯乱し、最後には気絶。
それがこの学園における“レベル1”の基準だ。
にもかかわらず、カヌは立っている。いや、ただ耐えているだけじゃない。
完全に順応していた。
(……素のスペックが高すぎる)
本人曰く、王を護るために幼少期から戦闘訓練を積み続けてきたらしい。
剣。槍。体術。護衛術。対人戦。etc……
あらゆる実戦技能を叩き込まれ、さらに――12000年間。その時間を、修練に費やしてきた。
最初に聞いた時は「どこの戦闘民族だよ」と本気で思った。
だが、こうして実際に並んで歩いていると理解できる。カヌは単なるレベル1じゃない。
積み重ねた経験値だけなら、そこらの上級探索者を遥かに凌駕している。
まだ力を取り戻していないだけだ。だからこそ、俺は楽しみだった。
この少女が本気で戦えば、どこまで強いのか。
ちなみに、ダンジョン内でのレベルアップに伴う性欲上昇については事前に説明済みだ。
カヌは少し驚いた顔をしたあと、静かに頭を下げてこう言った。
「幹隆様のお役に立てるのであれば、私は問題ありません」
……いや、問題ないのはわかった。わかったんだが。
その後。
「むしろ、私などを使っていただきありがとうございます」
と、本気で感謝された時は流石に困った。
しかも、ほんのり頬を赤くしながら、
「ただ……その、奉仕の経験はありませんので……ご迷惑をおかけするかもしれません……」
どうやらカヌの中では、“自分は王の所有物である”という認識が、骨の髄まで刻み込まれているらしい。
身体も。心も。命さえも。その全てを主へ捧げる。
それが当たり前。それが誇り。それが存在理由。
そんな価値観で生きてきたのだろう。
まるで、奴隷になった瞬間からそう在るよう定められていたかのようだった。
実際、カヌの言動には一切の迷いがない。
俺に従うことを疑問に思わない。俺に尽くすことを苦にしない。
むしろ、“役に立てること”そのものに幸福を感じている節すらある。
その忠誠は、もはや献身というより信仰に近かった。
だからこそ、俺は内心かなり戸惑っていた。
(……いや、召喚された時からずっと好感度高すぎないか?)
普通、もっと警戒するとかあるだろ。
初対面の相手にここまで絶対的な信頼を向ける奴なんてそうそういない。
だが、カヌは違った。俺が言葉をかければ嬉しそうに微笑み。
名前を呼ぶだけで頬を染め。隣に立てるだけで満たされたような表情を浮かべる。
だが、不思議と嫌ではなかった。そこに打算や媚びが存在しないからだろう。
カヌの忠誠は純粋すぎる。見返りを求めているわけでもない。
ただ、“王に仕える”という在り方そのものが、彼女の根幹に組み込まれている。
……いや、本当にどうなってんだこのパーティ。
普通なら、『戦士』とか『術師』とか『盗賊』とか。
せめてそういう基本職から派生した一般的な
なのに現実はどうだ。精霊、女神、不老の奴隷……
戦力としては頼もしすぎる。
頼もしすぎるんだが、パーティバランスが完全に“ラスボス側”なんだよな。
しかも全員、妙に秘密が重い。
もしこの情報が学園上層部に漏れれば、間違いなく大騒ぎになる。
もちろん、そんなことになったら全力で抵抗するつもりだ。拳で。
……いや、割と本気で。
この世界、最終的に信用できるのは暴力だからな。
少なくとも俺は、大事な仲間を実験材料扱いされる気なんて一切ない。
『王室奴隷騎士団』は、“護者の証”と呼ばれる特殊な刻印が、自ら奴隷を選定し、その肉体へ宿ることで成立する
身体に宿るとその証から大いなる力を授かる。
カヌの身体能力が異常に高いのも、この護者の証による恩恵だ。
第肆階層の瘴気に平然と耐えているのも納得である。
そしてこの証から『護るべきもの』を奴隷に伝えている。
そして、スキル欄にある――
カヌが身につけているヘアバンド。あれこそが『象の記』の本体だという。
また、カヌが不老なのも、
それが“不老”の権能。俺も同じ『
カヌは不老でオレは転生という形でこうして再開できたのだ。
……もっとも。転生したのはあくまで俺の“身体”だ。バリバリ社畜の人格がある状態だ。
なので現在の俺は。
『
『エイヴィヒカイト』を使い。
ムー帝国の王としての因子を持ちながら。
中身はブラック企業で精神を削られていた元社畜。
――という、情報量が多すぎる異世界転生者だった。
考え事をしながら通路を進んでいると、どうやら最初の玄室へ辿り着いたようだった。
瘴気混じりの空気が淀み、石壁の隙間から低い唸り声が漏れている。
鉄臭い獣臭。そして、複数の殺気。
その瞬間。
サクラがぴくりと耳を動かした。
「マスター、部屋に多数の敵がいるんだよ」
サクラの
敵の情報を瞬時に解析・共有する超高性能思考支援能力だ。
最近になって精度も上がってきてるらしい。
索敵範囲内の魔力反応、敵性、数、動線までも読み取ることができる。
脳内へ情報が流れ込む。
「……中にいるのはブラックドックが十五体。ポーンラビットが十体か」
第肆階層では比較的メジャーなモンスターだ。
だが、油断できる相手じゃない。
ブラックドックは群れで連携しながら獲物を追い込み、鋼線のような牙で肉を食い千切る。
ポーンラビットは小型ながら異常な脚力を持ち、頭部の角で高速突撃を仕掛けてくる厄介なタイプ。
どちらも共通しているのは――。
とにかく速い。
そのせいで、サクラは少し相性が悪い。
火力自体は圧倒的なんだが、攻撃を当てる前に避けられるのだ。
……まあ。
当たらなくても広範囲ごと焼き払えば大体解決するんだが。
なので、こういう敏捷型モンスターの処理は基本的に俺の担当だった。
「恐れながら……幹隆様」
隣にいたカヌが、静かに口を開く。
「私にお任せいただいてもよろしいでしょうか」
「いけるのか? カヌ、まだレベル1だぞ」
「問題ありません。この程度であれば」
その声には一切の迷いがなかった。
むしろ、“なぜ心配されているのかわからない”と言いたげなほど自然だった。
「……じゃあ、頼んだ」
隣にいるカヌが、姿を消したと思ったら――次の瞬間。
玄室の奥で、ブラックドックの首が宙を舞っていた。
鮮血が噴き上がる。遅れて肉体が崩れ落ちる。
その中心に、カヌが立っていた。
手にしているのは、
剣筋に一切の無駄がない。
踏み込み。重心移動。間合い。呼吸。視線誘導。
全てが洗練されきっている。
俺みたいに“ステータスでゴリ押しして首を飛ばす”戦い方じゃない。
純粋な武。
積み重ね続けた技術だけで、相手を解体している。
(……速いな)
マリィと融合している時の俺と同等。
いや、技術面だけなら間違いなくカヌの方が上だ。
流石に俺も
だが、それでも。
レベル1でこれかよ。
これが『王室奴隷騎士団』。
これが、12000年間、戦闘訓練を積んだ奴隷騎士。
ブラックドックたちが一斉に飛び掛かる。
牙が閃き、爪が空気を裂く。
だが。
当たらない。
カヌは最小限の動きだけで全てを回避していた。
半歩。首の傾き。重心移動。
それだけで致命の軌道を外している。
まるで未来でも見えているみたいだった。
さらにポーンラビットが高速突撃を仕掛ける。
角を突き出し、一直線にカヌの胸元へ――。
しかし。
「……え?」
思わず声が漏れた。
ポーンラビットの動きが、カヌの目の前で止まっていたのだ。
いや、正確には届いていない。
見えない何かに押さえつけられているように、空中で硬直していた。
そのままカヌは静かに剣を振る。
――ザシュ
ポーンラビットの身体が、綺麗に両断された。
血飛沫すら最小限。
あまりにも滑らかな一撃。
そしてカヌは、何事もなかったかのようにこちらへ振り返る。
「幹隆様、終わりました」
あれが。カヌの
――神の権能。
カヌの
簡単に言えば、“仮想の距離”を作り出す能力らしい。
どれくらい作り出せるのか聞いたところ。カヌ曰く。数百キロメートルは余裕らしい。
しかも恐ろしいのは、この能力。単に空間を引き離すだけじゃない。
発動時に、音、光、匂い、熱、空気抵抗に至るまで細かく設定できるらしい。
例えばデフォルト状態だと。
声は届かない。音は減衰する。視界は歪む。光も乱れる。
さらに地面との距離すら狂うため、足場感覚まで消失する。
結果。まともに立つことすらできなくなる。
実際、説明を聞いただけで頭が痛くなった。
もはや距離という概念を操作しているというより、“世界法則を書き換えている”に近い。
神の力と言われた方が納得できるレベルだ。
『
こちらはシンプルにヤバい。絶大な破壊力を有している。
ただ、本人曰くこのスキルは使いたくないと言っていた。
むかし、王を傷つけたことがあるからトラウマだとか……
称号の
称号そのものに、過去の罪や後悔が結び付いているのかもしれない。
ちなみにだが、サクラだと称号には、『桜光の精霊』、『ポンコツ兵器』みたいなのがある。
これを見た瞬間、サクラがステータス画面に向かって本気で抗議していた。
「私はポンコツじゃないんだよ!?」
とか涙目で怒っていたが。うん。まあ、日頃の行動を見てると否定しづらい。
マリィは『黄昏の女神』、『血塗られた少女』とかついてたな。物騒な称号である。
そして最後に俺。俺の称号?いや、聞かないでほしい。
変なのばっかりだから。……いやほんと。
一回ステータス確認した時、『雷神の
いつの間に叶馬のライバルになったんだ。……チクショウ
――――
「カヌ、大丈夫か……?」
「はぁ……っ、はぁ……い、問題……ありません……」
だが、その声にはまるで説得力がなかった。
カヌの白い肌は熱を帯びたように赤く染まり、呼吸も浅い。
額には汗が滲み、細い肩が小刻みに上下している。
レベルアップ。
それも、第肆階層のモンスターを大量に討伐したことによる急激な成長。
その反動が、一気に肉体へ押し寄せているのだろう。
「無理するな。一旦休むぞ……“異空間生成”」
黒い渦が空間に広がる。俺たちはそのまま異空間内部へ移動した。
俺はサクラとマリィに介抱することを告げ、二人きりになる。
寝室の扉に手をかける。移動した瞬間。カヌの身体がふらりと揺れる。
「っと……!」
咄嗟に抱き留めると、びくりと彼女の身体が震えた。
熱い。服越しでもわかるほど、体温が上がっている。
呼吸も甘く乱れていた。
「本当に大丈夫か?」
「……だ、だいじょうぶ、です……幹隆様に、ご心配をおかけするなど……」
そう言いながらも、カヌは苦しそうに眉を寄せる。
だが、その瞳はどこか潤んでいた。熱に浮かされている。
それだけじゃない。
俺へ触れられる度、カヌの身体が敏感に反応している。
「っ……ぁ……。申し訳ありません、このような失態をするなど奴隷失格ですね」
「い、いや、大丈夫だから、それよりもカヌ。お前を抱きたい」
漏れた吐息は、先ほどまでの凛々しい奴隷騎士のものとは思えないほど甘かった。
カヌから伝わる『護者の証』は、俺自身にも影響を及ぼしている。
こうして彼女を抱きしめているだけで、身体の奥が熱を帯びていく。
不思議と嫌な感覚ではなかった。むしろ――心地いい。
安心する。この世界へ来てから、初めて味わう感覚だった。
ずっと張り詰めていたものが、少しずつ溶けていく。
まるで幼い頃、母親に抱きしめられていた時のような安寧。
カヌの細い身体を抱き寄せるたび、胸の奥にあった孤独が静かに薄れていった。
「……幹隆、様。伽の経験はございませんが、それでもよろしければ私をお使いください。私の心と身体はすべてあなた様だけのものです」
「……カヌ」
名前を呼ぶと、彼女の肩が小さく震えた。
俺はそのまま彼女の顔を近づけ、赤く柔らかな唇にキスをした。
「……幹隆様、……んちゅ、……ちゅっ、……れろっ……ちゅ、……じゅる、ちゅ」
カヌは目を閉じ、ねっとりと俺の舌に吸い付いてきた。舌先があたりお互いの唾液が混ざっていく。
「……ぷはっ、カヌって本当に初めてのなの?キス上手いよ」
「……はぁはぁ、喜んでいただけて嬉しいです。こういった口淫での奉仕は訓練してきましたので……」
「それって、12000年間ずっと……?」
「え……あ、……はぃ……」
「……カヌ」
まじかよ。この子12000年間俺のこと思い続けて奉仕の練習してきたのかよ。
かなり重い子だが、前世に彼女いなかった俺からしたら嬉しすぎる。
美少女とベロチュウできるだけで天に昇る気分だな。ありがとうムー帝国……
俺は彼女の頬を優しく撫でて、そのまま再び口づけをする。
「あん……んちゅ、ゴクっ……んんっ、……んちゅ……ゴクっ、……幹隆様の唾液おいしゅうございますぅ……」
彼女の舌先による奉仕はすごかった。
俺の歯を一本一本舐めとり唾液を啜り、舌先をぐちゅぐちゅとうねり取る。
まるで口の中だけでセックスしてるような気分になる。
アメジスト色の瞳がこちらをじっと見つめている。
熱を孕んだ吐息が、互いの唇の隙間から漏れる。
カヌはゆっくりと唇を離しても、なお名残惜しそうに舌先を絡めてきた。
ぬるりとした感触が離れるたび、細い銀糸が月光みたいに揺れる。
……れろ……んちゅ……れろ……んっちゅ……
卑猥な音が静かな部屋に鳴り響く。
「カヌ、ベッドに行こうか。もう我慢できそうにない」
掠れた声でそう告げると、カヌの肩がぴくりと震えた。
「……はい。では、幹隆様。ベッドに仰向けに寝てください。私が……奉仕いたします」
その声音はいつものクールな声色ではなく、熱を帯びて甘く揺れていた。
そういうと、カヌは自身の着ている白い制服を脱いでいく。衣擦れの音が生々しさを感じる。
肩から滑り落ちた上着の隙間から、雪のように白い肌が覗いた。
黒の髪がさらりと流れ、その光景だけで息を呑みそうになる。
彼女は羞恥を覚えているはずなのに、逃げようとはしない。
むしろ俺へ尽くせることに喜びを感じているみたいだった。
俺も服を脱ごうとしたが――
「――幹隆様、お待ちください」
そっと手首を取られた。細い指なのに、不思議と力強い。
アメジスト色の瞳が真っ直ぐこちらを見つめていた。
「すべて、私にお任せください」
カヌはゆっくり首を横に振る。
「王自ら服を脱いでしまわれると……奴隷としての立場がありません」
その言葉には、従属だけではない。彼女自身の願いが滲んでいた。
尽くしたい。触れたい。自分の手で世話をしたい。
そんな感情が、護者の証を通じて痛いほど流れ込んでくる。
カヌはベッド脇へ膝をつくと、まるで大切な宝物へ触れるみたいに俺の服へ指を伸ばした。
ひとつ。 またひとつ。
丁寧にボタンを外していく。
指先が肌に掠れるたび、彼女の吐息が微かに乱れた。
「幹隆様の身体に……こうして触れられるなんて……」
夢見るように呟きながら、カヌはそっと頬を胸元へ寄せる。
熱い吐息が肌へ落ちる。
それだけで身体の奥が熱を帯びていく。
彼女は目を細め、安心したように擦り寄った。
「温かい……です」
その声は、幸せを噛み締めるみたいに震えていた。
カヌからしたら12000年もの間、想い人を待ち続けるようなものだもんな。
「では、私のおまんこで幹隆様のおちんちんをご奉仕させていただきます」
「ああ、……頼む」
俺はあえて何も言わず彼女の好きにさせる。
彼女の秘所からはすでに甘い蜜が溢れておりいつでも受け入れる体勢ができていた。
騎乗位の形で自身の股間に俺の肉棒を押し当てグググっと挿入していく。
「ううんっ……ああっ、はぁはぁ……いかがですか。幹隆様」
俺の上に跨ったカヌは、小さく熱い息を吐いた。
乱れた呼吸に合わせるように、艶やかな黒髪がさらりと肩から零れ落ちる。
月明かりを溶かしたみたいな髪が、俺の胸元へ柔らかく広がった。
近い。触れ合うほど近くにある彼女の体温が、じわじわと肌へ伝わってくる。
カヌは潤んだ瞳でこちらを見下ろしながら、そっと俺の手を取った。
細く白い指。その指先が恐る恐る絡まり、ぎゅっと包み込まれる。
まるで離れないように。逃がさないように。
あるいは、自分自身が安心したいみたいに。
「とても、気持ちいいよ、カヌ」
「んぁ……あんっ、……ああん……良かったです♡……、ああんっ……私も今とても気持ちがいいです♡」
俺の返事に答えるかのように腰をぬったりと動かす。
これがカヌの膣内。彼女の奥に触れ合うたびに心がとても満たされる。
奥の方では膣の粘膜壁が複雑微妙に肉壁をウネウネと蠢かせながら、きつく締め付ける。
カヌは堪えるように唇を噛みながら、潤んだ瞳でこちらを見下ろしていた。
普段は凛としている彼女が、今はこんなにも無防備な表情を見せている。
その事実だけで、心が満たされていく。
彼女は繋いだままの手へさらに力を込めた。
黒髪が揺れるたび、甘い香りがふわりと漂う。
「んはぁ、……ああん♡……幹隆様……わたし、今……すごく幸せです♡……」
掠れた囁き。
護者の証を通じて流れ込んでくる感情は、熱と幸福でいっぱいだった。
身体だけじゃない。
心の奥深くまで繋がっているような感覚。
だからこそ、ただ抱き合っているだけなのに満たされる。
カヌは恥ずかしそうに頬を染めながら、それでも視線を逸らさなかった。
アメジスト色の瞳には、強い愛情と信頼が宿っていた。
「カヌ、このまま出していいか」
「あんっ、……はぃ、……出してください♡……んあっ、……私に幹隆様の精液をたくさん注いでください♡」
「んっ……出すぞ」
ズビュッ、ピュピュッ、スピュッ、ビュルルゥ……。
何秒も続く射精は彼女の中を全て満たした。熱いマグマが、どくどくとカヌの子宮に放射する。
膣奥に受ける強烈なほとばしりに、カヌもまた絶頂にのぼりつめていた。
くびれた腰をヒクヒクと痙攣させ、搾り取るように肉壁を収縮させる。
「はぁ……はぁ……幹隆様……」
熱を帯びた吐息を零しながら、カヌはそっと俺の胸へ身を預けてきた。
汗で少し乱れた黒髪が肌へ張り付き、その柔らかな感触がくすぐったい。
「……出していただき、ありがとうございます。私は今、とても幸せでございます」
満たされたように微笑む彼女の表情は、どこまでも穏やかだった。
先ほどまで浮かんでいた艶やかな熱とは違う。
今そこにあるのは、深い安心感と幸福だった。
俺は彼女の髪を優しく撫でる。
指の間をさらさらと流れていく黒髪は驚くほど滑らかで、触れているだけで心が落ち着いていく。
「俺も、カヌと触れ合うととても安心するよ」
そう告げると、カヌはぱちりと目を瞬かせた。
そして次の瞬間、嬉しそうに目尻を緩める。
「……っ」
声にならないほど嬉しかったのだろう。
彼女はぎゅっと抱きつく力を強め、そのまま胸元へ顔を埋めてきた。
「幹隆様に、そう言っていただけるなんて……」
掠れた声は少し震えていた。
今の彼女は、愛する相手に甘えることを覚えた、一人の少女のようだった。
カヌはそっと頬を擦り寄せながら、小さく囁く。
「これからも……お傍にいても、よろしいでしょうか」
「ああ、ずっと俺のそばにいてくれ」
その言葉を口にした瞬間。
カヌの瞳が大きく揺れた。
「……はい」
震える声で返事をすると、彼女はそっと目を伏せた。