※この作品はR-18です。

エロゲーハックアンドスラッシュ   作:げしゅたるうぃんぷす

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 カヌの豪勢な手料理で腹が満たされた俺は、約束していた波留先輩の自室に向かうことにした。

  

 異空間内では、ホーネットとの情事の途中から内部の時間を止めて活動していたため、現実世界ではそれほど時間は経過していない。

 空間の裂け目を開き、倶楽部棟の会議室へと足を踏み入れる。

 

 窓からは、まだ傾きかけた太陽の鮮やかな日差しが射し込んでいた。

 

 (今は、まだ夕方の5時ぐらいか……)

 

 それにしても、ホーネットには少し悪いことをしたかもしれない。

 さっきまでの俺は、まるで自分ではないかのような、嗜虐性に支配されていた。

 やはり、魔王の因子を受け入れた影響なのだろうか……。

  

 俺は歩きながら、改めてステータスウィンドウを開いて確認する。

 

  

 =====≪STATUS≫=====

 名:影山幹隆

 レベル77

 職業:召喚せし者(マホウツカイ)/魔王

 技能:魔王Lv2

 

 スキル:ヒロイン召喚 レベル4

     ステータス レベル5

     異空間生成 レベル5

     エイヴィヒカイト 形成

     神奥百科全書(ナラヤナ・シリーズ)境界の記(ヘルメス)

     (境界探知(リミナル・ヴィジョン)神路導標(サイコポンポス)

 

 スキルポイント:40

 パーティ: (リーダー)幹隆 / (メンバー)4人

 =================

 

 

 レイド攻略が終了したのでヒロインズ以外のメンバーは、パーティー編成から外した。

 結果的に今回のレイドではレベルこそ上がらなかったが、スキルポイントは大量に獲得することができた。

 

 いいくつかのクエストは他の転生者に先を越されてしまったものの、合計で『50』ものポイントを入手した。

 今手元に『40』ポイントしかないのは、攻略途中で『ヒロイン召喚』のレベルを上げ、ホーネットを呼んだからだ。

 

 獲得したポイントの内訳は以下の通り。

 

 

 ・四天王討伐報酬:5ポイント×2=10ポイント

 ・レイドクリア報酬:30ポイント

 ・スケルトン討伐報酬:10ポイント

 

 

 織田信長や豊臣秀吉の討伐報酬を逃してしまったのは手痛いが、今後もレイドに潜ることでこれだけのポイントが得られるなら、積極的にレイドに挑むことも視野に入れた方がいいかもしれない。

 

 

 ・ヒロイン召喚…………次のレベルまで残り40ポイント。

 ・ステータス…………次のレベルまで残り8ポイント。

 ・異空間生成…………次のレベルまで残り8ポイント。

 

 

 一応、現在のポイントをすべて注ぎ込めば、また新しいヒロインを召喚できる。

 前回呼んだときは、まるで仕組まれたかのように、あの状況に合わせたホーネットを引き当てたわけだが……。

 もし今後も似たような窮地に陥った場合、それを打破する能力を持つヒロインが都合よく現れるのだろうか。

 とりあえず、今すぐここで呼ぶのはやめておくか。

 

 スウッと指を滑らせてステータスウィンドウを閉じる。

 

 そんな考え事をしているうちに、いつの間にか波留先輩の部屋の前まで来ていた。

 

 ——コンコン。

 

 扉を軽くノックをする。

 

 「は~い」

 「俺です、幹隆です」

 「どうぞ、入って!」

 

 何かこのやり取り、さっきもホーネットの部屋でやったような気がするな。

 既視感を感じつつ、扉を押し開けた。

 

 そして部屋に足を踏み入れた瞬間、俺はあまりにも衝撃的な光景を目にして絶句した。

 そこにいたのは、黒いバニー衣装――それも、とんでもないドスケベな「逆バニー」に身を包んだ波留先輩だった。

 

 通常のバニースーツとは真逆で、肩や腕、脚といった部分は布で覆われているものの、胸元から腹部、そして股間にかけてが大胆に露出している破廉恥な衣装だ。

 豊かな胸にはハート型のニプレスが貼り付けられているだけで、下半身には極薄のCストリングを身につけているのみ。

 頭には可愛らしいウサギ耳をあしらい、こちらに向けて小悪魔的なポーズを決める波留(はる)先輩。

 

 (前世を通して、初めて見たわ。リアルで逆バニー着ている人……。正直めっちゃくちゃエロいです。波留先輩!)

 

 「悪いウサギさんが、今から可愛い後輩に悪戯しちゃうぴょん!」

 「……何やってるんですか、波留(はる)先輩」

 

 呆気に取られる俺の反応を見て、先輩は満面の笑みを浮かべながら茶目っ気たっぷりにハジけた声を出す。

 

 (これは、さっき俺がホーネットにした悪戯の、まさかの逆パターンなのか!?)

 

 「ふふん、隙あり!」

 

 次の瞬間、先輩はぴょんぴょんと跳ねるようにして俺に飛びついてきた。

 予測不能な行動に硬直していた俺は、そのままお色気全開のエッチなウサギさんに捕獲されてしまう。

 

 そして、気づいた時には衣服をすべて剥ぎ取られ、全裸の状態で先輩のベッドへと横たえられていた。

 それだけにとどまらず、両手両脚をロープでベッドの四隅の柱にしっかりと拘束されている。

 

 まぁ、拘束されている最中、抵抗しようと思えばいくらでもできたのだが、面白そうだったのであえて大人しく従っておいた。

 こういうシチュエーションは、ノリと雰囲気を楽しむのが正解である。

 今は大の字の状態で、仰向けに固定されてしまった俺。

 

 「波留(はる)先輩、これから一体どうするつもりですか」

 「ふふ、波留(はる)先輩じゃないよ、幹隆君。今の私は『ウサギさん』、もしくは『お姉ちゃん』って呼びなさい」

 

 正直、前世で姉に対して少なからずトラウマがある俺にとって、『お姉ちゃん』という呼び方はハードルが高すぎる。

 ここは無難に『ウサギさん』を選択しよう。

 

 「ウサギさん、今から何するんですか?」

 「もう、幹隆君、違うでしょ!『波留姉(はるねえ)ちゃん』って呼んでって言ったじゃん!」

 

 (理不尽すぎるだろ!なんだよ『波留姉(はるねえ)ちゃん』って……さっき提示された選択肢のどちらでもないじゃないか)

 

 言われた通りに呼んだはずなのに、何故か理不尽に怒られた。

 波留先輩は四つん這いの姿勢でベッドに這い上がり、俺の身体を跨ぐようにして顔を近づけてくる。

 その際、彼女の豊かなおっぱいがこれでもかと、俺の胸元に押し付けられた。

 

 「今から、幹隆君の上でぴょんぴょんしまーーーす!」

 「やけにテンション高いですね、波留姉(はるねえ)ちゃんちゃん。なんか逆に怖いんですけど」

 「幹隆君、そんな風にクールぶっていられるのも今のうちだよ。――喰らえ『ぴょんぴょん攻撃』!」

 

 そう宣言するやいなや、波留先輩は俺の熱く昂る肉棒を、自身の豊かなおっぱいの間に挟み込んできた。

 そのまま、大きな果実のような双丘をせわしなく上下に動かし始める。

 

 「『ぴょんぴょん攻撃』って、要するにただのパイズリじゃないですか」

 「ふふん、違うよ幹隆君。ここからが本当の本番なんだから」

 

 先輩は不敵に微笑むと、どこからともなく怪しげな小さなガラス瓶を取り出した。

 

 「これが何か、分かるかな~?」

 

 小瓶の中には、妖しくきらめくピンク色の液体が満たされている。

 

 「それって、もしかして……媚薬、ですか?」

 「おお、ピンポーン! 大正解!」

 

 先輩は平然とした様子でケラケラと笑う。

 この世界のダンジョン産の媚薬は、洒落にならないほど強力なものが多い。

 依存性はもちろん、もたらされる快感は容易く人間の理性を破壊するレベルだとされている。

 原作の知識でも、薬への耐性がない新入生にこれを使って、従順な人形のように仕立て上げる描写があったのを思い出す。

 

 「それ、本当に使って大丈夫なやつですか?」

 「……うん、使ったことはないけど……まぁ、多分大丈夫だと思うよ……?ゴブリン媚薬(ポーション)とは違って上質な奴だと思うし……」

 

(正直めちゃくちゃ不安だが……まぁいいか、俺は魔王だしな)

 

 あまり根拠のない自問自答で思考を放棄することにした。

 

 「よし、それじゃあさっそく使っちゃおう!」

 

 先輩は小瓶の栓を抜くと、自身の胸元へとそのピンク色の液体をだらりと垂らした。

 滑らかな肌を伝った薬液がいやらしく広がり、やがて、その下に位置する俺のペニスへと容赦なく降り注ぐ。

 

 ――その瞬間。

 

 ドクン、と心臓が爆発したかのような熱を帯びた。

 呼吸が一気に荒くなり、全身の血液が沸騰したかのような速度で循環し始めるのが分かる。

 ただでさえ猛々しくいきり立っていた肉棒は、媚薬によって、限界を超えて肥大化し、ドクドクと脈打ち始めた。

 

 (くそっ、やっぱり、初めて使ったが、この世界の媚薬、マジで頭がおかしくなるレベルでヤバすぎる……!)

 

 ふと視線を上げると、波留先輩もまた、自身の胸元に触れた媚薬のせいで理性を吹き飛ばされかけていた。

 普段の快活な笑顔はどこへやら、耳の裏まで真っ赤に染め上げ、潤んだ瞳でハァハァと熱い吐息を漏らしている。

 その瞳の奥には、すでに理性の光など残っていないようだった。

 

 「ごめん、幹隆君……。このままじっくりご奉仕する予定、だったんだけど……もう、我慢できないからぁ……っ♡」

 

 波留先輩は、自身の下着であるCストリングを無造作に指で引き千切るようにして脱ぎ捨てた。

 露わになった彼女のおまんこは、大量の蜜液でドロドロに濡れていた。

 先輩は俺のガチガチのペニスをその小さな手で掴むと、体重乗せるようにして、一気に膣内へと突き入れた。

 

 「ああああんっ!!♡♡……、いきなり、奥まで……っ♡ こ、れ……っ、すご、すぎ……っ♡♡」

 

 滑らかな肉の壁が、ギチギチと俺のペニスを全方位から圧迫し、締め付ける。

 媚薬の効果も相まって、挿入された瞬間から頭の芯が焼き切れそうなほどの快感が襲いかかってきた。

 

 「波留先輩、の……締め付け、ぐぅ……っ! 最初から、もっていかれそうに、なる……ッ!」

 「あっ、幹隆君……っ♡ んっ、……そこは『波留姉(はるねえ)ちゃん』って、呼ぶ約束、でしょ……っ♡♡」

 

 逆バニーの衣装から、ハート形のニプレスで隠された豊かな双丘が波打つ。

 その勢いで、ハート型のニプレスが汗と熱気で剥がれ落ち、艶やかに尖った乳頭が完全に露わになった。

 先輩は俺の体に跨がったまま、ウサギのように腰を上下に振り始めた。

 

 ——ぴょんぴょん!——ぴょんぴょん♡——ぴょんぴょん!——ぴょんぴょん♡

 

 「波留、姉ちゃん……っ! 動くの、早すぎ……っ♡」

 「ふふ、あはっ♡ 幹隆君が、お姉ちゃんって言ってくれたぁ……っ♡ ご褒美に、もっと気持ちよく、してあげるぴょんっ♡♡」

 

 ――パンパンパンパン! と、肉と肉が激しく衝突する淫らな音が部屋中に響き渡る。

 先輩が腰を落とすたびに、媚薬の混ざった愛液が潤滑油となり、ジュクジュクと卑猥な音を立てていた。

 

 先輩は露わになった乳頭を、挑発するように俺の顔へと押し付けてくる。

 俺はその甘美な誘惑に抗えず、夢中でその先端を口内に含み、激しくしゃぶりついた。

 

 「あ!、は!、しゅごい!?……っ♡……こ、……れ、……しゅごいのぉ!♡♡……おっぱいも、おまんこも、気持ちいいよぉ!♡♡、……もっと激しくしてぇ――っ♡♡」

 

 ——じゅるう、パンパン!!——じゅるう、パンパン!!——じゅるう、パンパン!!

 

 ジュルジュルという瑞々しい咀嚼音と、激しい肉体の衝突音が重なり合う。

 先輩の身体からは、まるで熟した果実のような甘い香りと媚薬の熱気が立ち上り、俺の嗅覚をどこまでも麻痺させていく。

 

 「あ、あ、すごい……っ♡ 幹隆君の、私の中でおっきくなって、子宮当たってるのぉ……っ♡♡」

 「クソっ……縛られてるから、加減が、できない……っ!これ、外していいですか、波留姉(はるねえ)ちゃん!」

 「ダメぇっ……♡ 、あんんっ、……、んっ……♡、今日は、お姉ちゃんが幹隆君をご奉仕すりゅのぉ――っ♡♡」

 

 手足を拘束されているため、俺はただ下から腰を突き上げることしかできない。

 だが、自由が効かないからこそ、先輩のおまんこの敏感な最奥をダイレクトに抉り抜いていた。

 一突きごとに、先輩は白目を剥くようにして身体をビクビクと硬直させ、何度も、何度も連続で絶頂を迎えていく。

 

 「あ♡、あ♡、あ♡、あ♡、いく、いっちゃうっ♡ 幹隆君、お姉ちゃん、もうダメぇぇ!!♡♡」

 「波留姉(はるねえ)ちゃん……っ、俺も、もう限界だ……っ、出すぞ!!」

 「んぁあッッ♡♡ いっぱい、出してぇぇ! 幹隆君の、精液、ぜんぶ、ちょうだいぃぃ――っ♡♡」

 

 限界を迎えた俺は、拘束されたまま、先輩の欲しがる最奥に向けて、熱い精液をこれでもかと一気に噴射した。

 

 ――ビュルルルルゥッ!!!

 

 「ひゃあぁあーーーッッ♡♡♡……あ、 染まる、……染まっちゃうよぉぉ!!♡♡ あ、ああ、あんっ♡♡」

 

 子宮口を直接叩きつけるようなドクドクとした衝撃に、波留先輩は声を枯らした絶叫を上げ、激しく身体を震わせながら絶頂へと上り詰めていた。

 膣の中が収縮し、俺のペニスをギュウギュウと締め上げ、放たれた精液を最後の一滴まで貪るように 搾り取っていく。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ……っ♡ ……すご、かったね、ご主人様……♡」

 

 一度目の射精を終え、汗ばんだ身体を俺の胸元に預けながら、トロンとした瞳で俺を見つめてくる波留先輩。

 そして、呼び方も隷属状態の波留先輩が俺を呼ぶときの「ご主人様」という呼び名が漏れ出ていた。

 

 だが、使用した媚薬の効果は、一度の放出程度で収まるほど生易しいものではなかった。

 俺のペニスは、射精した直後であるにもかかわらず、さらに熱を帯びてガチガチに硬くなっていく。

 

 「ふふんっ、ご主人様もまだまだやる気だね!お姉ちゃんウサギが、もっともっとたくさん搾り取ってあげる」

 

 俺のペニスが彼女のお腹をグイグイと押し広げるのを感じて、波留先輩の顔には、妖艶な笑みが浮かんでいた。

 

 「ふふ、あはっ♡ さすが、お姉ちゃんの自慢のご主人様だね……♡ よーし、それじゃあ第二ラウンド、いっちゃうぴょんっ!!♡♡」

 

 息を整える間もなく、波留先輩は再びその豊満なお尻を揺らし、俺の上で激しく「ぴょんぴょん」とセックスを再開するのだった。

 

 ――しかし、薬の効力が強すぎたのか、隷属の影響なのか。

 

 途中から攻守が逆転し、俺が拘束を自力で引きちぎって攻める番になった時には、波留姉ちゃんは過剰な快感のあまり、すでに意識を失い気絶していた。

 

 それでもなお、俺の性欲は、収まることを知らず、ただ機械のように、彼女の甘く濡れたおまんこに容赦のないピストン運動を刻み込み続けるのだった。

 

 

 

 ————————

 

 

 

 補習期間の三日間が無事に終了し、久しぶりの登校日となった。

 

 季節の月は『皐月』から『水無月』へと移り変わっていた。つまり、6月である。

 

 あれから、ちょくちょく、『玄鷲荘(げんじゅそう)』の寮に顔を出して、浩一がいるかどうかを確認しているのだが、今のところまだ出会えていない。

 学生手帳を使って連絡を取ろうとも思ったが、そもそも奴の番号を知らなかったので無意味だった。

 

 もしかしたら、連絡先を知らない時点で、俺は友達だと思っていても、向こうはそう思っていないという悲しいパターンなのだろうか。

 ……つまり何が言いたいかというと、俺はこの学園に入学して未だに友達が『0人』のままなのである。

 どこかで新しく友達を作れるだろうか。このまま五年間をボッチで過ごすのかと思うと、本気で不安になってきた。

 とりあえず、今月の目標は「クラスメイトの人たちと少しでも仲良くなること」に設定しよう。

 

 (もう、手遅れかもしれないが……)

 

 そんなことを考えながら、豊葦原学園の下駄箱で靴を履き替える。

 

 だが、どうにも様子がおかしい。

 さっきからすれ違う生徒たちが、みんな俺を見た途端にサッと目を伏せ、俯き出すのだ。

 それどころか、今1年生の教室に続く廊下を歩いているのだが、まるでモーゼの海割りのように、歩く先々で生徒たちが左右に避けて道を開けていく。

 

 (ええぇ……。みんなビクビクしてるし、もしかして、魔王化した影響か……?)

 

 魔王化といえば、地味に嬉しかった変化もある。身長が伸びていたのだ。

 元々170センチだった俺の身長は、180センチにまで一気に成長していた。

 目線が高くなるような何気ない変化でも、男としては素直に嬉しい。

 

 だが、変化らしい変化といえばそれくらいだった。

 魔王化の影響が「身長が伸びただけ」というのは、俺の元のポテンシャルの低さに我ながら呆れてしまう。

 『ランスシリーズ』では、ランスが魔王になった時は禍々しくも格好いい黒の全身鎧姿になったし、美樹ちゃんが魔王になった時も、セーラー服の女子高生姿から神々しいまでの変貌を遂げていたというのに。

 

 魔王特有の不穏な瘴気は、自分なりに完璧に抑え込んでいるはずだ。

 それなのに、なぜか誰も彼もが俺に怯えている。

 これではまるで、原作主人公である『叶馬』にでも、なったみたいだ。

 あいつは最初から「デフォルト設定」だからいいが、俺の場合は「後付け設定」なので、余計に精神的ダメージが来る。

 

 ……うん、友達作りは諦めた方がいいかもしれない。

 早くも俺が立てた今月の目標は、達成できなさそうだ。

 

 (補習明けの初日から、なんて嫌な気分になるんだ。はぁ……憂鬱だ)

 

 内心で深いため息を吐きながら、俺の所属する『丙』クラスの教室の扉をガラリと開けた。

 

 教室に入ると、すでに何人かのクラスメイトが登校していた。

 

 案の定、俺が入ってきたことを察知した瞬間、全員の身体が目に見えてビクついてるような気がする。

 ……いや、少し違和感があるな。

 怯えているというよりは、みんな俺の方をチラチラと盗み見ながら、コショコショと小声で内緒話をしているのだ。

 やめてくれ、クラスの陰キャボッチには、その攻撃は精神的に大ダメージだ。

 

 精神的なSAN値がゴリゴリと削られていくのを感じる。

 

 (おうち帰りたい……。もう嫌だ、この学園……) 

 

 最強の「魔王」になっても、中身は前世社畜の糞雑魚メンタル。

 俺の精神のライフゲージは一瞬でゼロになった。

 

 俺は廊下側の最後尾にある自分の席に大人しく座ると、机に突っ伏してふて寝を決め込むことにした。

 もう、何も考えないのが一番の防衛策である。

 

 「ねぇねぇ、幹隆君。少しいいかな?」

 

 不意に上から声を掛けられ、ふと顔を上げた。

 そこには、4人の女子生徒が身を寄せ合うようにして、俺の机を囲んでいた。

 確かこの子たちは――「陽菜子(ひなこ)」、「蓮華(れんか)」、「琉菜(るな)」、「真穂(まほ)」だったはずだ。

 原作の記憶が確かならば、クラスの冴えない男子グループが立ち上げた倶楽部『無貌(ネイムレス)』に所属している女の子たちだ。

 原作でどういった活躍をしたのか、細かいところは忘れてしまったが、この『無貌(ネイムレス)』は丙クラスの基準では平均レベルの実力を持つ、割と侮れない部類に入る倶楽部だった。

 原作でも、俱楽部のランクは『C』ランクとされている。

 

 (まあ、他の俱楽部よりかなり強い部類には入るんだが、……このクラスは異色な者たちが多いため相対的に彼らは自分の実力が低いと勘違いしてしまっていたなぁ~)

 

 改めて彼女たちに視線を向ける。

 原作では、スポットが当たっていない彼女たちだが、、俺から見ても普通に可愛いと思う。

 容姿採用をしていることもあって、この学園の女子は皆可愛い子が多い。

 さらにダンジョンの恩恵を受けられるので、最終的にはみんなモデル顔負けの美少女になっていくのだ。

 

 そんな彼女たちが、一体何の用で俺に話しかけてきたのだろう。

 

 「ああ、大丈夫だけど。どうかした?」

 

 声を出すと、彼女たちは怯える様子もなく、普通に応じる。

 どうやら魔王の悪影響は身内やクラスメイトにはあまり出ないみたいだ。

 ふむ、一緒に過ごしている時間の長さや、お互いの認知度によってビビり具合が違うのだろうか。

 

 『大殺戮陣営(ジェノサイド・レギオン)』のみんなも今まで通り普通に接してくれていたし、俺の素性を少しでも知っている人間からすれば、特に問題はないということか。

 おそらく、廊下でモーゼの奇跡を起こしていた連中は、俺のことをよく知らないから「野生の天敵者(アグレッサー)」か何かが歩いてきたかのように錯覚して怯えていたのだろう。

 

 「ああ、ええとね。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

 「真穂、いいよ、私が聞くから。――ねぇ幹隆君、今回の補習レイドに参加してたよね?」

 

 オドオドしながら口を開いた、背が低くて胸が大きな子が真穂(まほ)

 それを遮るようにすっと前に出てきたのは、背が高くスレンダーな美人の琉菜(るな)だ。

 琉菜(るな)とは、以前の授業で少しだけ会話したことがある。

 あの時はお互いまだ手探りで距離があったが、今の彼女からは当時の警戒心があまり感じられない。

 

 というか、話の内容からして、やはりあの「補習レイド」のことか。まぁ、気になるよな。

 学園側から長年「攻略不可」と指定されていた曰く付きのレイドが、この三日間で二つも消滅したのだから。

 座学の授業でも、翠先生から「補習レイドだけは参加しないほうがいい」って教えられていた。

 

 要するに、ただの野次馬根性で、現場がどんな感じだったのか知りたくなったのだろう。

 

 「ああ、行ってきたよ。『餓者髑髏城(がしゃどくろじょう)』レイド。と言っても、モンスターから必死に逃げ回っていたら、いつの間にか終わってたって感じだけど」

 「そうなんだ、じゃあ、幹隆君は、『餓者髑髏城(がしゃどくろじょう)』レイドに入ったんだね」

 「だったら、このニュースのことも、もう知ってる?」

 

 茶髪を軽快に揺らす陽菜子(ひなこ)と、黒髪をおさげ髪に結った蓮華(れんか)が、探るような視線を向けてくる。

 手際よく、一枚の学内新聞が俺の机の上に広げられた。

 

 そこに躍る大々的な見出しを見て、俺は内心で絶句した。

 

 ——『原因不明!補習レイド全て消滅!?攻略したのは一体誰だ!』——

 

 「……マジかよ。全部消えてんじゃん……」

 「そうなんだよね~。だから今、学校中がその話題で持ち切りなんだよ」

 「そうそう。私たちは補習に参加してないからさ。一体中で何が起きてたのかなって、気になって調べにきたの」

 

 俺の呆然とした言葉に陽菜子(ひなこ)蓮華(れんか)が興味津々といった様子で身を乗り出してくる。

 

 原作では、『轟天(ごうてん)石榴山(ざくろざん)』だけが叶馬の手によって消滅していた。

 そして、今回、『餓者髑髏城(がしゃどくろじょう)』も俺と他の転生者によって消滅したことは把握している。

 だが、問題なのは、もう一つのレイド『テュイルリー興廃園(こうはいえん)』の消滅だ。

 正直、これに関しては俺にも誰が攻略したのか全く分からない。

 おそらくだが、俺以外の「転生者」の誰かが、俺と同じようにレイドに挑み、攻略したということだ。

 他の転生者たちも、着実に動き出している、ということなのだろう。

 

 「そ、それでね……。もしかしたら、レイドを攻略したのって、『叶馬くん』か、それとも『幹隆くん』のどっちかなのかなって、みんなで話してたの」

 「どうして俺なんだ? 普通に考えたらあり得ないだろ」

 

 オドオドした様子で尋ねてくる真穂(まほ)に、俺は首を傾げてみせる。

 

 まずいな。

 原作では一つだけだったから「ダンジョンの自然崩壊」という原因不明の処理で片付いていたが、今回は三つのレイドが同時に消滅している。

 これだけの異常事態となれば、学園上層部も隠蔽しきれず、「誰かが意図的に攻略した」と結論づけたのだろう。

 

 そして今、俺が最も懸念しているのは、学園側に無断で『大殺戮陣営(ジェノサイド・レギオン)』をレイドへダイブさせたことだ。

 もし俱楽部の関与が学園の上層部に目をつけられたら、非常に面倒なことになる。

 

 「いや、だって普通に考えてあり得ないでしょ。私たちのクラスの『二大化け物』が揃って補習送りにされたのよ? 誰だって、その裏で何かが起きてるって勘ぐるわよ」

 

 琉菜(るな)が、腕を組んで強気な口調ではっきりと言い放った。

 

 「ば、ばけもの…………」

 

 俺、クラスメイトの女子からそんな風に思われていたのか。

 こうして年頃の可愛い女の子に面と向かって「化け物」呼ばわりされると、精神的なダメージが半端ない。

 胸の痛みだけで言うなら、柴田勝家に斬られた時と同じくらい痛い。心が。

 

 「あ、ごめんね幹隆君! 琉菜(るな)ちゃん、流石に言い過ぎだってば! いくらなんでも、叶馬くんみたいな本物の怪物と比べるのは、幹隆君が可哀想だよ!」

 

 真穂(まほ)が慌てて俺のフォローを入れてくれているのだが、全くフォローになっていない気がする。

 

 (化け物って部分自体は、誰も否定してくれないのね……トホホ)

 

 「そうそう、幹隆君は、近づいても安全な方の化け物だからね!」

 「うん。幹隆君は、心優しい化け物さんだもんね。女の子には凄く優しいって、噂で聞いてるし」

 

 陽菜子(ひなこ)蓮華(れんか)にいたっては、もう完全に俺をいじって楽しんでいる。

 こいつら分かってて言っているだろう。

 ……一回、分からせるためにチンポ突っ込んで黙らせてやろうか。

 

 「……さっきも言った通り、俺は補習レイドの中ではただ逃げ回っていただけだ。誰がどうやって攻略したのかなんて知らないし、そもそも補習送りになったのだって、俺自身の単純な実力不足だよ」

 

 俺はあくまで無知を装い、徹底的にシラを切り通す。

 

 「ふ~ん。あくまでシラを切り通すつもりなんだ。――じゃあさ、今度私たちと一緒に、ダンジョンダイブしてよ」

 「は? なんでそうなる。いきなり飛びすぎだろ」

 「私たちは幹隆君の本当の実力が知りたいだけ。ねぇ、お願い! 前に誘った時は断られたけど、今度はいいじゃない!」

 

 琉菜(るな)の顔はいたって真剣そのもだった。本気で言ってるのが伝わってくる。

 そう、俺は以前、この子たちからのダンジョンダイブの誘いを何度か断っている。

 理由は、俺に隠しておきたい秘密が多すぎるためだ。

 

 「いや、自分たちが言っている意味が分かっているのか? お前たちは『無貌(ネイムレス)』の部員だろ。他の男とダンジョン潜るってなれば、倶楽部の男子が黙っていないと思うが」

 

 実際、今も教室の向こう側から、俺と楽しげに話す女子グループを見て、『無貌(ネイムレス)』の男子連中が忌々しげにこちらを睨みつけている。

 まぁ、直接文句を言いに来ないあたり、彼らにはそこまでの度胸も実力もないということなのだろうが。

 

 「あいつらなんて、どうでもいいよ。ただ利用しているだけだし……。それに、あっちの方(夜の付き合い)も、不器用というか、独りよがりで下手糞だしね」

 「そうそう、力任せなんだよね。それに引き換え、幹隆君はあのお姉様たちが沢山いる『大殺戮陣営(ジェノサイド・レギオン)』のメンバーだしね」

 

 陽菜子(ひなこ)蓮華(れんか)がそれぞれ頭を抱えるようにお道化て話す。

 なるほど、そういう裏の事情があったわけか。

 彼女たちがわざわざ俺に色目を使って近づいてきた、真の目的がなんとなく見えてきたぞ。

 

 「つまり、ぶっちゃけた話をすると……お前たちの目的は、俺を通じて『大殺戮陣営(ジェノサイド・レギオン)』に移籍することか?」

 「あはは、流石に勘が鋭いね。まぁ、バレちゃったらしょうがないか。そう、はっきり言うと、私たちは『大殺戮陣営(ジェノサイド・レギオン)』に入りたいの」

 

 琉菜(るな)がまっすぐにそう答える。

 合点がいった。確かに『大殺戮陣営(ジェノサイド・レギオン)』は、この学園の女子生徒にとっては、ある種「唯一の安全地帯(セーフハウス)」とも言える特殊な倶楽部だ。

 他の倶楽部のように、実力による理不尽な性的搾取や日常的なレイプが横行しておらず、規律が守られている。

 だから、この学園の女子生徒たちにとっては、特に入学して日が浅い一年生からしたら、一種の憧れのブランド倶楽部のようなイメージを持たれているのだろう。

 

 「ああ……。まぁ、そういう目的があるなら、一度くらい一緒にダンジョンダイブをしてもいいよ」

 「えっ!? 本当にいいの!?」

 「ああ、構わない」

 

 少し考えてから出た俺の答えはイエスだった。

 俺の返答を聞いて、琉菜(るな)の顔にパッと喜びの表情が浮かぶ。

 

 当然、俺にもそれなりの計算があった。

 すでにこの世界の『ハイスクールハックアンドスラッシュ』のシナリオは、原作の進みと大きく逸脱して狂い始めている。

 今後、訪れるであろう転生者同士激戦あるいは、過酷なレイドクエストを生き抜くためには、手駒となる戦力は多いに越したことはない。

  

 (――最悪、こいつら全員、俺の力で『魔人化』させて忠実な(しもべ)に書き換え、口を封じてしまえばいいだけの話だしな)

 

 交渉成立を無邪気に喜び合う彼女たちの笑顔の裏で、俺は魔王としての冷徹で邪悪な計画を、静かに、そして着実に組み立てていくのだった。

 

 

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