ですけども、BL警報風味警報です!
事後なので!
心地の良いまどろみに包まれながら水輝は温もりを求めて腕を伸ばした。傍に横たわる温もりを両腕にしっかりと抱きかかえて唇を寄せる。水輝は目を閉じたままで足を伸ばして温もりに絡めた。
「んー……」
窓からは朝の陽射しが注いでいる。
「おはようございます」
間近で声がして急に温もりが腕の中からなくなる。水輝は眠い目を開けてぼんやりと見た。優一郎がそこにいることにほっとして息を吐く。
「んー、おはよー」
「カーテン開けますよ」
そう言って優一郎が部屋のカーテンを開ける。水輝は眩しさに思わず顔をしかめ、瞼を擦った。欠伸をしながらのろのろと身を起こす。
「変な夢見たー……」
寝ぼけた顔をして水輝は掠れた声で呟いた。
「どんな夢ですか?」
にっこりと笑って優一郎がベッドの縁に腰掛ける。水輝はぼんやりとした目で優一郎を見てから瞼を擦った。
「なんか……森の中にいて……綺麗な虹が」
ぼやくように呟いて水輝は首を傾げた。何だったんだろう、と呟く水輝の頭を優一郎が優しく撫でる。水輝は何となく顔を近づけて優一郎の肩に頬ずりをした。
「虹の夢は、あまりよくないそうですよ。今日は気をつけてください」
水輝の耳許に優一郎が笑みを浮かべて囁く。そなのか、と呟いて水輝はするりと手を伸ばして優一郎の首筋に抱きついた。
「キスして」
そう言ってから水輝は目を閉じた。優一郎が水輝の頬を手で包んで顔を寄せる。唇を合わせて舌を絡めてから水輝はうん、と頷いた。
「よし、起きるぞー……ねむー」
欠伸をしながら水輝はベッドを降りた。裸のままで歩く水輝の後ろを優一郎がついて歩く。
「おれ、紅茶が欲しい。ちょっとシャワー浴びてくるからいれといてくれ」
まだ頭がはっきりしない。水輝はそう優一郎に頼んでからバスルームに入った。熱めのシャワーを被ると少しずつ目が覚めてくる。身体を流してバスルームを出る頃には水輝はしっかり目を覚ましていた。
「お、すげえ早業。さんきゅ」
キッチンに入り、優一郎に出されたマグカップを受け取って水輝はテーブルに目をやった。優一郎はいつの間にかしっかりと服を着ていて、しかもテーブルには朝食が並んでいた。
「すみません。今日はちょっと早めに出勤しないといけないので」
昨日、早く帰ってきてしまいましたから。そう言いながら優一郎が食卓につく。了解、と答えて水輝は青藍を起こして着替えを済ませ、キッチンに戻った。
「おれも今日は作戦部に顔を出してくる。もしかしたら近場の仕事が入ってるかも知んねえし」
用意されたトーストをかじりながら水輝はそう告げた。青藍は朝から元気に食事をとっている。トーストを嬉しそうに食べる青藍を見てから水輝は何気なく優一郎を見やった。
「なんでしょう、水輝さん」
にっこりと優一郎が笑う。水輝はパンを咥えて優一郎の襟元に手を伸ばした。ネクタイの歪みを直してから、ぽんと優一郎の胸を叩く。
「曲がってた」
「えっと、ありがとうございます」
少し顔を赤くして優一郎が言う。どうやら照れているらしい。水輝は苦笑して自分の格好を見下ろした。いつものラフな自分の格好に比べ、優一郎はいつもスーツを身に着けている。
「よく苦しくねえなあ……。おれ、その手の格好駄目だ」
笑いながら言って水輝は二枚目のトーストを取り上げた。卵焼きをトーストにのせて一緒にかぶりつく。片手で食べながら水輝は青藍に手を伸ばし、ミルクの入ったカップを寄せてやった。近頃の青藍はコップから水を飲んだりすることが自分で出来るようになっている。
「青藍、成長が早いですね」
佑の力を少し食べたとはいえこれは……。優一郎がそう続けてまじまじと青藍を見る。水輝は笑って優一郎を横目に見た。
「なんか、食ってるみたいだぜ? おれの」
「大丈夫なんですか? って愚問でしたね」
セックスたびに互いの力が増していることには気付いているのだろう。優一郎がそう言って苦笑する。そうだな、と笑ってから水輝は青藍の手元にトーストを寄せた。
「でもなんか、食われてるって感じはしねえんだよな。ふと気が付くとでかくなってるっていうか」
まあ、優一郎として増える分の方が多いんだろ。水輝は笑いながらそう続けた。二枚目のトーストを手早く片付け、サラダを食べてから紅茶を啜る。
「青藍、僕からもいいよ」
そう言って優一郎が青藍の頭を撫でる。水輝は何の気なしにその様を見つめ、ふと眉を寄せた。どうやら優一郎も違和感は覚えたらしい。伺うように青藍の顔を覗き込む。
青藍は楽しそうに笑っている。だが青藍の頭に乗せた優一郎の手から流れた力が、青藍を避けて流れ、優一郎のところに戻っているのだ。
「僕の力は、お気に召さないみたいですね」
がっくりと肩を落として優一郎が呟く。ちょっと待て、と低い声で言って水輝は優一郎の手を退けてから自分の手を青藍の頭に乗せた。ごく少量の力を慎重に青藍に流す。だが水輝が手から流した力もやっぱり青藍を避けて落ち、水輝のところに戻ってくる。
「どういうことだ? おまえ、力食ってでかくなってるんじゃねえのかよ」
訝りに眉を寄せて水輝は自分の手と青藍をまじまじと見比べた。青藍は嬉しそうに笑ってパンをかじっている。
「佑の力は、確かに食べましたよね?」
「そのはず、なんだが……」
水輝は考えを巡らせながら青藍をじっと見つめた。ぱーぱ、まーま、と嬉しそうに言って青藍が明るい笑い声を上げる。
「とりあえず、順調に成長しているんですから気にしないでおきましょう」
そう言ってから優一郎がにっこりと笑う。水輝はそうだな、と言ってから何気なく壁の時計を見た。あっ、と声を上げて水輝は慌てて紅茶を飲み干した。
「やばいぞ! おまえ、早出だよな!? 時間時間」
慌ただしく立ち上がって水輝は青藍の食事を手伝った。優一郎が時計を見上げて急いでコーヒーを飲み干す。水輝は託児所に持って行く荷物を鞄に詰め、青藍の手を引いて玄関に駆けた。
「火の元よし、戸締まりよし、出るぞ、優一郎!」
「はい」
三人で玄関を出たところで優一郎が行ってきますと言って先に歩き出す。水輝は青藍の手を引いて歩き出した。優一郎は小走りに近い歩き方でどんどん先に行ってしまう。
託児所に預けてから、作戦部に行って、あと別に用はないよな。そんなことを考えていた水輝は遠ざかる優一郎の背中を見つめてふと足を止めた。
「ぱーぱ?」
手を繋いでいた青藍が水輝を呼ぶ。はっと我に返って水輝は慌てて青藍を見た。
「悪い悪い。ちょっと考え事してただけだ」
「うー?」
青藍が唇に手を当てて難しそうな顔をする。そろそろ言葉がきっちり出るといいなあ、と笑って水輝は青藍を抱き上げた。水輝の腕の中で青藍が嬉しそうに笑う。
気のせいかな。なんか優一郎が遠くなった気がしたけど。まさかな。
心の中で呟いて、水輝は託児所に向かって歩き出した。
水輝の様子がおかしくなってきました。
いつものことですw