※この作品はR-18です。

再生の日   作:伊駒辰葉

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エロシーンはありません。


術をかけたのかかけてないのか

 岸に上がった佑を厳しい顔をした優一郎が待ち構えていた。優一郎は腕にしっかりと水輝を抱えて岸辺に座り込んでいる。佑は大変なことになってしまった、と思いながら彼らに近付いた。

 

 でもとりあえずは考えないでおこう。水輝さんは無事だったわけだし。

 

 そう思いながら佑は二人に歩み寄った。

 

「水輝さんは?」

 

 濡れた髪を指で顔から退けて佑は訊ねた。優一郎が厳しい顔をして腕の中の水輝を見下ろしてから頭を上げる。

 

「気を失ってる。もうすこししたら目を覚ますと思うけど」

 

 険しい目で優一郎が佑を睨む。佑はため息を吐いて二人の傍に座り込んだ。

 

「どうして、佑なんかの身代わりになろうとしたんだ……」

 

 優一郎が渋い顔をしてぶつぶつと呟く。それを聞いた佑は怒りに目を吊り上げた。

 

「なんかとは何よ! 前から思ってたけど本当にヤな奴ね! あなたって!」

 

 声を荒らげた佑を優一郎がうろんな目で見る。

 

「水輝さんのことが無ければ、刀の錆にしてやるところよ! 桂を返して!」

 

 叫ぶうちに堪えきれなくなって佑は泣き始めた。少し離れた場所に転がっている桂の頭部は無惨に壊れてしまっている。桂は佑を助けるために一人でここまで来たのだ。あんな風に桂を壊してしまうのは優一郎以外にはいない。佑は顔を手で覆って嗚咽を漏らした。

 

「あなたがおかしなことを企てなければ、良かったんです。水輝さんにかけた術を解いてください!」

 

 優一郎が怒りのこもった声で叫ぶ。それを聞いた佑は訝りを覚えて顔を上げた。濡れた手袋で顔を拭って優一郎を睨みつける。

 

「わたしが、水輝さんに術?」

「しらばっくれるなっ!」

 

 訊ねた佑に優一郎が腹の底から怒鳴る。だがそんなことを言われても佑にはさっぱり覚えがなかった。

 

「自分が水輝さんの一番であるために、水輝さんの想いを調整する術をかけてきたんでしょう? 奈月さんを手放した時から、おかしいとは思っていたんだ。まさか、こんな卑怯な手段を使っているとは……」

 

 忌々しそうに優一郎が低い声で言う。それを聞いた佑は怒りに目を吊り上げた。

 

「変ないいかがり付けないでよ! 何が何だかさっぱりわからないわ!」

「僕の想いを奪ったでしょう? あれと同様の操作を水輝さんに対して行っていたのでしょう? だから、君は奈月さんさえ押しのけて水輝さんの妻の座に着く事ができたんだ」

 

 佑を険しい目で睨みながら優一郎がすらすらと言う。確かに優一郎の言った通り、優一郎を突いたあの時にはその想いは慰謝料として巻き上げた。が、あれは水輝に返してもらったはずだ。それ以外のことについてはまるで覚えがない。

 

「確かに有効な方法だ。想いを操れば、ずっと水輝さんの一番で居られる。でも生憎だったね。それによって得た妻の座は、たった十日の不在で崩れるほど脆いものでしかなかったわけだ」

 

 そう言って優一郎が水輝を腕に抱え直す。

 

「わたしを見くびらないで! 好きな人を歪めたり、悲しませたりしてまで、恋を成就させようなんて、そんなこと、できるわけないでしょう?」

 

 できていたら、自分の命を盾に、少なくとも水輝の傍に居られるだけの立場は確保していた。でも、水輝に別に一番好きな人ができて邪魔になりそうだったから、消える事にしたのだ。

 怒りに震えながら佑は優一郎を睨みつけた。

 

「佑、君でなければ、誰がそんなことをできるというんだい?」

 

 冷ややかな笑いを浮かべて優一郎が言う。そんな優一郎の腕に抱えられていた水輝が掠れた声を上げる。

 

「……うるせぇなあ……」

 

 微かな声で呟いた水輝を佑は慌てて見下ろした。優一郎が心配そうに水輝の顔を覗き込む。

 

「水輝さん! ……よかった」

 

 ほっとしたように優一郎が言う。佑はじっと水輝を見つめた。水輝がのろのろと身を起こしてその場に立ち上がる。水輝は湖面をじっと見つめてからため息を吐いた。

 

「拗ねてるな、あれは」

 

 ぼそりと呟いてから水輝は唐突に自分の胸に手を突っ込んだ。瞬く間に水輝の身体が男のものに戻り、その身体に服がまとわりつく。

 

「拗ねてる?」

 

 不思議そうに優一郎が言う。すると水輝はため息を吐いて二人の傍にどっかと腰を下ろした。

 

「虚ろだからな。拗ねてるってのは微妙かもだが。で? 何で揉めてんだ、おまえら」

 

 渋い顔をして水輝が優一郎と佑を見比べる。

 

「水輝さんの想いの消失について、話していたのを覚えていますよね?」

 

 そう言ってから優一郎はさっき佑に言ったのと同じことを説明した。水輝が腕組みをしてしかめ面をし、佑を見る。

 

「そうなのか?」

「わたし、そんなこと、してない……」

 

 佑は消え入りそうな声で呟いて目に涙を浮かべた。すると優一郎が白けた顔をして佑を見る。

 

「泣いて誤魔化そうとしても無駄だよ」

「まあ待て。佑を庇う訳じゃないが、それだと辻褄が合わない。おれが忘れてるのはずっと昔に会った連中のこともだぞ? そんな奴らに対する感情をどうこうしたところで、佑には何の利もねえだろ」

 

 水輝が淡々と言ってから頭をかく。すると優一郎が少し眉を寄せて首を捻った。




あ、裸のままだったら多少は警報必要かと思いましたが大丈夫ですね!w
三角関係みたいなのでトライアングラーですかね。
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