※この作品はR-18です。

再生の日   作:伊駒辰葉

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エロシーンはちょっとしかありません。
百合警報です! 機械なので嫌な方は避けてください。


一号の考察

 佑は桂の股間に顔を伏せ、赤い小さなクリトリスをしゃぶっていた。V字型に足を開いた桂が切なそうな声を上げる。

 

「凄く興奮してるのね、排気ガスがこんなに」

 

 そう言って笑いながら佑は桂の尻に手をあてた。真っ赤になった桂が身を捩ろうとする。だがV字型に足を開いた桂は胴をくねらせただけだった。

 

 二人は巨大な樹の洞にいた。大勢いた妖精を透明な板の上に寝かせ、その板を洞の天井につり下げてあるので仄かな明かりが満ちている。ちなみに妖精たちは笑い疲れたらしく板の上で熟睡中だ。

 

「あっ! 佑! 恥ずかしい! でも、いいのっ!」

 

 可愛らしい声を上げて桂が切なそうな顔をする。桂は手で左右の乳房をつかみ、指で乳首の頭を弄っている。佑は桂の肛門から排気ガスが出ているのを確かめてから顔を伏せた。

 

「おしりの穴、煤で真っ黒よ。明日は洗浄しないとだめね」

「やだっ! 佑っ! そんな事言わないでっ! 気持ち良すぎてっ……壊れそう!」

 

 佑の指摘を受けて桂が悲鳴じみた声を上げて仰け反る。恥ずかしがりながら感じている桂を眺めて佑は満足をこめて頷いた。どうやら桂も相当に感じているようだ。

 

「あっ! ああんっ! 佑、いくっ! いっちゃうっ! ああああぁんっ!」

『二号が絶頂に到達しました。二号をいったんシャットダウンします』

 

 官能的な桂の声の後に一号が抑揚のない声で言う。がくん、と桂の身体が動きを止める。佑は顔を上げて桂の様子を見た。幸せそうに顔を緩めたままで桂はぴたりと動きを止めている。

 

『お疲れさまです。これでストレスは完全に解消したようです』

 

 相変わらず抑揚のない声で一号が報告する。佑はそれを聞いて微笑みを浮かべた。桂はかなりのストレスを感じていたらしい。三度目の今の絶頂で漸くストレスが解消されたようだ。

 

『それでは、二号は疑似睡眠モードに移行します』

 

 そう一号が言った直後、桂は穏やかな寝息を立て始めた。幸せそうな寝顔をしばし眺めてから佑は洞の壁にもたれて座った。

 

「一号もお疲れさま。今日は本当にありがとう」

 

 佑は膝を抱えて座ったまま、一号に声を掛けた。生身なら桂の身体には布なりなんなり掛けた方がいいのだろうが、桂は機械だ。下手に布を被せると熱がこもって厄介なことになる。

 

 大きな洞には桂を維持するための道具も運び込んである。ここなら雨が降っても濡れることはない。近くには飲み水を汲める泉もあるし、食べるものは妖精たちに頼めば運んでくれる。とりあえず生きるだけならここでも十分だ。

 

『いえ。佑。礼には及びません。我々は佑の庇護を必要としますから。しかし、このように住居まであつらえてしまうとは、ハイブリッドの力は本当に多岐にわたりますね』

 

 一号が淡々と言った後、桂のクリトリスがじわじわと伸びた。先端に赤い球のついたそれが辺りを探るようにあちこちに首を振る。それを見た佑は思わずぶっ、と吹き出して口を手で覆った。

 

『二号のセンスはユーモアに満ちていますよね』

 

 クリトリスアンテナをあちこちに動かしながら一号が言う。佑は笑いを堪えて頷いた。

 

「しかし、二号……じゃなかった、桂ってあんなに小さかったのね」

『いいえ、桂は私も二号も含めたシステム全ての名称です。二号はあくまで感情と性反応を司る部品のひとつでしかありません』

 

 佑の問い掛けに一号が淡々と言う。頭部に入っていた小さなカプセルのことを思い出しながら佑は頷いた。

 

「あなたって、本当に良い性格してるわよね」

『いえ、私には性格は無いはずなのですが。最近、自信が無くなってきましたが』

 

 あくまでも抑揚のない声で一号が言う。最初は会話が成り立たないこともあったのに、今では一号ともこうしてスムーズに話をすることが出来る。一号の学習能力が驚くほど高いからだろう。佑は感心して頷いた。

 

『佑。水輝の事が心配ですか?』

 

 ふと、一号がそんなことを言う。あちこちを探るように動いているクリトリスのアンテナを見つめ、佑は目を細めた。

 

「……あなた、わたしの心を読んだ?」

『心理学的な考察から導き出した推論です』

 

 佑の問い掛けに一号がさらりと答える。佑はしばし黙してから抱えた膝に顎を乗せた。

 

「別に、わたしが一番で無くなるのは、辛いけど、構わないのよ。でも、水輝さんを見ているとすごく不安になるの」

 

 水輝を好きだという気持ちと共に、佑の中には水輝には自分が必要だという気持ちがあった。佑は後者の気持ちを自惚れだと思っていた。だが本当にそうなのだろうか。佑は小声で自分の気持ちを語った。

 

『普通の場合なら、自意識過剰だと返答すべきでしょうね。しかし、佑はハイブリッドです。しかも破壊神の二つ名を持つ、最強クラスの』

 

 抑揚のない一号の声を聞いて佑はぴくりと眉を上げた。無意識に頬が引きつる。破壊神は余計だ。夕方にさんざっぱら笑われたことを思い出して佑は頬をひくひくと震わせた。

 

『佑の危惧は解ります。彼は危険ですね』

 

 言い返そうとしていた佑より早く、一号が淡々とした口調で言う。

 

「あなたも、そう思った?」

 

 破壊神の件はとりあえず脇に退けて佑はそう訊ねた。

 

『はい。実は、お二方の、途中から水輝が目ざめたので、三方の話を聞かせていただいたのですが。彼は彼自身の発想に基づいてあなたを量っていました。逆に言えば、彼なら彼が言っていたような行動を取りかねないということです』

 

 淡々と一号が説明するのを聞いて佑は頷いた。そうなのだ。優一郎があの時、佑に言いがかりと思える説を披露した時、佑もちらりと思った。確かに身に覚えのないことばかり羅列されたが、その発想が出るというところが危険なのだ。つまり優一郎は、そういう状況になったら自分ならそうするということではないだろうか。

 

『ただ、そういう危険な部分こそが、水輝が佑よりも彼に魅力を感じた理由なのではないか? という予測も成り立ちますね』

 

 一号が抑揚のない声で言う。佑はじっと桂の股間を見つめて考えを巡らせた。確かにそうとも言えるかも知れない。

 

『佑。水輝の心配よりも自分の心配をしたほうが良いですよ。彼は、あなたを殺すことを諦めていないと思います』

「わかってる」

 

 たぶん、優一郎ならそうするだろう。水輝の気を惹く可能性のある者を残しておくとも思えない。優一郎があれだけむきになって桂を追ってきたのも、恐らく佑を確実に消そうとしたからだ。桂を処分しようとした理由など、建前に過ぎないだろう。

 

『逃げるなら早いほうが良いでしょう。場合によっては、森ごと逃げたほうが良いかもしれませんね。佑、この森は、あなたにとって特別な場所ですから』

 

 一号がそう言うのを聞いて佑はぴくりと眉を動かした。確かにその通りだ。この森をなくすわけにはいかない。

 

『私の研究テーマが古代伝承である事はご存知ですよね?』

 

 一号が淡々と言う。それを聞いて佑は首を傾げた。突然、一号は何を言い出すのだろう。

 

「ええ。妖精族の言葉とか、よく調べたと思うわ」

 

 一号には妖精の言葉が判るのだ。それは佑自身が確かめたことだ。鈴の音の妖精の言葉を使った時、一号は同じように妖精の言葉で答えた。

 

『私がさまざまな文献をあたっていた時、必ず最後にいきつくキーワードがあったのです。そのキーワードが何だかわかりますか?』

 

 そう問われて佑は眉を寄せて首を傾げた。判りますか、と言われても佑はその手の文献にはてんで興味がなく、これまでに読もうとしたことがない。




一号には性格がない。と、本人(一号本体?)も思っていたらしいですが。
実際にはどうなのか判らなくなっているようです。
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