※この作品はR-18です。

再生の日   作:伊駒辰葉

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エロシーンは……機械の裸とか色々は出てきます。


虫ー!!!ww(誰かの大笑い

 目覚めたらそこは家の中だった。桂は目を開けて慌てて周囲を見回した。確か自分は洞の中で佑に感じまくって果てたはず。だが桂がいたのは見覚えのない部屋の中だった。木で組んだ壁、ふかふかベッド、暖炉、火にかかった大きな鍋、壁と同じ木で組んだ天井、そして何故か床に転がっている自分。それらのことを見取ってから桂は首を傾げた。

 

「一号……。動けるようにして」

 

 桂はV字型に足を開いたまま床に横たわっていた。

 

『では、四足歩行モードに移行します』

 

 一号がそう言った次の瞬間、桂の腹の中でエンジンが唸りを上げ、股間からにょっきりとクリトリスアンテナが飛び出した。乳首があり得ないほど伸びて光を点滅させる。手足が付け根から真横に伸び、がくん、と肘と膝の関節が曲がる。ブリッジの姿勢になったところで桂の身体はかさこそと移動を始めた。

 

「動くには動けるけど、どうしてこっちなの?」

 

 半泣きになって桂は訊ねた。確かに設定したのは自分だ。ああ、自分だ。他の誰でもない自分だが、桂は納得出来ないものを感じていた。

 

『こちらのモードでの移動もきちんと鍛錬する必要があるのではないですか?』

 

 抑揚のない声で一号が言う。桂は顔をしかめて周囲を見回した。確かに緊急時に備えてどんな状況下でも動けるよう、この歩行体勢も設定はしたが、なにも鍛錬が必要とは思えない。

 

『ドアを開けてみてください』

 

 一号が淡々とした声で言う。桂は眉を寄せてドアに一番近かった足を伸ばした。が、ドアノブを捻ろうとしてもなかなか上手くいかない。

 

「む、難しいわ。こうやって……」

 

 桂は真剣な顔をして足の裏でドアノブを回そうとした。が、滑ってしまってなかなか思うようにはいかない。

 

『この程度の制御もできないのですか……。こうやって、こうですよ』

 

 一号が言った直後、桂の身体が自動的に動き、足の裏と指を使って簡単にドアノブが回せてしまう。桂がショックを受けている合間にドアがゆっくりと開き、その向こうには佑が立っていた。

 

 しばしの沈黙が流れる。ブリッジの体勢で足を伸ばした格好のまま桂は真っ赤な顔をして佑を見つめた。少しの間黙っていた佑が腹を抱え、桂を指差して大笑いする。

 

「桂ってば、なにやってるのよ」

『鍛錬です』

 

 きっぱりと一号が言い切る。桂は耳まで赤くなって視線を彷徨わせた。

 

「それじゃあ、いらっしゃい。みんなに紹介するから」

 

 佑がそう促してドアを大きく開く。広々とした部屋に桂はかさこそと移動した。桂が部屋に入った瞬間、テーブルについていた一人の青年が飲みかけていた茶を吹き出して腹を抱えて笑い始める。

 

「あははははははははははははは!! 虫ー!」

 

 遠慮のない声で笑いながら青年がばんばんとテーブルを叩く。翠色の髪をした青年の隣に腰掛けていたもう一人の青年が口許を押さえて横を向く。その隣には前に見た奈月という少女と翠という老人がいた。

 

「自己紹介なさい」

『瑞原桂と申します。伝承学を研究しています。皆さん、よろしくお願いします』

 

 佑に促されて一号が挨拶をする。一号の声に合わせるように桂の股間でクリトリスアンテナがぴこぴこと上下に揺れる。爆笑していた青年が桂の股間を指差して目に涙を浮かべて全力で笑い飛ばす。桂は真っ赤になって丸テーブルにつく彼らから目を逸らした。

 

「そんな風に笑うなんて失礼でしょう!」

 

 佑が怒ったように目を吊り上げて笑う青年に言う。だが桂は生ぬるい笑みを浮かべて佑を見た。

 

 笑うの、普通だと思う。そんなことを思いながら桂は恐る恐るテーブルについた面々を見た。それにしても彼らはみんなやけに造作が整っている。まだ笑っている青年もそうだし、その横で口を押さえて身体を震わせている青年もそうだし、奈月や翠にしてもそうだ。

 

『佑の言うとおりです。この世には様々な世界があるのです。あなたが意味も無く、初対面の相手に笑われたらどう感じますか?』

 

 一号が淡々と言う。すると笑っていた青年が目尻に浮いた涙を拭ってからびしりと佑を指差した。

 

「おまえもさっき笑ってたじゃないか」

 

 震える声で言ってから青年が腹を抱えて苦しそうに息を吐く。

 

「き、気のせいよ! 一号! 信じちゃだめよ!」

 

 いや、めちゃめちゃ笑ってたし。桂は心の底でそう呟いた。

 

『佑は構わないのです。私は佑のものですから』

 

 抑揚のない声で一号が言う。それを聞いた桂ははっと息を飲んだ。そうだ。自分は佑のものなのだ。他の誰かの反応と比べては失礼なのだ。一号の言葉で気付くなんて自分はどうかしていた。桂は心の底から深く反省した。

 

「いや、面白いもの見せてくれるって話だったから。笑い飛ばしてもいいだろ、べつに」

 

 漸く笑い終えたらしい青年がきっぱりと言う。

 

『佑、そのような事を仰ったのですか?』

「だって、昨日、粗忽者だとか、じゃじゃ馬だとかさんざん人のこと馬鹿にしたじゃないっ!」

 

 一号の問い掛けに佑が上ずった声で言い返す。それを聞いた桂は複雑な気分になった。いくら何でも佑に向かってそういうことを言うのは良くない気がする。確かに佑は奥さんと子供がいるにも関わらず、自分を愛人にしてくれた。が、それは佑が格好良いだけで、粗忽とかじゃじゃ馬とは違う。




笑い飛ばしたキャラクターはこの話では初登場だと思います。
ここから7章です。
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