足早に廊下を行く蒼藍をふと、背後から誰かが呼び止める。聞き覚えのない声に訝りを覚えつつ、蒼藍は振り返った。真っ赤な顔をした見知らぬ女子生徒が慌てたように蒼藍を追いかけてくる。
「あっ、あの! 蒼藍さん、私、同じクラスの」
「何の用件ですか。気が立っているので手短にお願いします」
厳しい顔でそう言いながら蒼藍はまじまじと目の前に立つ女子生徒を見た。どうやらさっき少し力を放った際にめいっぱいにそれを食らってしまったらしい。女子生徒はもじもじと制服の裾を弄りながらちらちらと蒼藍を見ている。
「なるほど。欲情してらっしゃるんですか」
周囲に聞こえない程度にまで声を落として蒼藍は訊ねた。冷ややかな蒼藍の質問に女子生徒がびくんと身を竦める。蒼藍はしばし考えを巡らせてからため息を吐いた。
「あっ、あの」
「とりあえずここは目につきますね。あなたの寮の個室に案内していただけますか?」
正直なところ、この女子生徒にも興味はないし、多少、力に当てられたところで放置しておけば済む話だ。が、この時の蒼藍はとても気が立っていた。女子生徒が慌てたように頷いて先に立って歩き出す。蒼藍は黙って女子生徒の後を追った。
学舎の棟から少し離れた場所に生徒たちの暮らす寮がある。女子用と男子用に分かれた二棟の寮に向かい、蒼藍は女子寮の入り口でぴたりと足を止めた。
「何号室ですか」
「あ、ええと、503です」
蒼藍が声を掛けると女子生徒がびくんと身を竦めて答える。ふむ、と呟いてから蒼藍は素早く転移の呪文を組み立てて魔法を展開した。一瞬で空間を跳躍した蒼藍は見知らぬ部屋の中に姿を現した。愛らしい色遣いに満ちた部屋の中をぐるりと見回してみる。しばらくして、慌ただしい足音が近付いてきて部屋の鍵が外れてドアが開く。
「えっ!? やっぱり」
「まさか寮の正面玄関を通る訳にはいかないでしょう?」
驚きの声を上げたさっきの女子生徒に蒼藍は冷ややかに答えた。寮には生徒が勝手に転移出来ないようにあちこちに結界が張られている。が、結界とは絶対不可侵の壁ではない。編んであるものを解き、隙間を通る。その後に証拠を消すために元通りに編み直す。そうすれば誰にも見咎められることなく、結界を通過することは可能なのだ。
まあ、ここの生徒じゃちょっと無理かな。かつて魔法を叩き込んでくれたラスティのことをちらりと思い浮かべて蒼藍は女子生徒に目を向けた。
「じゃあ、ベッドに座ってこちらを向いてください。手っ取り早く欲求不満を解消させてあげます」
憮然とした態度で言い放った蒼藍を女子生徒が困惑した目で見つめる。だが女子生徒は文句も言わず、蒼藍に言われるままにベッドに座った。
「膝を曲げて足を開いてください」
「えっ」
「昼休憩の時間は限られていますよ? 早くしてください」
苛々しながら蒼藍はぞんざいに言った。女子生徒が真っ赤な顔をして言われるままに膝を曲げて足を開く。
まったく、どいつもこいつも。そう思いながら蒼藍は少し離れたところから、冷めた目で女子生徒の股間を眺めた。力に当てられたためか、女子生徒のショーツはぐっしょりと濡れている。
「そんな格好をしてよく恥ずかしくありませんね。判ってます? 子供とは言っても男の前で股を開いているんですよ?」
ふう、と疲れたため息を吐いて蒼藍は頭痛を抑えるようにこめかみを指で押さえた。すると女子生徒が泣きそうな顔をして上目遣いに蒼藍を見つめる。
「で、でも、蒼藍さんがこうしろって……」
「ぼくはあなたがそうしたそうだったから言ったまでです。どうしたんですか? そんなに震えて。ぼくに恥ずかしい格好を見られて、本当は嬉しいんでしょう?」
薄い笑みを浮かべて蒼藍は女子生徒を見下した。びくんと身を竦めた女子生徒が潤んだ目で蒼藍を見つめる。その呼吸は少しずつ速くなっている。女子生徒が昂奮しているのが蒼藍には手に取るように判った。
「下着、とってください。脱ぎたいでしょ?」
「は、はい……」
とろんとした顔をして女子生徒が頷く。身じろぎをしながら女子生徒は股間を覆う白いショーツを脱ぎ始めた。震える手でショーツをベッドに落とした女子生徒が恥ずかしそうにしつつも大胆に足を開く。蒼藍は感慨のない目で女子生徒の股間を眺めた。
「毛、まだ生えてないんですね。丸見えですよ」
「あっ!」
掠れた声を上げて女子生徒が身震いする。まだ幼く淡い色をした女性器は濡れそぼっている。細い縦の切れ込みから透明なものが垂れたのを見て取って、蒼藍は鼻で笑った。
「その、どろどろしたものが出ているところを指でひらいてくださいよ」
「うっ、はっ、はい」
真っ赤な顔をした女子生徒ががくがくと頷き、腿の下に回した手で淡く色づいた薄い秘肉を左右にひらく。すると縦長の切れ込みからとろとろと露が漏れた。
「自慰くらいは知っているでしょう? してください」
「あっ、はい、します」
うっとりと顔を緩めた女子生徒がたどたどしい手つきで自分の女性器を弄り始める。はっ、と鼻で笑って蒼藍は肩を竦めた。
「気持ちいいですか? 見られて」
「は、はい、とっても……」
「そこの小さな突起、クリトリスですよね? 皮を剥いて弄ってみてください」
冷ややかに言って蒼藍は顎をしゃくった。すると女子生徒が言われた通りに小さなクリトリスを包んでいた薄皮を指先で押し上げる。怖々と指先でクリトリスをつついては女子生徒が掠れた声を漏らして身震いする。
「もっと強く、いつもしているみたいに弄り回してくださいよ。遠慮することありませんから」
くすりと笑って蒼藍は身を屈めて女子生徒の股間を覗き込んだ。切なそうな声を漏らして女子生徒が大胆にクリトリスを捏ねる。
「膣口も焦れているんでしょう? 指を突っ込んでください」
「あんっ! あっ、は、はいっ」
甘えた声で返事をして女子生徒が縦に細くひらいた陰部に手を這わせ、小さな穴に指を入れる。
「ペニスみたいに出し入れしてください。指の根元までちゃんと入れてくださいね」
もう、快楽に囚われきっているのだろう。女子生徒は蒼藍が命じるままに自分の身体を弄り回している。ふっ、と笑って蒼藍は屈めていた身を起こした。クリトリスを弄りながら、膣口に指を出し入れして女子生徒が甘えた声で鳴く。
「そんな風にしているとただの牝ですね。私は淫売ですって言ってみてくださいよ」
侮蔑の眼差しで女子生徒を眺めながら蒼藍は冷ややかに命じた。すると女子生徒が蒼藍の命じた通りに甘えた声で言う。
「私は、淫売ですぅ」
「自慰を見られて感じる変態ですよね?」
「はいぃ、オナニー見られて気持ちいいですぅ。私は変態ですぅ」
うっとりとした顔をして女子生徒が呂律の回らない口調で言う。次第に女子生徒の息が上がってきて、腿が頻繁に震えてくる。
「今後、ぼくに余計な声を掛けてこないでくださいね。佑さんにも勿論ですが」
やれやれとため息を吐いて蒼藍は額を押さえた。気紛れに苛めようとしてはみたが、この女子生徒はどうやら真性のマゾだったらしい。またかよ、と呟いて蒼藍は苛々と頭をかいた。女子生徒はうっとりとした顔をして涎を垂らしながら自慰を続けている。
「いっていいですよ」
ため息混じりに蒼藍が許可を出すと、女子生徒は甲高い声を上げて全身を緊張させた。女子生徒の指が突っ込まれていた膣口から透明なものが噴き出す。その後、女子生徒はがっくりと脱力してベッドに倒れてしまった。その様を見て取ってから蒼藍はため息を吐き、女子生徒に近付いた。
「まあ、危険はないと思うけど一応」
そう呟いて蒼藍は女子生徒の頭に手を乗せた。短い呪文を唱えて女子生徒の記憶を覗く。その中からまずそうなものだけを選んで蒼藍は記憶を消去した。
口早に呪文を唱えた蒼藍は寮の自分の部屋に転移した。
「昼ご飯、無理かな」
疲れた息を吐いて蒼藍はベッドに身を倒した。立て続けに大きな魔法を撃ったために身体がだるい。蒼藍はベッドにうつ伏せに転がったまま、しばしじっとしていた。
さっきの女子生徒のように欲に狂った目をして言い寄ってくる女は多い。いつもは無視するのだが、さっきは苛々していたからつい相手をしてしまった。だがどんな女を苛めても、少しも気が晴れたことがない。
佑さん。ベッドに顔を押しつけて蒼藍はぽつりと呟いた。佑に軽く唇で触れるだけで身体がじんと熱くなるような感覚がある。手を繋いだり、軽くキスしたり、それらのことをするたびに堪らないものがこみ上げる。その度に蒼藍は何とかその気分をごまかしてきた。
ベッドに伏せて何度か深呼吸をしてから蒼藍はむくりと身を起こした。ため息を吐いて自分の股間を見下ろしてみる。さっきのように誰かを苛めている時には少しも感じないのに、佑のことを考えると身体が勝手に反応するのだ。
蒼藍は難しい顔をして考えを巡らせた。きっと今頃、佑は友達に囲まれて楽しく食事をしているだろう。それを邪魔するのは忍びない。が、様子が気になるのも確かだ。じっと考え込んでから蒼藍は諦めのため息を吐いた。
会いたいけど、こんな状態じゃとても無理だ。熱の冷めない股間を情けない気分で見下ろしてから蒼藍はまたベッドに転がった。
エロシーンというか……エロシーンなのかな?(汗)
蒼藍は解せぬと思っているようなのですが。