※この作品はR-18です。

再生の日   作:伊駒辰葉

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エロシーンはありません。


消滅の危機を脱した! 2

「それで。佑さんはぼくを欲しがってくれないんですか」

「可能なら、そうしたいわ。蒼藍の望みだもの。でもだめなの。わたしにはできないから」

 

 だからわたしは、それができる誰かと出会うまでの繋ぎにすぎないってわけ。そう言って佑はにっこりと笑った。だが、目に溜まった涙が自然とこぼれて頬を伝う。

 

「なるほど」

 

 そう呟いて蒼藍が指先で佑の頬を撫でる。

 

「判りました。それじゃあ、欲しくなるようにしてあげます」

 

 きっぱりと蒼藍が言う。佑は驚きに目を丸くして蒼藍を見つめた。

 

「方法は?」

「色々考えて試してみます。そもそも、出来ないって決めつけるのって嫌いなんですよね。やれば出来るかも知れないでしょう?」

 

 そう言ってから蒼藍がにこりと笑う。佑は戸惑いを覚えて視線を彷徨わせた。

 

「そうでなくてもいいとは、言ってくれないのね……」

「そうでない佑さんも好きですが、欲しいと思ってくれる佑さんも見たいので。ぼく、その辺りかなり諦めが悪いんですよ」

 

 そう言ってから蒼藍がベッドに放り出してあった刀を取り上げる。青い刀は蒼藍の手の中で宝珠に戻った。

 

「それとも佑さんは、そんな君でも構わないと甘えたことを言って欲しかったですか?」

 

 笑い混じりに言って蒼藍が宝珠をそっと佑の座る手に乗せる。佑は目の前に置かれた宝珠に何となく手をあてがった。小さな身体で見ると龍宝珠も随分と大きく見える。

 

 佑はさっきまでの威勢の良さが嘘のように、おどおどと蒼藍を見た。宝珠の影から顔を覗かせた佑を蒼藍が微笑みを浮かべて見つめる。

 

「ちゃんと成長しましょう、佑さん。ぼくも、そしてあなたも。これは予想ですが、あなたの器はあなたの成長についていけなくなったのではないですか? だから、弾けた」

 

 そう言って蒼藍が右手を握ってぱっと開く。

 

「蒼藍が、そう言うのなら、そうなのかも」

 

 にっこりと笑って佑は答えた。蒼藍が静かな笑みを浮かべて首を傾げる。

 

「時を止めたままでは何も始まりませんし……ぼくはあなたと一緒に生きたいと思いますよ。最高の殺し文句だと思うんですが、いかがですか?」

「蒼藍、わかった頑張ってみる」

 

 佑はにっこりと笑いつつ、心に広がる暗澹とした気持ちを悟らないでくれと祈りながら、必死で演技をしていた。しばしじっと佑を見つめていた蒼藍が急に笑みを顔から消して瞼を半分閉じる。

 

「ばればれですからね。宝珠に触りながら考えたことは」

 

 ぼそりと言われて佑は慌てて青宝珠から手を離した。なるほど、と呟いて蒼藍がため息を吐く。

 

「まあ、気長に行きますよ。先は長いですからね」

 

 無理は言いません。そう続けてから蒼藍が佑の頭を指先でよしよしと撫でる。

 

「信じて、裏切られるのはもう嫌なの! わたし……わたし……」

 

 佑は震える声で言って我満出来ずに泣き始めた。あれ、と蒼藍が呟くように言う。

 

「なんだ。佑さん、ぼくのこと欲しいんじゃないですか」

 

 意外な言葉を聞いて佑は慌てて顔を上げた。なーんだ、と蒼藍が笑いながら肩を竦める。

 

「だって、わたし、男になって蒼藍のこと抱いたりとか天地がひっくり返ってもできないしっ!」

 

 水輝に振られた時のことを思い出して佑はヒステリックに叫んだ。すると蒼藍がもの凄く嫌そうな顔をする。

 

「ぼくだって嫌ですよ、そんなの」

 

 まあ、佑さんが男性になってどうしてもぼくを抱きたいというなら別ですけど。渋い顔をして蒼藍がそう続ける。佑は涙を腕で拭って勢いよく立ち上がった。

 

「だって、抱いて欲しいって例えに出した中にあったわ」

「ぼくに抱いて欲しいと思わないのかって訊いたんですよっ。ぼくが、じゃなくて、ぼくに!」

 

 苛々したように頭をかきながら蒼藍が声を荒らげる。

 

「だって、蒼藍のものなんだから、そっちは当然でしょう? その逆の立場で考えろって意味じゃないの?」

「違いますっ。あ、でも色んなテクニックで射精に導かれるっていうのはちょっと経験してみたいかも」

 

 そう言って蒼藍が唇に指をあてがって遠いところを見る。それを見た佑は困惑に顔を歪めた。

 

「とりあえず、わたしのできるかぎりの事はしてみるわ。でも、望み通りに行かないからって自害するとか言い出さないでね」

 

 少し怯えながら佑は言った。すると蒼藍がにっこりと、だがとても意地の悪い笑いを浮かべる。

 

「そこで力業を使っても自決しようとするぼくを止めないと。あと、セックスのテクニックは佑さんの方が上でしょう? ぼく、さっきまで童貞だったんですよ?」

「でも! 水輝さんより上手かったわよ!」

「それは相性の問題もたぶんにあるかと。まあ、ぼくが勉強熱心というのも大きな理由の一つでしょうけど」

 

 偉そうに言って蒼藍が胸を張る。

 

「もう、無茶苦茶なんだから」

 

 ぷくっと頬を膨らませて佑は拗ねた顔をしてみせた。すると蒼藍がくすくすと笑って指先で佑の頭を撫でる。それから蒼藍は急に真面目な顔をして佑を見つめた。

 

「その宝珠は佑さんに差し上げます。佑さんが使うには、剣より刀の方がいいでしょう」

「大丈夫よ。何とかするから今だけ貸して」

 

 そう言いながら佑は宝珠に手をあてがって意識を集中させた。すると青い宝珠が佑の身体のサイズにぴったりの小さな刀に変わる。佑はその刀を手に握って虹色の羽根を動かしてゆっくりと床に降りた。

 

 佑は刀を鞘から抜き、二度、三度と素振りをした。それから何となく刀を揮いながら舞を舞う。すると蒼藍が感心したように拍手をした。舞い終えてから佑は蒼藍に向かってぺこりと一礼した。そこではっと我に返る。

 

「はっ、わたしってば、つい」

「妖精の舞ですね。何なら音楽、つけますか?」

 

 蒼藍がそう言って宙に手を差し伸べる。蒼藍が短い呪文を唱えるとその場には一挺のバイオリンが現れた。

 

「ええ、お願い」

 

 やる気に満ちた顔で佑は頷いた。蒼藍が肩にバイオリンを乗せて明るい曲を弾き始める。佑はそのメロディに合わせて再び舞い始めた。佑の舞に合わせて虹色の光が少しずつ戻ってくる。虹色の光は帯状にまとまり、佑の揮う刀の先にまとわりついて動きに合わせて尾を引いた。綺麗ですね、と微笑んだ蒼藍がゆったりとした曲を奏でる。その音楽に合わせて佑は舞い続けた。

 

 光の尾を引いて揺れる虹色のリボンにつられるようにして、どんどん虹色の光が集まってくる。その度に佑の揮う刀の先に伸びた光のリボンは太く、長く伸びていった。やがて舞を舞う佑の姿が完全に虹色の光に包まれる。

 

 虹色の光は徐々に大きくなっていった。佑は強い虹色の光に包まれて意識を失った。




この二人はあくまでもノーマルですね。
というか、佑がTSしないというか?
あ、でも百合っぽいのはあるかも知れません。
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