BL警報!
慌ただしく優一郎の研究室を出た後、水輝は情報局の管理する棟を出て、急いで技術総括局の大きな建物に向かった。端末で時間を確認しながらゲートを越え、管理所で身分証明する。
水輝は建物の中でもあまり人の使わない通路に向かった。別に『塔』に所属しているのだから堂々と歩いてもいいのだが、何しろバイトの依頼人が目立つのを嫌うのだ。やれやれとため息を吐きながら水輝は足早に建物の隅にある細い階段を昇った。
時間通りに部屋を訪ね、客に言われるままに相手をしたところで水輝はぐったりとうなだれた。何でこうなるのだろう。佑の身体に触って欲情していたのだからいつもより感じてもいいはずなのに、何故か気持ち良くなる前に相手が射精してしまう。しかも何で彼らは揃って目を回してしまうのか。水輝は乱れた服を整え、客である男の傍にしゃがみ込んだ。くそ、とぼやきながら男の服をあちこち探してチップを取り出す。
指定した料金分の金をチップから抜き、元通りに戻してから水輝は客を残して部屋を出た。事に及ぶ前に随分と長いこと話に付きあわされたおかげで、かなり時間が経っている。佑は帰ってちゃんと寝たかな。そんなことを思いながら水輝はのんびりと建物の中を歩いた。
見覚えのある若い連中が廊下の向こうから歩いてくる。水輝は小さく舌打ちをし、知らん顔をして歩き続けた。数人で固まって話をしていた白衣の連中もどうやら水輝に気付いたらしい。互いに顔を見合わせてから水輝を睨むように見る。先日、食堂で一方的に突っかかってきた若い連中だ。水輝は気付かないふりをして行き過ぎようとした。
「おい、待てよ」
嫌な予感の通り、若い男のうちの一人が水輝を呼び止める。水輝はため息を吐いて仕方なく振り返った。男たちは足を止めて検分するように水輝を眺め回す。一般勤務者がいない時間というのもまずかったかも知れない。廊下には他に人影がない。水輝は周囲の状況を確認してから男たちに目をやった。
「何だよ」
「何でお前みたいな奴がここにいるんだ? お前は作戦部だろ?」
水輝を呼び止めた男が怒った顔をして言う。あの都賀という男の息子だ。水輝はのんびりとズボンのポケットに手を突っ込み、男たちを順繰りに見た。
「用事があったから来ただけだが?」
素っ気なく言ってから水輝は踵を返して歩き出そうとした。だが男たちが水輝を取り囲んでしまう。やれやれとため息を吐いて水輝は足を止めた。
「何なんだよ。一体」
「この間の件でペナルティ食らったんだってな」
そう言うが早いか、一人が水輝の腕を取ってねじり上げる。なるほど、と呟いて水輝は痛みを堪えて身を捻った。取り囲んでいるのはたかが数人だ。しかも彼らは特に身体を鍛えたりもしていないようだ。力を封じられていてもねじ伏せるのは簡単だろう。水輝はあっさりと拘束を解き、腕をねじり上げていた男を軽く蹴飛ばした。すると間の抜けた声を漏らしてその男がよろける。
「あのな。怪我するからやめとけ」
「お前、変なアルバイトしてるんだってな」
唐突に背後に立っていた男が言う。それを聞いた水輝はのんびりと振り返った。若い男たちの顔をぐるりと見回し、なるほど、と呟く。
「金を払えば誰にでもやらせるんだろ?」
「要するになにか? やらせろってことかよ」
呆れた笑いを浮かべて水輝は少し落とした声で言い返した。すると水輝を取り囲んでいた連中が目の色を変える。はいはい、と笑って水輝は軽く両手をあげた。
「そりゃ、いいっすよ? 料金さえきっちり払ってもらえれば、フェラチオだろうがなんだろうが受け付けますがね」
「じゃあ試してやるから来い」
最初に喋った男が偉そうに言い放って水輝の腕を乱暴に引く。つまり彼らは単に欲求不満が溜まっていて、そのはけ口を求めていただけなのだろう。水輝は大人しく男たちについて行った。
「考えることまでよく似てることで」
連れ込まれた倉庫の隅で水輝はぼそりと呟いた。もしかしたらこの親子は性癖も似ているのだろうか。水輝が連れ込まれたのは、都賀というあの男がよく使う大きな倉庫だった。箱の積まれた倉庫の隅には多少のスペースがあり、水輝はここでよく都賀に抱かれているのだ。
水輝を引っ張ってきた連中はすっかり目の色が変わっている。この世界の住人は元々、性欲が旺盛だ。まあ、そのおかげでバイトが成り立ってんだけど。そう心の中で呟いて水輝は取り囲む男たちをぐるりと見回した。
「それで? 誰からやるんだ?」
「全員を相手するに決まってんだろ」
そう言うが早いか、一人の男が水輝に飛びかかる。それを境に水輝はその場にいた男たちにあっという間に服を脱がされた。
「おまえらなー……。少しは丁寧にすること覚えろよな」
乱暴に服を剥がれ、床に転がされたところで水輝は不服を唱えた。だがすっかり昂奮しているのか、男たちはそれには答えず襲いかかってくる。早速、口に誰かのペニスを突っ込まれ、水輝は軽く呻いて息を殺した。舌と口で愛撫をすると、あっけなく口の中で暴発する。水輝は呻いて昏倒した男の一人を眺め、唇を舐めた。
「三秒は早すぎだろ」
「くっ。何なんだ、こいつ」
誰かがそんなことを言って水輝を蹴り飛ばす。いてえな、とぼやいて水輝は蹴られた腹を押さえた。
「次は誰だ? 口でもケツでも、好きに突っ込めよ。お望み通りに昇天させてやるぜ」
ほらほら、と挑発的に笑い、水輝は尻を振ってみせた。誰かが後ろから水輝を抱え、誰かのペニスが水輝の口いっぱいに押し込まれる。挿入の瞬間の独特の快感に軽く呻きを漏らし、水輝は軽く腰をくねらせた。代わる代わるに男たちが水輝を抱きにかかる。だが誰もが長く保たず、僅かな快感を得られたと思ったら男たちは揃ってすぐに射精してしまう。強い快感を得ることも出来ず、水輝の心には苛々としたものだけが積み重なっていった。
だがそうしているうちに少しずつペニスが勃起する。何度目かに後ろから抱えられた時、水輝ははっとして目を見張った。
「おい! なに考えてる!」
制止の声を余所に、男のうちの一人が細い針金を使って水輝の手を縛り上げる。背中の後ろで手をくくりつけられた水輝は、複数の男に床に押さえつけられた。抵抗する間もなく、ペニスに針金が巻かれる。締め付けられる痛みに水輝は歯を食いしばって呻いた。
「このやろー、後で覚えてろよ」
「男娼のくせに偉そうなこと言うな」
いやらしい笑いを浮かべた男たちが口々に言って、再び水輝を犯しにかかる。だがやっぱり誰もさほど長くは保たずすぐに射精してしまう。男たちはそれでも足りなかったのか、気紛れに水輝を殴ったり蹴ったりを繰り返した。文句を言うのが気に入らなかったのか、誰かが水輝の口にタオルを噛ませる。
やがて若い連中は全て水輝の周りで目を回して倒れてしまった。水輝は心の中でだらしねえなあ、と呟いて自由になる頭を起こして周囲を見回した。手足が自由にならないこの状態では彼らのチップから勝手に金を抜くことも出来ない。
仕方ないか。そう心の中で呟いて水輝は身体の力を抜いた。どうやら彼らはけっこうな力で殴ってくれたようだ。身体のあちこちが妙に痛む。それにペニスには針金が食い込んでいて、下手に動くと激痛が走るのだ。
まあ、そのうち誰か来んだろ。呑気にそんなことを考えながら、水輝は疲れた身体を床に横たえたまま瞼を閉じた。
今回の話はホントにBLが多いです。
水輝は相変わらずですw