機械が嫌な方は逃げてください!
ここまで百合警報を出すのを忘れてました……(汗)
切ない声で佑を呼んでシステムダウンしてしまった桂のことを思い出し、佑は熱いため息を吐いた。桂は足を大きく開いた格好のまま身動き一つしない。そんな桂の股間からは抑揚のない一号の声が響いている。
『自慰によって発生した過剰な興奮信号により、二号がオーバーフローしました。二号は停止中です』
それを聞いて佑は納得しながら頷いた。さっきの桂の自慰の様はとにかく凄かった。女性器を目に留まらぬスピードで指で擦り、乳首をこれでもかというほど連打しながら桂は絶頂に至ったようだ。余りに擦りすぎたせいで、桂の人工の女性器は原型を留めないほど削れている。桂の股間に散らばっているのは女性器を擦り取ったカスだ。
「カイゾー人間って凄いのね……。あんな激しくオナニーするんだ……」
感動をこめて佑は呟いた。すると一号が即座に答える。
『カイゾー人間ではありません。機械化人、またはMタイプとお呼びください。機密保持上の観点から、Mタイプの呼称を使用することを推奨します』
淡々と指摘されて佑はふむふむと頷いた。最初はこの一号との会話も上手くいかなかったが、今ではきちんと意思の疎通が出来るようになった。そのことにも佑は感心していた。
『また、二号の先ほどの自慰動作は、これまでに無い異常な動作でした。現在ログを解析し原因を分析中です。今しばらくお待ちください』
それを聞いて佑は首を傾げた。どうやら機械化人だから自慰が激しかったのではないらしい。てっきり機械化人が全て桂のような自慰の仕方をするのだと思っていた佑は首を傾げたまま考えを巡らせた。
「もしかして、わたしが見ていたから?」
佑は考えの末に答えを弾き出して呟いた。桂が自慰に耽りながらしきりにそんなことを言っていたような気がする。
『佑の存在が二号の動作に影響を与えた可能性は大きいと思われます。ただ今、感情ログを解析中です』
あくまでも平坦な声で一号が語る。一号がそう言うということは、ほぼこの答えに間違いはないということだろう。そう考えて佑は頷いた。
『二号の異常動作の原因解析を完了しました。報告を開始します』
桂の股間から一号の声が流れる。少しの間を置いてから一号は続けた。
『主原因は羞恥心による快感の増幅がハウリング現象を起こしたためと判明しました』
「ハウリング現象?」
疑問を覚えて佑はそう問い返した。
『佑に見られているということで感じる羞恥心がマゾヒスティックな性癖によって快感に変換され快感が増幅します。これが第一段階です』
すらすらと一号が語る。第二段階は、見られて恥ずかしいという状況に感じる自分が恥ずかしいという羞恥からくる快感、三段階目はさらに快感が増し、行為がエスカレートする自分が恥ずかしいという羞恥からくる快楽なのだと一号は続けた。その三段階目の快感が無限のループになり、快感のハウリングが発生して異常動作を引き起こしたらしい。
「機械の女の子もいろいろ大変なのね」
感心して頷きながら佑は呟いた。これまでそんな風にヒューマノイドのことを知ろうとは思わなかった。機械仕掛けの身体を持つ者に知り合いがいないではなかったが、彼らは自分からは説明はしなかったし、佑も内部の構造には興味を持てなかったので説明を求めたことがなかったのだ。
『自分の意志で自慰の停止が不能になる、モンキーオナニー現象はMタイプ全般に見られる動作です。その発生機序を理解し慌てず対処することが重要です』
抑揚のない一号の声が桂の股間から響く。この、会話で知識を得るという方法も佑には好ましく思えた。
「こういう事はこれからも起こるってことね?」
それなら対処の方法は学んでおく必要がある。もしも作戦の中途で桂がさっきのような動作を起こしてしまったら目も当てられない。
『はい。故意に発生させようとしなくても、一日あたり40%程度の確率で最低一度は発生すると予測されます』
つまり、二、三日に一度は先のようなことになるということだ。それを聞いた佑は腕組みをして頷いた。やっぱり訊いて正解だった。
「防止方法はあるの?」
その方法によっては動き方を考えなければならない。真面目な顔をして佑は一号に問い掛けた。
『あります。恋愛対象として捉えている相手から、性的な刺激を定期的に受ければ、二号の動作は格段に安定するでしょう』
それを聞いて佑は少し眉を寄せて考え込んだ。恋愛対象。要するに桂が好きな相手が性的な刺激を与えればいいということだろう。が、桂が好きな優一郎はここにはいない。それに佑は男に桂を触らせるつもりはなかった。
「それは駄目よ。甲斐性無しの優一郎なんかに桂を任せられないし、水輝さんはあたしのだし」
考えながら佑はぶつぶつと呟いた。ぐるぐると部屋の中を歩き回りながら考えを巡らせる。ちなみに二人が居るのは作戦の間借りているホテルの部屋だ。作戦中は作戦部持ちで好きなだけ飲み食いしてもいいことになっている。当然、ホテル代も作戦部持ちだ。
『佑が性的刺激を与えるという選択は無いのでしょうか? 感情分析の結果、現時点で二号が恋愛対象として最も興味を持っているのは佑であることが判明しています』
考え事をしていた佑は一号の声に我に返った。ぴたりと歩くのをやめてまじまじと桂の股間を見やる。
「一号! あなた何言ってるのよ! わたしと桂ちゃんは女同士なのよ?」
訝りに眉を寄せながら佑は大股でベッドのところに戻った。桂の股間をじろりと睨みつける。だがそこにはちびた女性器しかなく、一号の姿があるわけではない。それでも佑はきつい眼差しで桂の股間を睨みつけた。
『昨日二号が佑と出会ってから、感情ログのほとんどは佑のことで埋め尽くされています。二号には同性愛に対する背徳感はありますが、嫌悪感はありません。本人に自覚があるかどうかは別として、二号が佑に恋愛感情を抱いている確率は99.999999999%です』
淡々と一号が語る。それを聞いて佑は眉を寄せて黙り込んだ。一号は機械なのだから嘘は吐かないだろう。となると、桂が佑にそういった感情を抱いているというのは事実なのだ。佑は黙したまま考え込んだ。
だが不思議と一号から聞いた話に嫌悪感は覚えなかった。女性同士ということで多少の抵抗はあるが、好かれていることが嫌だとは思えない。
「それは本当なのね?」
『先ほどと同じ回答をすることになりますので省略します』
一号の答えを聞いて佑は腕組みをして頷いた。
「わたしが桂ちゃんの想いを拒否したらどうなるかしら?」
試しに佑はそう一号に訊いた。佑が思った通りに一号が即答する。
『99.999%の確率で任務遂行不可能な状態になると思われます。最悪の場合、50%の確率で、精神崩壊する可能性もあります』
淡々と一号が語るのを聞いて佑はまた頷いた。任務が遂行できないのは困る。桂が壊れてしまうのも困る。そうなると答えは一つきりだ。
「決めたわ! 据え膳食わずはなんとやら! 桂ちゃんをわたしのものにするわっ!」
きっぱりと言い切って佑はぐっ、とこぶしを握りしめて天井を仰いだ。
ここから三章です。
確率は99.999999999%って、ほぼほぼ100パーw
最近は改行を自動で入れてくれるところを見つけたので、原稿を貼り付けるのが楽になりました。
それまで手動でしたので……Enterキーが可哀想なことになってましたw
使い勝手の良いものを無料で公開してもらっているのはありがたい! です!
ちなみに手動ではなくなったので、言い回しのおかしいところとかも見落としてると思います。